2014/1
〜11月に読んだ本〜

あかんべえ ☆☆☆ ワンダフル ストーリー ☆☆☆ 天に星 地に花 ☆☆☆☆ 恋する日本語 ☆☆☆
貘の檻 ☆☆☆ 神様の御用人 ☆☆☆ 神様の御用人2 ☆☆☆ つれづれ,北野坂探偵舎 ☆
北里大学獣医学部 犬部! ☆☆☆☆ エンジェル エンジェル エンジェル ☆☆☆☆ 日本男児 ☆☆ おもしろすぎる動物記 ☆☆☆
四字熟語で愉しむ中国史 ☆      

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

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14/11/28
『四字熟語で愉しむ中国史』:塚本史(つかもと せいし):2010年8月3日:\740:PHP研究所:県立M高校図書館 
 三国志の赤壁の戦いに蜀や諸葛孔明の活躍を描いちゃいけないでしょ!
〜〜 
 漢字ブーム・日本語ブームだから出せば売れるだろう。四字熟語の語源は中国が殆どだし,中国の歴史に起源を持つから,中国史を書いている作家で閑さそうな人といえば・・・・塚本先生しかいない!

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14/11/25
『おもしろすぎる動物記』:實吉達郎(じつよし たつろう):2008年1月24日:\900:ソフトバンククリエイティブ:県立M高校図書館 
★★★
 六時虫,凶暴なブタ,伝説の毒鳥,陸を行く魚…
〜ヒトは「万物の霊長」などとウソぶいていますが,どっこい進化系統樹ではワキ役もいいとこ。動物界の主役は,圧倒的に人間以外! 本書は,著者が見聞きした野生動物たちの珍しい生きざまを70種以上に渡って取り上げ,進化する力のものすごさに迫ります。生半可な“常識”をぶっ飛ばす彼らの行動に,自分を取り巻く世界の広さを感じてみてください〜 
 というのが,編集さんが裏表紙に書いた売り文句。1929年,広島生まれ。東京農大卒,野毛山動物園勤務を経て,1955〜62年までブラジル渡航。帰国後,数年サラリーマン生活を送って,動物中心のライターなど自由業に転じる。何にでも興味を持つことが凄い人。85歳を過ぎているね

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14/11/21
『日本男児』:赤瀬川原平(あかせがわ げんぺい):2007年6月20日:\730:文藝春秋:県立M高校図書館 
★★
 オール読売で連載
〜エッセイですから〜 
 連載中は頭からウロコと称していた。なぜ,文春新書なのかな??単行本にするほどじゃないけど,ほどほど面白いから,新書サイズで出したら売れるかも?って程度だろうなぁ。うん?死んだんじゃなかったか?と思って調べると昨月に死んでたね

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14/11/20
『エンジェル エンジェル エンジェル』:梨木香歩(なしき かほ):1996年4月20日:\1200:原生林:県立M高校図書館 
★★★★
 聞いたことのない出版社
〜コウコは学校まで距離があって帰宅するとすぐに寝てしまい,起きるのは3時。アメリカに行った伯父さん一家から引き継いだばあちゃんの夜中のトイレ同行を買って出た。引き替えに,熱帯魚を飼うことが許可され,ばあちゃんが寝ている隣の今でエンジェルフィッシュとネオンテトラを飼い始めたら,意識がはっきりしたばあちゃんは,私のことをコウちゃんと呼ぶので,私もさわちゃんと呼ぶように変えた。熱帯魚を飼い始めて私のカフェイン依存症は改善されたが,エンジェルフィッシュはネオンテトラを攻撃し始め,さわちゃんはそれを見ていても止めることができない。やがて,エンジェル2匹になったところで,同胞を攻撃し始める〜 
 意識朦朧としているばあちゃんが水槽に付けられたポンプの音で,大司教に山本さんがお茶を提供する聖堂内の天井から吊された扇風機のブーンという音を思い出す。音が消えると・・・おお成る程ね

