2013/7
〜7月に読んだ本〜

海賊と呼ばれた男(上) ☆☆☆☆ 海賊と呼ばれた男(下) ☆☆☆☆☆ くるすの残光・いえす再臨 ☆☆☆ ランチのアッコちゃん ☆☆☆☆
噂の女 ☆☆☆☆☆ 新幹線お掃除の天使たち ☆☆ エンジェルフライト ☆☆☆☆ 歌え!多摩川高校合唱部 ☆☆
僕は坊さん。 ☆☆ 狼と香辛料 ☆☆☆☆ ディズニーありがとうの神さまが教えてくれたこと ☆☆ 狼と香辛料U ☆☆☆☆
狼と香辛料V ☆☆☆ 文学少女と死にたがりの道化 ☆☆☆ 狼と香辛料W ☆☆☆☆ 狼と香辛料X ☆☆☆
八万石の風来坊 ☆☆ フランスの12の怖い昔話 ☆☆ 昨夜のカレー,明日のパン ☆☆☆ 残照の辻 ☆☆☆
冷血 上 ☆☆☆☆ 徒然ノ冬 ☆☆ 冷血 下 ☆☆☆☆ 浜村渚の計算ノート2さつめ ☆☆☆
ガソリン生活 ☆☆☆☆ 日本国憲法の論点 ☆☆☆☆ セブン-イレブンのおにぎりは、なぜ、1日400万個売れるのか 図説「史記」の世界

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠
(一月に28冊ということは・・・)

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13/07/31
『図説「史記」の世界』:山口直樹(やまぐち なおき):2007年11月30日:\1800:河出書房新社:県立M高校図書館
 写真と編が山口直樹で文が益満喜裕。文と写真のどちらを重視しているかというと写真
〜【序】司馬遷とその時代(史記について)(漢武帝と司馬遷)【一】五帝から夏王朝(五帝の時代)(禹と夏王朝)【二】殷・周時代(紂王の暴虐と周の武王)(周の文王と太公望)(天道是か非か−伯夷・叔斉)【三】春秋の覇者たち(斉のカン公と名宰相)(呉越攻防)【四】孔子と弟子(孔子の生涯)(老子伝説)【五】戦国の興亡(弱肉強食の時代)(刎頸の交わり−廉頗・藺相如)(屈原の悲憤)(最後の抵抗)【六】秦始皇帝(秦始皇帝の全国制覇)(統一の事業)(陳勝・呉広の反乱)【七】漢覇の争い(項羽と劉邦)(漢の功臣)〜
 写真の補足として文が添えられている書だから,文章の続きが3ページ先に飛んでいたりして読み辛い。孔子に一番のページを割いているように思ったが思い違いか

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13/07/30
『セブン-イレブンのおにぎりは、なぜ、1日400万個売れるのか』:国友隆一(くにとも りゅういち):2013年3月15日:\1600:三笠書房:東部台文化会館
 牽強付会?
〜売れる工夫をトップダウン・ボトムアップで積み重ねたからだ。バイヤーの事をマーチャンタイザーと呼び,NDF:日本デリカフーズという協同組合を作らせ,711の本社に置いて,各地のメーカーをファミリー企業に育てたから〜
 巧い四字熟語が浮かばないな。余計な事や,ヨイショ的な記述が多い。1日400万個売れるという情報だけを知るためには,タイトルを読めば充分

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13/07/30
『高校生からわかる日本国憲法の論点』:伊藤真(いとう まこと):2005年7月10日:\1800:トランスビュー:県立M高校図書館
★★★★
 第一刷が2005年で,これは2013年の第十刷
〜国民投票法ができていない現在,誰を国民とするのか。選挙運動ならぬ国民投票活動はどのように展開されるのか。投票率による縛りを付けるか。9条改正は大きな論点だが,前文に「民族の長い歴史と伝統を受け継ぎ・・・美しい国土や文化的遺産を守り・・・」という部分を入れようとしたり,社会の後輩の原因としての13条の個人の尊重の行き過ぎを抑え公の価値観を強要しようとする。新しい人権としてのプライバシーを明記することで報道の自由は萎縮してしまう。夫婦の協力で家庭を守る義務を付加されれば,個人の尊重は後退する。天皇を元首として位置づけしても内実は変わらないし,参議院を廃止すると衆議院に対する抑止力が失われる。首相公選制は地方で実現しているから国政でそんな危険は犯すべきでない。道州制も憲法が改正されなくては実現できないものではない。憲法裁判所が本当に必要だとは思えない。96条を改正してしまったら,一つの政党の意向だけで改憲手続きが可能になってしまう。党の枠を越えた同意が必要な筈だ。義務については国防の責務や社会的費用を負担する責務,家庭等を保護する責務が挙げられているが,立憲主義の要である個人の尊重は共同体の論理で後退させられてしまう。「必要性」と「許容性」の天秤に掛けた場合,改憲論の争点は殆どない。あるとすれば,平和主義の部分だろうが,それが蟻の一穴になって堤防が決壊される危険もある〜
 残念ながら投票率による縛りは出来なかった。過半数も有効投票の半数以上とされた。積極的に変えようと云う人が多数を占めなければ憲法を改定しなくて良いよね。ず〜っと「ねじれ」と云われてきて,捻れているのは困ったことだとマスコミの論調も権力者と同じ事に腹を立ててきたけど,解消されてしまった2013年7月,歯止めが利かないぞ。国民投票法も出来たことだし,憲法改正・美しい国日本を声高らかに叫ぶ安倍さんも未だ元気だし,大幅な改訂をして出し直したらどうだろう。議員定数の不均衡で違憲判決が相次ぎ,高校でも道徳教育が求められ,96条改正に焦点が移っているんだから,今こそ出すべきだけど,この聞き慣れない出版社の体力が不足しているのかも知れない。書き直すべきだと云う意見が多くなって,腰を挙げて作り直すかも知れない。まあ,非常に良く出来た本だと思うけど,さて高校生が手を出すだろうか?まあ,中学卒業生なら読めると書いたんじゃ,刺激にならないか! まったく,教科書も政府の解釈改憲が何を目指しているのか書いていないから,教師が話さざるを得なくなるわけで,教師がその立場を使って国民投票活動を行ってはいけないとされているから,いざ国民投票となった時に黙っているしかなくなってしまうのは口惜しい。その時は,この本を読めと云おうか。否,これは明らかに改憲反対派だから紹介することも出来なくなる。困ったなぁ

