2013/1
〜1月に読んだ本〜

けさくしゃ 歴史地図本知る味わう愉しむ大江戸探訪 ☆☆☆ カジュアル・ベイカンシーT ☆☆☆ 剣客春秋親子草恋しのぶ ☆☆
カジュアル・ベイカンシーU ☆☆☆ 聞く力 楽園のカンヴァス ☆☆☆☆ 悪の教典 上 ☆☆
悪の教典 下 ☆☆☆ 難民探偵 ☆☆☆ ジャコバン派の独裁 ☆☆☆☆ 空海 ☆☆☆
虚像の道化師 ☆☆☆☆ 謎解きはディナーのあとで3 ☆☆☆☆ チェラブ ☆☆☆☆ チェラブ2 ☆☆☆☆
チェラブ3 ☆☆☆☆ チェラブ4 ☆☆☆☆ チェラブ5 ☆☆☆☆ 間抜けの構造 ☆☆☆
ジョン・マン 望郷編 ☆☆☆ のろのろ歩け ☆☆☆☆ 花や散るらん ☆☆ 散華ノ刻 ☆☆☆☆
るすの残光 月の聖槍 ☆☆☆      

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

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13/01/30
『くるすの残光 月の聖槍』:仁木英之(にき ひでゆき):2012年2月20日:\1600:詳伝社:駅前学習プラザ
★★★
 天草忍法帖?の2
〜はちまき長屋で植木屋見習いをしている寅太郎は昼に長屋に帰り遅い昼食を摂った後,「種」の異能を使って空き寺に見張りを立て,切支丹の世を出現させるべく仲間と鍛錬を行っているが,見張りに咎められずに結界内に入ってきた老武士は徒者でない。閻羅衆である高岡藩の佐橋正市も道場で一人稽古をしている所,手も足も出なかった。寅太郎の養母であるおたまと長屋の名しか憶えていない若い娘が浅草御蔵奉行の神尾に連れられて来た。南部隠の一員であるが仲間からいたぶられていたのだ。御蔵におたまが捕らえられている時に監視役となって親しくなった。大家の仁兵衛は空き店に入れると云うが,まりあの化身は旧敵を身近に置こうとしている。やがて筑後・柳川から救援を求める使いが訪れ,寅太郎と仁兵衛は「さんか」衆の協力を得て山道を使い,西国へと旅する。佐橋も上役から命じられて東海道を旅するが,手も足も出なかった老剣士と雪止めされ同宿するが,翌早朝には置いてきぼりを喰わされる。柳川では亡くなった藩主・立花宗茂と共に闘った木下大蔵が切支丹に退き陣の妙技を伝授し,取締を逃れて島から島へと移っている最中だったが,死んだはずの宗茂が生き返って,襲い来ると知り自らの死に場所と弁えているようだが,あっけなく打ち倒される。寅太郎と仁兵衛と荘介は隠れ里が死人の軍勢により破壊されている前で絶体絶命の危機にある。死んだはずの大蔵の手が宗茂の足を掴んだ期に寅太郎は特大の種を大蔵に仕込み枝葉が宗茂の身体を包んだ〜
 番号を付けてくれないと続き物だって事がわからない。第1巻は天草忍法伝で聖遺物の荊冠を手に入れているが,1冊目を読まないでこれを手に取った人は訳が分からずに苦しむだろう。自分が書いたレビューがなければ自分も分からなかった。天海が春日局の余命を使って西国一の武者を蘇らせるのだが・・・

