2013/03/27
何と云ったらいいのか〜

「屍者の帝国」
〜伊藤計劃・円城塔〜

『屍者の帝国』:伊藤計劃・円城塔(いとう けいかく・えんじょう とう):2012年8月30日:\1800:河出書房新社:東部台文化会館
 ちょいとペースダウン
〜1878年屍体に電極を差し屍者として使役する時代,大学の医学部で電流により偽りの魂を吹き込まれた屍体を見たワトソンはセワード教授とヘルシング教授によりスカウトされ,軍事探偵ウォルシンガム機関の一員として採用され,ボンベイに送られる。副王リットンにより通常の屍体とは違う制御がされている屍者を見てバーナビー大尉と引き合わされ,アフガンの北パミールに屍者の王国を築いているロシア人・カラマーゾフを捜し出す。彼は生きながら屍者に上書きされた兄を伴い,阿片と単調な音楽を使うことで生きながらに自らを屍者として扱う実験をしていた。この実験には,シベリアでヴィクター・フランケンシュタインが手放した手記が役立ったらしい。ヴィクターは自分の被造物に追い詰められたのだった。通称,ザ・ワン。その手記の複製が日本に渡ったと,日本に乗り込んでいく。大里化学はザ・ワンが新型屍者に無想剣を振るわせていた。それは容器に収められた脳髄が指令を媒介しているものだ。ザ・ワンを追っているのは,ユダヤ人組織のアララトや,屍者を売り込んで歩いているピンカートンらだ。ピンカートンの二人と太平洋を渡り,サンフランシスコで通信記録を探り出し,東海岸ロードアイランドで対決するが,ルナ機関によってチャールズ・ダーウィンことザ・ワンもワトソンも拘束され,ノーチラス号で本国へ送られることになった。ザ・ワンは記録屍者フライデーを介して情報を伝え,乗っ取りに成功し,魂は菌株の働きであると生者に伝え,難なく艦を乗っ取り,解析センターの中心ロンドンタワーに乗り込む。壮絶な戦いの後,姿を消したザ・ワンと新しく生まれ変わったワトソン博士がいる〜
 魂は何故ヒトにだけ宿っているのか。意識はどこから来るのか。という問いを発している。仮説らしきものは提示しているが勿論結論は示さない。この本の半分くらいまでは,食事も摂らず,血の通わない屍が動き回れる不合理さに呆れ,怪人二十面相や黄金バッドというお子様向けの怪奇SF,すなわち荒唐無稽という印象で世界に入り込めなかったが,途中は引き込まれ,エピローグでまた突き放されるという感覚だ。舞台に19世紀後半を選んだのは,シャーロックホームズや海底二万マイルを意識したものに違いない。日本は明治維新の名残を消しつつある時代。ノスタルジー漂う舞台設定だ。生まれ変わったワトソンはMの弟の探偵業を手伝うって事ね

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最終更新日 : 2013.03.27

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