2013/3
〜3月に読んだ本〜

出家とその弟子 ☆☆☆ 真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ ☆☆☆☆ 真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 ☆☆☆ レバ刺しの丸かじり ☆☆☆
日本人が知っておくべき竹島・尖閣の真相 ☆☆☆ ニセモノ政治家の見分け方 ☆☆☆ 状箱騒動 ☆☆ 0番目の事件簿 ☆☆
千里伝 乾坤の児 ☆☆☆ 談志が死んだ ☆☆☆ 尖閣武力衝突 日中もし戦わば ☆☆ ビブリア古書堂の事件手帖4 栞子さんと二つの顔 ☆☆☆☆
千里伝 武神の賽 ☆☆☆☆ 真夜中のパン屋さん 午前2時の転校生 ☆☆☆ RDG6 星降る夜に願うこと ☆☆☆ もののけ、ぞろり お江戸うろうろ ☆☆
百獣屋の猛者たち ☆☆ 犯意 ☆☆☆ 屍者の帝国 ☆☆☆ 珈琲店タレーランの事件簿 ☆☆☆☆
雲の盗十郎 ☆☆ 少しだけ,おともだち ☆☆ 何者 ☆☆☆ 難解な絵本 ☆☆☆
氷菓 ☆☆☆ 愚者のエンドロール ☆☆☆    

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

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13/03/31
『愚者のエンドロール』:米澤穂信(よねざわ ほのぶ):2002年8月1日:\533:角川書店:県立M高校図書館
★★★
 多重版の謎は解けない
〜えるの頼みでホータローを含む古典部他の3人のメンバーで,2年F組制作のミステリービデオを視聴することになった。女帝の異名を持つ入須は,脚本家が神経性の胃炎で続きが撮れないのだと云う。確かにビデオは廃村の廃墟となった劇場の上手袖で明らかに殺害されていたが,密室の謎も明かされないままだ。助監督の中城は,見栄えの良い奴を犯人にして涙ながらに告白するという結末で良いという。小道具班の羽場は,ザイルを用意しろと云われたから窓から侵入して窓から逃走したのだという。広報班の沢木口は,ミステリーといってもホラーものを考えていたのだという。どれも納得がいかないホータローは,登場人物は6人ではなく,ハンディーカムを持っていた7人目を犯人にする意図だったと説明し,入須も納得してビデオは完成した。しかし,古典部の他の3人は納得はしていない様子。推理を再開したホータローは,参考にしたホームズの話から,脚本家は死者の出ない話を考えていたのに,役者も小道具も暴走して大量の血糊と切り落とされた腕を用意してしまったので,先が書けなくなり,困った女帝が先輩であるホータローの姉とえるに相談し,ホータローを動かしたのだと知った〜
 そうだなあ・・・おねえちゃんは,7年前に失踪したえるの伯父,関谷純を追い掛けて,インドからヨーロッパに足跡を追い,見つけ出して帰国するんだろう。おねえちゃんは大学生なのか,バックパッカーの風太郎なのか。省エネ少年と豪農のお嬢さんは近づくのか?

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13/03/31
『氷菓』:米澤穂信(よねざわ ほのぶ):2001年11月1日:\457:角川書店:県立M高校図書館
★★★
 帯(というより腰巻きという方がしっくりくるが)の高さが本の背丈と一緒というのは驚いた
〜僕ホータローは灰色の高校生活を送っているが,里志は手芸部や総務委員会で薔薇色の生活を送っている。5歳上の姉から伝統ある神山高校古典部の灯を消さない様,インドから指令が届いた。圧倒的な力の前にやむなく入部届を出して,部室である地学講義室に行くと,先客があり,千反田えるだと名乗る。豪農の一家のお嬢さん。未施錠の教室が数分の内に施錠されていた謎は,階下の物音を推理して判明した。文化祭に向けて文集を作らねばならぬと千反田は云うが,バックナンバーを捜しに図書室に赴くと,天敵とも云うべき伊原が,50年誌が金曜の昼に借り出され,放課後に返却される謎を解けといわれる。謎解きに成功した僕に千反田は,伯父の関谷純の秘密を解き明かす様に求めてきた。折しもイスタンブールから届いた姉の手紙で,鍵の掛かっていない金庫にバックナンバーはあるという。壁新聞部の部室代わりに使われている生物準備室から壁新聞部長の手で届けられた文集名は「氷菓」,ただし創刊号はなく,二号には,関谷純が,その英雄的行動で学校を去ったことが記されていた。平日5日間に開催されていた文化祭を校長の意志により週末2日間に短縮されそうになり,横暴に反対する生徒達が授業ボイコットに乗り出し,キャンプファイヤーで気勢を揚げようとして飛び火した格技場を倒壊させた責任を,生徒側代表である関谷純に被せたというものだった〜
 こんな難しい言葉を駆使して間違えない高校生は見たことない。いくら背伸びしたって無茶。作者自身が好きだったのかも知れないけど,無理ってもんだ。11年で33「版」って何だろう。「刷」なら分かるけど。よっぽど校正が甘かったのかい。高校生に人気が出るかも知れない。もう完全にシリーズ化を意識しているもので,あざとい印象が強い。もうちょっと読んでやるつもりだが

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13/03/30
『難解な絵本』:いとうせいこう:1990年2月20日:\1200:角川書店:東部台文化会館
★★★
 まだ角川春樹が角川書店にいた時代
〜日記体私小説・個人向け小論文・革命宣言・前衛芸術への無理解・歴史的仮名遣い文芸時評・性欲告白・酔っ払いの結婚祝辞・評論(いじめ)・演説批評・不良の過去の軽蔑的美化・自閉症の独白・花伝書・新興宗教勧誘・文芸評論・天声人語・ジゴロの雑誌記事・ベトナム戦争もの・前衛童話・文化評論・アルフォリズム・演劇人の成長・インタビュー記事・ライト感覚のストーリー・老人の独り言・ヒッピー文化・トラック野郎・学究精神・親父の管巻・取説・吾輩はねこ・空間プロジュース・総会屋の雑誌取材・害獣に関する新聞記事・転向声明・アイドルの引退宣言・文化論・闘病記・遺言〜
 何のパスティーシュか書いたつもりだが,世の中にはそれらしい文体が溢れているね。30年前の本