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13/07/29
『ガソリン生活』:伊坂幸太郎(いさか こうたろう):2013年3月30日:\1600:朝日新聞出版:県立M高校図書館
★★★★
 自動車を語り部にした希有な設定
〜僕は望月家の愛車で,隣の小学校長のカローラGT・通称ザッパには,緑デミオと呼ばれている。長男・良夫は免許取り立てで,弟を乗せて走っている最中に,乗せてくれと強引に乗り込んだ荒木翠に舞い上がっている。翠は若くして女優として成功し,しがない会社員と結婚して引退したが,仙台の超有名人だからだ。しかも翌日に,浮気相手と車に乗って猛スピードで飛ばして事故死したと聞いて驚く。近所の安田さんが翠を降ろしたのを目撃し,週刊誌の記者に話したものだから,取材を受ける羽目になった。でも,子ども離れした次男の亨はしっかりしているから,大丈夫。翠を追って事故に至らしめた別の記者の話を聞き出した。玉田健吾というフリーのライターは野球選手を自殺に追いやった過去があるらしい。翠の浮気相手の丹羽は祖父が捻くりだしたキャラクター・太陽君の権利で喰っている仙台のもう一人の有名人だ。二人は歯科医院の受付嬢が電子カルテへの入力を間違えたことで知り合ったらしいのだ。望月家のもう一つの心配は長女のまどかが付き合っている江口という青年で,悪い仲間からきな臭い仕事を強要されているらしい。なんでもトガリという極悪青年が絡んでいるらしいが,その取り巻きが大雨で土砂が崩れたところから,埋めた遺体を移動させる積もりらしい。人間達は,死体を移動することまでは知らないが,僕ら車は互いの情報交換と尊敬する列車から教えて貰ったことで推論したのだ。隣の校長先生は昔の教え子の親から相談されて夜回りを始めるようになって,護身術を習得しようとしている。江口がトガリの子分に引きずり出され,まどかがそれを追い,母の郁子と兄・弟が更に追う。万が一に備えて,玉田にも事情を話しておいたが,いざという時に電話に出ない。潰れたパチンコ屋までやってきて,まどかが人質にされ,母と兄弟がスコップを持たされたが,着信に気が付いた玉田が望月家に駆けつけ,庭の蛙の置物を割り,隣の校長先生が防具一式を持ち出して,不良どもを悉くやっつけた。玉田はもう二度とトガリという歯医者の息子と祖父の死体を隠したその恋人は二度と誰の前にも姿を現さないと言う。どうやら玉田はそれほど悪質な記者ではないようで,翠と丹羽は玉田の協力を得て,雲隠れしたようだ。1年後,生意気な亨に苛めの仕掛けをする同級生らは大人しい子にボールをぶつけさせ,その動画を撮ってインターネットに流そうとしている。そのビデオには,玉田の協力もあって捕まえられたATM強盗の愛車が映っているらしい。玉田を通じて脅しを掛け,苛めも影を潜めるに違いない。その十年後・・・〜
 自動車達が知っている内容と人間達が知っている内容の乖離で混乱する。車はその持ち主と似たような語り方をするからだ。でも,巧く登場させた人物達を絡めるテクニックは流石。何よりも10才の次男坊・亨君が素晴らしい

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13/07/25
『浜村渚の計算ノート2さつめ』:青柳碧人(あおやぎ あいと):2012年1月17日:\552:講談社:県立M高校図書館
★★★
 副題は不思議の国の期末テスト
〜数学テロリストに立ち向かう弁護士が殺害され,棺桶に入れられて帰ってきたが,もう一人捕らえられている。犯人はルービック王子という建築家。渚は皆を率いて,ルービックキューブが埋まったような家に行き,パズルを解き,キューブのシールを貼り替えて,王子を破る。楡小路ルイはセラミック素材を用いた爆弾を造り,コンパクト消化器を売ろうとしているようだが,実は下請け会社が画策し,引き出した金を活動資金に充てようとしていたのだった。社会科のレポートを書くために法廷に行った渚とセチは,箱に残されたチョコレート数から,秘密工場から逃げ出した人間が7人いると踏んだ。キューティー・オイラーが殺人トランプを製造している工場に踏み込んだ武藤は漏れたガスを吸い込んで不思議な国のアリスの世界にいるような気分だったが,見事に一味を捕らえた。しかし〜
 最後の不思議な国のアリスが好きだな。不思議のでなく不思議なが味噌

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13/07/24
『冷血 下』:村薫(たかむら かおる):2012年11月30日:\1600:毎日新聞:県立M高校図書館
★★★★
 裁判は下巻の六分の一強
〜空き巣を狙い,根切りで勝手口をこじ開けた井上克美は土足で上がり込み,冷蔵庫などを物色した後,二階から降りてくる誰かをDKの入り口で待ち構え,「君たち」の声に反応して飛び出し,バットを振り抜くように後頭部を殴った。「あなたぁ」という声に,男を戸田吉生と足を片方ずつ持って移動し,DKに現れた女を羽交い締めにし,キャッシュカードの暗証番号を聞き出した。女の目線が気になった井上は再び根切りを振り回し,座布団を被せて数回殴打した。男の方にも別の座布団を被せて,スイカ割りのように,畑のキャベツをバットで叩きつぶすように振るった。二階のこども二人は戸田がやると言い出し,根切りを受け取って上がり,最初の部屋で布団を被った小さな身体を数回殴りつけ,隣の部屋でも少し大きな身体を殴打した。夫婦の寝室に入った井上は引き出しを物色し,ハンドバックからキャッシュカードと現金,引き出しからブランドものの貴金属を裸にしてポケットに入れ,気分が悪くなった戸田を先頭に勝手口から出て,車で越谷に向かい,コンビニで最初の50万を引き出し,16号線沿いにアクアラインを渡って,千葉でも同様に引き出して,五井に車を捨て,始発に乗って千葉駅で別れた。動機やその時の気持ちを聞かれても,戸田は夢の夢の中の状態だと,井上は何となく・よく覚えていないとしか答えない。殺意はあったのか,検事は急かしてくるが,特4の係長である合田雄一郎は供述を聞いて,そういうことがあるかも知れないとしか思えないし,町田で取り調べを行っている8係の係長と情報交換しても,戸田は何となく井上に仲間意識を抱いていたような印象を持つだけだ。連休中にそう結論づけて二人の身柄は検察に送られ,合田は医療過誤事件担当に戻るが,二人の様子は気になる。戸田は敗血症で意識を失い,骨髄炎が悪化して癌を発症する。井上は合田の貸した本を読み,感想を送ってくるようになったが,どれもが二人の人格の一部を形成しているに違いないとしか言い様がなかった。戸田は二度目の敗血症で呆気なく病死し,井上の公判が始まる。検事は被告人の動機なき冷血を立証しようとし,弁護士は動機の未解明を殺意がなかったことの立証に使おうとしている。死刑囚となった井上に合田雄一郎は手紙を書き続ける〜
 未決囚の叫び「犯罪者を一人死刑にするために費やされる時間と労力の,なんという大きさでしょうか!」確かに凶器の捜索に何百万,被疑者・被告人の治療に何十万,悩まされる警察官の数の多さ。粗暴犯が必ずしも無教養ではないというという事実に人々は気が付いていない,知っているのは刑事だというオチだろうか