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14/11/18
『北里大学獣医学部 犬部!』:片野ゆか(かたの):2010年4月12日:\1400:ポプラ社:県立M高校図書館 
★★★★
 北里の獣医学部は十和田市にあり,2年からで,4年制と六年制があるが,犬部は非公認団体として始まった
〜犬バカの5年生,太田快作は捨て犬・捨て猫に出会ってしまうタイプだ。アパートの部屋が保護動物で溢れ,非公認のサークルを立ち上げたが,大学側からは動物実験代替法を取り入れようという太田を煙たい存在と考えている。新入生勧誘をすると池田が入ってきた。譲渡会を開いている太田に共感したこともあるが,犬部員である先輩のハナコに学ぶことも多い。池田は犬部専用電話を手渡され渉外を任され,代表にもなった。ビーグル犬の愛犬ナナの許に来たのはてんかん持ちのホワイトだ。40頭以上も犬を飼っているおっちゃんが賽銭泥棒に手を染め,拘留中に避妊去勢手術を施すのは大変だった。2年目の春,ウサギもいるというチラシに吸い寄せられたのは,大学で土木を学んでノンバンクにも勤務した経験のある大山だった。4代目代表は市川育美で,猫の世話をし,大山の飼っている兎に飛びかかろうとしたコロを絵本に仕立てた。池田の愛犬ナナが血液の癌になり,ホワイトが部員から部員へ引き継がれる中で死亡した。部員が保護している犬ムックが人を咬み,代表の加護は活動を休止した。所帯が大きくなり情報の共有が出来ず,先輩から後輩への引き継ぎもできなくなったかだ。池田と大山は退部し,サークルも公認になり名も北里シッポの会と改め,新入部員の勧誘も始まる〜 
 大学が裏で手を廻してやらせている愛玩動物研究会,通称犬部かと思ったら大間違い。本当に自主的な活動で,最初は大学側からも困った存在だと思われ,一般の動物愛護団体からも,学生であるが故に甘やかされていると思われている。まあ,学生だから取り上げられる活動でもあるが・・・。今はどんななんでしょう? 大学の看板代わりに使われていませんか?

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14/11/17
『つれづれ,北野坂探偵舎』:河野裕(こうの ゆたか):2013年9月25日:\552:KADOKAWA:県立M高校図書館 
 心理描写が足りてない
〜神戸北野の喫茶店に女子高生がやってきて,元編集者の心霊探偵に,小学校の図書室で読んでいた夕焼けをモチーフにした絵本の行方を訊ねてきたが,男女の双子の兄妹の話はしなかった。商店街で足を掬う少年の幽霊は満足に話をできない。どちらも8年前,死んだ少年の父親は,高校3年になった少女に絵を手ほどきしており,彼女の指導中に息子と妻を同時に失っていたのだ。高1で死んだ少女の幽霊は消えておらず,生きている少女に伝えたいことがあったのだ〜 
 いや!!! なくて良い。文字を拾うのが大変だった。

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14/11/15
『神様の御用人2』:浅葉なつ(あさば):2014年5月24日:\550:KADOKAWA:県立M高校図書館 
★★★
 アスキーメディアワークスの文庫本
〜一言主命の名湯に入りたいという願いを叶え,貧乏神が取り憑きやすい家を探し,泣沢女神と穂乃香の仲を取り持ち,大国主神と須勢理毘売の夫婦喧嘩を収める〜 
 彼女??の連作最初の作品

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14/11/14
『神様の御用人』:浅葉なつ(あさば):2013年12月25日:\570:KADOKAWAA:県立M高校図書館 
★★★
 アルファベットの出版社って何だか嫌
〜就職まで野球で達成した良彦は練習中の接触で膝を壊して退職し,京都の実家で引きこもり生活から今はフリーターだ。道端でへたり込んでいる老人を助けて古ぼけた冊子を託され,幼馴染みの孝太郎の務める神社で狐に会う。狐は方位~だとなおり,抹茶パフェを食べさせろと言う。その神・黄金は良彦の部屋に住み着き,一言主・橋姫と引き合わす。大晦日,近所の小学生の願いを神社で願うようにアドバイスし,ミニ門松を贈ると,作業服を着た近所のオヤジが実は年神だった〜 
 なるほど,人が神に頼らなくなって神の力が衰えたため,その願いを叶える人の助けが必要って訳だね。なるほど種が豊富な着眼点だ。そうそう読み方を忘れる前にメモしておこう・・・宣之言書(のりとごとのしょ)。面白いのは,食事前に一拝一拍手後に『たなつもの 百の木草(もものきぐさ)も天照す 日の大神の めぐみえてこそ』と唱えることだね

