2013/01/12
なるほど〜

「楽園のカンヴァス」
〜原田マハ〜

『楽園のカンヴァス』:原田マハ(はらだ まは):2012年1月20日:\1600:新潮社:県立M高校図書館
 素朴派アンリ・ルソーの絵の真贋を巡って
〜大原美術館の監視員である織絵は混血の我が娘が引率されて訪れたもののガムを噛みながら現れたのに戸惑い,同僚にも娘だとは言えない。翌日,館長に呼ばれ告げられたのはMoMAからルソーの夢を借りる交渉に相手側のキューレーター,ティム・ブラウンから指名されたことだった。1983年・・・・・MoMAのアシスタント・キューレーター,ティム・ブラウンは自分宛の封筒を見つけ,自分と一文字違いのトムにルソー作品の鑑定を依頼したものの,手違いで“o”が“i”となって自分に届いたのだとは気付いたが,ルソーを愛するティムはバーゼルの謎のコレクターの許へ行くことを決断する。一人かと思っていたらもう一人,東洋人の美術史研究者,オリエ・ハヤカワと謎の書物を毎日1章ずつ読み進めて,最終日に真贋の鑑定を競わせ,勝者に取り扱い権利を譲るという所有者,コンラート・バイラーの意図を初めて知る。MoMAにある「夢」とよく似ているが,違いがあるその「夢をみた」という作品の鑑定は,テートギャラリーのキューレーター,キーツが行っているのだが,クリスティーズのディレクター,マニングからは電話が掛かり,手に入れて売ってくれれば240万ドルが約束され,トムになりすましていることがばれていると脅される。ICPOの芸術コーディネイターのジュリアも接触してきて,あの絵の下にはブルー・ピカソが隠されており,キーツは愛人のオリエを送り込んで贋作と判定させて手に入れ,ルソーを剥がしてピカソの作品として手に入れようとしているが,何とかルソーを守りたいと告げられる。物語の章の最後には大文字のアルファベットが一文字ずつ記されているが,繋ぎ合わせるとPI*ASSOとなる。並び替えると,PASSIO*。CかNか。物語はモデルとなったヤドヴィガが書いたものらしいことははっきりした。最後の章の文字はなく,オリエが流した涙が滲んでいた。オリエはキーツの子どもを宿しており,ルソーの子を宿していたヤドヴィガと自分を重ねていたのだ〜
 恋物語や親子の諍いもちょっと絡め,ほろっとさせながら推理物に仕立てる巧さ,大したものです。ご本人様は1962年岡山生まれ,岡山といえば倉敷,倉敷といえば大原美術館,アメリカと違って日本だと子どもからも入館料を取るから友の会(あるかないか知らないけど)にでも入って安く通っていたのかも知れない。主人公を監視員にしたのも巧みだが,それが26歳の時に博士号を取っていた人物ってのは突飛だ。95歳の謎のコレクターのセカンドネーム,ジョゼフを隠しているのが嫌らしい処だが,まあ仕方ないか

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最終更新日 : 2013.01.12

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