2013/8
〜8月に読んだ本〜

千葉県立海中高校 ☆☆☆ あとかた ☆☆☆ ひきこもりはなぜ「治る」のか? ☆☆ たぶんねこ ☆☆☆
神様が殺してくれる ☆☆☆☆ 小説フランス革命]T 徳の政治 ☆☆☆☆☆ 泣き童子 ☆☆☆☆ 楽園の蝶 ☆☆☆☆

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

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13/08/21
『楽園の蝶』:柳広司(やなぎ こうじ):2013年6月20日:\1500:講談社:県立M高校図書館
★★★★
 軽さと重さが丁度良い感じ
〜栄一は京都の旧家に生まれ慶應義塾時代にコミュニズムに触れて特高警察で転向を迫られ退学処分になったが,京都時代に映画制作現場で遊んでいたことから,満州映画協会に職を求めた。降り立った新京から真っ直ぐに会社に向かったが,出迎えた甘粕理事長は15分の遅刻を咎め,無能なら首にすると脅しただけでなく,手を入れたポケットの中で拳銃を握っていた。面接が5分で終わり,机の引き出しから出てきたのは白ネズミ。桐谷監督にシナリオを持って見せに行くが,秘書風の若い女性は1週間以内に書き直してこいと命じる。本名は咲恵だが,ドイツで映画を学び,サカエという名で監督をしている28歳だ。中国映画といったら,李香蘭と長谷川一夫のメロドラマ。満州人の為の映画を作ろうとしても,日本人のセンスで描く中国人は偽物と映るらしい。同じくシナリオを書いている陳雲は桐谷監督に心酔しているが,お化け映画を撮ってから,スタジオで怪異が続いているという。近づいてきた人が突然消えたり,セットが倒れたり,夜は赤いランプを持ったお化けが徘徊しているという。赤いランプを持ったお化けの正体を突きとめると,フィルム倉庫の番人・渡口老人であった。渡口老人にとって理事長の甘粕は恩人であり,永遠の仇であるという。周囲に聞くと,理事長の映画に賭ける情熱を皆評価しているが,憲兵大尉時代の彼は,関東大地震の際に,無政府主義者の大杉栄と妻と6歳の甥を殺して,懲役10年の刑を受けていたのだ。深夜の撮影所に突然緊張が走ったのは,関東軍防疫給水部の突然のペスト対策訓練が行われた時だった。新京の昼は関東軍,夜は甘粕が支配しているとも言われている。731部隊の石井少将は甘粕理事長の留守を狙ったのか。メロドラマに駄目を出された栄一は桐谷から探偵ものを書けと命じられ,陳雲と偶々出てきた妹・桂花と共同でシナリオを書き始める。日本で流行っている怪人二十面相が叩き台だ。甘粕を黒い服装と面貌を隠した状態で見かけたことも関係している。更に,人攫いの噂も多い。子役のオーディションで,陳雲は途中退出し,泥酔した状態で連れ帰るのに栄一は苦労した。女性を主人公に映画の撮影が始まったが,ビルから飛び降りるシーンで安全網が落ち,ヒロインが軽い怪我を負った。桐谷の示唆で夜のスタジオの見張りを開始すると,どこからともなく音楽が聞こえる。柱に隠された秘密のドアから行き着いた先には,渡口老人が阿片を吸引しながら,ディズニー映画を視ていて,アナーキストの仲間の名を拷問で吐いたのは自分で,日本で獄死したことにして,甘粕が連れてきたのだという。スタジオにふらふらした状態で戻ると,陳雲が妹であるはずの桂花にもうこれ以上はできないと土下座しているが,その後に頭を殴られ,記憶は定かでない。翌日,子役が現れず,新京駅前の三角地帯に行こうとすると,731部隊が一帯を封鎖し,ペスト蔓延防止のために火を放つという。患者二人以外の避難させた名簿に陳桂花の名前はない。撮影所に戻ると,渡口老人が首を吊って自殺しており,無政府主義万歳の落書きは関東軍が書いたと噂が立った。子役が関東軍によって人質に取られたことを察した桐谷監督は,映画評論家を接待している筈の甘粕理事長に迫るが,落とした拳銃の引き金を引いたが,あいにく空砲であった。何もなかったことにすると甘粕は提案し,栄一は虚構の国の虚構の撮影所で,後に残る映画の撮影を決意する〜
 ジョーカーシリーズは重い,ぼっちゃんシリーズは軽い。こいつは程々の軽さと重さで良い感じだ。主人公がお気楽な癖に妙に頭がよく回る。彼クラスでもまだ1500円レベルなのは,積み上げた本の厚みが足りないせいか,年齢が若いせいか。どこまでが史実か分からないけど,調べるのは止めておこう。終わり方が唐突の感が強い。満州国の末路って,関東軍が武装解除したことで泡と消えたとしか知らないが,五族協和は夢幻,民間人は引き上げに汲々としていたんだよね。国籍法を作らなかった事こそ,満州独立国が日本の傀儡政権であった証となっているのだね

