2013/11
〜11月に読んだ本〜

永遠のゼロ ☆☆☆☆☆ マボロシの鳥 東大のディープな世界史 はるひのの,はる ☆☆
夜の国のクーパー ☆☆☆ 月魚 ☆☆☆ 午前3時の眠り姫 ☆☆☆ 思い出のとき 修理します2 ☆☆
未決 ☆☆☆ 螢草 ☆☆☆☆☆ 乙女なげやり ☆☆ 住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち ☆☆☆

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

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13/11/29
『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』:川口マーン恵美(かわぐち えみ):2013年8月20日:\838:講談社:県立M高校図書館
★★★
 共感を呼ぶのは一部
〜日本にとっての尖閣は,ドイツのアルザスだ(?)ドイツでフクシマは有名になったが,ドイツ人の内心はパニックになっていて,急に脱原発を決定したが,電力不足になることを忘れてドキドキ。ドイツ人は決められた時間以上に働くことを異常に嫌がり,時間内はがむしゃらに働き,燃え尽き症候群も増えている。有給を有効に使おうと必死になって,まるまる流行に費やして,終わると大抵は草臥れ果てている。ドイツ人は自分で自分の首を絞めているところが多い。EUからの労働者の受け入れで単純労働は外国人に占められ,失業して生活保護を受けていても,ゴミ収集や工事肉体労働,農場の季節労働はしない。ギムナジウム卒にはアビドゥーアを取らねばならず,大学に入っても,企業でのインターンなどで,本業は等閑にされる。そもそも小学校5年で人生が決まり,その間の教教師との心の触れ合いもなくて,希望に満ちている日本の義務教育の圧勝だ。乗客が不便を感じても鉄道会社は責任を感じないし,店が18:30,土曜は14:00で閉まって,日曜祝日は開けてはならないという55年前の法律を改定もせずにいるのを不便を愛しているとしか思えない。ドイツは財政が破綻しかけている国から何故か憎まれているが,TPPの中で日本もそういう立場にならなかい心配だ〜
 1956年大阪生まれ,日芸ピアノを卒業して,シュトットガルト国立音大修了,拓大客員教授,3児の母,夫はドイツ人?で作家。共感できるのは生まれた年までで,タイトルと中身が乖離していて,題名で売ろうとしていることが見え見え。尖閣に行ってきたり,日本とドイツを往復して,よく対比してモノを見ているとは思うけど,何だか友達にはなれそうにない人

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13/11/26
『乙女なげやり』:三浦しをん(みうら):2008年9月1日:\520:新潮社:県立M高校図書館
★★
 2004年太田出版から出たエッセイを新潮社が文庫化
〜当時,彼女は大学生の弟がいて,実家に暮らし,出掛ける用がなければ3日も風呂に入らず,ぶくぶく太って豚と呼ばれていた。弟はBLの世界にいると思いこむ〜
 彼女については,エッセイは読まない方が我が身のためのような気がする