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13/03/29
『何者』:朝井リョウ(あさい):2012年11月30日:\1500:新潮社:県立M高校図書館
★★★
 芥川賞ではないのか
〜コータローは僕タクトのルームメイトでバンドの引退公演の翌朝,髪を短く刈り黒染めしてきた。12月の就職活動解禁前にアメリカから帰国した端月さんと一緒に就職活動をすることになったが,大学も辞め劇団を立ち上げたギンジの事も気になる。僕らの部屋の真上には理香さんも一緒だが,一緒に住む1年休学した理香の彼氏・隆良の冷ややかな態度も苛つく。何処を受けるかきちんとした話をしない内に皆が苦戦する中,端月さんが最初の内定を受けた。通信会社のエリア職だということを理香は揶揄するが,端月さんは夫を見限って上京した母と生活しなくてはいけないので,ちゃんとした会社に就職したいという事情があることを僕は知っているのだ。次の内定はコータロー,中堅出版会社に決まった。僕と理香さんは巧く行かず,端月に一層冷笑を向ける隆良の態度に,端月はとうとう溜まりに溜まった思いをぶつける。コータローの内定祝いをバイト先で開催した夜,理香は拓人に,フェイスブックの別アカウントに書いていることから,そんな事じゃ内定を貰うことはできないと云う。そう,僕は去年の就職活動に失敗して留年し,二度目の活動で周囲を冷ややかに観察していたのだ〜
 トゥイッターやフェイスブック,予測変換。早稲田大学文化構想学部在学中から注目を集め,受賞。あれ,石田衣良にも就職活動を描いたシューカツという小説があったけど,やっぱり今時にするためには,現役学生に近い年代が書いた方がリアリティーがある。こうした風景も情勢によってすぐ旧くなっちゃうんだろう。最後に主人公が就職浪人(とは云わないか?)だったことが明かされる。twitterとかfacebookって魅力や必要を感じないのだけど,今の若者はそうも云えないのだろう,大変だ

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13/03/28
『少しだけ,おともだち』:朝倉かすみ(あさくら):2012年10月25日:\1500:筑摩書房:東部台文化会館
★★
 おともだちをテーマにした短編集
〜幼稚園のおともだちに遊びに行って遅くなりお母さんに怒られるかな。友達のいない幼馴染みが中3で引っ越しするからと思いやりの言葉を掛けるが市内の引っ越しで吃驚,文通を続けていたが,忙しい時分には返事も出さなかった。バイト仲間との飲み会で思わず出したブランドもののチェーンウォレットの中身を山分けしたが,外も中も自分のものだった。元カレの会社で経理を任されている女が使い込んだ金は500万か1000万か。36歳の女は昔から作り話が好きで今も続けている。縫製会社に勤めている女は定年間近の男と結婚して離婚してマンションを手に入れ,上に引っ越してきた若い奥さんが産むであろうこどもを楽しみにしている。同じ系列のT男子校と統合されるC女子校ではベルマークを集めてハンドベルを買おうとしている。非常勤の司書経験を持つ二人で懐かしのメロディーの収録に出向く〜
 何でしょう,これ。Webちくまに連載されたらしいですよ

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13/03/28
『雲の盗十郎』:鳥羽亮(とば りょう):2011年10月30日:\600:朝日新聞出版:東部台文化会館
★★
 御助宿控帳の4
〜諏訪町の米問屋が押し込みに遭って主人が斬り殺され千両を越える金が奪われた。妻が斬った相手を見ていて左眉の脇に切り傷を覚えていた。5年前に暗躍した盗十郎一味の仕業であり,侍も3名加わっている。御助け宿には妻女が十両ばかりを用意して敵討ちを依頼する。茂十は渋い顔だが,十四郎らは快く引き受ける。二軒目は材木問屋で,手口は同じ。大店は心配して3軒が揃って泊まり込みの警備を依頼してきた。6名が別れて泊まり込むが,案の定,十四郎と助八が泊まり込んだ村沢屋に押し込みがあったが,ただならぬ気配に気付いた十四郎は土間でこれを迎え撃って,撃退した。頭目は切っ先を地面すれすれに構える遣い手だ。盗賊のことは盗賊に聞くのが一番と,元女掏摸のお京の伝手で,5年前斬り殺された手先の線から追っていき,頭目を除く一味は炙り出されてきた。尾行するとある材木問屋が狙われていることが判明し,茂十が乗り込んで押し掛け用心棒を引き受けて4日目,頭目が台所付近から侵入し,表の潜り戸を開けて一味を引き入れ終わったところで,十四郎・伝海・波野らが迎え撃つ。波野が胴を切り割った侍は御家人。逃がしたのは頭目一人だった。瀕死の御家人を家に連れ帰ってやると約束をすると,伊賀者の盗十郎が盗人宿の離れに居ることが判明した。払暁を待って,波野と十四郎が乗り込む〜
 毎回,十四郎は傷を負うんだけど,主人公だから軽傷だ。このシリーズは特に物語の成長がないから,どれから読んでも大丈夫。キオスクで買って電車で読んで,読み終えたらゴミ箱にポイッという感じの本だね

