2013/09/11
ほのぼのは良いけど〜

「晴れた日は図書館にいこう」
〜緑川聖司〜

『晴れた日は図書館にいこう』:緑川聖司(みどりかわ せいじ):20137年7月5日:\580:ポプラ社:県立M高校図書館
 ほのぼのしすぎの感がある
〜小学校5年の茅野しおりは,両親が幼い頃に離婚しているため,編集者の母と地方小都市に暮らしている。母が不在の時は従姉が司書として勤める図書館で過ごすの好きだ。ある日も児童書を手にしていると,一人で来ている幼い女の子に「私の本,カナの本」と言われて戸惑う。作家の母親が入院し,祖父母が可哀想だと真実を告げなかったので,カナは母が度々訪れていた図書館に捜しに来て,母が娘の名を混じらせた,著作のかな入りタイトルを幼い娘は憶えていたのだった。同級生の男子・安川君から,60年以上延滞している本を返すと罰金は幾らか聞かれ,司書の美弥子に訊ねると,罰金はないと言う。祖父が借りて疎開の為に越して返せなくなったチェーホフの初恋を返しに来たのは祖父の亡くなった後だった。同級生の茜ちゃんが「名もない花はない」と教えてくれて,母に話すと有名な話らしい。図書館の返却ポストが使えなくなったのは,悪戯で水浸しになったからだという。茜が持っていた「本の名前」を手に取ると,中のページが濡れて汚れていた。安川君は,水辺に落としたのを誤魔化すために,幼馴染みの竹沢君が工作したのだと見破った。児童書が次々に不明本になる。同じイラストレーターが装画を手掛けていることに気が付き,そのキャラクターをポスターに使用すると,名乗り出てきたのは小3の男子。ファンタジーを借りるのを同級生に見られるのは嫌だと,無断で持ち出していたのだが,美弥子にその作家が男だと告げられて,図書館祭りのポスターを描くことで協力してくれた。楽しみにしていた祭に騒いでいる子を注意しない母親に腹を立てると,それを褒めてくれたのは中年の男性だった。その男は土地の出身の作家として講演し,しおりは自分の父親だと直感を働かせていた。美弥子は雨の中で図書館から借りた本を声を出して読む女性の真意を小5の同級生の男の子と共につきとめる〜
 2003年10月に小峰書店から出た単行本に最後の短編を加えて文庫化。その短編だけ語り手を替えてアクセントをつけた。世の中,こんなに穏やかだった平和で良いけど,離婚問題だけは取り上げて,現代らしい陰を与えている

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最終更新日 : 2013.09.12

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