2015/10/20
〜読みやすい!〜

「劉邦 上」
〜宮城谷昌光〜

『劉邦 上』:宮城谷昌光(みやぎたに まさみつ):2015年5月20日:\1600:毎日新聞社:県立M高校図書館
 どういう劉邦を描くかと思ったら,実にオーソドックスで,不思議な力を持っている人物として
〜47歳の劉季は豊邑の出身だが,跡取りではなかったから少年としてあちらこちらを流浪し,客となって過ごしたが,いわば不良で悪党の一歩手前。富裕な呂公が泗水に越してきて挨拶に出向き,ありもしない祝い金の金額を他の十倍書いて目に留まり,次女を貰うことになった。曹氏という女性がいて子もなしていたが,所詮は妾。毒には毒でと,泗水亭長という吏員になったが,目立った働きはない。張耳に世話になっていたが,郡界を逃げ回っていてお尋ね者になった寧君が,その恩人かも知れない。夜,川で小用を足していると,気配がして目の前の川に飛び込んだが,剣士に追い掛けられ,絶体絶命の危機を救ってくれたのは,寧君だった。始皇帝が死亡し,二世皇帝が即位し,り山に泗水と豊邑の百人を引き連れていくが,二泊目に豊邑から来た三十名の内三名を除いて逃亡した。全員が罪の問われることは必然,皆を集めて,亭長が逃亡したと言えば罪に問われないと言い聞かせ,泗水に返すが,30名余りが劉季に従った。県界の山沢に一同は住み始め,義弟であるハンカイが沛県に知らせる。妻の呂雉は夫の居所が分かると訪ねてきた。北の警備に行こうとして大雨に阻まれた陳勝・呉広が反乱の兵を集め,陳県を中心に10万の兵を率いるようになり,陳勝が王を名乗ると,沛の県令も慌てだし,簫何と曹参に謀ると,劉季の罪を赦し招くべきだという。この意見を入れ,赦免状をハンカイに持たせると,劉季と同日生まれの幼馴染みである豊邑の廬綰に夏侯嬰も加わった。沛県に着くと令は心変わりがしたようで,簫何と曹参も暗殺されそうになって,逃げ出してくる。簫何は父老を動かすために矢文を放ち,翌朝,劉季は県令として迎えられ,一月余りで有望な行政官としても認められる。豊邑の富豪・雍歯は外に力を示せと言う。薛県の二城を攻めるが落とせず,豊邑に滞在中,秦の軍勢・監平に取り囲まれたが,狙いは自分の命だと理解した劉季は,自分が守る北門に全戦力が投入されると読んで,本陣を襲う埋伏部隊を用意してこれを殲滅し,沛県に凱旋した〜
 過去を振り返る時,時系列が逆転する時には,一行空けてくれると読みやすいのになぁと思っていたのだが…まあ,それも馴れる。とばして読まなければ良いだけの話だ。人物の描き方に癖がなくて,まっすぐだ。劉邦を誣告した人物が誰だか描かれていないが,これからそれが明らかになるのだろうか? 読み終わって,奥付を見ると毎日新聞社が出していて,三巻同時だから書き下ろしかと思ったら,新聞連載! 新聞連載は,書き換えて辻褄を合わせる場合があるのだが,宮城谷先生は加筆修正せず,だから,一行空けることもしていない。印刷の段階で,一ページの行数を抑えているので,行間が広くなっているのも読みやすくなっている部分だろう。字のポイントも多少大きいのかも知れない。ふりがなもふってくれているし…って事は,編集部が偉い?

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最終更新日 : 2015.10.21

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