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13/11/22
『螢草』:葉室麟(はむろ りん):2012年12月23日:\1500:双葉社:県立M高校図書館
★★★★★
 今月読んだ本でピカイチで,いやあ泣かされた(ドライアイのせいかもしれないが)
〜菜々は村の叔父宅から城下の風早家に女中奉公に出た。25歳の主人市之進は家族と女中と共に食事を摂る家族思いの男で,奥方の佐知は優しく子ども思いで,菜々の憧れだ。奉公を始めたのは,叔父嫁が煩いことや,従妹との結婚を考えている宗太郎が煩わしいこともあるが,城勤めの父が刃傷に及んで切腹させられた張本人の轟平九郎を捜し出し,仇を討つことが希望だったからだ。正助ととよも可愛く,良い家に奉公したと喜んでいるが,気懸かりは奥方が死んだ母と同じような嫌な咳をしているからだ。半知借上で家計は楽でなく,野菜を貰いに村に一月に一度行くことを許された帰り道,小汚い浪人の行き倒れに出会い,思わず団子20皿を奢ることになってしまった。浪人の名は壇浦五兵衛というが,菜々の頭にはだんご兵衛と焼き付かれた。ある日,村からの帰り道で,鏑木藩の剣術指南に納まっただんご兵衛を訪ね,団子の礼に月に一度の剣術指南を願って渋々引き受けさせたが,主家に帰ると,若侍の桂木仙之助が門前にいて,狂犬が出て注意をしなければならないのに,子ども達が遊びに出掛けて帰って来ないのを病気をおして佐知は探しに行ったという。雨が降る中,母子を狙っている犬を見つけ,だんご兵衛の突きの心得を思い出した菜々は,傘を突き出して,犬を倒したが,雨に濡れて佐知の病状は重くなった。市之進は家宝の茶碗を質草に十五両を借り受けて来て欲しいと菜々に願う。質店は元芸者の舟という後家が切り盛りしているが,茶碗を丁寧に畳みに置く仕草を見て一芝居打ち,髑髏の半纏を着た女主人をおほねさんと記憶した。人参の効果もなく,子どもの世話を菜々に託して,佐知は労咳で亡くなり,号泣した。藩政を改革したい風早市之進の家には,改革派の武士が集まってきたが,隠居した大殿が出入り商人の日向屋と結託して資金を得て政を壟断しているらしい。それを手引きした江戸詰めの轟がお国入りをした。悪を除こうとする若侍は数を恃んで平九郎を暗殺しようとするが,傷を負わされて敗れ去った。改革派の柚木弥左衛門が市之進を訪れ,罠を仕掛けてくると忠告を受け,市之進は菜々を呼び,江戸に送られたら家宝の茶碗を持ち出して暮らしを立てうことと,菜々の父が大殿の不正を証す書面を捜し出して欲しいと願った。心配は現実のものとなり,門は閉じられ,平九郎が乗り出してきて書面を捜すが,女中が大したものを持つはずがないと見逃された。質屋を頼ると,隠居所の荒れ屋を借りることができ,大八車も借り受けて,従兄の宗太郎が運んでくれる野菜を商うことで生計を立て,裏に住む椎上(死に神)という儒者に子どもらの手習いを頼み,正助には自分に代わってだんご兵衛の剣術指南を受けさせた。母の遺した金と共に赤村から運び出した父の遺品の中に駱駝の絵を見つけた。商いが巧く回り始め,地回りのヤクザに場所代を払えと脅されるが,見よう見まねが得意な菜々は子分達を返り討ちにしたが,涌田の権蔵という大男の親分には木刀をへし折られてしまった。とよが小石を投げつけると,ラクダの親分は大袈裟にひっくり返って退散し,翌日は詫びだと言って,あばら屋の修理をしてくれる。江戸に送られて詮議を受ける市之進を峠まで見送り,菜々は佐知に教えられた螢草を月草と呼ぶ和歌を大声で読み上げ,こどもをしっかり世話することを暗に伝えたが,結果,市之進は死罪にはならず,北国に流刑となった。桂木仙之助が菜々を訪れ,無実を証明する書面が見つかったら教えて欲しいと云ってきたため,父の遺した和歌の本の父の書き込みの解読を死に神先生に頼むと,本を開かないから解らないのだ説教をされ,めくると他と違い暑い箇所がある。貼り合わせて書面を隠していたのだった。その事を野菜売りの最中に仙之助に話すと,仙之助は平九郎に脅されて動いていることを恥じ,預かれないと言う。その夜,血まみれの仙之助がやってきて,平九郎がやってくるので直ぐ逃げろと告げるが,時既に遅く,助っ人・権蔵も斥けられ,子どもを殺すと菜々は脅されて,米櫃に隠した書面を差し出して焼かれてしまった。約束を反故にして,皆殺しにしようとする平九郎の前に現れたのはだんご兵衛。小娘に何もできないと踏んだ平九郎は,分が悪いと引き揚げた。殿様が国入りする時に武芸大会が開かれると聞いた菜々は,審判を務めるだんご兵衛に,殿様の前での敵討ちを願ってくれないか,一太刀を避ける方法の伝授も願う。自分が殺した武士の娘だと判った平九郎は立会に同意し,御前試合が真剣で行われる。手練れの手は見えないと考えた菜々は目を瞑って対峙するが,平九郎は後ろに回って首筋を狙っていた。とよが自分を呼ぶ声を聞いた気がして目を開けた菜々は眼前にいない相手の気配を後に感じて跳び,刃筋をかわして,父の脇差しを鞘に収め,主君の前に走り出て,書面を差し出し,吟味を願った。柚木の取りなしで,書面を見た殿は,菜々の身柄の安全を保障し,市之進を呼び戻す算段を始める。閉じられていた門は開けられ,正助ととよは,市之進の叔父夫婦に迎えられたが,帰国する市之進には家老の娘との縁談があると,菜々が家に入るのを許さない。宗太郎は村に帰ってこいと誘うが,野菜と草鞋を辻で商う菜々に良い品と藁を届けてくれる。大八車が軽くなるのを感じた菜々は,正助ととよが,自分を母上と呼ぶのを聞く〜
 いやぁ,いい話だわぁ・・・。今月の一番だな。地味な装幀で,露草に似た絵が書いてるが,ホタルグサっていうのかぁと思っていたが,螢草・月草は露草の別名だった。あんまり派手な装幀は似合わないけど,何か工夫はないのかと出版社の姿勢を疑ってしまう