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13/08/19
『泣き童子』:宮部みゆき(みやべ みゆき):2013年6月30日:\1700:文藝春秋:県立M高校図書館
★★★★
 題字は京極夏彦で,挿画は木村桂子
〜若い娘が語る橋の上で転んでも誰かの手を借りてはいけない。大阪屋が語る山津波に襲われた集落で亡くした幼馴染み。差配が語る異変を察知し泣く子ども。小雪舞う日の怪談話の往復の橋の上での頼まれ事。東北の若い武士が語る人を食うばけものと退治の仕方。年増が放蕩の果てに分家に身を寄せて,節気毎に死人の顔に入れ替わる伯父の話〜
 この字はなかなか書けないよぉ。横が太くて縦が短い。絵も太い筆絵で素晴らしい。そして,怖くない怪談がよろしい。「まぐる笛」は今,朝日新聞で連載しているものと同じ題材だよね。こっちの舞台は陸奥らしいけど。イラストで印象はガラって変わるね。朝日の挿絵も現代風の明るさで良いんだけど。この本の勝ちだわ

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13/08/15
『小説フランス革命]T 徳の政治』:佐藤賢一(さとう けんいち):2013年6月30日:\1700:集英社:県立M高校図書館
★★★★★
 語り手が次々と退場 
〜エベールとその仲間が増長している。デムーランはこれを抑えるために,コンドリエ街の古株で攻撃に出ると,デシューヌ親爺の売れ行きも鈍った。公安委員会を牛耳るロベスピエールは友達だが,その取り巻きのサン・ジュストは若造にしか思えず,苦々しい。ジャコバンクラブ追放が決議されても,ロベスピエールが取りなして取り消された。公安委員会がエベール派訴追を国民公会に提案して,ホッとするものの,ダントンは左が排除されたら,寛大派と称している我々も排除されるに違いないと言う。エベールは旗色が悪いと食糧問題で市民を動員しようとするが,人は集まらず,蜂起は失敗する。エベールも直感に危ういと告げられていたが,元女優に言い寄って成就の暁にはと決意するが,もう再起はあり得ない。革命裁判所でも抗弁も糞ったれ口調も出なかった。エベール派の粛正から,ダントンはロベスピエールと会談を持ったが,デュプレシ邸を訪れたデムーランは拒否される。デムーランがダントンに詰め寄ると,ダントンは引退してシャンパーニュに引き払うと言うが,デムーランにとっては,仲間を見捨てるダントンのやりかたに納得はできず,詰ってしまう。処刑から10日後,ダントン派は国民公会での告発なしで逮捕される。リュクサンブール監獄に集まった仲間を前に,ダントンはロベスピエールを救う戦いを始めるというのだ。裁判でもダントンは審理を中断しても,告発への反論,弁明を行い,訴追検事も判事も斥けるが,サン・ジュストは公判秩序維持の新法を成立させ,ダントンの口を封じる。有罪とする,死刑とする証拠がないことで躊躇する陪審員の前にロベスピエールが現れ,決断を哀願する。デムーランの妻は金を配ってサンキュロットを法廷に動員するが,それが脱獄を企てている元将軍らの蜂起の証拠とされ,デムーランも妻のリシュルも窮地に追い込まれる。リシュルを前にロベスピエールはカミューユと別れ,自分と結婚すべきだと愛を告白するが,リシュルは革命と結婚する気はないと断固拒否する。デムーランは妻も逮捕され,息子は孤児になると悲観するが,ダントンはロベスピエールの家の前で,お前も連れて行くと大声を出した。処刑人がルイ16世以来,二度目に掲げたのはダントンの首だった〜
 ああ・・・あと一冊で完結だ。仮の題は革命の終焉。それしかないだろう。最初からの語り部だったデムーランが死んでしまって,途中から加わった汚い口調のエベールも処刑され,今やサン・ジュストとロベスピエールだ。彼らも消える運命。最後の語り手になるのは誰だろう。佐藤さんの偉いところは,人物の心情設定を細かくやっている処だと本当に感心する

