2013/11/01
これを読んで宮崎がアニメを作った?〜

「永遠のゼロ」
〜百田尚樹〜

『永遠のゼロ』:百田尚樹(ひゃくた なおき):2009年7月15日:\876:講談社:県立M高校図書館
 太田出版の単行本を講談社が文庫化
〜大学を出て3年目の僕は,4歳上の姉から,特攻隊員であった祖父の話を証言を集めてみないかと誘われた。もう一人の祖父が永年勤めた弁護士になる夢を諦め掛けているところだ。僕らの母の父親は特攻隊員として戦死し,優しい弁護士の祖父とは戦後に結婚したのだった。戦後60年を記念して特集を組む新聞と協力して本になるかも知れないとライターの姉は言うのだ。退屈しのぎに引き受けると,戦友会を通じて紹介された元海軍少尉の長谷川は,宮部久蔵は海軍第一航空隊一の臆病者だったという。松山に訪ねた元中尉・伊藤寛次は,真珠湾からミッドウェーまで一緒に戦った仲間で,勇敢ではなかったが,優秀なパイロットだったという。新聞社に勤める姉の交際相手の高山は特攻隊員をテロリストだと言うが,違うような気がしてならない。都内の病院に入院中の飛行兵曹長・井関源次郎は宮部の列機で,死んではならないと繰り返し伝えられ,ラバウルからガダルカナルまで何往復もして今こうして生きていられるのだと,感謝の気持ちを明らかにした。ラバウルの整備兵・永井清孝は飛行機の調子を一発で見抜く繊細さを持っていたと証言し,復員してから必死で働いたのは宮部のお陰だという。高級老人ホームで上海時代以来の思い出を語るのは元中尉・谷川正夫だ。短い帰郷で結婚したのは宮部の影響もあり,妻と子に会うまでは死ねないと言う言葉に真実を見たと語る。特攻を志願するように命令され,唯一逆らった宮部が神風で死んだのは信じられないとも言う。元海軍少尉・岡田昌男は千葉県議を4期務めたという。学徒出陣で飛行予備学生になり,兵卒上がりの特務士官とは微妙な関係だったが,宮部は学生の飛行技術が上がるのを嬉しくなさそうにしていて,教練の時に敵機に気が付くのが遅れて,撃墜されそうになり,訓練中に死亡した学生の名誉を守ったことに意気を感じた非武装の練習機が飛び込んで救われた記憶を鮮明に語る。元中尉・武田貴則が同席しようとした高山を追い返したのは当然のことに思われた。特攻の話はしないと言いながら,特攻要員のまま終わった武田は戦後に激しい毀誉褒貶に曝されたという。直掩隊であった武田は,宮部を殺したのは海軍だと言い放つ。元海軍上等飛行兵曹の景浦介山は,宮部にライバル心を燃やしたが,実力適わず,特攻に出ていく宮部を見送り,内地で戦ったが,戦後の荒れた暮らしからヤクザになった人物だ。鹿野基地の旅館の主人は元通信兵で,特攻隊員の最後のモールス信号を聞いていた大西保彦は,飛び立つ前に急遽,新型の零戦から旧型の零戦に乗り換えたのだという。その士官はエンジンの不調で喜界島に緊急着陸した祖母の二度目の夫,僕らのおじいちゃんだった〜
 百田尚樹の処女作。彼は1956年生まれだから同年代。少年漫画で読んで心を躍らせたのは,紫電改のタカだった。千葉しげるが書いていたんだよね。その他にも戦争物はあった。昭和30年代,戦争は知らないが,そう昔の話でもなかったんだよな。軍国主義でも戦争賛美でもないし,戦争忌避でもない。そんな時代だった。今の子どもが読むとどう感じるのだろう。敷島の大和心を人とはば朝日ににほふ山桜花。巧く時代を追うように証言が出てくるのが不自然だねえ。しかも,振り出しに戻ったりして。まあ,泣かされたし,上手すぎるくらい上手に書かれている。口惜しい。同志社大を中退して放送作家の道を歩んで今はベストセラー,色んな人生がある

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最終更新日 : 2013.11.01

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