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13/07/22
『徒然ノ冬』:佐伯泰英(さえき やすひで):2013年6月16日:\648:双葉社:東部台文化会館
★★
 居眠り磐音江戸双紙43
〜霧子は毒矢を受けて一命は取り留めたが,夢の中を彷徨っているようで目を覚まさない。小梅村へ帰ってきたが,皆が心配する中,磐音は三七二十一日の型稽古で快復を祈る。それを知った利二郎も辰平も稽古に加わった。稽古納めの日,利二郎を相手に霧子に向け,気を放つと,霧子の閉じていた目が開かれた。今津屋からは山形の奈緒の夫が事故死した知らせで,関前藩主から下げ渡された150両の半金を為替として送った。更に,出稽古に通う紀伊徳川家から500両を受け取り,道場の増築を決意する。辰平の思い人で福岡の豪商の娘が春に江戸へ来ると聞き,辰平には紀伊藩からの士官の声が掛かる〜
 空也が小田の訛りを真似て可愛い

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13/07/19
『冷血 上』:村薫(たかむら かおる):2012年11月30日:\1600:毎日新聞:県立M高校図書館
★★★★
 サンデー毎日に連載されていた
〜2002年北区西が丘の中学1年生である歩は13歳の誕生日を迎えた。筑波大附属に通うが,附属小学校に入った弟の渉と学校の最寄り駅である茗荷谷まで送って貰うのが日常だ。母は開業歯科医で父は都立豊島病院の口腔科の勤務医だ。数学オリンピックに出るのが目下の夢。父母が遣り繰りしてクリスマスはディズニーシーで過ごす予定がある。新聞配達員の戸田は親不知の根が腐り猛烈な頭痛に悩まされている。高校の時に上級生をナイフで刺し,少年院に入り,出てから自動車整備士の資格を取ったが,雇い主をスパナで殴りもう一度少年院,出所して真面目に新聞配達をしたが,車を盗んで女を殴り刑務所に6年間いたが,歯痛に悩まされ続けている。プリペイド携帯の掲示板で知り合った井上と手っ取り早く稼ごうと考える。井上は砂利屋の息子で真面目に高校へ通う一方,一人で車を転がし,族と度々喧嘩に発展した粗暴な男だ。パチ屋でゴト師を捕まえ,暴力団の恨みを買ってGT−Rをボコボコにされた。覚醒剤常習の姉の亭主のマジェスタを借り,戸田と合流する。町田でATMをユンボで襲おうとトラックも用意したが,閑かな町でも流石に住民が騒ぎ出して断念。ハイエースに乗り換えてパチ屋の交換所を襲おうとしたが先を越した誰かがいる。住宅街もしけていて,コンビニ強盗を二軒やったが,手に入れた金は14万弱。ハイエースを乗り捨て,フルエアロのシルビアを盗み,北へ行くが,十条付近で昔住んでいたことを思い出し,殴って服役した原因の女が飛び込んだ歯医者を思い出す。医院は臨時休業の張り紙があり,留守宅に押し入る計画を立てた。歯科医の受付が院長が現れないのを不審に思い,自宅に来るが応答はなく,警察に通報するとPB員が勝手口が破られ,DKに男女の変死体を発見する。二階には電気毛布のせいで腐乱し始めたこども二人の遺体もあった。合田は医療過誤の事件を所轄に任せて,捜査にあたり,手掛かりを当たっていく。盗まれたキャッシュカードは国道16号線のコンビニのATMで16回引き出され,合計は1200万円。防犯カメラに写ったオレンジ色のニット帽の男と,革ジャンの男の仕業と分かったが特定には至らない。車種もシルビアと判明したが,監理官は公表するなと釘を刺す。歯科医のカルテからも捜査が行われるが有力情報はない。地道な捜査から,ファミレスでGT−Rを壊された男がオレンジのニット帽を被っていることが分かり,自動車整備士から氏名も判明した。車名を公表すると,千葉の養老川近くで発見され,指紋照合の結果,戸田も浮かび上がり,過去の調書には非道い歯痛に悩まされていることが書かれており,歯科医師会を通じて手配され,神戸で見つかった。震災でうらぶれた町で新聞配達をしていたが,あっさりと四人殺しを認め,井上も手配されると,あっさり我孫子のパチ屋で捕まった〜
 さてさて長大なお話で,前半は事件までのそれぞれのあれこれで,後半は事件後の警察の捜査のあれこれ。下巻は裁判の話だろうか?

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13/07/18
『残照の辻』:鳥羽亮(とば りょう):2010年10月15日:\552:実業之日本社:東部台文化会館
★★★
 実業之日本文庫創刊で新シリーズ
〜弘化年間,非役の二百石の旗本24歳の青井市之介は飲み屋からの帰りに斬り合いを見かけたが,関わりを避けた。同門の目付・糸川はお納戸衆の有馬と供が斬殺され,喉が横一文字に切り裂かれたと伝え,特異な剣捌きから糸口を探ろうと誘われた。伯父は目付で剣術の腕を活かせと指示してきた。小人目付の佐々野が同様の手口で殺され,糸川も襲われ,大奥にも出入りしている室町の呉服商・筒井屋の番頭も殺された。横川という剣客が横雲という秘剣を使う。御納戸頭に出世しようという多賀が黒幕として浮かび上がり,将軍が下賜する時服を五分ほど水増しして納品し,上がりは多賀が吸い上げて幕閣への賄賂として遣われている。横川らは筒井屋を脅している。塒を突きとめ,横川は佐々野の弟が敵討ちで始末したとの筋書きを創る〜
 シリーズ化しているんだろう。新しいシリーズは新鮮で良いよね