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13/11/21
『未決』:佐伯康英(さえき やすひで):2013年10月20日:\600:光文社:駅前学習プラザ
★★★
 吉原裏同心19
〜老舗妓楼で人気の女郎が客と心中したが,神守と番方は殺しと判断し,畳の下から証文3通を発見した。この女の父を思わせる男からの起請文だ。二つは堅い商売の油問屋と勘定奉行の物だが,もう一つは知れない。出入りしてた按摩は殺されており,深川で入れ替わりを黙認した岡っ引きも殺された。陰供を連れている城内の頭は,馴染み客から広敷番之頭・古坂玄堪と知れ,正面突破を図ったが,はぐらされるばかりで,帰り道を襲われると判断した神守と番方は屋敷で夜を明かした。一方の四郎兵衛は勘定奉行が正直に白状して起請文を渡した後に奉行所に呼び出され,3通目の起請文は盗まれ,未決のままに事件は終わった。小火騒ぎのどさくさ紛れに,禿6人が伊勢への陰参りに抜け出したと聞き及び,訝しんで騒いだ男を捜した結果,菓子屋に出入りして,女郎たちの会に顔を出していた使い走りが浮かび上がり,惨殺体を発見する。趣味は闘鶏だと聞いて隅田村の胴元を訪ねると,しょうげんの殿様といわれる旗本が,幼い娘を趣味とすることが分かった。手引きをしたのは会所を牛耳る四郎兵衛に敵愾心を燃やす,茶屋の主人であった。下谷の屋敷に乗り込んで,闘鶏の刃で旗本と居合いの女達人を倒し,浅草裏山では,読売で広敷番之頭の殺し屋たちをおびき寄せて,打ち倒して溜飲を下げるのであった〜
 神守は仕返しをされないのだろうか。まあ,されないだろうな。大きな力が働いて探索が中止されるのは本当に嫌だろう,お察しします

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13/11/18
『思い出のとき 修理します2明日を動かす歯車』:谷瑞恵(たに みずえ):2013年9月25日:\580:集英社:県立M高校図書館
★★
 オカルト風に進むのか,迷いが見られる
〜美容室由井で生活をする明里を訪ねてきた若い女性は異父妹の香奈。帰ってこないので喫茶店で時間を潰していると,老齢の女性が親しくしていない異父姉から形見として貰った古い時計の預かり証を押しつけられた。明里は古いスイス製の機械時計で,修次の祖父が預かったのは10年前で,金庫に保管してある一千万はするものだと知っていた。名前も分からない女性を捜す内に,老婦も津雲神社の分社で,姉との貴重な思い出を記憶の彼方から掘り起こしていた。果物店を営む若奥さんが家出した。家出するきっかけになったグランベリーのトールペイントが施された置き時計が飯田時計店に持ち込まれたが,明里は奥さんが近くにいることを知るだけでなく,時々顔を合わせてもいたのだ。奥さんは医者になった幼馴染みに駆け落ちを持ちかけられて裏切られ,同じ幼馴染みの果物店の男と結婚したのだが,二人して,医師となった男に負い目を持っているのだった。その男はブラジルで大怪我をして寝たきりの筈なのに,市立病院の病室にはその名のプレートが掲げられている。明里の中学の先輩が酔っぱらった明里を介抱しつつ送ってきたついでに,石となったクロノグラフを動かしてくれと依頼してくる。時計の化石化と思われるほど精巧な造りだが,その時計は,壊れた自転車をライバルに貸した陸上をやっていた先輩が河原に投げた物だった。中学生が河原に時計を投げるのを見た石屋が拾って換金したのだが,母が亡くなって後悔し始め,自分の金で買った物だった。河原で雷に打たれて記憶を失った二人の女性は,母娘でなく,商店街のチラシ作りをしていて手伝いだと近所に紹介していた印刷所の後妻だった〜
 太一は神様の眷属か

