2013/07/24
書く方も書く方だが,途中で投げ出さない読み手も偉い〜

「冷血 下」
〜村薫〜

『冷血 下』:村薫(たかむら かおる):2012年11月30日:\1600:毎日新聞:県立M高校図書館
 裁判は下巻の六分の一強
〜空き巣を狙い,根切りで勝手口をこじ開けた井上克美は土足で上がり込み,冷蔵庫などを物色した後,二階から降りてくる誰かをDKの入り口で待ち構え,「君たち」の声に反応して飛び出し,バットを振り抜くように後頭部を殴った。「あなたぁ」という声に,男を戸田吉生と足を片方ずつ持って移動し,DKに現れた女を羽交い締めにし,キャッシュカードの暗証番号を聞き出した。女の目線が気になった井上は再び根切りを振り回し,座布団を被せて数回殴打した。男の方にも別の座布団を被せて,スイカ割りのように,畑のキャベツをバットで叩きつぶすように振るった。二階のこども二人は戸田がやると言い出し,根切りを受け取って上がり,最初の部屋で布団を被った小さな身体を数回殴りつけ,隣の部屋でも少し大きな身体を殴打した。夫婦の寝室に入った井上は引き出しを物色し,ハンドバックからキャッシュカードと現金,引き出しからブランドものの貴金属を裸にしてポケットに入れ,気分が悪くなった戸田を先頭に勝手口から出て,車で越谷に向かい,コンビニで最初の50万を引き出し,16号線沿いにアクアラインを渡って,千葉でも同様に引き出して,五井に車を捨て,始発に乗って千葉駅で別れた。動機やその時の気持ちを聞かれても,戸田は夢の夢の中の状態だと,井上は何となく・よく覚えていないとしか答えない。殺意はあったのか,検事は急かしてくるが,特4の係長である合田雄一郎は供述を聞いて,そういうことがあるかも知れないとしか思えないし,町田で取り調べを行っている8係の係長と情報交換しても,戸田は何となく井上に仲間意識を抱いていたような印象を持つだけだ。連休中にそう結論づけて二人の身柄は検察に送られ,合田は医療過誤事件担当に戻るが,二人の様子は気になる。戸田は敗血症で意識を失い,骨髄炎が悪化して癌を発症する。井上は合田の貸した本を読み,感想を送ってくるようになったが,どれもが二人の人格の一部を形成しているに違いないとしか言い様がなかった。戸田は二度目の敗血症で呆気なく病死し,井上の公判が始まる。検事は被告人の動機なき冷血を立証しようとし,弁護士は動機の未解明を殺意がなかったことの立証に使おうとしている。死刑囚となった井上に合田雄一郎は手紙を書き続ける〜
 未決囚の叫び「犯罪者を一人死刑にするために費やされる時間と労力の,なんという大きさでしょうか!」確かに凶器の捜索に何百万,被疑者・被告人の治療に何十万,悩まされる警察官の数の多さ。粗暴犯が必ずしも無教養ではないというという事実に人々は気が付いていない,知っているのは刑事だというオチだろうか

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最終更新日 : 2013.07.24

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