2014/08/22
期待してなかった分,良い〜

「ぼくの守る星」
〜神田茜〜

『ぼくの守る星』:神田茜(かんだ あかね):2014年3月10日:\1200:集英社:県立M高校図書館
 講談よりも小説家の方が向いているんじゃないか!
〜ぼく夏見翔は普段母と暮らしている中学生だが,人とちょっと違うのは字を読むのが苦手なこと。母がいうように,トム・クルーズのような才能があるとは思えない。字を読み違えて,笑われるが,受け狙いと思っている同級生もいるくらいだ。特に山上君は,組んで漫才をやろうといってくる。運動会では走るのは速いからリレーに選ばれたけど,前を走った中島まほりさんがバトンを拾い間違えてビリになり挽回はできなかった。借り物競走にも担ぎ出されて「赤いぼうし」というのが理解できず,蛙の一種かと中島さんに聞きに行ったら,母が被っているような帽子のことだった。和代は学者の父と家事に疲れた母の間に生まれ,新聞記者になったが,同僚と結婚して,翔に障がいが見つかって,主婦となった。悩みは父が死んで気が晴れた母にも相談できず,カイロに単身赴任している夫は役に立たない。級友をずっと見下してきたから打ち明けられないし。帰り道で30年前に盗まれた自転車を発見して,被害を訴えに交番に出向いたが,頭のおかしな女だと思われている。口に出したいことをメモ用紙に永遠と書き出すが,迎えに来たのは息子の翔。その背に負ぶわれて帰宅した。山上には生まれる前に死んだ姉がいたらしく,骨壺は今も家に有り,線香は毎日上げ,父が火葬場勤務だから,嫌なことも言われる。天然ぼけの夏見を誘って何とか3年生を送る会で漫才ができたが,夏見から識字障がいだと教えられ,自分も夏見に悩みを打ち明けられた。中島まほりは居酒屋に勤める母とアパートで暮らしいてるが,9歳の弟と父は北海道にいるのだ。弟の理生は聾者で,母は弟と心中を図って失敗し,父と弟は故郷で暮らしているのだ。春休み,父からチケットを送られ北海道に来たが,もう東京に帰りたくないと我が儘をいったらきっと父は母を一人にしておけないから東京に帰れというに違いない。そうしたら,北海道で自殺するんだ。大事な話があると父に言われ,北海道に残れと意外な言葉を聞いたもほりは東京の母には自分が必要なんだと思い直して帰る。夏見尚人はエジプトから帰り山登りを担当しているがさせられたようなもの。妻との関係もうまく行かず,父親らしいことをしようとしても失敗ばかり。富士山の見える小さな山に日帰りハイキングを計画するが肝心の翔は学校行事だ。仕方なく夫婦二人で出掛けると下見できなった最後の山では力を合わせざるをえなくなり,翔のために仲の良い夫婦を演じることが了解された。翔の高校進学希望はなかなか決まらない。父はロンドン赴任が決まり,母は翔も連れて行こうとし,逆らう理由もない。山上は母が妊娠して,気持ち悪いと言い始めるが,僕がちょっと喋るとその考えもすっきり変わるようだ。ある日帰ろうとすると刃物を持った不審者がいて集団下校となった。捕まったのは女で,女子の噂では中島まほりの母だという。小声で喋るまほりは,母の元に父から東京に帰って一緒に暮らしたいという手紙が来て,混乱したのだと言う。その晩,まほりをアパートに訪ねた翔は,まほりをハグし体温を確認し,この人を守るためにもロンドンに行かず,東京に残るんだと決心した〜
 うまくできたお話でした。課題図書にしても良いくらいのものだよね。来年の中学生向けの課題図書になるかも。よくできたハッピーエンドで,障がいを持っている人にしたら,ちょっとハッピーすぎると文句言われるかも知れないけど,明るくない今の世に明るい展望を持つのは必要だよね

8月の記録にジャンプ

読書記録の目次に戻る

最終更新日 : 2014.08.22

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送