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13/07/17
『昨夜のカレー,明日のパン』:木皿泉(きざら いずみ):2013年4月30日:\1400:河出書房新社:県立M高校図書館
★★★
 52年生まれの和泉努と57年生まれの鹿年季子という夫婦脚本家
〜ギフと生活するテツコは,隣のムムムさんが気になる。CAをやっていたというのだが,笑えなくなって仕事を辞めたらしく,空を飛ぶ飛行機に向けて指で鉄砲を作り,撃って笑っている。同じ会社の岩井という男性と付き合っているが,プロポーズされて,今の生活を崩したくないと断った。ムムムことタカラは産婦人科医である小田君にあって,こちらは顔面神経痛で廃業したと聞き,正座を出来なくなって廃業した深津と共にパワースポットという飲食店をやることになった。一樹に土産で渡したスキーをしている雪だるまを手に入れ,後輩のCAに持って貰って空を飛ばしているのだ。一樹の車を譲って貰った虎尾は大学の後輩と結婚しようとして,駐車場がいるか要らないかで交渉が断絶している。従兄の嫁であるテツコからクッキーの缶に保管している一樹の骨の一部を墓に納めると聞いて深津も手伝わせた。クッキーの缶を捨てるというので,車の代わりに手に入れる。テツコは岩井が結婚詐欺に遭い,500万円の被害だという噂を聞き,直接本人に尋ねると,川に飛び込む少女に渡したのだという。岩井の携帯を持ってきてしまい,件の少女から電話が来た。大人を試したのだが返したいのだ。ギフの妻,夕子は時代が変わって会社に必要とされなくなり,見合い相手の家を突き止めて,平屋の薄暗い家が気に入った。自分が泣くと誰かが死ぬ。自分の場合はあっさりと受け入れられた。岩井の家をギフが訪ねてきて,追い掛けるようにアンティークものの家具が届いた。女に騙されて買わされ,居場所のなくなった二人はテツコの住む家に帰るが,岩井にはテツコにとって居心地の良さが実感できた。今度はテツコが家出し,京都で岩井のための茶碗を買ってきた。岩井は呼ばれるたびに律儀に茶碗を持って出掛けていく。一樹は子どもの頃,自分が持つ女物の傘に飛び込んできた少女を憶えていた。拾ってきた犬にパンという名を付けるという。暫くして再会し,彼女を手放したくないと強く思った〜
 一体,何が云いたいんだと思いながら,不思議な人間関係の固まりが見えてくるという構成。野ブタ。をプロデュースを読んだ

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13/07/16
『フランスの12の怖い昔話』:大澤千加(おおさわ ちか):2012年11月10日:\1300:長崎出版株式会社:東部台文化会館
★★
 ブルターニュ地方のお化けの話
〜洗濯女の幽霊・夜の招待客・約束・ノニックとガビック・王の遺言・マチェリーヌ・幽霊城・真夜中の糸紡ぎ・蝿・だまされた悪魔・しゃれこうべ・船長の指輪〜
 洗濯女って幽霊になりやすいのかぁ。瘤取り爺さんみたいな話ってあるんだね。追い払っても顔の前から蝿がぶんぶん飛んで纏わり付いたらある意味悪魔より怖い

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13/07/16
『八万石の風来坊』:鳥羽亮(とば りょう):2009年8月15日:\581:双葉社:東部台文化会館
★★
 はぐれ長屋の用心棒16
〜大川端で娘を助けようとした若い侍を救ったが,青山京四郎と名乗り,腹が減ったとはぐれ長屋に居着いてしまった。聞けば藩を蓄電したのだというが,持ち物の大小は大した業物だ。青山を訪ねてきた武士らは若と呼ぶ。一方で,斬り合いを演じた連中も同じ藩の者だと思われる。事情を聞くと,父は病床にあり,長男は早逝し,次男は病弱,三男で妾腹の京四郎に藩主の座が廻ってきたが,分家している旗本となった叔父が横槍を入れてきた。羽州から国家老の意を受けた次席家老が向かっていると聞き,暗殺を飽きられた敵方が動き始めた。刺客を追い越した源九郎らは利根川近くの松林で待ち伏せする〜
 いつもの調子。どこかで読んだような気がするよね

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13/07/15
『狼と香辛料X』:支倉凍砂(はせくら いすな):2007年8月25日:\590:アスキー・メディアワークス:県立M高校図書館
★★★
 没落貴族の女商人
〜上機嫌でやってきたレノスを訪れたものの,町の様子がおかしい。市壁の外に商人のテントが張られているが,市街地に入る時に手形を渡されたのが変なだけだ。宿に入ると小柄な商人が重い荷を背負っている。50人会議の書記が年代記作家だと言うが,北への遠征が中止となって毛皮加工も振るわず,毛皮取引を外部の商人に許可するか否かを協議中で,情報を漏らさないために面会は断っているらしい。宿の主人に気に入られ,小柄な商人が自分は没落貴族でエーブ・ボランと言い,裕福な商人に売られ,買い手が死んだ後,女だてらに商売を始めたという。教会に出入りして,聖像を港町から運んでいるという。年代記作家はリゴロと言い,紹介するという。出掛けていくと,談判は終わり,書いたものを見たい者は大歓迎だ。ホロ自信が出てくる物語もある。会議は外部の商人に現金で毛皮を売ると決めた。自分は毛皮を仕入れて港で3倍に売りたいが,金を預けないかと取引に誘う。ロレンスには,ホロを質草にして,金を借りろと求める。教会の周りの物乞いに噂を集め,確かに聖像を卸している。宿の主人まで,宿を賭けてエーブの商売に賭ける。銀貨2千枚の身代わりと聞いたホロは巧くいっても駄目でも,此処で旅は終いだと宣言した。年代記作家の書斎で見たエーブが持ってきた聖像を見て,ピンと来た〜
 でれでれ具合もこれで終わりかと思わせたいのだろうが,この先12冊もあったんじゃ,白けるというものだ