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14/11/12
『貘の檻』:道尾秀介(みちお しゅうすけ):2014年4月20日:\1800:新潮社:県立M高校図書館 
★★★
 どろどろした・・・・
〜家に帰れなくなって結局離婚した妻との間の子・俊也とは一月に一度会う。5月の連休は出張があるので,預かってくれないかという提案に戸惑う中,電車を待っている向こうのホームに飛び降りて轢かれたのは,32年前にあったきりのミヤコだった。5月の連休,父が関わった事件の真相と,自分が夢に魘される悪夢の謎を解くため,信州のO村を息子と訪ねる。泊めてくれるのは土地の名士の三ツ森家の次男だ。悪夢から解放されたくて,プロプラノロールを服用しているが,彩根というカメラマンが絡んでくる。佐賀出身の父がこの地で猟師としての腕を見込まれ,母と結婚したが,山で事故に遭って怪我をしてから人生が変わった。地滑りで生き埋めになった女性・ミヤコを掘り出したが,その女性と関係を持ち,三ツ森とは村の反対側に住む檜場を殺して埋め,三ツ森家の先祖が農業用水を引くために掘らせた穴堰に潜んでいたが,水が通って溺れて死に,檜場殺しは迷宮入りした。ミヤコも殺されているだろうとは村人の噂するところだが,誰も真剣には探さなかった。自分がその息子だと聞いた当主が,三ツ森家から追い出そうとした矢先,自分は車に撥ねられ,そのどさくさの中で,俊也が行方不明になる。救出された俊也は目隠しされて穴に落とされたが,お経が聞こえ,人の気配が消えて抜け出したと云う。穴堰の息抜き穴の一つに落とされたが,横に張り出した根に引っ掛かって助かったのだと,彩根は推理する・・・〜 
 もう嫌! 何がって悪夢の部分さ!! 彼の小説は当分読まないっと!!!

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14/11/10
『恋する日本語』:小山薫堂(こやま くんどう):2009年4月10日:\495:幻冬舎:県立M高校図書館 
★★★
 おくりびとの脚本を書いた人だが,J−WAVEで前から馴染み
〜あえか・涵養・紐帯・気宇・転た・相生・如意・赤心・浹洽・玉響・泥む・僥倖・偶さか・那由他・夕轟・終夜・一曲・時雨心地・恋水・焰・恋風・刹那・客愁・洒洒落落・忘れ種・滝枕・喃喃・心掟・番い・邂逅・阿伽陀・揺蕩う・垂り雪・帰趨・遠近〜 
 あえかとは,はかない様。那由多とは10の72乗,夕轟は夕方に恋で心がときめくこと。終夜はよすがら,一曲はひとくねり,遠近はおちこち。洒洒落落は性格がさっぱりしていて,ものに拘らない様。浹洽は,しょうこうと読み,すみずみまで行き渡り,心が打ち解けること