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13/03/27
『珈琲店タレーランの事件簿』:岡崎琢磨(おかざき たくま):2012年8月18日:\648:宝島社:東部台文化会館
★★★★
 また会えたなら,あなたの淹れた珈琲を
〜浮気を疑われて彼女に大内刈りで倒された僕は京都の町を追い掛けて珈琲好きで有名なタレーランの名を冠する喫茶店を見つけ,その味と可憐なバリスタに魅せられたが,投げられた時に財布を落としたらしく,携帯番号とアドレスをメモして取りに戻った。その金を返すために再び訪れるとバリスタは僕の名をアオヤマだと云い,誕生日も神無月の末日だと推理する。勿論,バリスタ切間美星はアドレスから推理したわけだが,彼女の淹れるエスプレッソと大叔父というオーナーの藻川又次という老人の作るアップルパイは絶品だ。二回分の代金を払って帰ろうとすると,僕のモスグリーンの傘がなくなっていて赤い傘が残されていた。手回しミルで豆を挽きながら,間もなく傘は返ってくるとバリスタは断言する。果たして戻ってきた先客の一人はマミーに言い付けると叫びながら僕の頬を張って出て行った。戸部奈美子は,別れたくて避けている元カノの友人だったのだ。遠縁で帰国子女の小須田リカが彼氏の浮気を疑って僕に祇園祭の夜,浮気現場の写真を撮る様に依頼してきたが,僕にそんなゆとりはない。バリスタに相談すると,藻川老人が張り込みを引き受けてくれた。写真を見せられていた僕が学食を利用していると,リカのボーイフレンドと出会い,話をすることができたが,浮気をするような男ではない。しかし,老人は祇園さんで彼を見つけ,恋人繋ぎで手を繋いでいる浮気現場を写真に納めてきた。浮気を疑った根拠は,ブラック珈琲を飲めないと云っていた彼氏が,ツイッター内で「家で一人でコーヒーを呑んでいる」という書き込みをしたことで,駆けつけたリカが部屋に上げて貰えず,テーブルの上にブラックコーヒーが置いてあったことだったが,バリスタはブラックの意味がアメリカでは異なっていること,つきあってくれの意味をリカが取り違えたことが原因だと推理する。8月初めに牛乳を奢らされた西洋人の風貌を持つ小学生が8月末の水曜にランドセルを背負い,あちこちに痣を作って帰ってくる場面に遭遇し,その直前に男の子3人が給食袋を振り回したり蹴りつけて帰っていく場面を見た僕とバリスタは,学校で子犬か子猫を飼うために牛乳を欲しがり,8月最終週に始まった二学期早々,クラスメイトに見つかって小競り合いになった挙げ句にいじめっ子が猫を給食袋に押し込んで帰っていく場面だと推理した。飼いきれない子猫はシャルルと名付けられ,喫茶室の看板猫に収まった。僕の出先に元カノが先回りして追い掛けてくる。逃げ回る内に辿り着いたタレーランに5分後に追いついた虎谷真美に新恋人がバリスタ美星だと告げると仕方なく引き上げたが,直後に出現した訳を美星はオーナーの藻川が奈美子を通じて教えていたことを言い当てる。休みの日,ココロフトという雑貨店でダーツの矢を見ているとスーツ姿の青年が試投してみてはと勧めてくる。店員は携帯電話を使っていて職務怠慢であるが,投げてみて3投目,目を瞑ると真ん中に突き立ち,買おうと決意して振り返ると,商品の山は消えていた。店を出ると,バリスタ美星が紙袋を持って声を掛けてくる。夕食に誘うと喜んで付いてくるが,木屋町の京風居酒屋で僕の欲しかったダーツの矢を取り出してきた。携帯を使っていた店員が彼女の親友だったのだ。スーツ姿の青年が誰なのかは,向こうから声を掛けられ,美星が客の心を開こうとして惚れられ,断ると逆恨みしていることを,かつての常連客・胡内だと携帯電話の番号を渡される。その名をバリスタに告げると卒倒したが,胡内こそが逆恨みしている本人だと告げられる。胡内は僕に対し彼女に接近することを禁じる警告を発していたが,僕は猿珈琲を餌に彼女を自分の家まで誘うことに成功した。コンビニに紙フィルターを買いに出入りした後,サプライズで用意した熊のぬいぐるみは手足にひっかき傷が付けられていた。胡内か,元カノの真美か。クローゼットにシャルルが隠れていることを言い当てる。タレーランからの帰り道,バリスタは胡内に襲撃された。僕は美星と別れる決意を電話で胡内に告げ,クリスマスの夜8時で,約束は守るから来てくれるなと宣言する。胡内は来るなと云われても美星を見守るためにやってきて,僕と一緒に歩き出す彼女に拳を振るおうとしたところを,彼女の一本背負いが決まった。そう,僕の名はアオヤマではなく青野大和,ロックオン・カフェのバリスタで行く行くは独立を考えている。美星役は復縁を約束した真美だ。二度と美星につきまとわない約束をさせ,僕もタレーランを訪れない覚悟であったが,美星はすべてを見透していた〜
 第7章の「僕」が誰なのか,判然としない。第10回「このミス」大賞の隠し玉とは・・・応募作はミステリーの部分が弱く,大幅に書き換えを求めて,この本にしたということ。なるほどねえ。確かにミステリー仕立てが整っているね,云われなければ分からないけど

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13/03/27
『屍者の帝国』:伊藤計劃・円城塔(いとう けいかく・えんじょう とう):2012年8月30日:\1800:河出書房新社:東部台文化会館
★★★
 ちょいとペースダウン
〜1878年屍体に電極を差し屍者として使役する時代,大学の医学部で電流により偽りの魂を吹き込まれた屍体を見たワトソンはセワード教授とヘルシング教授によりスカウトされ,軍事探偵ウォルシンガム機関の一員として採用され,ボンベイに送られる。副王リットンにより通常の屍体とは違う制御がされている屍者を見てバーナビー大尉と引き合わされ,アフガンの北パミールに屍者の王国を築いているロシア人・カラマーゾフを捜し出す。彼は生きながら屍者に上書きされた兄を伴い,阿片と単調な音楽を使うことで生きながらに自らを屍者として扱う実験をしていた。この実験には,シベリアでヴィクター・フランケンシュタインが手放した手記が役立ったらしい。ヴィクターは自分の被造物に追い詰められたのだった。通称,ザ・ワン。その手記の複製が日本に渡ったと,日本に乗り込んでいく。大里化学はザ・ワンが新型屍者に無想剣を振るわせていた。それは容器に収められた脳髄が指令を媒介しているものだ。ザ・ワンを追っているのは,ユダヤ人組織のアララトや,屍者を売り込んで歩いているピンカートンらだ。ピンカートンの二人と太平洋を渡り,サンフランシスコで通信記録を探り出し,東海岸ロードアイランドで対決するが,ルナ機関によってチャールズ・ダーウィンことザ・ワンもワトソンも拘束され,ノーチラス号で本国へ送られることになった。ザ・ワンは記録屍者フライデーを介して情報を伝え,乗っ取りに成功し,魂は菌株の働きであると生者に伝え,難なく艦を乗っ取り,解析センターの中心ロンドンタワーに乗り込む。壮絶な戦いの後,姿を消したザ・ワンと新しく生まれ変わったワトソン博士がいる〜
 魂は何故ヒトにだけ宿っているのか。意識はどこから来るのか。という問いを発している。仮説らしきものは提示しているが勿論結論は示さない。この本の半分くらいまでは,食事も摂らず,血の通わない屍が動き回れる不合理さに呆れ,怪人二十面相や黄金バッドというお子様向けの怪奇SF,すなわち荒唐無稽という印象で世界に入り込めなかったが,途中は引き込まれ,エピローグでまた突き放されるという感覚だ。舞台に19世紀後半を選んだのは,シャーロックホームズや海底二万マイルを意識したものに違いない。日本は明治維新の名残を消しつつある時代。ノスタルジー漂う舞台設定だ。生まれ変わったワトソンはMの弟の探偵業を手伝うって事ね

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13/03/22
『犯意』:乃南アサ(のなみ):2008年8月30日:\1500:新潮社:県立M高校図書館
★★★
 その罪の読み取り方は園田寿
〜1:失業者仲間が酒を飲んでいる内に結婚式場で銀食器を盗みに忍び込もうとして警備員に見つかって殺してしまい,火を付けて証拠隠滅を謀った。2:教員同士の嫌がらせが昂じて死ねと強要される。3:一緒に料理修行した板前が酒乱の嫁に手を焼いて,酒を飲みながら止める様に説得したが,酔って殺されそうになり,包丁とナイフで返り討ちにする。4:親の再婚相手から金を当てにして事業を興しては止める男はGSで拾った女に偽札作りを手伝わせて宝石の取り込みを行おうとして宝石商を殺してしまった。5:テント屋が兄貴が失踪して自棄になり,ナンパ通りで女を攫って犯し誘拐をしてしまう。6:日韓共催ワールドカップで日本に入国してちんぴらに救われた韓国女が借金に苦しむソープ嬢からパスポートを受け取るが,女は井戸に突き落とされ殺され,韓国女は中国からの麻薬運びで掴まる。7:手の掛かるこどもを殺してしまう。8:景品開発の会社の上司は部下に横恋慕。9:動かしてはならない脳疾患の父親を宗教家のいるホテルに連れて行き死なせてしまった。10:医師免許取り消し者が医師免許を偽造し,楽にしてやれとしつこい息子に根負けする。11:娘を溺愛する男の後妻になり,DVに悩んで娘を身代わりにする。12:町の電器屋の親父に気に入られ溺酔した男が娘と寝入っている時に火事が起こり電器屋の親父が焼死〜
 1:死刑もありうる。2:威力業務妨害と殺人未遂で懲役6年。3:傷害致死で共同正犯。4:強盗殺人と死体遺棄と幇助罪。5:身代金目的略取罪と監禁罪と強姦罪で8年以上。6:旅券不実記載罪と私文書偽造と強盗殺人と死体遺棄とヘロイン輸入罪。7:殺人罪で15年。8:殺人罪で男同士でもストーカー規制の対象。9:グルは不作為犯の殺人罪,こども二人は保護責任者遺棄致死罪で7年。10:嘱託殺人罪。11:父は傷害致死罪・義母は執行猶予。12:現住建造靴放火だが決定的証拠に欠ける

