2014/11/04
〜新潮社でも文庫になっている〜

「あかんべえ」
〜宮部みゆき〜

『あかんべえ』:宮部みゆき(みやべ):2014年9月8日:\920:PHP研究所:県立M高校図書館
 いや,結構手間取った・・・ページの厚みに苦しむ
〜海辺大工町にふね屋という料理屋を開いた太一郎と多恵の娘・おりんは,越してきて篤い病に罹り,三途の川を見て,水を舐めて帰ってきた。不思議な老人は,煙管を使いながら,まだ時期でないと云ってるのだ。太一郎は仕出しの高田屋の主人・七兵衛に育てられたが,七兵衛自身が身寄りを持たず,天麩羅屋に捕まって料理の世界に入ってきたが,料理屋を開くという夢は実子を持たなかったため,愛弟子に託された。最初の客は雑穀屋の隠居の古稀の祝い。おりんは幼馴染みと遊ぶ内,夢の中であかんべえをされた幼い女の子が出てきて,飴玉を喉に詰まらせ,隣の貧乏旗本で鮟鱇顔の長坂という侍に助けられた。宴たけなわの中,抜き身の刀が宙を舞い,出席者は大慌て,何事かと覗きに来た主人の太一郎も背中を切り裂かれた。おどろ髪という恐ろしい亡者の話は,玄之助という二枚目の侍が教えてくれ,梅の着物を着たのはお梅。揉み治療を施して,おりんをこの世に連れ戻したのは,笑い坊。艶な姿を見せるのは,おみつという。そもそも亡者が住み着いたのは,三十年前,向かいにあった興願寺の住職が何人もの人を殺し,挙げ句の果てに火を放ったのが原因だという。差配の孫兵衛に話を聞こうとしてもなかなか捕まえることができない。お化けの出る料理屋という評判が立ち,南新堀町の煙草問屋の浅田屋が,隣の畳表屋である白子屋から養子に嫁を取り,その嫁がひんぱんにお化けを見るというのが評判となり,白子屋の娘・お静もお化けを見ると打ち明けて,良かった仲が次第に崩れ,心霊を呼び出す力比べが行われることになった。浅田屋には黒を基調とした料理,白子屋には白を基調とした料理を出さなくてはならない。困り果てた太一郎は,七兵衛に紹介された陰気な島次という仕出し屋を使うことにした。その仕出し屋は,はやし屋というのだが,島次の兄の銀次が急な病で亡くなって,姉と甥達の面倒見に島次が声を挙げたが,最近は甥が育ち,邪魔者扱いをされている。献立は完成し,二組の客が訪れるが,その前には,白子屋のお静と名乗る女が下見とお祓いに訪れていた。そのお静は被り物を取らず,塩気が強くて,亡者の姿が見えないと文句を付けている。おどろ髪も現れたが,おいおい泣くばかりで騒ぎもしない。二組が諍いを起こす中,台所から上がってきた島次の人柄が豹変し,客に乱暴を働く始末だ。おりんは,島次に似た亡者を発見し,七兵衛の妻・おさきも随分前に,店で佇む亡霊を見ているという。島次は寝付いていて話は聞けず,差配の孫兵衛にも会えずに,差配に世話になっている勝次郎と出会うが,彼には同じ孤児の境遇からか,お梅の姿が見えるのだ。多恵は遂に寝込み,世話を焼いてくれるのは,手練れの奉公人であるおつたである。笑い坊は気の病だと診断する。先に来たお静が偽物で,白子屋の身代を狙う,妾腹の娘であることが判ったが,七兵衛の見立ては,このおゆうと島次が語らって,悪さを働いたのだという。おゆうは共謀していた情夫を殺した事が伝えられ,岡っ引きが番屋に連れて行く前に,ふね屋で関係者を集めて謎解きに取り組む。おゆうは誰彼となく悪態を吐くが,銀次の亡霊が見えて慌てだし,おどろ髪にも,こうなってはいけないと説得される。おみつの髪を振るしぐさで押さえつけられていた銀次の亡霊は,連れてきた元妻が毒を盛った告白を聞き,逆上するが,おどろ髪の説得でこうなりたくないと叫び,おどろ髪の手が添えられた刀で銀次を成仏させ,更におどろ髪自体も成仏させた。おどろ髪は,兄嫁を死に追いやり,興願寺の住職の人殺しの手先になっていたのだ。ふね屋での騒動が収まり,ふね屋の二階に叔父の姿を見つけた長坂と,おりんとおさきが差配の家に行くと,勝次郎は顔面に怪我を負い,差配の孫兵衛に怯えているようだ。機転を利かせた長坂は,手伝いに勝次郎を貸せと掛け合い,連れ出すことに成功したが,目に光のない孫兵衛がふね屋に乗り込んできた。お梅が現れ,孫兵衛の肩に乗って,目隠しをすると,お父が殺した人々と共にあの世へ旅立とうと連れ回し,寺の古井戸に飛び込み,かつて住職を斬った玄之助も,住職の情婦だったおみつも,揉み治療に自身があって殺された笑い坊も飛び込んだ古井戸は影も形もなくなっていた〜
 2002年に単行本が刊行されていて,この度,目出度く文庫に。ちゃんと最後に始末するから,みやべさんは偉いね。三途の河原で会った爺は長年住職と戦い続けていた孫兵衛だったというオチね。調べたら,新潮社からも文庫本が出てるんだけど,何故今更PHPで?

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最終更新日 : 2014.11.04

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