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14/11/07
『天に星 地に花』:帚木蓬生(ははきぎ ほうせい):2014年8月10日:\1900:集英社:県立M高校図書館 
★★★★
 「人に慈愛」と続くのだが,途中で止めたのには意味があるのだろう
〜久留米御原郡井上村の大庄屋・高松孫市の次男に生まれた庄十郎は皆から可愛がられ,兄の甚八とは反りが合わない。農作業も荒仕子を手伝い,父が後学の為に呼び寄せた席には最後まで残った。享保13年,筑後川を渡った先の善導寺で気勢を上げる百姓達を見た。夏物成を十分の一から三分の一に引き上げるといった本庄奉行に撤回を求めるためだった。膨れあがった百姓衆が城下へ迫ると,若き家老・稲次が事態を収拾した。本庄は切腹を命じられ,十歳の嫡男も5年後の元服を待って切腹と決まった。藩主は隠居し,嫡男が跡を継いだが,江戸では算術大名として知られている。日照りの夏,大保村の雨乞いに子供では只ひとり庄十郎が参加した。吹上村から戻った庄十郎は熱を発し体中に水膨れができて,離れに隔離された。母の実家近くの高名な医師・小林鎮水の必死の看病で一命を取り留めたが,その前に世話をしてくれた荒仕子ののぶと母・菊は疱瘡で死亡した。鎮水自身も疱瘡を克服した者だったのだ。周囲は慰めてくれるものの,兄だけは怒りを直接ぶつけてくる。弟子を取らない鎮水に無理矢理弟子入りした庄十郎が出発する際,兄は二度と筑後川を越えてくるなと宣言する。享保十七年は雨が降り止まず,大飢饉が訪れ,城島町の診療所にも薬ではなく食料を求める患者が多くなる。多数の餓死者が出る中で,種籾まで徴収しようとする公儀に怒りが盛り上がるが,一揆になる元気もない。稲次によりその座に就いた藩主から家老職を解かれて横隈で蟄居させられていると聞く。さらに井上村の父からは容態が悪いと連絡を受け,鎮水と共に見舞うが,疱瘡の状態は悪い。必死の看病をするが,墨と筆を希望し手紙を書いて死亡するが,武士はつまらん・医者は人のためになるから良いと言った言葉が残った。妹の千代は,母の生家に嫁として迎えられ,武家から養子に迎えられた新大庄屋と仲は良く,子宝にも恵まれる。寛延二年,筑後川を渡った北野新町で廃業する医師に代わり,天神様の境内の診療所で開業した庄十郎は凌水と名を変え,村人の大歓迎を受ける。開業した凌水の診療所を訪問したのは,稲葉家老の生母と倅,持参したのは屋敷に掛けられていた「天に星 地に花 人に慈愛」の掛け軸だった。宝暦二年,藩主は江戸出府後に,8才以上の男女に銀札6匁を人別銭として納めろと布告した。凌水は領内で最後に納めることを決めるが,百姓達は黙っていない。大庄屋を継いだ兄は,公儀のやることに逆らわず,荒仕子達にも自分で納めさせる肚だ。新銀札のからくりに気づいた百姓は,怒りの矛先を,庄屋・大庄屋・大店に向け,城下に入る前に,打ち壊しの暴挙に出る。打ち壊しを展開しつつ城下に迫る百姓に人別銀撤回が告げられるが,庄屋も大庄屋も蟄居させられ,大庄屋5人に死罪が言い渡されるが,実際にはくじ引きで一人だけ打ち首となる。千代の夫は逃亡を決意し,庄十郎も兄に逃亡を勧めるが,兄は出頭し,くじ引きの結果で首を刎ねられ,見苦しいと晒し首にもなった。兄から手紙が届き,千代を引き取ってその息子が凌水の跡を取る〜 
 「はははぎ」というのは読めないだろうなぁ。改名は考えていないのだろうか? 1947年生まれで東大仏文を卒業後,九大で医学を学んで,精神科医になった。大学を一度卒業して医学部に入り直すというのは結構ありそう。学費が大変だろうに。ま,親のすねを囓ったのか,奨学金で何とかしたのか。医学部に入れる人には貸してくれるし,その気で働けば返すのも大変ではないだろうが,医者の仕事って大変そうだなぁ。あ,そうそう,良い物語でしたよ。確かに医者という仕事は負け戦が続いても偶の勝ち戦でやりがいが出てくるのでしょう

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14/11/04
『ワンダフル ストーリー』:犬:2014年10月21日:\1400:PHP研究所:県立M高校図書館 
★★★
 テーマ「犬」のアンソロジー
〜伊坂幸犬郎「イヌゲンソーゴ」最近越してきた男を見ると前世を見る犬たちは復讐を実行するが,男の持つ金属バットに太刀打ちできない:大崎梢「海に吠える」医療ミスの煽りを受けて銚子に飛ばされた父に付いてきて友達が出来たが,何かがあって来たんだと嫌がらせを云う女子,誰も信用できなくなった:木下半犬「バター好きヘミングウェイ」どうしようもない夫が拵えた借金返済のため,バター犬と3Pの動画を撮らせろという男,女は覚悟を決めたが:横関犬「パピーウォーカー」最近紹介した盲導犬の様子がおかしいと連絡があったが,音波発生器を取り付けたのは,パピーウォーカーの高校生の息子だった:貫井ドッグ郎「犬は見ていた」犬の視線を感じ,監視されているという友は新しいバクテリアを発見し,あのならず者国家に拉致されたのか〜 
 フリーライター兼 編集者の友清哲がHappy Boxに次いで出したWonderful Story。ドラえもんののび太君が慌てて「のび犬」と書いてしまったの見て着想した。銚子舞台は切なすぎて,犬の視線の着眼点は良いけど,一番気に入ったのは,バター好き