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13/03/21
『百獣屋の猛者たち』:鳥羽亮(とば りょう):2013年2月28日:\600:朝日新聞出版:駅前学習プラザ
★★
 一冊飛ばしているようだ
〜米問屋の娘が溺死体で揚がったが親は入水したのではないと言い張っている。柳橋の老舗料理茶屋の主が,百獣屋に助けを願ってきた。息子が美人局に引っ掛かり,500両を要求されているという。懐の寒いお助け人たちは直ぐに引き受け,強面の稲造と別のならず者,牢人風の武士がやってきて,談判するが,捨て台詞を残したが,引き上げさせることに成功した。米問屋の相模屋からも,娘が男に入れあげているので,これを断ち切るように依頼があった。娘を尾行すると娘から風呂敷包みを受け取った男は浅草並木町の美乃屋という小料理屋に入っていく。美人局も娘誑かしも同じ仲間だと見て追い詰めていくが,連中は百獣屋を逆に襲う積もりらしい。待ち伏せして,破落戸一人を倒し,塒を探し当てて,牢人二人を倒し,主立った連中を岡っ引きに引き渡すことに成功し,礼金を懐に入れた〜
 金額が前金百両,成功報酬二百両と豪勢だ。一両十万と考えているのだが,そうすると三百両は三千万円! そんな簡単に用意できる金ではないように感じるぜ

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13/03/20
『もののけ、ぞろり お江戸うろうろ』:高橋由太(たかはし ゆうた):2013年2月1日:\490:新潮社:駅前学習プラザ
★★
 家康に柳生宗規に秀忠に柳生十兵衛に真田幸村に宮本武蔵に伊達政宗
〜宮本武蔵の一番弟子の伊織は白狐になってしまった弟・鬼火を人に戻せるかも知れないと,江戸で妖を求めて彷徨っている。将軍・秀忠から隻眼の剣士が辻斬りに及んでいるという書を貰った柳生宗規は息子を疑わざるを得ない。無一文で家出した十兵衛は自分を捜しに出た宗規が蛇に変身する槍を使う伊達政宗に襲われている場面に駆けつけ,黒九尾狐に憑かれている正宗に対するため,伊織も加勢した。それでも足りず,武蔵の娘で歩き巫女のおこう,陰陽師の御堂ユキも味方するが,俊海の札によって霊力を封じられてしまった。宮本武蔵が加わり,男女の真田幸村が戦いに加わって正宗は撃退された。京の公家の様な秀忠は,死んだことになっている家康を斥け,妻から娘に憑いている黒白狐を伊織に移したい〜
 ちょっと説明が多すぎるな。家康と秀忠の確執やら,正宗と母・義姫との関係やら,ちょっと鬱陶しい

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13/03/20
『RDG6 星降る夜に願うこと』:荻原規子(おぎわら のりこ):2012年11月30日:\1700:角川書店:駅前学習プラザ
★★★
 6冊で完結
〜影の生徒会長・村上穂高は,戦国学園祭で能力を顕現させた泉水子を学園トップに推薦して世界遺産候補に立てる積もりだが,陰陽師・高柳は異議を唱え,直接対決が放課後に実現した。見届けは留学生のアンジェリカ。彼女は国際自然保護連合の意向を汲んでいるのだ。高柳が生みだす式神を修験道の護身の呪文であっという間に破った泉水子は,トップは高柳に据えて,その裏で実質的に支配することを望む。初めてのクリスマスパーティーが学園で行われ,結界を解いた泉水子はクリスマスの由来を聞いて死霊を狩るワイルドハントを呼び集めてしまった。高柳が式神を顕したが,その数を数倍に膨らませて秩序を取り戻したのは泉水子だった。泉水子や深行・宗田姉弟を纏めて世界遺産にしようと,海外勢は勢い込む。その中には深行の実の母も含まれているらしい。港区のマンションでのパーティーに招かれて楽しみにしているが,幼い頃から泉水子を調べていた中山瑞穂医師が迎えに現れ,母の紫子が仕事で大怪我をしたと伝えてきた。慌てて飛び出した二人が向かった先は横浜で,母の怪我は連れ出す方便で,船で香港へ渡り,そこから飛行機でアメリカへ渡るのだという。海外の研究者に泉水子を渡すことは山伏集団としてできないという判断だと云うが,二人の前に現れた深行は,泉水子を独占したい瑞穂が拉致を企てたと暴く。隙を衝いて逃げ出した二人を追う集団は,紫子の率いる公安に逮捕されていく。紫子と帰った玉置山では母との短い団欒の後,深行が5時間を掛けて麓から登ってきた〜
 全体に始末を付ける本で,収束させることが目的だった様な気がする。本当は終わらないけど終わらせなきゃならないって感じが溢れている。こっちも安心したけどね。この設定で世界に飛び出していくのは怖いもの