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13/08/12
『神様が殺してくれる』:森博嗣(もり ひろし):2013年6月25日:\1700:幻冬舎:県立M高校図書館
★★★★
 なぜフランス人でなければならないかはよく解った
〜大学で修理論文を書いている僕レナルド・アンペールの寮の部屋に,美形のレオン・シャレットという4歳下の美形の下級生が入ってきた。あまり会話を交わすことなく半年を過ごしたが,その美しさに魅了されてはいけないという歯止めが利いていた。超美貌の女性と間違われるに違いない。婚約者のミシェルには写真を見せたが,インターポールの事務職に就いて,ミシェルとは籍は入れないが結婚した。ミシェルはアスリートとしての道を諦め,女性向けのスポーツ用品を扱う店を3店舗経営している。レオンがパリで有名女優が殺害された現場で縛られて発見され,僕の名前を神だと言い,神が殺してくれたと証言している。リールの刑事がそれを教えてくれて,ベルギーで彼の養父がモーテルで首を絞められて殺されているのだと新しくて古い話を語っている。暫くすると,ミラノで有名なピアニストが絞殺死体として発見された場にもレオンはいたが,手を縛られ,気絶していた。彼の母はダンサで,精神病院に入っているが,彼自身もルネという精神科医に掛かっている。マフィアとの関係もあるが,今度はドイツのフランクフルトで,彼を女性モデルとして使った写真家が絞殺死体として発見されたが,犯行時間は僕自身がレオンに呼び出され薬で眠らせていたが,犯行時刻には僕と一緒にいた。僕が無意識の内に殺人を重ねているという可能性もない。暫くすると,レオンの死亡診断書がパリの精神科医によって書かれたが,それが偽装であるのは,死んだはずのレオンは僕に会いに来て,別れを告げているからだ。ルネという医者が姿を消したので捜すと,台湾にレオンと一緒にいるらしい。休暇で台湾に渡ると,ルネはいたが,レオンに残された体液を僕に渡して,ルネは日本に移った。ミシェルが日本にいるので,東京で落ち合うが,ルネは地下鉄の中で,至近距離から射殺されてしまった。事情を説明し,レオンに出てくるように呼び掛ける為に,記者会見に同席し,教会の牧師から,レオンが会いたいと言っていると連絡を受けた。レオンは体調を崩し,病院に移ったが,日本の警察官に病院に入るところを取り押さえられ,パトカーの中で銃声を聞いて,レオンの安否を確認するため,飛び出した〜
 確かに,ミシェルという名は男でも女でもいる。日本ではまだ尋常でない同性婚もフランスでは珍しくないらしい。男も女も相手にする娼夫もいるだろう。インターポールに勤めているから連絡役になったというのも解るねえ