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13/07/14
『狼と香辛料W』:支倉凍砂(はせくら いすな):2007年2月25日:\610:アスキー・メディアワークス:県立M高校図書館
★★★★
 信仰?
〜クメルスンで手に入れた情報でエンベルクに立ち寄ったロレンスは小麦を売ろうとして粉屋リーンドットに買って貰えず,テレオを目指す。粉挽きのエヴァンはテレオとエンベルクは厄介な問題を抱えているという。テレオの教会を管理する少女エルサは不機嫌で修道院などは知らないと門前払いの様子だ。村長も何かを隠しているようで修道院は知らないという。酒場では皆に酒を振る舞ってうち解け,フランツ司祭がエンベルクに村の麦を全量買い取らせ,勢もないと呑気な様子だ。ただエルサが教会に居ても,豊作を約束してくれるのは大蛇の神のお陰で,エンベルクとテレオの教会同士の喧嘩はいただけないと口にする。夜更けにエヴァンが教会に入り,朝で賭けていく姿を見て,ロレンスはテレオの教会こそが噂で聞いた修道院だと確信する。エルサを巻き込むため,出掛けた教会で,ホロは耳と尾を顕し,フランツ司祭が遺した書を見る許可を得る。朝方の馬蹄の響きで不安を覚えた皆は,テレオから運んだ麦に毒が含まれ,それで作ったパンで死人が出て,売り払った麦を全量戻されることになったと慌て出す。勿論,受け取った金は既に使われていて金額は不足する。毒を混入したのは旅人か,粉挽きのエヴァンか,教会間の揉め事を抱えているエルサか。四人は狼の姿になったホロの背に乗って逃げ出すが,エルサはエンベルクから麦を積んだ荷馬車を見て村に引き返す決心をし,エヴァンもそれに従う。一計を案じたロレンスは奇跡を起こして,一発逆転を企てるしかない。村長が司教と粉屋に屈しようとした時,エルサが登場し,荷車に積んだままの麦の1年をあっという間に縮めて見せ,毒入りだけは黒く変色させた。返金額を負けさせ,新たな買い手にクッキーを作らせて成功を収める〜
 北の地にクッキーは定着していないと・・・。表紙のアルファベットがMerchant meaats spicy wolf.と書いてあるのがようやく読めた。ホロがピリ辛?

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13/07/13
『文学少女と死にたがりの道化』:野村美月(のむら みづき):2006年5月10日:\560:エンターブレイン:県立M高校図書館
★★★
 読んだページを喰ってしまう変態文学少女
〜井上心葉は高校2年の男子で文芸部に所属しているが,部長の天野遠子は三題噺を出しては食べてしまう変態文学少女だ。二人だけの文芸部にラブレターの代筆を依頼してきた1年生・武田は弓道部の先輩・片岡愁司に一目惚れしたのだという。毎日書いた原稿を武田は清書して渡すと喜ぶのだが,悩みを抱えているのだという。どんな悩みか気になって名簿を調べても片岡愁司という名前はない。図書館の地下に潜っている武田に聞くと,確かにいて会わせるという。弓道場に出向くと,10年前のOBが井上を見て「片岡」と呼び掛けて来る。訳の分からない井上は卒業アルバムで捜しても切り取られていてその顔写真はなく,ナイフで己を刺した後,屋上から飛び降りたのだという。武田は片岡が太宰治の『人間失格』の中に残した遺書を発見し,恋人を失った悲しみとSというライバルの存在が気になって,OBの誰かがSであるに違いないと探偵の真似事をしたくなったのだ。OBの一人添田に屋上に呼び出されるのが,武田が片岡の名で出した手紙は井上が出したものと勘違いしていた。添田は片岡の恋人に横恋慕し,一人で帰る恋人に声を掛けて,驚いた恋人が道に飛び出して車に撥ねられたのだった。片岡に呼び出された添田は確かに片岡を刺したが,致命傷ではなく,ナイフを拭って自ら飛び降りたのだった。井上も中学時代に騙った美雨を飛び降り自殺させていたのだった。部長の要請でレポートを武田に催促に行った井上は,武田が人間失格に隠したノートを発見して屋上まで追い掛け,飛び降りようという武田を捕まえ,心配した部長と共に思い止まらせた〜
 友達を失った若者が太宰に心を寄せて自分も死にたくなるってあるか? 多分,あるんだろうけど・・・

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13/07/12
『狼と香辛料V』:支倉凍砂(はせくら いすな):2006年10月25日:\590:アスキー・メディアワークス:県立M高校図書館
★★★
 今回のテーマは信用売り
〜異教徒の町クメルスンを冬訪れるのはロレンスにとっても初めてだ。北の年代記が残っていると予想してのことだ。リュベンハイゲンで仕入れた釘を売るために訪れた小麦商マルクはかつての行商仲間で幸運にも町商人となったので釘を捌く手づるは持っている。商会で紹介された錬金術師ディアンを訪問し,ホロの故郷ヨイツは既にないらしい。ホロは若い魚商アマーティーが祭を案内している。アマーティーはホロを遍歴の修道女として疑わず,銀貨千枚の負債のため,ロレンスと旅を続けなければならないという嘘を信じ切っている。同じ商業組合に属しているため,商館に行って,ロレンスを前に,翌日夕方までに銀貨千枚を用意したらホロの自由を約束しろと契約を迫る。自由になったホロに求婚するのだと宣言する。請けざるを得ないロレンスはアマーティーの金策を妨害する以外に,ホロと旅を続ける望みはない。祭で浮かれて黄鉄鉱の根が数十倍に上がっている。それに賭けているアマーティーの裏をかくには暴落を誘うしかない。思案している内にディアンからの手紙を読んだホロは故郷が既にないことを知って愕然とし,それを隠したロレンスにも不審の目を向けてくる。銀貨500枚分の黄鉄鉱の信用売りをアマーティーに申し出,彼も商人として請けざるを得ない。金の目処がついたが,何処から黄鉄鉱を入手するかが問題だ。マルクは町商人として副業にならない取引はできないと断られる。残るは錬金術師。ディアンが窓口だと言う。意を決してディアンを訪ね,積み荷を降ろしたくないというロレンスの申し出に,既に予約をしていった者の注文を断って融通しようと言う。翌朝半金を手に入れたが,黄鉄鉱はどんどん値上がりし,通常の80倍だ。ディアンからの連絡はなく,マルクが手配した黄鉄鉱を売りに出しても値上がりは止まらない。その横で大量に売りに出したのはホロだった〜
 売れ筋のシリーズを手放すわけはないから,どこかでロレンスとホロは和解するはずで,わくわく感は薄い。信用売買は面白そうだが,資金力が余裕を生んで勝ちを呼び込むのだろう。小金持ちはやるべきでないな

