2015/07/18
〜田中君,久し振り〜

「宰相A」
〜田中慎弥〜

『宰相A』:田中慎弥(たなか しんや):2015年2月25日:\1600:新潮社:県立M高校図書館
 宰相Aは安倍だ
〜いくらエッセイを書いても小説を書きたくても書けない苛々が募り,30年前に蛸のぬめりを塩でしごいて取っている最中に心臓発作で死んで,O町の教会に葬った母の墓を参れば,小説を書けると列車に乗った。金メダル確実と言われたアメリカの女性フィギュアスケート選手が転んで金を逃し,笑みを浮かべていることから始まる僕の生まれた年の話を母の声で聞いたが,これは夢に違いない。目が覚めると目的のO町だったが,O町はOとだけ表記され,列車から降りると,周りの人々は驚愕の表情を浮かべているが,皆が皆,緑の制服を着た人々は金髪・蒼眼を持っていて,英語を喋っている。N・P(ナショナル・パス)を持たないため,軍に連行され,ようやく話が通じる女性が説明するには…日本国にときどき紛れ込む旧日本人がいる…平和の為の戦争をアメリカと共に展開している日本に旧日本人は協力するでもなく反抗するのでもなく,同化するのを拒んでいる…旧日本人が日本人になる道がない訳でなく,首相は旧日本人のAである…間もなく釈放され居留地へ連れて行かれるであろう…。居留地に行くと,伝説の反逆者Jの生まれ変わりだと言われ,肖像写真と手記を教会内で見せられる。確かに僕Tとそっくりで,僕の出現を予言している。緑の制服を作る工場で働くことになったが,工場長と同僚によって虐げられ,緑の制服も手に入らない。何よりも母が飲む薬を手に入れねばならないのだ。制服代を天引きされつつ,もう一着分を支払って制服を手に入れて帰宅すると,母は自ら命を絶っていた。翌日,鉈を手に職場へ向かい,手当たり次第に斬りつけて,捕まった…裁判に期待できず,間違いなく死刑だ。勝手にJの生まれ変わりだと期待されても,こちらは只の小説家だ。墓を探して小説を書きたいが,紙と鉛筆がない。紙と鉛筆が欲しいだけだ。飲み屋でかつてJの生まれ変わりと期待されて飽きられた痩せた男が翌日捕らえられ,橋の上で吊された。暴動の雰囲気に,例の軍に所属する女が,居留地で僕の身柄の引き渡しを求めてきた。旧日本人は議論するだけで何も結論は出せない。居留地に掛かる橋に,交渉役の女が車を乗り入れてきた。僕は話し合いのために車に乗り込むが,女は僕を相手に性的欲求を満たしたいだけだ。話し合いは進まず,緑の軍団は包囲網を縮めてくる。最後の拠点,教会も崩壊し,僕の上にJの肖像画が落ちてきて気を失った。皮製の拘束衣を着せられて連れてこられた映画館の舞台では肉体関係を持った女が逆さに吊られ,気持ちを通じさせただろうと拷問を受ける。最初は水で,次は汚物で,最後に性器に熱した油を掛けられて…。僕に対しては電極を通じて電流が送られ続ける。僕は…認可作家だ〜
 宰相Aは戦争主義的世界的平和主義に基づく平和的民主主義に基く平和的民主主義的戦争の既決たる,戦争及び民主主義が支配する完全なる国家主義的国家…ま,ナンセンスっで事!

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最終更新日 : 2015.07.18

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