2013/08/15
表紙の絵はサン・ジュストとエベール〜

「小説フランス革命]T 徳の政治」
〜佐藤賢一〜

『小説フランス革命]T 徳の政治』:佐藤賢一(さとう けんいち):2013年6月30日:\1700:集英社:県立M高校図書館
 語り手が次々と退場
〜エベールとその仲間が増長している。デムーランはこれを抑えるために,コンドリエ街の古株で攻撃に出ると,デシューヌ親爺の売れ行きも鈍った。公安委員会を牛耳るロベスピエールは友達だが,その取り巻きのサン・ジュストは若造にしか思えず,苦々しい。ジャコバンクラブ追放が決議されても,ロベスピエールが取りなして取り消された。公安委員会がエベール派訴追を国民公会に提案して,ホッとするものの,ダントンは左が排除されたら,寛大派と称している我々も排除されるに違いないと言う。エベールは旗色が悪いと食糧問題で市民を動員しようとするが,人は集まらず,蜂起は失敗する。エベールも直感に危ういと告げられていたが,元女優に言い寄って成就の暁にはと決意するが,もう再起はあり得ない。革命裁判所でも抗弁も糞ったれ口調も出なかった。エベール派の粛正から,ダントンはロベスピエールと会談を持ったが,デュプレシ邸を訪れたデムーランは拒否される。デムーランがダントンに詰め寄ると,ダントンは引退してシャンパーニュに引き払うと言うが,デムーランにとっては,仲間を見捨てるダントンのやりかたに納得はできず,詰ってしまう。処刑から10日後,ダントン派は国民公会での告発なしで逮捕される。リュクサンブール監獄に集まった仲間を前に,ダントンはロベスピエールを救う戦いを始めるというのだ。裁判でもダントンは審理を中断しても,告発への反論,弁明を行い,訴追検事も判事も斥けるが,サン・ジュストは公判秩序維持の新法を成立させ,ダントンの口を封じる。有罪とする,死刑とする証拠がないことで躊躇する陪審員の前にロベスピエールが現れ,決断を哀願する。デムーランの妻は金を配ってサンキュロットを法廷に動員するが,それが脱獄を企てている元将軍らの蜂起の証拠とされ,デムーランも妻のリシュルも窮地に追い込まれる。リシュルを前にロベスピエールはカミューユと別れ,自分と結婚すべきだと愛を告白するが,リシュルは革命と結婚する気はないと断固拒否する。デムーランは妻も逮捕され,息子は孤児になると悲観するが,ダントンはロベスピエールの家の前で,お前も連れて行くと大声を出した。処刑人がルイ16世以来,二度目に掲げたのはダントンの首だった〜
 ああ・・・あと一冊で完結だ。仮の題は革命の終焉。それしかないだろう。最初からの語り部だったデムーランが死んでしまって,途中から加わった汚い口調のエベールも処刑され,今やサン・ジュストとロベスピエールだ。彼らも消える運命。最後の語り手になるのは誰だろう。佐藤さんの偉いところは,人物の心情設定を細かくやっている処だと本当に感心する

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最終更新日 : 2013.08.15

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