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13/11/17
『真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫』:大沼紀子(おおぬま のりこ):2013年10月5日:\640:ポプラ社:県立M高校図書館
★★★
 シリーズ第4作
〜ブランジェリー・クレバヤシに居候を始めてから1年が経過した。暮林が期間未定の謎の休暇を取り,斑目とソフィアが店を手伝っているが,希実の母,律子を尋ねて来たのは広島にいるはずの従姉妹の沙耶で,恋人だという30男の安田を伴って,律子の行方を捜し出せと要求してきた。広島の元カレに復縁を迫られ,命の危険を感じて,東京に出てきたのだという。安田とは,旅行中にヤンキーに絡まれている時に,沙耶が木刀で追っ払ったのだという。律子の顧客を訪ねて行方を探るが見つからない。納涼祭では,久し振りに外に出た沙耶の体型から,ニューハーフによって妊娠していることが発覚する。本当の恋人は,継母が美容関係の会社を切り盛りしている村上という18歳の少年で,安田はソフィアを騙して金を盗ろうとしている昔馴染みを張り込んで捜査している捜査二課の刑事だった。神社で安産祈願をする希実と沙耶を元カレが襲ってきて,希実は神社の石段を転がり落ちて意識を失った。走馬燈の様に昔の事を思い出す希実は,暮林の姿を見つけて仰天するが,美和子と過ごした日々を鮮明に甦らせると共に,入院している母・律子と会うように勧められ,承諾する。村上君は子供が作れない欠陥を抱えており,沙耶は想像妊娠だった〜
 想像妊娠って・・・,暮林の失踪は病気の律子に付き添うためだったって・・・。想像妊娠は話の流れとして不自然。次は午前4時かぁ。母の病気が郭公の託卵の真相かな?

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13/11/13
『月魚』:三浦しをん(みうら):2004年5月25日:\514:角川書店:県立M高校図書館
★★★
 「げつぎょ」と読ませる,古書業の裏側を描く,10年以上前の作品
〜瀬名垣太一は同業の老舗「無窮堂」を度々訪ね,若き店主太田真志喜につれなくされるが,お互いが必要としていることは承知している。今回は,M県から依頼があった旧家を訪問し,蔵書を買い取る商売に付き合わせる。ぼろぼろの軽トラで高速道路と山道を進むと,亡くなった80代の妻は30代,夫の子達が彼らの若さ故に難色を示し,町の古書店も呼んで競り合わせると,業界の掟破りを提案する。瀬名垣は承知し,演劇関係の雑誌や戯曲,文学書,郷土史をまとめて130万円と踏んだ。夕方やってきて町の古書店「黄塵庵」の店主は,無窮堂から姿を消した真貴志の父だった。十数年振りに再会した父は,瀬名垣をせどり屋と呼んで,敵意をむき出している。そもそも,無窮堂の初代と二代目が捨てる本として仕分けした山から太一は稀覯本を見つけ出し,くれとせがみ,初代は見つけ出せなかったことを悔やみながら渡したのだが,父はせどり屋の小倅に敗れて失踪したのだった。瀬名垣の父は,恐縮して,業界から身を引き,馴れない道路工事などの肉体労働で身体を壊して死亡した。若い未亡人は無窮堂を選んだ。高校時代も無窮堂に出入りしていた太一は,盆休みに真貴志の高校に本を届け,宿直の国語教師が真貴志をモデルに小説を書いていることを知り,プールを開放させ,夜は花火を学校から見物する手助けを強要した。本を愛する二人は,古書店から盗んだ本を他の古書店に売る男を見つけ,因果を含ませて解放したが,古書店には回状が送られる〜
 お前は出久根かって感じで,これじゃあ売れないなぁと最初の長編を読んで思い,若き日の想い出を語って,これこれと思い,文庫のための書き下ろしは印象も残らない