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13/01/29
『散華ノ刻』:佐伯泰英(さえき やすひで):2012年12月23日:\648:双葉社:駅前学習プラザ
★★★★
 居眠り磐音江戸双紙41
〜坂崎磐音は父を救出し,父・正睦が出府した理由を探ると,還暦を過ぎた藩主と若い側女との間に子が為されたということが判明した。側女は関前藩江戸家老に収まった鑓兼参右衛門が引き合わせたものらしい。鑓兼は紀州の出て田沼意次の息が掛かっており,関前藩を窮地に追い込むために阿片という禁制品にも手を出している。阿片は奉行所に密かに引き渡されているが,国許の物産を保管する深川六間堀町の蔵も手に入れたいらしい。藩物産所から切り離され留守居役に祭り上げられた中居半蔵の後釜を狙い,鑓兼派と反鑓兼派の争いに国家老・正睦が現れ,奏者番に返り咲いた速水左近が立会い,正睦は正室・お代の方に事の真相を説いて語る。江戸家老・老中田沼との繋ぎには札差し伊勢屋六三郎がいて,抜け荷の阿片を扱っている。正睦は速水左近を通じて何事かを幕閣に働きかけているらしい。鑓兼が正室を連れて芝居見物に出掛け,田沼の用人と密談を交わすことを掴んだ磐音らは速やかに動き出す。笹塚は伊勢屋を調べて阿片を押収し,正睦は速水から借りた供揃えで藩邸の正門から藩主の正使として乗り込む〜
 派手な立ち回りがなくてと思っていたら,藩邸の大書院で藩主の小さ刀を示し,留守居役の脇差しで敵を一なぎ。三部作と云っているが,次の巻では田沼の反撃が始まるのか

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13/01/28
『花や散るらん』:葉室麟(はむろ りん):2012年10月10日:\590:文藝春秋:東部台文化会館
★★
 『いのちなりけり』の続編
〜鞍馬で暮らす蔵人に咲弥を通じて吉良上野介の家臣・神尾与衛門を斬るように中院通茂から要請があったが,咲弥は断る。義が存在していないからだと云う。吉良は桂昌院に従一位の官位を贈るように,公家に金を貸し,取り立てているのだ。禁裏は八百屋の娘に高位を贈る気はないし,将軍御台所である信子は高司家の娘で大奥取締の右右衛門佐が阻止に乗り出す。蔵人が動き出さず,京を出る神尾を討とうとした浪人も返り討ちに遭う。綱吉の側近・柳沢保明が黒幕で,京の正親町は異母妹の町子を柳沢の側女として送り出している。町子は好きな羽倉斎と分かれさせられて兄に反発を覚え,柳沢の計略も阻もうと動く。尾形光琳が銀座を運営する中村内蔵助を銀主に借金を返そうと動き出すが,正月に吉良が上洛して釘を刺されてしまった。大奥は高田馬場の仇討ちで名高い堀部安兵衛に神尾を討ち果たせようとして,勅使饗応役に浅野内匠頭を就けるが,堀部と今一人にも断られてしまう。山鹿素行の尊皇の意を継ぐ浅野は,吉良を討とうと松の廊下で小さ刀で斬りつけるが,敢えなく切腹を命じられる。一年後,桂昌院に従一位が贈られるが,額に傷を負った吉良は隠居させられ,手柄は柳沢が独り占めにする。赤穂浪士に吉良を討たせようと云う大奥の暴挙を食い止めるために潜入した咲弥が綱吉の目に留まり,柳沢邸に提げ下された。歌に託して蔵人に救援を求める咲弥を羨ましく感じた町子は,夫が手記や手紙を目の前で焼いたことに腹を立て,神田橋の屋敷に火を放つ。神尾から屋敷の図面を渡された蔵人は火事に乗じて咲弥を救出したが,討ち入りが近づいた堀部に技を伝授する留守に香也を攫われてしまう。香也は吉良が庄に隠しておいたかほるという側女の娘の娘,すなわち孫であったのだ。かほるという側女は米沢上杉家から来た吉良の正室が神尾に命じて殺害したのであった。吉良邸で茶会が催された夜,討ち入り前に香也を救出に蔵人は吉良邸に乗り込むが〜
 鞍馬山で柔術の道場を開いている雨宮蔵人と赤穂の討ち入り。蔵人が出奔した肥前小城藩の内紛がちょっと知りたくなったけど,人物相関図が複雑で面倒くさい小説。悩むなあ。善玉・悪玉をはっきりさせてくれると有り難いのだが,だれもが事情を抱えているので白黒つけがたい。単行本は2009年に刊行されている