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13/03/18
『真夜中のパン屋さん 午前2時の転校生』:大沼紀子(おおぬま のりこ):2012年12月5日:\640:ポプラ社:県立M高校図書館
★★★
 価格据え置き
〜高校3年になった希美は隣席に転校生を迎える。腹話術で自己紹介する変わり者の男子だ。名は美作孝太郎。いきなり,危機が迫っていて,他人に親切にすると逃れられると売らない結果を話す。二人の通学途中に若い男が運転する車に轢かれそうになり,故意であるようだ。空席になっている希美の幼馴染みの涼香にも親切にすべきだと云い,特急電車に飛び込みそうな勢いに心配になった希美は海岸で,海外に移住する予定を聞き出す。顛末を弘基と陽介に話していると,こだまの父親が店にやってきて,名は美作,孝太郎の父だと明かす。こだまの母親は美作の元同僚・安倍の診療所で働いていて,その怪しい医師がこだまの母・織絵の新しい恋人で,自分の弟の新しい父に安倍医師がなるのが嫌だと孝太郎は告白し,希美に一緒に調べることを願い出た。サトさんという大きな看護師も不思議で,ブランジェリー・クレバヤシで怪しげな有料占いもやっている。老人を集めて明るく遺言状を書こうというのが最も怪しく,以前全財産を安倍医師に贈ると遺言状を書いた資産家老人の親族からも訴えられている。孝太郎と希美が夜の診療所に忍び込むと,希美を車で轢こうとした若い男がサバイバルナイフを持って押し入り,二人を縛り上げ,遅れてやってきた安倍も縛った挙げ句,孝太郎には父親に電話して,彼の妹を救おうとせず見殺しにした謝罪をしろと要求する。狙われていたのは,希美ではなく,神と云われる脳外科医・美作の息子だったのだ。電話をしても美作は取り合わず,GPSで通報したというのみ。パトカーのサイレンに慌てる犯人に,安倍は戸棚の後ろの隠し扉から逃げるように忠告する。美作は過去の医療事故を隠し,そのとばっちりを受けた安倍が退職したことを知った孝太郎は,父を恥ずかしく思い始める。不法侵入の罰として診療所を手伝っていた孝太郎は,白い怪しい粉が詰まったビニール袋を発見する。弘基の同級生で怖いお兄さん達に通じている多賀田は,それが覚醒剤でちんぴらが一人で強奪して行方が知れなくなっているものだと教え,預けることになった。孝太郎は父の破滅を願い,安倍医師を覚醒剤所持で脅して父が過去に犯した医療ミスを広く世間に知らせて,高名なドーキング博士の脳外科手術で更に名を挙げることを阻止に掛かる。色よい返事をしない安倍医師を調べると,大学時代は善意サークルを立ち上げ,そのグループ内では集団暴行事件も起こしている。業を煮やした孝太郎は,その筋になくなった覚醒剤は診療所にあると情報を流し,診療所はさんざんに荒らされ,安倍医師は姿をくらましサトさんもこだまも織絵もパン屋の二階に避難することとなった。父親破滅作戦に反対する希美は,美作医師を勤務病院に訪れて息子との和解の道を探るが受け入れて貰えず,二人が別れて直ぐ,美作医師の悲鳴で振り返ると,妹への医療過誤で腹を立てている若い男が美作医師の腹にナイフを突き入れ,携帯を破壊して,誰にも看取られず死ぬ人の気持ちを思い知れと捨てぜりふを残して去っていく。希美の持っていた体育用のタオルで止血が叶った美作は自分の勤務する病院に担ぎ込まれ,どこからともなく出現した安倍は,駆けつけた孝太郎に徹底的に破滅させる絶好の機会だと死に神らしい本領を発揮する。輸血が不可欠な状況で輸血可能な安倍医師に,孝太郎は父を救ってくれるように必死の願いを告げるのだった。安倍はこれこそが魔法であり,善意は人には伝わりにくいと嘆息するが,善意の王国を諦めたわけではないと語る。看護婦のサトこそは覚醒剤を強奪したちんぴら・柴田悟であった。暮林が店番を務めるパン屋に痩せ細った希美の母・篠崎律子が現れる〜
 登場人物同士の複雑な関係が絡み合ってきて,この作品全体に対する作者の意気込みの高さが感じられる。ちょっと,あざとらしいが・・・。安倍医師や美作医師の詳しい情報が集められなかったのは,脚本家の斑目が長期海外出張中だったというエクスキューズや,孝太郎が希美に接近した理由が,腹違いの弟・こだまが目的ではなくて,みんなと仲良くしたかっただけという子どもの発言だとか,織絵の前だけに姿を現したカッコウの母・律子が密かに暮林に連絡をとっていたとか,律子が痩せ細っているとか,孝太郎とこだまの父・元史が外科医としては致命的な網膜色素変性症だとか,次作に繋がる布石は打てるだけ打っている

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13/03/15
『千里伝 武神の賽』:仁木英之(にき ひでゆき):2011年11月15日:\1600:講談社:県立M高校図書館
★★★★
 4を読んだ後に3を
〜呂用之は時の力の一部を使い随の楊広を甦らせたが,まだ覚束無い。崇山の武僧・絶海は,千里やバソンのように強くなりたくて山を下り,恋い焦がれる蔑収が目の前に現れ,強い師を求めて彷徨う。二人揃って甘蝉という弟子となる。五年に一度の武宮大賽の舞台は麻姑山で,勝者は武神賽に触れる栄誉が与えられる。麻姑は高千里に,崖州の額井峰に生える黄櫨,吐蕃の納木湖に住む嶺羊王の角,麻姑山にある降天の狽新しい弓の材料として集める様に命じた。道士・趙帰真と海南島まで来た千里は結界内に入り,茶屋で働く仙女・明朱のアドバイスを受け,黄乙の遊び相手を務め,武術勝負で朱甲を切り離させて,因果を操らせずに勝利した。朱甲こそが黄櫨の求める束だった。吐蕃ではバソンを求めて龍に乗って旅するが,最初に会えたのはバソンの妻ピキと子であり,吐蕃王の為の弓を作るために納木湖に行っていると知らされる。再会は湖底で,いくつも幻影を見せられた挙げ句,勘に頼って角を手に入れる。絶海は一度諦めた修行に再度挑戦し,弦の張られていない弓で敵を倒せと命じられる。恋する蔑収を鳥に攫われて追い掛けて出会った村人は,甘蝉の力で身体と引き替えに命を長らえたが,死ぬに死ねないと訴える。奇岩を組み合わせた城の様な巣に住む怪鳥は,餌として蔑収を与えようとしており,身代わりとして村人を差し出すが,身のない餌では身代わりにはならないと斥けられる。怒りに燃える絶海の手に黒い巨大な弓が出現し,邪悪な黒い矢が怪鳥を打ち倒す。力と共に自信を手に入れた絶海は,蔑収も我が物とし,武宮大賽で千里とバソンに勝ちたいと明朱が新しく造った武宮を乗っ取って代表の座を手に入れた。麻姑山での代表を賭けた戦いでは,子分ではなく挑戦したい鄭紀昌と千里は手を組み,バソンが飛び抜けているからと,天狐組を率いる文魁之に接近して集めた矢を奪う作戦を立てた。最後に鄭紀昌が裏切ったが,紀昌の情に助けられ,千里とバソンと魁之が代表となった。二人で挑んだ絶海と蔑収は数人を葬り,中央に進み,他の神仙の邪魔を受けながら千里らも最後の戦いに進んだ。絶海は甘蝉から渡された符を使わずに勝ちたかったが,無限の可能性を秘めるバソンの前で符を使い,邪悪な矢でバソンと千里を倒して,手掛かりのない尖塔の上の箱を手に入れたが,輿に乗った煬帝と甘蝉が出現し,武神賽を手に入れた。甘蝉は若い道士・呂用之に姿を変え,時の力を武神賽を込め,野望を挫こうとする神仙を黄泉に送り,神仙の幾ばくかを配下に加えた。地に潜り込む神仙や千里らの前に趙帰真は千里とバソンを地上に投げ返した。戻ってきたのはバソンの地元だったが,村は襲われバソンの妻,ピキもこと絶えていた〜
 ようやく繋がったが,年に一冊では前のお話を忘れちゃうぜ