14/11/04
『あかんべえ』:宮部みゆき(みやべ):2014年9月8日:\920:PHP研究所:県立M高校図書館
★★★
 いや,結構手間取った・・・ページの厚みに苦しむ
〜海辺大工町にふね屋という料理屋を開いた太一郎と多恵の娘・おりんは,越してきて篤い病に罹り,三途の川を見て,水を舐めて帰ってきた。不思議な老人は,煙管を使いながら,まだ時期でないと云ってるのだ。太一郎は仕出しの高田屋の主人・七兵衛に育てられたが,七兵衛自身が身寄りを持たず,天麩羅屋に捕まって料理の世界に入ってきたが,料理屋を開くという夢は実子を持たなかったため,愛弟子に託された。最初の客は雑穀屋の隠居の古稀の祝い。おりんは幼馴染みと遊ぶ内,夢の中であかんべえをされた幼い女の子が出てきて,飴玉を喉に詰まらせ,隣の貧乏旗本で鮟鱇顔の長坂という侍に助けられた。宴たけなわの中,抜き身の刀が宙を舞い,出席者は大慌て,何事かと覗きに来た主人の太一郎も背中を切り裂かれた。おどろ髪という恐ろしい亡者の話は,玄之助という二枚目の侍が教えてくれ,梅の着物を着たのはお梅。揉み治療を施して,おりんをこの世に連れ戻したのは,笑い坊。艶な姿を見せるのは,おみつという。そもそも亡者が住み着いたのは,三十年前,向かいにあった興願寺の住職が何人もの人を殺し,挙げ句の果てに火を放ったのが原因だという。差配の孫兵衛に話を聞こうとしてもなかなか捕まえることができない。お化けの出る料理屋という評判が立ち,南新堀町の煙草問屋の浅田屋が,隣の畳表屋である白子屋から養子に嫁を取り,その嫁がひんぱんにお化けを見るというのが評判となり,白子屋の娘・お静もお化けを見ると打ち明けて,良かった仲が次第に崩れ,心霊を呼び出す力比べが行われることになった。浅田屋には黒を基調とした料理,白子屋には白を基調とした料理を出さなくてはならない。困り果てた太一郎は,七兵衛に紹介された陰気な島次という仕出し屋を使うことにした。その仕出し屋は,はやし屋というのだが,島次の兄の銀次が急な病で亡くなって,姉と甥達の面倒見に島次が声を挙げたが,最近は甥が育ち,邪魔者扱いをされている。献立は完成し,二組の客が訪れるが,その前には,白子屋のお静と名乗る女が下見とお祓いに訪れていた。そのお静は被り物を取らず,塩気が強くて,亡者の姿が見えないと文句を付けている。おどろ髪も現れたが,おいおい泣くばかりで騒ぎもしない。二組が諍いを起こす中,台所から上がってきた島次の人柄が豹変し,客に乱暴を働く始末だ。おりんは,島次に似た亡者を発見し,七兵衛の妻・おさきも随分前に,店で佇む亡霊を見ているという。島次は寝付いていて話は聞けず,差配の孫兵衛にも会えずに,差配に世話になっている勝次郎と出会うが,彼には同じ孤児の境遇からか,お梅の姿が見えるのだ。多恵は遂に寝込み,世話を焼いてくれるのは,手練れの奉公人であるおつたである。笑い坊は気の病だと診断する。先に来たお静が偽物で,白子屋の身代を狙う,妾腹の娘であることが判ったが,七兵衛の見立ては,このおゆうと島次が語らって,悪さを働いたのだという。おゆうは共謀していた情夫を殺した事が伝えられ,岡っ引きが番屋に連れて行く前に,ふね屋で関係者を集めて謎解きに取り組む。おゆうは誰彼となく悪態を吐くが,銀次の亡霊が見えて慌てだし,おどろ髪にも,こうなってはいけないと説得される。おみつの髪を振るしぐさで押さえつけられていた銀次の亡霊は,連れてきた元妻が毒を盛った告白を聞き,逆上するが,おどろ髪の説得でこうなりたくないと叫び,おどろ髪の手が添えられた刀で銀次を成仏させ,更におどろ髪自体も成仏させた。おどろ髪は,兄嫁を死に追いやり,興願寺の住職の人殺しの手先になっていたのだ。ふね屋での騒動が収まり,ふね屋の二階に叔父の姿を見つけた長坂と,おりんとおさきが差配の家に行くと,勝次郎は顔面に怪我を負い,差配の孫兵衛に怯えているようだ。機転を利かせた長坂は,手伝いに勝次郎を貸せと掛け合い,連れ出すことに成功したが,目に光のない孫兵衛がふね屋に乗り込んできた。お梅が現れ,孫兵衛の肩に乗って,目隠しをすると,お父が殺した人々と共にあの世へ旅立とうと連れ回し,寺の古井戸に飛び込み,かつて住職を斬った玄之助も,住職の情婦だったおみつも,揉み治療に自身があって殺された笑い坊も飛び込んだ古井戸は影も形もなくなっていた〜 
 2002年に単行本が刊行されていて,この度,目出度く文庫に。ちゃんと最後に始末するから,みやべさんは偉いね。三途の河原で会った爺は長年住職と戦い続けていた孫兵衛だったというオチね。調べたら,新潮社からも文庫本が出てるんだけど,何故今更PHPで?

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14/11/
 
★★
 
 
 

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最終更新日 : 2014.11.28

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