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13/07/11
『狼と香辛料U』:支倉凍砂(はせくら いすな):2006年2月25日:\630:アスキー・メディアワークス:県立M高校図書館
★★★★
 騙される方が悪いのが商人の世界
〜ポロソンの町で手持ちの胡椒をラトペアロン商会に売りに行ったロレンスは慎重に秤を使って商談を重ねたが,賢狼ホロは秤に不正はないが,台が傾いていることを見破り,武具20式を信用買いで手に入れ,宗教都市リュベンハイゲンへ運ぶ途中,傭兵集団が闊歩していると商人から聞き出し,狼が出る平原を進み,羊飼いの少女・ノーラ・アレントを狼避けに雇った。彼女は教会に手間賃で雇われているが,針の商売を志している。狼の気配もなく,リュベンハイゲンへ辿り着き,所属の商館に顔を出すが,商館の親父は浮かない顔をしている。売る相手は店を畳み,隣の店が声を掛けてくるが,売るはずの相手から債権を買い取り,新しい債権者レメリオ商会も異教徒相手の遠征が中止になったせいで,商売が左前の様子だ。武具も1/10に暴落していた。無一文になって奴隷船の漕ぎ手になるまで,二日しかない。ロレンスとホロは,羊に金を呑み込ませて,ラムトラで仕入れた金を町に密輸入する作戦を考え,レメリオ商会に出資を,ノーラに運び役を持ち掛ける。ラムトラ行きで狼の気配を感じ,復路では包囲された。森の中での窮地を救う担い手はホロしかいない。心配しながら森を抜けたロレンスは,レメリオ商会の裏切りで捕らえられ,秘密を知ったノーラも命が危うい。ホロは狼の姿でロレンスを乗せ,城壁へ向かう〜
 ツンデレなのだが,1作目を書いた作者が登場人物の性格設定を忘れていたらしい。本当か? 生き血を啜らないと狼の姿に成れないはずなのに,誰の血を吸ったのだろう。ホロの使う言葉は郭言葉で馴染めないのです

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13/07/10
『ディズニーありがとうの神さまが教えてくれたこと』:鎌田洋(かまた ひろし):2013年4月18日:\1100:ソフトバンク・クリエイティブ:県立M高校図書館
★★★
 三匹目の泥鰌
〜児童養護施設前で捨てられ,施設から貰われて育ったが,高校卒業後に一人暮らしがしたくてディズニーのアルバイトに応募して採用されたが,元気のない若者が変わるきっかけ。母が危篤でもいなかった父に反感を抱いて,葬式の夜に彼氏の家に行ったきり,ホテル勤務を経て,ディズニーのセキュリティー担当となった女性が父親と和解するまで。震災当日,宮城の旅館から義弟を連れ戻しに来た男と本当のもてなしを実感して帰る決意をした若者〜
 震災当日に行っていて良かったねえ〜,本が一冊書けた。二冊目は読んだかどうか定かでないが,物語力が高まった。思わず涙が出てくるもんね

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13/07/09
『狼と香辛料』:支倉凍砂(はせくら いすな):2006年2月25日:\590:アスキー・メディアワークス:県立M高校図書館
★★★★
 香辛料とは商人のこと
〜行商人のロレンスは塩を売って毛皮と小麦を手に入れ,顔馴染みの村でヤレイと酒を飲もうとしたが,ヤレイの畑が最後になって狼を身にはいることになってしまい諦めて通り過ぎたが,毛皮の中に尻尾と長い耳を持った十代の少女が裸で横たわり,酒はないかと聞いてくる。ロレンスの一番上等な服を着たが,不意の雨に降られた夜,泊まった教会では,耳と尾を隠すために外套は外せない。25歳のロレンスより若い商人ゼーレンに設け話を持ち掛けられるが,賢狼ホロは,嘘だと見抜く。乗った振りをして詳しく聞くと,損はないようだが,よく考えると損がないのはゼーレンの方だ。パッツィオの町で二番目の商店メディオ商会が係わっているのは,ライバル会社で南の爵位を持つ商人が展開しているミローネ商会の支店長マールハイトは,銀貨の価値が下がったら得る大儲けの5分を差し出すことを契約した。宿で襲われたロレンスとホロは,分かれて行動し,ロレンスはミローネ商会に逃げ込んだが,ホロはメディオ商会に捕らえられ,狼を教会に突き出すと脅迫される。商人の読みを裏の裏の裏まで行って達した結論は,貯め込んだ銀貨を国王に買い取らせ,特権を引き出す時間稼ぎにホロを救出して,逃げ回る作戦だった。地下通路を辿ってホロを救出し,地下道を逃げ回るが,遂に追い詰められ,ヤレイが剣を振りかざすが,ホロは麦とロレンスの生き血を吸って,狼の姿に変わり,窮地を開く。旅は終わりかとロレンスは考えるが,変身時に破いた服を弁償しろと叫んで気を失う〜
 デレツンツンデレデレデレデレツンデレデレという塩梅かな。デレが多いのが良いが,物語の展開力があって,意外と読み応えがある。舞台はイギリスか,フランスか,イタリアか。ヨーロッパに輸出できそう。イラストレーターを漫画家に変えれば,漫画やアニメでも行けそうだ。7年前の刊行だから,もうなっているだろうか。この間の30版って,それだけ誤植があった訳じゃないだろうに

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13/07/08
『僕は坊さん。』:白川密成(しろかわ みつなり):2010年2月13日:\1600:ミシマ社:県立M高校図書館
★★
 1600円は高くないか?
〜祖父の姿を見て高野山大学を目指し,書店に勤務した後,24歳で祖父に代わって住職になった。寺は57/88。大阪まで広告のセミナーに出掛け,糸井と知り合う〜
 糸井重里のほぼ日刊いとい通信に連載。若い僧侶の毎日は,寺の名とご本尊の名を納経帳に書いて宝印を押せば,結構な金になるだろう。お遍路さんの順路だからねえ