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13/03/14
『ビブリア古書堂の事件手帖4 栞子さんと二つの顔』:三上延(みかみ えん):2013年2月22日:\570:アスキーメディアワークス:県立M高校図書館
★★★★
 後半に入ったらしい・・・ということは,全7巻の予定か
〜栞子が従妹の結婚式で留守の間に,篠川智恵子から電話が北鎌倉駅のホームからあった。雪ノ下に住む来城慶子という50代の女性から,金庫を開けてくれたら,江戸川乱歩のコレクションを譲ると依頼があり,鍵が鹿山明の本宅にある筈で,捜し出せと云うものだ。もっとも慶子は禄に口が利けず,2歳下の妹田辺邦代が喋った内容だった。鹿山明は大学の学長で厳格な父親という姿であったが,別宅に愛人を囲い,江戸川乱歩の少年向きの小説を愛読する側面を持っていたと推理し,いまや50代となった息子と娘が少年探偵団を読んで喜んでいたことを悦ばしく思っていたに違いない。娘は望まぬ結婚をして家に一度戻った時に,探偵遊びをしていた幼馴染みの現ひとり書房の店主・井上太一郎の店を手伝っていた。今や離婚して実家に住み,ひとり書房を手伝っているが,父が自宅に持っていた秘密の書庫の在処を知っているに違いない。一計を案じて,書斎のクロゼットに隠れていると,特注したソファの座面を持ち上げ,光文社版の初版本は見つかった。鍵は分厚いドアに仕込まれた隠し場所から見つかったが,暗号文は見つからない。鍵を雪ノ下に届けている隙に,母に先回りされたかに思われたが,明氏の孫が大正2年の二銭硬貨を見つけ出していて,その中にあちこち欠けている念仏を点字にすると分かる暗号文が現れた。母に先を越されず金庫を開けた栞子達の前から,妹の邦代が小説「押し絵と旅する女」の原稿が持ち出していた。暗号文は,明氏が用いていたペンネームであったのだ。古書の不思議な世界を教えるという母の誘いを断り,栞子は大輔とのデートを選択した〜
 大輔君の話に及ばなかったが,登場人物達の絡みがはっきりし,母が父の娘を捨てた謎も少しずつ明らかになる。この本で☆5つは早計かなと思って,☆4つ

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13/03/14
『尖閣武力衝突 日中もし戦わば』:井上和彦(いのうえ かずひこ):2012年10月17日:\1143:飛鳥新社:駅前学習プラザ
★★
 昭和38年生まれの軍事ジャーナリストだって
〜中国はアメリカの覇権に挑戦しようと軍備拡張を続けている。兵力は世界最大で,装備の近代化が進めば,日本が敗れる可能性もある。日本は無知無策だった安全保障政策を猛省し航空戦力の拡充を図り,巡航ミサイル防衛(CMD)と新たな宇宙防衛体制を構築し,スパイ防止法の早期制定・ハニートラップ対策を図るべきである。沖ノ鳥島南側の大陸棚申請を続け,沖縄侵略を断固阻止,中国人の土地購入を厳しく規制する土地法の制定,超法規的行動も含む対策を準備,自衛隊員を25万弱から46万人体制に整備,与那国島にも自衛隊を配備,石垣には戦闘ヘリAH−64D飛行隊,大型輸送ヘリCH47JAと汎用ヘリUH−60J,はやぶさ型ミサイル艇・ホバークラフト艇LCAC・海自救難飛行艇US−2・哨戒ヘリSH−60K・ペトリオットミサイルPAC−3を配備,将来はMV−22オスプレイ・先進技術実証機心神も失敗してはならず,航空母艦を持ち,原子力潜水艦を保有せよ。北朝鮮が行動を起こす時,裏では中国が軍事行動を起こしている。インド・台湾・東南アジアと連携せよ〜
 中国が空母を持っていて日本が持たないのは口惜しいという軍事オタクみたい

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13/03/13
『談志が死んだ』:立川談四楼(たてかわ だんしろう):2012年12月15日:\1500:新潮社:東部台文化会館
★★★
 死んで尚,弟子を食わせる談志
〜立川流立ち上げのきっかけとなった談四楼も二日後に死を知り,あれやこれやを思い出す〜
 全然知らないなあ

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13/03/13
『千里伝 乾坤の児』:仁木英之(にき ひでゆき):2012年11月22日:\1600:講談社:駅前学習プラザ
★★★
 3を読む前に4を読んじゃった
〜武神賽を手に入れた呂用之は随の楊広を呼び覚まし,力を持つ神仙を排除,人々の負の感情を奪い,絶海を籠絡して武人を倒し,二百年の支配を続けているため,千里がいた世界とは大きく様変わりしている。共工・玄冥・向芒・蔑収も武神賽を握る絶海に敗れ,羽眠の瞳の中に隠れてしまった。千里は,黒い軍団に村を襲われ,必死に抵抗して敗れ去ったピキの夫である吐蕃の勇者・バソンの気落ちを支えきれず,連れ去られてしまった。赤く熔けた大地が迫ってくる中,気絶した千里が眼を覚ましたのは東王広の許であった。船を手に入れて成都に赴くが,知った町ではなくなっており,母も自分を憶えていないことに愕然とするが,煬帝に抵抗する天狐組の中に武宮の仲間だった鄭紀昌と文魁之を見出す。出撃している隙に本拠を襲われ,多くの仲間か妻子かを選ばされた紀昌は,仲間を救うために妻子を手に掛け,却って仲間から遠ざけられた。羽眠は趙帰真を捜し,空翼の問いに応えて,地に潜り日像鏡を手に入れ,千里を遂に発見する。元の世に戻す方法を模索するが,力ある者が結集しなくては勝てないと考え,連れ去られたバソンが捕らえられていた泰山は人々の恨みと哀しみを蓄え,地の底に沈んでしまった。千里は裏切り者の泰山府君を番人の立場から解放し,バソンに希望を与え,人々の恨みも解放した。羽眠は自らに閉じこめた父や兄姉を解放して絶海に対するが,蔑収が自らの死と引き替えに絶海を煬帝の支配から解き放つ。西都では麻姑とケ雲仙が先陣を切り,武神賽を握る呂用之と対峙し,保持する武神賽は共工に握りつぶされる。人の魂魄を喰らって生き続ける煬帝と呂用之は蛇の姿で新たな世界を作り出そうと動き始め,負けてはいられない千里は羽眠と共に泰山の位置,バソンは衝山,玄冥は恒山,趙帰真は崇山,絶海は華山に立ち,全ての力を千里に集められる〜
 長編が完結するのは初めてだそうな。僕僕先生シリーズはまだまだ続いてい欲しいが,この千里伝は勝つ者と負ける者の実力差がありすぎて,うっかりすると読み飛ばしてしまう。一種のパラレルワールドで,舞台が唐の時代というのが分かり難さを助長しているような気がする。さて,振り返って3を読まなくては

