2013/07/05
なるほど女の力〜

「噂の女」
〜奥田英朗〜

『噂の女』:奥田英朗(おくだ ひでお):2012年11月30日:\1500:新潮社:東部台文化会館
 舞台は岐阜・・・田舎のしがらみ
〜工業機器を扱う小さな商事会社に勤める北島は,同僚が買った車に欠陥があったことで先輩と中古車屋にクレームをつけに行き,中学時代の同級生・糸井美咲が事務員として働いているのを発見する。目立たなかった子だが,妙に色っぽい。知り合いに聞くと,短大時代に人が変わった様になったのだという。よく聞くと,中古車屋のオーナーの愛人で,店で目を光らせているらしい。衣料問屋の営業仲間は,夜は麻雀,昼は図書館で昼寝する。新しい雀荘で見かけたアルバイトの糸井美幸は人扱いが巧い。土建屋が出入りして,社長とできたらしい。結婚を目前にした岡本小百合は駅前の料理教室に通う様になったが,食材が非道い。先生が親戚のスーパーで捨てるはずの材料を仕入れている。それを掴んで詰め寄るのは,短大時代の知り合い,糸井美咲だ。糾弾した挙げ句,先生を放り出した美咲は,愛人が二人死亡し,65歳の不動産会社の創業者と結婚するらしい。マンションに越した美咲は,夫になるべき男の4人のこどもから責められ,談判に来た婿と関係を持った。避妊はしていない。パチンコ屋で知り合った二人は,美咲から不眠症であると医院で訴えて,遂にハルシオンを手に入れ,バイト料を受け取り,パチンコ屋で知り合った運転代行業の男に誘われてホテルに行った挙げ句,2万円を手に入れられなかったトラブルは,美咲の弟が暴力で解決した。二十四時間託児所に勤める塚本博美は母から生活費を6万円入れる様に要求され,一人暮らしを考え始めた。こどもを預けているホステスも不景気に悩まされているが,25歳でクラブを持っている美咲は,ホステス二人に加え,保育士の博美に声を掛けてきた。客と愛人契約を結べば,楽な暮らしができるという誘いを断ることはできなかった。建設会社の団体で,息子が東工大に入って帰ってきた一社だけが,古い体質を改善すべきだと主張している。副社長をクラブに誘い,美咲の愛人の県会議員の脅しが利いて大人しくなった。寺の住職が代替わりして寄進の要求が強くなり,世話役の和田は寺に電話して檀家総代と会うことになったが,待ち合わせのホテルに糸井美咲は現れ,巧くあしあわれてしまった。寺の若奥さんに糸井という女のことを聞くと,住職との話し合いがセッティングされた。住職は,酔っぱらって男と女の関係になり,県会議員に脅され,建築会社と美咲の間で2億円の話が進んでいる。世話役達も寄進を断る住職の秘密を手に入れた。西署の署長が栄転となり,普段はない刑事部まで餞別50万円の割り当てが廻ってきた。下っ端がない集金先を捜さなくてはならない。何気なく探り始めた糸井美咲を探ると不審死は3名,全員が風呂で溺死だ。周囲を探ると睡眠薬を不正に手に入れていたが,課長は2年寝かせろ言う。副署長の本部警務課転勤を受け入れた。県会議員の稲越の秘書をしている星野美里はスカイツリーのチケットを手に入れるために必死だが,土建屋の会合に議員の名代として出席し,愛人の店で短大の知り合い,糸井美咲に出会う。チケットが手に入りそうになって喜んでいると,隠し口座の2億円と共に美咲は姿を消し,美里は美咲を羨ましく思う〜
 1話読んで,そんな悪女じゃないというオチかとぼんやり考え,2話目で別の噂の女の話かと思い始めたことを後悔し,3話目からはどんな悪事をしでかすのかと期待が膨らみ,最後は主人公を羨ましく思う女達が沢山いて,閉塞した状況を誰もが打ち破りたいのだと考えさせられた。それにしても,都会よりも田舎の方が詰まりに詰まっているね

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最終更新日 : 2013.07.05

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