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13/01/27
『のろのろ歩け』:中島京子(なかじま きょうこ):2012年9月30日:\1300:文藝春秋:東部台文化会館
★★★★
 慢慢走
〜「北京の春の白い服」北京で中国女性向けの雑誌を立ち上げるために来た30代の山下は,10年前の北京とあまりに違っているのに戸惑い,中国人のセンスとの違いに戸惑う。天安門前で出会った日本からの留学生に色々な北京を見せて貰うが,路地裏の爺から慢慢走と声を掛けられる。「時間の向こうの一週間」お菓子メーカーに勤める夫を追って来た結婚7年目の亜矢子は夫が武漢に出張で,二人で住む部屋を探すためにイーミンという日本語の達者な中国人男性に案内を頼むが,彼は天国という雲南省に移るという。夫が頼んだ女性と一緒に暮らしていた男は日本生まれであった。「天燈幸福」母が亡くなって1年後,24歳の文具メーカー勤めの見雨は,母のサポーターだという台湾の小父さん3人に会いに行く。一人目は只の文通相手,二人目は日本で教えてくれた中国語の先生,三人目に会いに行く列車の中で会ったトニーという学生が同行することになった。ローカル線では線路上から幸福を願うランタンを空に放している〜
 「ゆっくり走れ」が「のろのろ歩け」に変わっているのは何故だろう。「小さなお家」以来に読んだが,3つの長さがまちまちで戸惑う。行ったことはないが,中国の今をよく書いたとは思う

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13/01/26
『ジョン・マン 望郷編』:山本一力(やまもと いちりき):2012年12月20日:\1600:講談社:東部台文化会館
★★★
 3冊目
〜鯨油3300バレルを挙げてニュー・ベッドフォードに戻ったジョン・ハウランド号に乗った16歳のジョン・マンは110ドル余りを手にして,朝食を摂りに外に出て,目玉焼きの美味しさを味わったが,ハワイ上陸・ギョーアン上陸・室戸岬で津呂組の鯨獲りの様子を見たこと・南氷洋で氷に海に飛び込んで仲間を救ったことを思い出した〜
 お話は港に着いてから小切手を受け取り,翌朝ケチャップに触れ,目玉焼きの白身に塩を振って食べた一日に満たない時間しか進んでいない。書き忘れた事があったのだろう。高知の有名人と云ったら,一番が坂本龍馬・二番がジョン万次郎・三番が山内一豊か。坂本龍馬は多くの大作家が書いているから手を出し難いだろうから,どうしても二番手に力が入るんだろうけど

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13/01/25
『間抜けの構造』:ビートたけし:2012年10月20日:\680:新潮社:東部台文化会館
★★★
 真面目に間を語っているから良いのかなぁ
〜間抜けな奴はいっぱいいる,政治家にも・漫才にもトークショーにも場を読む間の感覚が大事・スポーツにも芸術にも映画にも・間というのは欧米人には理解しがたい感覚だ・今までの人生でいくつも間があった・生まれるタイミングや世に出る運も間かも知れない・死んじゃうのが一番大きな間かも〜
 明治大学の卒業証書を貰ったらしい・お前は要らないと云われるまで出続けるのと云うのは正しい。新潮新書と云うことで割に真面目に書いているが筆者名はビートたけし,そのズレが面白い

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13/01/25
『チェラブ5』:ロバート・マカロア:大澤晶(おおさわ あきら)訳:2009年10月30日:\1400:ホルプ出版:県立M高校図書館
★★★★
 Mission5マインドコントロール。原題は Divine Madness
〜ケリー達が爆弾テロを阻止しようとした香港で,指令を下した黒幕を尾行したブルースは相手をホテルで打ち倒し,ヘルプ・アースの幹部の一人がバリー・コックスというオーストラリア人であることを掴んだ。その伝手を辿り,オーストラリアの新興宗教団体サバイバーズに潜入することになったのは,ASISの女性の子どもになりすましたジェームズとローレンの兄妹,そしてオーストラリア出身のデーナ・スミスだった。資産家の父親から財産を分与された風を装ってブリスベンの高級住宅地に入った一同に早速教団は接触し,古いショッピングモールを改造したコミュニティに移り,試験を受けて優秀だと判断され,アウトバックにある通称アークの学校に入れる資格を得るが声が掛からない。施設に入っている老人にセンター長が多額財産の遺産相続書を書かせると,実の息子と争いになり,教団幹部は腹に重傷を,息子も顔に火傷を負った。一部始終を知っているジャームズをアークの寄宿学校に送り込んで情報漏洩を防ごうという案に乗っかって,妹も一緒に送り出されたが,姉役のデーナには別の役割があると離ればなれにされる。アウトバックの要塞のような施設に入ったジェームズは女子更衣室を覗いた罰を尻に受けるが,誘ったのは教祖の33番目の子,ラットだった。ラットはアーク生まれだが,教団には懐疑的で一番上の姉・通称スネークを嫌い,教祖の四番目の妻と情報交換をする間柄だった。ラットを通じて楽な仕事を得たジェームズは火薬製造工場を見つけ,ローレンは教祖が死にそうで妻がヘルプ・アースの幹部と通じて巨額の富を得ており,新たなチャンスを持っていること。デーナは日本のタンカーに爆弾を張り付かせてLNG工場を爆破する計画を掴む。テロチームの出鼻を挫くと共に,アークに侵入するヘリも用意させ,証拠を掴むために教祖の妻のオフィスに忍び込む段取りを付けたが,計画は細部が変えられ,教祖の妻は夫の呼吸器を外して逃亡,教祖の長女は徹底抗戦のため,信者に武器を取らせる〜
 腐れチーズ・デーナ・スミスがチームに加わった。カルト教団というとオウム真理教だが,マインドコントロールの話が丁寧に説明されていて勉強になります。それに環境テロリストがどうやって儲けているかも(これは事実とは異なるかも知れないけど)。この図書館には5巻までしかないので残りは後のお楽しみって事で