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13/08/11
『たぶんねこ』:畠中恵(はたけなか めぐみ):2013年7月20日:\1400:新潮社:県立M高校図書館
★★★
 たぶんスランプ
〜両国の盛り場を仕切る大貞親分が,一太郎を含む大店三人の跡取りが己一人でどれだけ稼げるか試してみたいと言い出し,最初に乗ったのは一太郎。一人は見せ物小屋に雇われ,一人は武家の女に縁談の来ている家出中の兄を捜す手助けを依頼され,一太郎は寄席で菓子を売る商売を考えた。狙いは跡取りの品定め。於こんが行儀見習いの為,長崎屋に来たが家事全般が苦手なくせに早く見合いをさせろと言う。大貞が持参金の一割を貰えると縁談を纏める商売を始めるが,持参金付の娘は多くない。子分の苦境に一太郎の兄やたちも仕方なく奔走するが,河童の禰々子が遠縁の娘の見合いを依頼してきた。回向院の茶店で二組三件の見合いが始まるが,一太郎の目には於こんの娘姿は巧く人に化けているとは見えなかった。若旦那の幼馴染みの栄吉が,下に入った小僧を連れて,砂糖の仕入れに来たが,小僧とは思えない尊大な態度だ。主人・番頭が同じ料理を食べて腹を毀しているという。栄吉が持ち帰った行李に潜り込んだ妖達を連れ戻すために安野屋に行くと,寝込んでいる大人達が呑んでいる土瓶からは妙な臭いがして,栄吉が手下に煩わされずに菓子作りに励めるように,誰が腹下しの薬を入れたかを調べ,白状させた。仁吉は隅田川に落ち,記憶を失ったが,「長」の字の付いた印籠に入った傷薬は効果覿面。医者かも知れないと長屋の連中があたりを付けて,心臓を患っている古松という年寄りを引き合わすと,古松は仁吉を白沢と呼ぶ。神の庭から出てきた妖狐だが,今になって帰りたくなったのだという。心配している仲間の妖狐が心臓に効く薬を捜して奔走しているのを止めたいとも言うのだ。仲間の妖狐は,河童が薬を創れるが中が悪くて譲って貰えず,見合いを進めた礼に一太郎が貰った緑のたまがそれだと,川で船に乗った一太郎や兄や達から奪おうとして,若旦那を助けるため船から落ちた仁吉が頭を強く打ったのだった。駆けつけた一太郎らはあっさりと緑のたまを渡し,3日だけ病が治った古松は稲荷社の扉が開いて,おぎんの庭に繋がって喜んだ。おぎんの姿を見た仁吉は記憶を取り戻す。入道が駕籠付の巾着に入れて一太郎に預けようとした者は,月丸という幽霊。月丸は古松とは逆におぎんの庭で暮らしていたが,江戸に戻りたくなったのだ。巾着の中に落ちた一太郎は一晩だけ好きなことをしたい月丸に付き合うが,猫や鳥に化けても古松は存在感がない。盛り場に行こうとはするが,強盗殺人が横行していて,物騒だ。木戸番が血を流している。5人の悪漢に追われ,上野の管長を頼ろうと向かうが,消えた若旦那を捜してた兄やたちは上野に来ていた。下手人は捕まったが,月丸は今にも消えそうな存在感のなさだ。広徳寺に置いて手伝いをさせれば良いと考えた一太郎はさらさらと幽霊画を描き上げた〜
 お江戸の見合い事情や,広徳寺の幽霊絵の話をネタにしたのだろう。序と終を書いて体裁を整えてはみたものの,軽妙さがなくて,不満あり。どうとでも取れる小僧達の生い立ちや,二人組の掏摸と親方の関係など,もう少し練ってから物語にして欲しいなぁ。河童の見合いもそうだし

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13/08/08
『ひきこもりはなぜ「治る」のか?』:斎藤環(さいとう たまき):2012年10月12日:\680:筑摩書房:県立M高校図書館
★★
 名前は女性の様だが,おっさんだ
〜ひきこもりの相談相手をしている理論はラカンから拝借。欲望は他人の欲望だという名言から,人と接触することが事態を改善させる最良の方法だと気が付いて,グループワークを重視している。コフートの「野心」と「理想」もヒントになる。コフリートは三種類の「自己−対象」が必要だと考え,「鏡自己−対象」「理想化自己−対象」「双子自己−対象」の3つだ。クラインは恨み半分,感謝半分もよく理解できる。ビオンの集団は一つの実体をもった存在であり,単なるメンバーの心理的集合体ではないとの論も参考になる〜
 確かに野心は下から突き上げてくるエネルギーで,理想は引っ張り上げるエネルギーだ。ラカンの「去勢」というイメージは掴みにくいなあ。彼は気に入ってるようだが。双極自己ってのも,もう少し丁寧に読めば解るんだろうけど,今は念入りに読む気力がない。母親と子の関係って大切だと言うことは解ったけどね。自分の事を精神科医だと言っているのはあとがきの一カ所だけで,本文では治療者と呼んでいる。確かに精神病ではないので,引きこもりの相談相手を務めるのは医者じゃなくて,カウンセラーだろう。文庫本用のあとがきで,一番キュートなひきこもり本と喜んでいる。キュートな名前だが,61年生まれのおっさんだ

