2018/07/12
〜昨日のカレーの作者〜

「さざなみのよる」
〜木皿泉〜

『さざなみのよる』:木皿泉(きざら いずみ):2018年4月20日:河出書房新社:¥1400:県立CSRD高校図書館
 夫婦共同で脚本を書くって、どんな気持ちだろう。すぐ喧嘩しそうなんだけど
〜1富士ファミリーの次女・ナスミは危篤と聞いて駆けつけてきた人々を冷静に観察する。東京に出たのは二十代半ば、姉の鷹子が銀行から百万を引き出して差し出してくれた。最後に思い出したのは、姉の鷹子と争って相手より長生きして自分から先に「ぽちゃん」と言わないと決めたことなのに、まわりに誰がいるか分からない意識が途切れる最後の最後にナスミは「ぽちゃん」とつぶやいた。2ナスミが好きな漫画が載っている雑誌を病院のコンビニで購入している最中にナスミは逝ってしまった。鷹子は童話を読むように漫画の台詞を読む。3月美は笑子ばぁちゃんが教えてくれた「おんばさらだるまきりくそわ」という千手観音の真言を思い出す。「生きとし生けるものが幸せでありますように」という意味らしい。4ナスミの夫日出男が一人の時にナスミは逝ってしまった。ナスミは人を文字に譬えるのだった。自撮りした動画の中で、ナスミは「と」みたいな人と結婚したらいいと思うよと言っていた。5笑子はナスミの父の叔母で婚家と折り合いが悪く、戻ってきた女で、富士が見える家の長女は鷹、次女はナスビだと主張した。ナスミが母親と喧嘩して、出て行く時にダイヤの指輪を持ってけ、要らないと争っているのを見ている。見舞いに行って、ナスミから台所の柱に目を描いて窪みを付けて、ダイヤを接着剤でくっつけろと依頼を受けたのだった。ナスミはあの世とこの世を結ぶ窓だと言う。6中村清二は床屋で、中学時代にナスミとクリスマスツリーを見に行くための家出を計画したことがあった。当日ナスミは現れずに空振りに終わったが、妻の利恵も経緯は知っている。通夜に行くことを妻に告げるが、妻は既に準備を終えていた。7病院に備品を返しに行って、不思議な手紙を受け取った鷹子は、それが女児を攫って借金の返済に充てようとしていた男をナスミが覚えていて声を掛け、逃げ出した男からのものだった。8ナスミが死んで一週間後に線香を上げに来た加藤由香里はビル管理会社で同僚であって、付き合っていた上司の子を妊娠し、下ろされた挙げ句に、その上司の紹介で自分の希望する編集社に就職できたのだと告げた。ナスミは上司を殴った挙げ句に逆襲され、歯を折られて、母から貰った指輪の台座を金に換えて歯を入れたのだった。9利恵は今でこそ仲の良い床屋の妻に収まっているが、自分より格下だと思っていた女が個展を開くと聞いて、居ても立っても入られず、スーツケースを転がして駅に向かう途中で、同じような格好のナスミに出会い、どこに帰りたいのか気が付いて、義父が居た頃の床屋に戻りたいのだと悟って引き返し、ナスミは東京に行ったのだ。10愛子は兄・啓介が二百万を貸す場に立ち合い、月五万ずつの返済は貸した同じ喫茶店で愛子が請け負うことになった。不細工なナスミにバカみたいに笑った方が良いと言われ、やがてナスミに憧れていく。具合の悪いナスミに代わって夫の日出男が返すようになり、やがて銀行振り込みに変わったが、四年後に同じ喫茶店で日出男と再会し、なんとなく付き合うことになり、結婚までしてしまった。ナスミが亡くなった後の続きをやるとは愛子も吃驚。富士ファミリーで店番をしながら我が子の誕生を心待ちにしている。11ナスミに好きな漫画の結末を教えたくて、出版社から著者にしつこくアタックし、ホドコシ鉄拳の作者・樹生光林と交流が出来た。二年ぶりに会った樹生は最終回のコピーを持って訪ねてきたのだ。12好江は清掃管理会社でナスミと同僚だった。加藤への上司の扱いに憤って殴りかかって逆襲され、折られた歯をフィルムケースに入れて今も持っている。友達関係を使って水を売る詐欺紛いの会社に移り、ナスミの歯にがははと笑われて、元の会社と同じような職種に戻り、アンチエージングに興味を持ち、ブログが評判となって本にする担当は、加藤由香里でったので驚いた。加藤を許せないと躊躇うが、会社のエレベータに乗ると人もいないのに五階に止まり「誤解です」と聞いて本を出すことに決めた。13日出男と愛子の子の光は作文の題で我が家の秘密を描くことになり、台所の柱に埋め込まれたダイヤを纏めた。光が生まれた頃になくなった。光を通してナスミはこの世を見ているのだ。14光の友が63で亡くなった。その友は浮気の罪滅ぼしで貰ったダイヤを預けていたのだ。友の娘からそのまま持っていてくれと言われ、台座から外して、介護施設で生活している母・愛子に「ダイヤが見つかった」と届けたのだ〜
 一人の女性の死。ブスで太っていた。200万の借金は何のためだったのだろうか、読み込みが不足しているのだろう。癌の治療費かなぁ。笑子の説明をするのにナスミの母が和枝で、その夫の有三の父の年の離れた妹、みたいな書き方はないんじゃないの。各章の下に描かれている輪っかは「ぽちゃん」の波紋だね

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最終更新日 : 2018.07.12

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