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13/01/24
『チェラブ4』:ロバート・マカロア:大澤晶(おおさわ あきら)訳:2009年2月25日:\1400:ホルプ出版:県立M高校図書館
★★★★
 Mission4大もうけ
〜模擬弾を使っての演習後,いちゃいちゃしたいジェームズにガールフレンドのケリーが愛想を尽かし,絶交を言い渡され,廊下を通りがかった少年を平手打ちにしたことで懲罰を科せられたが,管理監のジョンがミッションを提案する。ロンドン郊外の団地に住み,中古車業とパブを経営するロシア系の一家を探索する案件だ。急に羽振りの良くなった理由を探ることだが,潜入早々,隣団地の年長者と喧嘩になり,警察の留置場で過ごすことになる。連行される際,パトカーの屋根にインド系警官のマイケル・パテールに頭をぶつけさせられた。依頼主はこの地域を管轄する主任警部でチュラブOGのミリーだが,信頼している部下の暴行を信じようとはしない。レオン・タラソフの息子マックスよりも同じ階のハンナ・クラークと仲良くなったジェームズは,従兄のウィルが屋上から転落死した場面を見ており,直後に警官マイケルが遺体に触れて死を確認していた様子に不審を感じる。兄役のデーヴはレオンの中古車屋に入り込み,警備会社と連んだ自動車泥棒を一度だけ行って信頼を得,レオンの甥っ子が担っていた仕事を大学入学後に継ぐ話もまとまった。ハンナはウィルが遺したパソコンを使うことを提案し,パソコン本体からCDと現金入り封筒を発見する。CDの中身はゴールデン・サンというカジノのデータで,強盗に襲われた被害額は9万ポンド以上,当夜の警備はパテールの元同僚警官だった。レオンの羽振りが良くなったのはこの強盗事件の後であり,パテールがBMWをレオンから買ったのもその直後であった。決定的な証拠はなく,自供を引き出すのも無理だと考えた一同は,レオンとマイケルを仲違いさせる計画に乗り出す〜
 ゲロって英語で何というのだろう? vomit; ((口)) upchuck; ((俗)) puke, barfとあるけど,どれだろう? ローレンをげろと呼ぶのは,前巻スコップで殴られたラージ主任教官で,降格でヒラになった