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13/07/08
『歌え!多摩川高校合唱部』:本田有明(ほんだ ありあけ):2012年6月30日:\1500:河出書房新社:県立M高校図書館
★★
 神奈川県立多摩高等学校合唱部をモデルにした小説
〜合唱部に入りたくて乙川は多摩川高校に入った。両親も合唱好き。心配なのは男子の数が足りないからで,元陸上部の飯島は地声は大きいが邪魔になる。乙川はテナーに入りたかったが,希望は叶えられなかった。山吹丈はお調子者で,全国大会に行けると信じている。卒業した先輩の詩が課題曲となった。ベースが安定しない〜
 まあ,下手だね。題材は地味で,複雑でもない。これが吹奏楽だったら描ききれないだろうが。実在の高校の3年生が課題曲の詩に応募して選ばれ,その後輩達が歌って全国大会まで行く。誰に焦点が合っているということもなく,群像として描かれる。だからピンぼけ。親の話まで出てくるのは乙川なんだけどね

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13/07/07
『エンジェルフライト』:佐々涼子(ささ りょうこ):2012年11月30日:\1500:集英社:県立M高校図書館
★★★★
 国際霊柩送還士
〜遺体ビジネス・取材の端緒・死を扱う会社・遺族・新入社員・「国際霊柩送還士」とはなにか・創業者・ドライバー・取材者・二代目・母・親父・忘れ去られるべき人々・おわりに〜
 エアハース・インターナショナルの話。貨物として送られてくる遺体の処置を行って家族の許に送る。葬儀のために,丹念に修復するのは日本人的死生観の現れかも知れない

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13/07/05
『新幹線お掃除の天使たち』:遠藤功(えんどう いさお):2012年8月28日:\1400:あさ出版:県立M高校図書館
★★
 「世界一の現場力」はどう生まれたか?
〜「お掃除の天使たち」が働く会社の「最強のチーム」が提供するのは「技術サービス」で,魅せる清掃を心掛け,礼に始まり礼に終わる。女性がイキイキと活躍し,誰もがパートから始め,1年後には正社員の道が開かれる。褒めることが上に立つ者の義務で,そのレポートは820名の殆どに及ぶ。親会社から降りてきた現専務の矢部は,現場と経営陣の距離が遠いと感じ,手探りでモデル作りに取り組み,働きやすい環境を整え,組織を分かりやすいシンプルなものに変え,イベントで一体感を高める。600日後,運転士だった柿崎を右腕に迎え,「さわやか・あんしん・あったか」を目指して,小集団活動・提案活動で現場の声を吸い上げ,親会社を動かし,到着時の一礼,季節にちなんだキャンペーンを定着させ,テッセイは多くのメディアが注目するところとなった〜
 早稲田大学商学部卒,三菱電機を経て,早稲田大学ビジネススクール教授,潟香[ランド・ベルガーという国際コンサルタント。面白い会社はないかと捜している。TDRと同じく掃除に注力

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13/07/05
『噂の女』:奥田英朗(おくだ ひでお):2012年11月30日:\1500:新潮社:東部台文化会館
★★★★★
 舞台は岐阜・・・田舎のしがらみ
〜工業機器を扱う小さな商事会社に勤める北島は,同僚が買った車に欠陥があったことで先輩と中古車屋にクレームをつけに行き,中学時代の同級生・糸井美咲が事務員として働いているのを発見する。目立たなかった子だが,妙に色っぽい。知り合いに聞くと,短大時代に人が変わった様になったのだという。よく聞くと,中古車屋のオーナーの愛人で,店で目を光らせているらしい。衣料問屋の営業仲間は,夜は麻雀,昼は図書館で昼寝する。新しい雀荘で見かけたアルバイトの糸井美幸は人扱いが巧い。土建屋が出入りして,社長とできたらしい。結婚を目前にした岡本小百合は駅前の料理教室に通う様になったが,食材が非道い。先生が親戚のスーパーで捨てるはずの材料を仕入れている。それを掴んで詰め寄るのは,短大時代の知り合い,糸井美咲だ。糾弾した挙げ句,先生を放り出した美咲は,愛人が二人死亡し,65歳の不動産会社の創業者と結婚するらしい。マンションに越した美咲は,夫になるべき男の4人のこどもから責められ,談判に来た婿と関係を持った。避妊はしていない。パチンコ屋で知り合った二人は,美咲から不眠症であると医院で訴えて,遂にハルシオンを手に入れ,バイト料を受け取り,パチンコ屋で知り合った運転代行業の男に誘われてホテルに行った挙げ句,2万円を手に入れられなかったトラブルは,美咲の弟が暴力で解決した。二十四時間託児所に勤める塚本博美は母から生活費を6万円入れる様に要求され,一人暮らしを考え始めた。こどもを預けているホステスも不景気に悩まされているが,25歳でクラブを持っている美咲は,ホステス二人に加え,保育士の博美に声を掛けてきた。客と愛人契約を結べば,楽な暮らしができるという誘いを断ることはできなかった。建設会社の団体で,息子が東工大に入って帰ってきた一社だけが,古い体質を改善すべきだと主張している。副社長をクラブに誘い,美咲の愛人の県会議員の脅しが利いて大人しくなった。寺の住職が代替わりして寄進の要求が強くなり,世話役の和田は寺に電話して檀家総代と会うことになったが,待ち合わせのホテルに糸井美咲は現れ,巧くあしあわれてしまった。寺の若奥さんに糸井という女のことを聞くと,住職との話し合いがセッティングされた。住職は,酔っぱらって男と女の関係になり,県会議員に脅され,建築会社と美咲の間で2億円の話が進んでいる。世話役達も寄進を断る住職の秘密を手に入れた。西署の署長が栄転となり,普段はない刑事部まで餞別50万円の割り当てが廻ってきた。下っ端がない集金先を捜さなくてはならない。何気なく探り始めた糸井美咲を探ると不審死は3名,全員が風呂で溺死だ。周囲を探ると睡眠薬を不正に手に入れていたが,課長は2年寝かせろ言う。副署長の本部警務課転勤を受け入れた。県会議員の稲越の秘書をしている星野美里はスカイツリーのチケットを手に入れるために必死だが,土建屋の会合に議員の名代として出席し,愛人の店で短大の知り合い,糸井美咲に出会う。チケットが手に入りそうになって喜んでいると,隠し口座の2億円と共に美咲は姿を消し,美里は美咲を羨ましく思う〜
 1話読んで,そんな悪女じゃないというオチかとぼんやり考え,2話目で別の噂の女の話かと思い始めたことを後悔し,3話目からはどんな悪事をしでかすのかと期待が膨らみ,最後は主人公を羨ましく思う女達が沢山いて,閉塞した状況を誰もが打ち破りたいのだと考えさせられた。それにしても,都会よりも田舎の方が詰まりに詰まっているね

