2015/11/15
〜表紙の絵は山東省のまっすぐな道

「流」
〜東山彰良〜

『流』:東山彰良(ひがしやま あきら):2015年5月12日:\1600:講談社:県立M高校図書館
 直木賞
〜蒋介石が死んだ年,葉秋生は布屋が荒らされて泊まり込んだ祖父・尊麟が風呂桶で溺死されているのを発見する。大陸では偶々国民党軍に味方し,50名以上の共産勢力や日本への協力者を殺害した猛者が簡単に殺されるだろうか。幼馴染みの小戦に唆されて高校の替え玉受験をしてばれ,進学校として有名な高校から,最低レベルの高校へ移らざるを得なかったが,喧嘩三昧の日々。顔役の雷威と喧嘩をするが,定規を削ったナイフを渡されて,自分の腿を深く刺して,その場を納めた。小戦が買った宝くじが大当たりで,ファイヤーバードで峠道を飛ばすと,ベンツが抜き去っていき,そのベンツはカーブを曲がりきれずに転落し,運転手は即死,2名は大怪我を負ったが,僕にはおかっぱ頭の女子高生が血を流しているのが見えた。家にはゴキブリが大発生し,時々助けを求める声が聞こえる。おじさんに乗せて貰って山道を行くと,岩の上に白骨化した遺体があった。どうやら,毛毛の叔父が駆け落ちしようとしてすっぽかされたと思っていた女らしい。植物園にいる老人達が祖父を殺害したのではと刑事に耳打ちされて調べてみるが,日本の歌をバイオリンで演奏している老爺が犯人とも思えない。大学受験には失敗し,軍官校に入ったが,馬鹿馬鹿しくて,正月休み以降,戻らずにいて,二つ年上で看護婦の毛毛と良い仲になったが,小戦は兄貴分のヤクザ・高鷹翔は,借金を踏み倒したぺらぺらのチンピラが青い革靴を持っていて,それは祖父のだから,こいつが犯人で殺せと云う。猛者である祖父がこんな奴に殺されるわけはないと言い張ると,小戦にチンピラを始末させようとする。友を救うため暴れて脱出し,祖父が死んだ店で隠れるが,嗅ぎつけたヤクザ者に小戦は連れ去られてしまった。祖父のモーゼル拳銃をピアノの下の空間から掘り出し,救出に向かおうとすると,祖父に救われた養子である宇文叔父がピストルを発砲して,小戦と秋生を救ったが,宇文叔父は肺が石化する病に罹っており,服役に耐えられるか不安だ。小戦は船に乗り,兵役を済ませていない秋生は兵役に行くしかない。軍官校に退学の手続きに行くと2週間営倉に入れられた後,嘉義県の軍魂部隊で2年を過ごす事になった。しかし,拳銃と一緒に発見した祖父が殺害した日本への協力者・王克強の写真を見た宇文叔父は何故動揺したのか,年の計算も合わない。老兵が脱走し,妻を強姦した相手を殺害して逃亡しているが,追い掛ける方も真面目にはやってられない。教育召集でやってきた雷威が隊長で,撃ち殺したのは台湾コブラ。祖父を殺した犯人をコックリさんに聞くと,名字は王・義理に熱い人だという。除隊した秋生は毛毛の心変わりに戸惑いながらも,叔父・明泉の仲間が始めた日本のファミレス相手の龍関食品貿易有限公司で働き始め,バブル最中の日本に度々出掛けて,夏美玲と男女の仲になって,毛毛を忘れようとしていたが,日本に来て山東の祖父の故郷に住む馬爺爺と文通を始めると,写真に写っている故郷に帰ってきた王覚という王克強一家の生き残りはあまりにも宇文叔父に似ている。社長は,明泉叔父の話として,毛毛の母は身持ちが悪くて秋生の父とも関係を持ったから,毛毛は実の姉かも知れないという話をしたというのだ。結婚してアメリカに移住した毛毛は幸せではなさそうだ。祖父の死を忘れられない秋生は,馬爺爺を頼って祖父の故郷を訪ね,王一家が暮らす村で宇文叔父と再会する。母と妹が殺された時,許一家の宇文を肥溜めに沈めて殺している時に,義父に引き上げられたが,モーゼルと一緒に出てきた写真を見て,義父は自分が王一族の生き残りであることを知っており,いつでも復讐の対象にされてもいいと考えていたことを悟っていたのだと知った。20年待ったは,復讐を成し遂げて故郷に戻り,子孫を残すため。宇文叔父も秋生に殺されていることを覚悟しているが,胸の病が篤い。手近の石を振り上げた秋生は,王家の若者に腰から腹に突き抜ける銃弾を受けた…〜
 1968年生まれの東山彰良氏は,5歳まで台湾の祖父と暮らし,福岡の大学に職を得た父の許に来たが,大学時代の4年間は口を利かなかったらしい。その父がこの小説のモデルらしいのだが,主人公の秋生は1955年前後の生まれっぽい。ちょっと歳が合わないんだけど,まフィクションと言うことで片づけましょう。5歳までしか台湾にいなかったのに,よく中国風の言い回しを覚えているねぇ…それとも誰か知恵袋が付いているか?表紙の絵は山東省のまっすぐな道だろう。一世代半前の台湾に住む人達の感情がよく描けていると思います

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最終更新日 : 2015.11.15

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