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13/08/03
『あとかた』:千早茜(ちはや あかね):2013年6月20日:\1400:新潮社:東部台文化会館
★★★
 連作
〜徹也と婚約している私だが,バーで知人と飲んでいた男と深い関係になった。会社を休んで関西に血天井を見に行って,もう二度と会わないと思った。その男は黒崎と言い,妻子と別居して副部長を勤めていたが,部下の木田は何故,会社の屋上に手形を残して飛び降りたのか解らない。同僚に似ていると言われ,そうかも知れないと思ってしまうのだ。木田の妻・明美はアルバイトをしていると嘘をついて,若いイナダのアパートで関係を続けている。ある日,起きろと言われて,飛び起きて部屋を出され,指輪を外した左の薬指にマジックで指輪の線を書かれて廊下で大泣きしてしまった。イナダの隣の部屋に居候している藤森は,中学2年の時に付き合った男から背中にHとMのイニシャルをナイフで書かれ,傷を残している。高校の同級の松本の部屋に転がり込んだのは,オッサンが飛び降り自殺をしたからだ。フィドルを演奏する千影さんに料理を習いながら,男を連れ込んでも嫉妬しない松本はどういう人間なのだろうと思う。松本は友達のいない藤森を同類だと思っていた。父親が首になるかと思って,アルバイトをしながら国立大学の法学部に入り,自分を変えたくてバンドを始めた。藤森がスーツケースを持ち帰ってしまった時には,部屋に戻りたくなくて,友達の部屋に泊まったが,翌朝帰ると,戻っていた。夏休みが終わるまでは一緒に生活したくて,夕飯にハンバーグを注文した。千影はNGOで災害地を飛び回っている医者の岸田を恋人と呼ぶが,寂しい。藤森が松本と行った祭で手に入れた金魚を貰ったが,どうしたら良いか解らず,深夜営業している熱帯魚屋で,ポンプ付水槽を運んで貰ったが,ゲイの店員は,バイであり,相手によって変われる人間になりたいというのだ〜
 まあ色々な人がいるけど,普通なのかなぁ。松本と藤森は仲良くやって欲しいねえ

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13/08/01
『千葉県立海中高校』:青柳碧人(あおやぎ あいと):2010年5月20日:\1000:講談社:県立M高校図書館
★★★
 29歳までの新人を発掘しようという講談社の意図。装幀も凝っているが,背表紙のデザイン性がちょっと・・・
〜牧村光二郎は港区にある都立高校の化学講師だ。新聞部の依頼で先生の青春時代というテーマで原稿を書かなくてはならない。生まれてから高校まで,幕張の沖に建設された海中都市で過ごしたから,それを書かなくてはならないが,躊躇いもある。野島岬沖に造られた海流発電と,安価ではあるが紫外線に弱いシーコンクリートを利用した実験都市で,6万弱の人が住んでいた。中学生の頃,コンピュータでシミュレーションを行い,海流発電が漁業に悪影響を及ぼすことをレポートしたが無視され,ベノアールがシーコンクリートを崩壊させる事実を掴んでいた。その事実を伝えた相手は,一級下の木口夏波。海中タワーに昇って,南側の市庁舎ビルが無人であることを伝える。10年後にインタビューと称して牧村の下を訪れていたのは,夏波の10歳下の姪だった〜
 書いてしまうと何と言うことはないストーリーで,もう少し緻密に膨らませることができただろうが,かといってこの先の展開はないから,デビュー作としては上出来かも知れない。校歌は解るけど,校則や電車の時刻表は必要だったろうか。路線図は欲しいような気がするけどね。アフリカ原産のベアノというイネ科植物がバイオエタノール原料としてエネルギー問題の解決策の一つになるというのは良い発想だ

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13/08/
 
★★
 
 
 

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最終更新日 : 2013.08.21

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