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13/11/13
『夜の国のクーパー』:伊坂幸太郎(いさか こうたろう):2012年5月30日:\1600:東京創元社:県立M高校図書館
★★★
 謎解きの詳しすぎる部分とあっさりしている部分があって
〜妻の不貞で家に居辛い僕は,部屋に籠もっての株取引の趣味とは別の,舟を借りての釣りに出掛け,大風に巻き込まれて気が付くと,平らな場所で胸に乗った猫と話していた。猫はトムと言い,彼らの国と世界を二分する隣の鉄国の兵士が乗り込んできて,王の冠人を銃で殺害し,人々を家に閉じこめ,圧政を敷いているという。彼の国で伝説のクーパーの兵士は現れず,猫と会話できる鼠が現れたが,クーパーの兵士を助けた光る石を求めて,町の外に出てきたのだという。石はもういいいので,大勢の鉄国の兵士を追っ払うのを手伝えと言う。トムは一足先に壁の下を潜り町に戻ったが,片目の兵長は王の息子・酸人と弦の決闘を目論んでいた。決着が着いたが,片目の兵長の実の姿は,毎年3名の兵士を引率してクーパーを倒しに出掛けていた複眼隊長であった〜
 大江健三郎の「同時代ゲーム」が下敷きにあるらしいが,それを読んだことがないので,何とも言えない。トム君の国の片目の兵長の謎解きは執拗でウンザリしたが,僕がガリバーの世界に紛れ込んだ謎解きはあっさりしすぎ。仙台・公務員・地域振興課・妻の不貞にインターネット株取引は何か関連があるのだろうか。いままでの作風とちょっと違うかなぁとも思ったが,よく考えると死に神が出てくるんだから,ガリバーの世界が広がっていても不思議ではない

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13/11/07
『はるひのの,はる』:加納朋子(かのう ともこ):2013年6月25日:\1500:幻冬舎:県立M高校図書館
★★
 シリーズものらしいけど,前の文庫本を読もうとは思わない
〜撲ユースケは幽霊がみえる。でも怖くはない。ある日,佐々良の河原で母が野草を摘んでいる時,同年代ぐらいの女の子に頼まれて芝居を打った。危険なおじさんがやってくるので,自分たちの父親が警官と消防士で間もなくやって来るというものだった。おじさんはぶつぶつ言いながら帰っていった。別の小さな女の子とそのお爺さんが救われたのだ。はるひと名乗った女の子は消える。また会ったのは小学校3年の事で,漫画家を誘って肝試しをしてくれという女性の願いを叶えることだった。漫画家は奥さんを妊娠中毒症で亡くして自棄になり,漫画の道を諦めたのだが,許の道に戻すために熱狂的なファンの入院中の男の子を使ったのだ。中学時代に頼まれたのは,薬を研究している男を取り憑いて殺すという若い女性の願いだったが,彼女の正体は拾われた猫で,奥さんが作ったネギ入りの人間用の食い物を食べて中毒したのだった。高校に入学すると目の前にハルヒがいたが,彼女は華という名で,病気のお母さんが入院していて,祖父母の家で生活していた。母に会わせない祖父母の裏を掻く計画を練る。高校入学後,死んだはずの鷹遣いの美鳥と養鶏場の息子で漫画家の甥である翼と仲良くなり,華も話の輪に加わった。不思議な夢を見る話から,虚実が入り交じった話題に繋がり,やはり華はハルヒではないかと皆で言うと,華は記憶がないのだという。華の母に病院に呼ばれ,エマの口から幽霊がみえることや過去に魂が旅することができるのだと告白される。エマが多少,山川が開発した薬で寿命が延び,翼と美鳥,ユースケと華は結婚する〜
 幽霊が見える少年ってのは余り好きなシチュエーションじゃない。加納さんの特殊事情とは何だろう?

