2015/04/13
〜下巻の方が読みやすい〜

「サラバ!下」
〜西加奈子〜

『サラバ!下』:西加奈子(にし かなこ):2014年11月3日:\1600:小学館:県立M高校図書館
 本屋大賞だと思って上巻のレビューを書いていたけど,直木賞でした
〜1995年地震が起きた。学校に来られなくなったのは僕が認めていた親友の須玖だった。宗教団体が毒ガス事件を起こして,サトラコヲモン様にも風評被害が及び,一番の被害者は姉であり,部屋に籠もって社会との関係を断ったが,矢田のおばちゃんの話を聞いて部屋を出て,父のドバイ赴任には梳かすことの出来なくなった髪を丸めて同行した。サッカーにも身が入らなくなり,大学は東京に決め,1年はナンパに明け暮れ,2年で入ったオタクだらけの映画サークルはビッチと呼ばれることになる鴻上なずなが入部して,居心地の良さはなくなった。関係を持たなかった僕は,友達として色々な話を須玖の事以外は包み隠さずに語り合った。定年まで3年で父は帰国し,巣鴨の2DKで姉と暮らし始めたが,姉は変なシッポを持った巻き貝としてあちこちに出没して風変わりなアーティストと呼ばれるようになった。就職しなかった僕は,フリーのライターとして仕事を貰っていたが,当時の彼女であったカメラマンに話をすると,弟の彼女と云うことで姉に連絡してインタビューを受けさせ,そのせいで姉は非道いバッシングにあった。祖母が死に,矢田のおばちゃんが僕らに金を遺して死に,姉には散骨を命じていた。僕は売れない芸人になっていた須玖とパンの店員の鴻上と再会し,姉は世界中を歩き回って,サンフランシスコに住み着き,一時帰国ではユダヤ人の夫を伴っていた。姉のバッシングから髪が抜け始め,出版不況で仕事が激減した僕は,年上の彼女に裏切られ,須玖と鴻上が救いだと東京に戻ったが,僕が東京を離れた頃から二人は付き合い始め,僕の居場所はなくなった。姉は出家した父に会って,別れの真相を聞くべきだと云い,訪ねていくと,父がカメラ会社で親しくなった女性の後輩が母で,その女性を除け者にして結婚し,海外赴任のある会社に入り直してイラン・エジプトと逃げていたが,末期ガンになった女性が最後に父に会いたいと手紙を寄越し,父は一時帰国で女性に会い,自分は幸せにならないことを選び,母は何が何でも幸せになる道を選んだのだと聞かされる。何も情報を入れたくなくなった僕は図書館に通い続け,3月11日を迎えたが,姉からエジプトの様子を知るように連絡を受け,懐かしいカイロに飛び,ヤコブと再会し,サラバを再発見し,記憶の断片を拾い集めて小説を書いているのだ。書くのに3年掛かってしまったが,僕は女かも知れないし,両親は離婚してないかも知れないし,姉などいないかも知れないし,これを読んでいる人には信じられるものを探し出して欲しいと願っている〜
 直木賞!って芥川賞でも良かったんじゃない? 貴子の言葉「私が,私を連れてきたのよ。今まで私が信じてきたものは,私がいたから信じたの。分かる? 歩。私の仲に,それはあるの。『神様』という言葉は乱暴だし,言い当てていない。でも私の仲に,それはいるのよ。私が私である限り。」「あなたが信じるものを,誰かに決めさせてはいけないわ。」上巻で慣れたからかも知れないが,割に楽に読めた。そう,だんだん大人になってくるからかもしれない

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最終更新日 : 2015.04.14

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