2013/12/05
なるほど〜

「ようこそ,わが家へ」
〜池井戸潤〜

『ようこそ,わが家へ』:池井戸潤(いけいど じゅん):2013年7月10日:\695:小学館:県立M高校図書館
 銀行からの出向者がストーカー被害に遭い,社内の不正に気づいていく
〜青葉銀行からナカノ電子の総務部長に出向している倉田太一は銀行のピラミッドから滑り落ちた口で,真面目だけが取り柄。駅のホームで順番を守らない男を注意して,逆恨みに遭い,家まで突き止められて,家の様子を窺い,花壇を荒らされ,虐待した仔猫をポストに押し込まれた。防犯カメラを息子の健太に勧められて付けると,帽子にサングラスという出で立ちで車を傷つけ,タイヤをパンクさせた男が映っていた。一方,勤務先では,部屋を同じくしている営業部長の振る舞いが,部下の摂子の報告によって気になりかけている。在庫調査をするとあるべき筈の2千万のドリルが見当たらず,問うた翌日には廃棄すべきがらくたのドリルが置かれている。配送ミスだと新しいドリルは届いたが,営業部長の真瀬は出張費も二重取りしているらしい。社長に訴えても,営業部長を信頼している社長に鼻であしらわれる。自宅の引き出しにある生活費の入った封筒から5万円が抜かれていて,盗聴器が仕掛けられているとの疑いは現実であり,しかも妻が通うレザークラフトの教室から贈られた置き時計にも盗聴器は仕掛けられていた。置き時計はどうやら教室主催者が生徒の一人に依頼して贈らせたらしい。タクシー運転手の証言から,不審者が武蔵小杉で降りたと聞き,娘の七菜も加わって張り込んだが,暗がりで目撃した男をホテルの窓越しに発見したが,駅で見失ってしまった。2千万のドリルの売り先はイーグル精密という小さな会社だが,銀行からは不渡りを掴まされるかも知れない警告が届く。営業部長も社長もリスクを避けては中小企業は立ち行かないと云われれば黙るしかないのが銀行からの出向者の宿命だ。8月下旬,軽井沢に夏の旅行に家族で行く計画を一日早めた形で盗聴させ,待ち伏せするのが倉田家の報復作戦だった。案の定,裏口をピッキングしようとしている場面を挟み撃ちで捕らえようとしたが,逆襲されて,健太は左胸を刺された。致命傷には至らず,検問で捕まった犯人は,健太がアルバイトで構成台本を書いているプロダクションに出入りしているプロの構成作家であった。健太から聞かされた犯人像に自分を似せて,犯行に及んだものだが,仕事を盗られた腹いせであり,最初の事件とは無関係であった。イーグル精密は案の定,不渡りを出したが,社長は雲隠れ,倉田の指摘が正しかったことを真瀬も認めて謝罪したが,資金は回収できない。一枚の配送伝票から,送料が10万円と高額になっているのを怪しんだ倉田は,業者から配送先を聞かされ,新潟に問い合わせると,ナカノ電子ともイーグル精密とも取引はなく,真瀬が昔世話になった相模ドリルから仕入れたと言われ,真瀬が会社を立ち上げ潰した時に3千万を融通していくれた相模ドリルに恩返しの2千万の融資を,架空取引でナカノ電子から引き出したことが判明した。倉田は一度,銀行に戻ることが内定し,代々木駅で最初にトラブルのあった男を見つけてバッグを掴み,引き留めて話をしようとしたが,腹を蹴られた挙げ句に,深夜にポストと門にペンキを吹きかけられた。防犯カメラに記録された映像には,ブランド・バッグが映っており,ショップを当たって,クレジットカードの決済記録から犯人が浮かび上がる〜
 あとがきには,雑誌に連載されたものが文庫化される時に加筆訂正されたと書いてあり,絶妙なタイミングでドラマが放送されるとも書いてある。まあ,半沢直樹シリーズのちょいと気の弱い男バージョンだね。主人公が子ども時代を思い出すのも同じ。ちょっとパンチに欠けるのも当然

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最終更新日 : 2013.12.05

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