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13/11/5
『東大のディープな世界史』:祝田秀全(いわいだ しゅうぜん):2013年6月21日:\1000:中経出版:東部台文化会館
 代々木ゼミナールの講師が東大の世界史の二次試験を褒めちぎる
〜〜
 持ち上げすぎだって。考えすぎだし

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13/11/03
『マボロシの鳥』:太田光(おおた ひかり):2010年10月30日:\1500:新潮社:東部台文化会館
 爆笑問題でお笑いに頑張って
〜荊の姫・タイムカプセル・人類諸君!・ネズミ・魔女・マボロシの鳥・冬の人形・奇跡の雪・地球発・・・〜
 書き方が揺れていて,悪酔いしちゃう。急いで読むべき価値はなかったので,惜しくもない。もう手を出さないで欲しいね。出しても良いけど宣伝しなければ良いかも

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13/11/01
『永遠のゼロ』:百田尚樹(ひゃくた なおき):2009年7月15日:\876:講談社:県立M高校図書館
★★★★★
 太田出版の単行本を講談社が文庫化
〜大学を出て3年目の僕は,4歳上の姉から,特攻隊員であった祖父の話を証言を集めてみないかと誘われた。もう一人の祖父が永年勤めた弁護士になる夢を諦め掛けているところだ。僕らの母の父親は特攻隊員として戦死し,優しい弁護士の祖父とは戦後に結婚したのだった。戦後60年を記念して特集を組む新聞と協力して本になるかも知れないとライターの姉は言うのだ。退屈しのぎに引き受けると,戦友会を通じて紹介された元海軍少尉の長谷川は,宮部久蔵は海軍第一航空隊一の臆病者だったという。松山に訪ねた元中尉・伊藤寛次は,真珠湾からミッドウェーまで一緒に戦った仲間で,勇敢ではなかったが,優秀なパイロットだったという。新聞社に勤める姉の交際相手の高山は特攻隊員をテロリストだと言うが,違うような気がしてならない。都内の病院に入院中の飛行兵曹長・井関源次郎は宮部の列機で,死んではならないと繰り返し伝えられ,ラバウルからガダルカナルまで何往復もして今こうして生きていられるのだと,感謝の気持ちを明らかにした。ラバウルの整備兵・永井清孝は飛行機の調子を一発で見抜く繊細さを持っていたと証言し,復員してから必死で働いたのは宮部のお陰だという。高級老人ホームで上海時代以来の思い出を語るのは元中尉・谷川正夫だ。短い帰郷で結婚したのは宮部の影響もあり,妻と子に会うまでは死ねないと言う言葉に真実を見たと語る。特攻を志願するように命令され,唯一逆らった宮部が神風で死んだのは信じられないとも言う。元海軍少尉・岡田昌男は千葉県議を4期務めたという。学徒出陣で飛行予備学生になり,兵卒上がりの特務士官とは微妙な関係だったが,宮部は学生の飛行技術が上がるのを嬉しくなさそうにしていて,教練の時に敵機に気が付くのが遅れて,撃墜されそうになり,訓練中に死亡した学生の名誉を守ったことに意気を感じた非武装の練習機が飛び込んで救われた記憶を鮮明に語る。元中尉・武田貴則が同席しようとした高山を追い返したのは当然のことに思われた。特攻の話はしないと言いながら,特攻要員のまま終わった武田は戦後に激しい毀誉褒貶に曝されたという。直掩隊であった武田は,宮部を殺したのは海軍だと言い放つ。元海軍上等飛行兵曹の景浦介山は,宮部にライバル心を燃やしたが,実力適わず,特攻に出ていく宮部を見送り,内地で戦ったが,戦後の荒れた暮らしからヤクザになった人物だ。鹿野基地の旅館の主人は元通信兵で,特攻隊員の最後のモールス信号を聞いていた大西保彦は,飛び立つ前に急遽,新型の零戦から旧型の零戦に乗り換えたのだという。その士官はエンジンの不調で喜界島に緊急着陸した祖母の二度目の夫,僕らのおじいちゃんだった〜
 百田尚樹の処女作。彼は1956年生まれだから同年代。少年漫画で読んで心を躍らせたのは,紫電改のタカだった。千葉しげるが書いていたんだよね。その他にも戦争物はあった。昭和30年代,戦争は知らないが,そう昔の話でもなかったんだよな。軍国主義でも戦争賛美でもないし,戦争忌避でもない。そんな時代だった。今の子どもが読むとどう感じるのだろう。敷島の大和心を人とはば朝日ににほふ山桜花。巧く時代を追うように証言が出てくるのが不自然だねえ。しかも,振り出しに戻ったりして。まあ,泣かされたし,上手すぎるくらい上手に書かれている。口惜しい。同志社大を中退して放送作家の道を歩んで今はベストセラー,色んな人生がある

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13/11/
 
★★
 
 
 

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最終更新日 : 2013.11.30

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