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13/03/09
『0番目の事件簿』:メフィスト編集部・編:2012年11月28日:\1500:講談社:東部台文化会館
★★
 デビュー前の習作アンソロジー
〜有栖川有栖(1959同大)「蒼ざめた星」京都郊外の崖の上で殺された男は何故顔だけ二度も轢かれたか:法月綸太郎(1964京大)「殺人パントマイム」自宅書斎で口述筆記中に殺された食品会社社長:霧舎巧(1963駒大)「都筑道夫を読んだ男」接着剤とチェーンロックで密室を造る:我孫子武丸(1969京大)「フィギュア・フォー」シェーのポーズのダイイングメッセージ:霞流一(1959早大)「ゴルゴダの密室」ホテルの浴室ドアに磔にされた手品師:高田崇史(1958明治薬科大)「バズカヴィル家の犬」ホームズのパロディ:西沢保彦(1960米エカード大)「虫とり」月で異星人と暮らす状況を世界に伝える捨てられた男達:初野晴(1973法大)「14」白眼を剥いた女子中学生と仲間に追い詰められる落ち目のお笑い芸人:村崎友(1973成城大)「富望荘で人が死ぬのだ」お盆過ぎの臨海セミナーハウスで殺人:汀こるもの(1977追手門学院大)「judgement」なんちゃって女子高生売春婦と殺し屋中学生:綾辻行人(1960京大)「遠すぎる風景」多重人格もの〜
 どいつもこいつも凝った名前にしやがって覚えきれない。皆,大学を出てるんだね。まあ,中卒だとか,大学在学中に賞を取ると騒ぎになるわけだが。一様に恥ずかしそうにデビュー前の作品を陳列。初出じゃないところが余計に恥ずかしいのかも。「バズ・・・」,「14」,「judgement」が印象に残るかな。綾辻はちゃんとストーリー構成ができている

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13/03/07
『状箱騒動』:佐伯泰英(さえき やすひで):2013年2月10日:\600:幻冬舎:駅前学習プラザ
★★
 酔いどれ小籐次留書の19
〜北村おりょうが水戸に招かれ出立する前に,うづと太郎吉の祝言が行われ,駿太郎とあいと長屋のおゆうも連れ,帰りには成田にも行くことが決まった。千住に着くと太田晴太郎ら水戸の護衛一行が駕籠を用意して待ち受け,橋には不逞浪人が屯している。小姓頭の太田には水戸の状箱が奪われ,二度目には飛脚が殺されたと伝えられ,町外れでは小籐次に妙な手出しをすると,おりょうら女こどもにも害が及ぶと脅される。更に街道筋では青山老中の手下が接触してくる。牛久では実際におりょうと駿太郎が攫われて取り戻したが,弓手も用意した待ち伏せを返り討ちにする。水戸藩主に宛てた書状から,西国大名の土地で造った行灯が売れなくなったと水戸と赤目は恨みを買ったらしい。小籐次が御槍拝借した手で,水戸と江戸で葵の紋が入った状箱を晒すらしい。馬で水戸へ駆けつけた小籐次は大市の日に曝されると研ぎ師の姿で張り込むと案の定,刺客が現れ,胴流しでこれを倒した。水戸で小籐次は行灯作りの手ほどきを,おりょうは家臣の妻女に読み書きの手ほどきをなすが,もうひとつの用は,久慈屋の奉公を芝居でしくじって紙漉の郷で修行をしている国三を江戸に戻すことだが,簡単にはいきそうにない〜
 国三の話で次作へ繋ぐとは姑息。おりょうの態度が他人行儀で嫌だね

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13/03/06
『ニセモノ政治家の見分け方』:小林よしのり(こばやし):2012年12月20日:\1500:小学館:茂原市立図書館
★★★
 ゴーマニズムRISINGはWEB版
〜覚えているのは,ネトウヨ・潰瘍性大腸炎・バカ・パトリ・sex slaves。痛快なのは,橋下を褒め殺ししている点かな〜
 本当に敵を作って物怖じしないね

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13/03/06
『日本人が知っておくべき竹島・尖閣の真相』:SAPIO編集部・編:2012年10月17日:\933:小学館:東部台文化会館
★★★
 論調はゴーマニズムと同じかな
〜竹島問題は,日本が呼んでいた松島を領土として閣議決定する際に竹島と呼び替えた点に問題がある。鬱陵島と竹嶼,于山島。鬱陵島を日本では過去,竹島と呼んでいたのだ。尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは,1971年に海底資源が見つかってからで,それまで中国領とも台湾領とも主張したことはない〜
 竹島は,そう思うが,尖閣はどうなんだろう。孫崎の云うように,サンフランシスコ講和条約から語らなくてはならないのではないか。まあ,弱腰には違いない。1972年5月15日に沖縄が日本に返還されて,同じ年の9月29日に日中国交正常化。海底資源の問題は別にして,日本に返されるべき土地に「当然」含まれると云うのを覆す前段階のアクションは必要だ。そもそも「無主地占有」という国際法上の前提が変なのだもの

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13/03/05
『レバ刺しの丸かじり』:東海林さだお(しょうじ):2012年12月30日:\1200:朝日新聞出版:東部台文化会館
★★★
 丸かじりシリーズ35で1200円
〜読み終えて印象深いのは,やっぱりレバ刺し,そしてレバ刺しのまがい物。後は,プロ野球弁当1500円の広島・もみじ饅頭,スカイツリーのしイカ,蜜柑,鰺フライ,カマス,焼き解し鮭缶,ぶどうパン,ベーコン,伸び〜る食い物,雪見酒・・・くらいかな〜
 食い物のエッセイって永久不滅だなぁ

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13/03/04
『真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒』:大沼紀子(おおぬま のりこ):2012年2月5日:\640:ポプラ社:県立M高校図書館
★★★
 20円値上げ
〜ブッランジェリー・クラバヤシで6ヵ月が過ぎた希美は店先で佳乃という25歳の美人で愛想の良い女性を迎える。弘基の昔の彼女で婚姻届を書いた仲だと云い,弘基も否定しないので,倉林も2階に住むことを許した。店に出ると常連も新しい顧客も虜にするが,美和子の部屋に移った希美が元の倉庫を覗くと,佳乃は札束がぎっしり詰まったボストンバッグを抱えて眠っている。結婚詐欺師に違いないと,希美は彼女の中・高時代を知る弘基に陽介を誘惑されては困ると云うと,狙いは斑目に切り替えたらしい。こういう女性はいないかと訪ねてくる男達をあしらっている内に,屋根伝いに佳乃は逃げ出してしまった。本気になった斑目が手掛かりを掴むと何者かによって襲撃された。ソフィアに誘われた店で陽介は佳乃を見つけ出すが,浩基は佳乃と名乗っていた女が双子の姉の綾乃だと見破っていて,二人を救ってくれと頼まれる。弘基の悪仲間でその筋のエリートである多賀田も加わり,佳乃と佳乃を付け狙う被害者の一人も一緒に捕らえようと計画がまとまる。佳乃は6000万で住んでいた高層マンションの最上階の部屋を買い戻してやり直す積もりだと云う。ドーベルマンを連れてきた萩尾の思惑は,陽介が犬を取り押さえたことで潰え,佳乃は自首を決意する。暫くして姿を消した綾乃はバレンタインに,斑目に本命チョコを持参し,希美もチョコを陽介に渡すことができた〜
 弘基はもっと若くて25歳だったんだ。夜中に開くパン屋は美和子のアイデアで,美和子の持っていたデジカメには,幼い希美と美和子が映っている謎が含まれ,まだまだ続くぞって意気込みが見える