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13/07/03
『ランチのアッコちゃん』:柚木麻子(ゆずき あさこ):2013年4月21日:\1100:双葉社:県立M高校図書館
★★★★
 派遣社員と正社員
〜麹町の外れの小学生向けの出版社の営業部に派遣社員沢田三智子は元気がないのを見透かされ,黒川敦子部長に持ってきた弁当とルーティン化している一週間のランチを交換する。昼だけのカレー屋,走って国際フォーラムまで行きジュースとラップサンド,古書店で児童書を受け取り天丼,屋上で社長と出前の寿司,金曜日はカレー屋で留守番。売り上げ減少巻き返しの新提案をするだけの元気を得た。それでも会社は倒産し,大手貿易会社の高潮物産で働き始めたが,30歳以上の正社員と派遣社員との板挟みに会い,ランチを会社で摂るのも嫌になり,公園で食べていると,ワゴン車に乗ったアッコさんが颯爽と現れ,夜食用のポトフを売る手伝いを始めた。火曜の午前4時,新宿歌舞伎町で水商売のお兄さんお姉さん達に歓迎され,新聞社の整理部員にビールと共に売り,深夜員勤務の看護婦に売り,元社長が再婚した築地市場の喫茶店で振る舞い,映画のロケ現場ではヒロインのスタントとして走ることになった。築地で仕入れたチョコレートでホットドリンクを営業部全員に派遣社員の出し合った金で振る舞って,蟠りを解き,もう少し勤めることを決意した。満島野百合は30歳の派遣社員で毎週の合コンが煩わし感じられている。お嬢さん学校と知られた高校に通っていたが,90年代の渋谷の典型的な女子高生で先生には目を付けられていた。十数年前に野百合を追い掛けては説教していたゾノ先が後輩に当たる生徒を追って現れた。渋谷に詳しい野百合も一緒に歩いて捜す。見つけたと走って道路を渡ろうとしてワゴン車と衝突した様で,追われていた女の子も心配して現れた。軽傷で一緒にワゴン車が売っていたポトフを食べ,二人はタクシーで帰っていった。大手商社が社内ベンチャーで起こしたネット通販会社で使い物にならなかったレミは,会社の亡くなったオーナーと親しくなり,遺言で屋上の使用権を得て,ビアガーデンを始めた。社長である俺にも,業績が上がらないのは,長時間勤務で煮詰まっているからだと,息抜きにビールを呑むことを勧める。徐々に客は増え,社長である僕が早めに帰ることで,社員にも余裕ができて,業績が上がってきた〜
 最後の話で,アッコさんがどうやって登場したか,忘れちゃった。通りすがりだよな。前二話は完全に繋がっていて,後二話は無関係。長引く不況があちこちに影を落としている。アベノミクスは庶民まで効果を及ぼさないが,それでも頑張ろうと・・・

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13/07/03
『くるすの残光・いえす再臨』:仁木英之(にき ひでゆき):2013年5月20日:\1600:詳伝社:県立M高校図書館
★★★
 キリスト教徒だから仲間というのは安易な発想
〜大家の仁兵衛と寅太郎が肥前から戻り,老中・青山の庭木を復活させた評判が仙台に及び,庄吉は伊達家から城の庭木を復活させるために呼ばれ,親方と寅太郎を伴って,仙台まで出掛けることになった。一方の佐七は,人形の雪をお忍びで見かけた伊達家の姫様から人形制作を依頼され,仙台へ行く。彼らの目的は,陸奥で隠れ切支丹が蜂起の準備をしているのを見届けることだ。会津若山城では,少年を中心にいえすの再臨を叫ぶ一行を目撃する。仙台の城の木はどれも生気がなく,三戸に原因があると思われる。人形の出来を確かめに来た姫君が攫われ,三戸から大籠へと数万の切支丹が仙台を目指すと聞いて山道を辿っていくが,案内役は一行が後にした三戸で,足止めしようと地の力を用いる。大籠にも軍勢はなく,切支丹一行はいきなり仙台城内に出現した〜
 これで,荊冠・聖槍・聖骸布・釘と手に入った? 残るは,聖櫃・聖杯・十字架。このシリーズで手に入り,天草四郎の復活はなるのか? ならんだろう! 明智光秀は服部半蔵に救出され,裏比叡で修行して天海となったとうのが新たな真相

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13/07/02
『海賊と呼ばれた男(下)』:百田尚樹(ひゃくた なおき):2012年7月11日:\1600:講談社:県立M高校図書館
★★★★★
 日章丸事件をヒントに本格歴史経済小説
〜第三章白秋(昭和22年〜28年)1正明;2セブン・シスターズ;3進水;4新田辰男;5イラン石油;6極秘任務;7モサデク;8決断;9サムライたち;10「アバダンへ行け」;11輝く船;12倭寇;13俯仰天地にはじず;14完全勝利・・・・・第四章玄冬(昭和28年〜49年)1魔女の逆襲;2ガルフ石油;3奇跡;4海底パイプ;5日田重太郎との別れ;6悲劇;7石油連盟脱退;8「フル生産にかかれ!」;9国岡丸〜
 上巻よりも下巻の方がすらすら読める。出光さんは大した人だったんだね

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13/07/01
『海賊と呼ばれた男(上)』:百田尚樹(ひゃくた なおき):2012年7月11日:\1600:講談社:県立M高校図書館
 出光興産の創業者・出光佐三をモデルにした本格歴史経済小説
★★★★
 出光興産の創業者・出光佐三をモデルにした本格歴史経済小説
〜第一章朱夏(昭和20年〜22年)1馘首はならん!;2苦闘;3ラジオ修理;4東雲忠司;5GHQ;6タンク底;7公職追放;8石統との戦い;9武知甲太郎;10スタンバック;11逆転・・・第二章青春(明治18年〜昭和20年)1石油との出会い;2日田重太郎;3丁稚;4生家の没落;5士魂商才;6海賊;7満州;8スタンダードとの戦い;9危機;10仙がい;11世界恐慌;12上海;13日中戦争;14石油禁輸;15南方へ;16敗戦〜
 若いのか,年寄りなのかと考えていたら,同じ年の生まれだった。同志社大学を中退し,探偵!ナイトスクープのチーフ構成作家だったのが,永遠のゼロで小説家デビュー。海賊と何故呼ばれたのかは分かったが

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13/07/
 
★★
 
 
 

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最終更新日 : 2013.08.01

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