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13/03/02
『真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ』:大沼紀子(おおぬま のりこ):2011年6月5日:\620:ポプラ社:県立M高校図書館
★★★★
 この表紙のイラストの希美の眼が嫌
〜希美は腹違いの姉の世話になれとアパートから姿を消した。世話をしてくれると返ってきた住所を訪ねると,パン屋で,イケメンでニコニコ顔の白いコックスーツを着た30代後半の男と,これも30代かと思われる黒いコックスーツの怖い顔のイケメン。母の云う姉は手紙を出して間もなく,風の強い日に空を眺めていて,煽られたトタン屋根が降ってきて即死したらしい。直後に始めたパン屋はブランジェリー・暮林。その2階の何もない倉庫に住むことになった。暮林は昼食のパンを持たせてくれるが,そんなものを高校に持っていったら,嫌がらせを受けるに違いない。転校していった小学校で何かと世話を焼いてくれる涼香を鬱陶しく感じていたら,中学・高校と嫌がらせと苛めを受けている。案の定,登校途中で捨てるのを忘れて持っていくと,絡んできて取っ組み合いの喧嘩となった。涼香の両親と暮林が話し合って,蟠りが少し解けた気がする。こだまは小学校3年生だが,家にいるなと織絵に云われると,夜でも町をうろつき回る。懐かしいパン屋を見つけて,織絵が好きなチョコのパンを貰っていこうとしたら,お姉ちゃんが追ってきて,織絵に万引きしたと折檻を受ける。宅配を始めた斑目はシナリオライターだが,当初はファンだと云ってくれた女につきまとい,ストーカーの認定をされ,望遠鏡でその女を見続けている。こだまが上がり込んで,覗き趣味がばれてからには,自分が変態だと告白した方がすっきりする。パン屋でそれを語ると柳弘基は恋するとはそうなのだと共感を持ってくれる。そんな斑目が助けを求め,希美が女性のマンションに着いて中に入ると,薬を飲み過ぎた女性の命を救うことになる。ソフィアは大学を出てからオカマ道に入り,30で店を持てたが,今はホームレスだ。飼い猫みたいな女も近くにいる。希美からチラシを受け取ってから店の常連になったが,こだまが家庭訪問を受けることになって,母親役を頼まれた。こともなく終わったが,大学のサークルの友に町で声を掛けられると逃げざるを得ない。写真を見たソフィアは一緒にいた女がこだまの母の織絵だと気が付いた。弘基は町工場界隈で育ったが,両親が職を失い,金の掛からない悪事は一通りこなしたが,保護司に紹介された家庭教師の美和子によって人生が変わった。彼女がパン屋修行のパリ行きにも後を追ったが,帰国後彼女が始めるパン屋を手伝うことになり,美和子が急死した後,単身赴任から帰国した陽介を支えることになった。不思議な縁だ。斑目が望遠鏡で織絵を見つけたと云ってきたが,こだまは施設にいれられそうだ。皆で追い返した後で織絵は帰ってきたが,こだまは施設に入った方が良いのだと云う。自分に似ているからというのが理由だ。こだまは父の所にいると書き置きをしていなくなった。父親は高層マンションの最上部に住む医師で,織絵が育てるとろくな事にはならないと引き取りを申し出るが,斑目が調べると夫婦に子どもがいないため,他の女が生んだ子を引き取ったが,引きこもりになってしまったと聞き,織絵の父親と同じ人種だと判断した皆は連れ戻し,こだまは万引きしたわけでなく,開店前に美和子から好きなだけパンを持っていって良いと云われていたことを織絵に伝えると,万引き癖がある織絵は安心するが,これからも皆で支えなければならないと考える〜
 軽いお話だが構成力はある。親に相手にされない子が多いって事だろうか。246号と首都高が「交差」する所って何処? 三軒茶屋? だって246の上に首都高3号線は走ってるんだよ。読み返してみたら「重なる」だった。世田谷辺りだね

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13/03/01
『出家とその弟子』:倉田百三(くらた ひゃくぞう):1974年4月1日:\???:新潮社:県立M高校図書館
★★★
 初めて読んだ・・と思う
〜常陸を旅している親鸞と弟子の慈円と良寛は雪の中,山中に宿を求めて百姓家を訪れるが,酔った主人・日野左衛門はけんもほろろの扱い。困った一行は雪の中で深夜を迎えるが,酔いから醒めた左衛門は妻・兼に雪の中,坊主一行を捜すように求める。戸のすぐ外側にいた一行は炉端に迎えられ,語り明かす。15年後,左衛門の息子は出家し親鸞に仕える愛顧の弟子・唯円となっていた。稲田から父に会うために上洛してきた善鸞は,周囲の反対にあって父と会えず,木屋町の遊女屋に唯円を招いて語らう。唯円は親鸞を説得しようとするが,果たせず善鸞は帰国。善鸞は人妻に惚れ,周囲を不幸にした自分を責め,親鸞も自らを責めていた。善鸞が去って一年後,唯円は遊女であるかえでに恋をし,周囲の反対に遭う。周囲の僧は唯円を寺から追い出そうとするが,親鸞に寺を建てた時のことを思い出さされ,唯円に謝罪し,唯円は只々,仏に祈ることを求められる。親鸞が90歳となり,臨終が近付いた側には,元遊女のかえでが世話をし,穏やかな臨終を迎えられるように唯円は心を砕く。高弟が現れる中,善鸞も駆けつけ,親鸞に仏を信じていると云ってくれと云われても,遂に信心の言葉は出なかった〜
 親鸞と弟子・唯円の物語。舞台は江戸時代の京都かと思わされる。話す内容はもっと大正の現代的。この本は丁度,高校生の頃に図書館向けに発行されたハードカバーの文庫本であるため残っているが,酸性紙のせいか,気を付けてめくらないとボロボロとページの端が剥がれ落ちそうだ。いままで四人の女子生徒が読んでいるようで,何年なのかは解らない。この小さな活字を読めると云うことは,いずれにしても若そうだ。倉田さんには,これ以外の代表作はなく,何と26歳の結核闘病中の読む戯曲小説だ。なるほど,キリスト教的な要素が入り混じっている。この頃まで岩波文庫は定価が書いてなくて,☆の数で値段を示していた。☆の単価が度々上がったなぁ。ダウンロードした青空文庫は良いのだが,古い書物に横書きは似合わない気がするのだ

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13/03/
 
★★
 
 
 

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最終更新日 : 2013.03.31

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