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13/01/23
『チェラブ3』:ロバート・マカロア:大澤晶(おおさわ あきら)訳:2008年8月31日:\1400:ホルプ出版:県立M高校図書館
★★★★
 Mission3脱獄
〜ボーリング場で騒ぎを起こし,施設でのスカウティングという詰まらないミッションに就かされになるところをMI5から移った管理監ジョンがジェームズに新しい危険なミッションに引きずり込んだ。アメリカでイギリスに渡される筈だった肩撃ち式精密誘導ミサイルが武器闇商人に強奪された。ジェーン・オクスフォードのグループの犯行と知れたが,ジェーンは二十歳を前に消息を絶っていた。チェラブのエース,デーヴィド・モスと兄弟になり,アリゾナ・マックスに収監されているジェーンの息子・カーティスを脱獄させ,母親を逮捕しようと云う作戦だ。バックアップに妹役が必要だと聞いたジェームズは果たして,基礎訓練を終えたばかりの妹・ローレンを推薦し受け入れられた。収監されたその晩の揉め事で,デーヴは胸にゴム弾を受けて脱落。デーヴが看守に化けて脱獄する計画は,ジェームズが女看守に化ける作戦に変更され,潜入していた大人の支援で,刑務所外に出たものの,予定よりも早く発覚し,検問近くのキャンプ場で20代の子持ち女に千ポンドを払って運転させ,ロサンジェルズへ辿り着く。カーティスはノーマークの父,エティエンの手で,アイダホへ送り出され,オレゴンへと移動し,カーティスはブラジルへ,兄妹はカナダへと旅立つ計画を知る。慎重派の母の計画は二転三転し,カーティスが早めに出発した後,秘密を知った兄妹は始末される運命だったが〜
 このシリーズは登場人物のその後をちゃんと語ってくれて「ああ,なるほどね」と納得させて貰える。緻密な調査で書かれていることがよく分かる

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13/01/22
『チェラブ2』:ロバート・マカロア:大澤晶(おおさわ あきら)訳:2008年2月25日:\1400:ホルプ出版:県立M高校図書館
★★★★
 副題「Mission2クラスA」
〜ジェームズとブルースは周りの忠告も聞かずに無謀に訓練に参加し,ケリーとブルースが喧嘩を始めてしまい,残り休暇を取り上げられてキャンパスに戻ってくるが,与えられたミッションは麻薬組織KMGに子どもから接近して情報を収集することだった。キース・ムーアは別れた妻との間にリンゴという長男,ジュニアという次男,その双子の妹エイプリル,その妹のエリンがいる。カイルはリンゴに,ジュニアにはジェームズが,エリンにはケリーが接近することになったが,ジェームズは転校早々に殴り合いを演じて,その午後には学校を抜け出してゲームソフトを万引きする冒険を通して親密になった。ジュニアはボクシングを習い,そのコーチを通じて末端の運び屋が養成されているが,実の息子のジュニアにはコカインは触らせない。ケリーはキース・ムーアと商売上の付き合いのあるインド系食品工場経営者の息子と親しくなり,食品工場の屋根裏でコカインを小分けにする工場を発見する。見張るべき場所がはっきりしたチームは,コカインに携わる人々を検挙したが,キースが関わっている証拠は挙がってこない。ジェームズの13歳の誕生日,ジュニアと親しくなったニコールはコカインを吸飲して,死にそうな目に遭い,チェラブから追放する憂き目となった。あと一歩で追放されたかも知れないジェームズも気が気ではなかった。ジェームズとケリーは40kgのコカインを運ぶ仕事に抜擢されるが,届け先が分からないままバス停で待機していると,見るからに不良3名に取り囲まれ,ショットガンで脅されて持ち物すべてを取り上げられる。このままでは帰れない二人は首謀者の風体で聞き込み,自宅を急襲してすべてを取り戻すが,これはキースの仕掛けたテストだった。キースに見込まれたジェームズは,バカンスに出掛けるフロリダの別荘で,キースの持つパソコンから情報を抜き出す使命を与えられる。分析すると,今後コカインには手を出さず,家族が暮らしていける資産を引き出そうとしているようだ。南米に伝手を持つ麻薬組織がキースの別荘を襲い,資産の在処を聞き出そうとするが,運良く浜に出ていたジェームズは拳銃を奪って,襲ってくる男を撃ち,ランドローバーを走らせて,応援を呼ぶことに成功した〜
 mission2:クラスAとは麻薬のランクの事で,コカインはこれにあたる。マリファナはクラスC。悪人らしい悪人っていないのかも知れないと思わされ る。妹のローリンは1回目の基礎訓練で指導員に重傷を負わせ,やっと残ったが2回目で合格になるだろう。この話はまだまだ続く

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13/01/21
『チェラブ』:ロバート・マカロア:大澤晶(おおさわ あきら)訳:2008年2月25日:\1400:ホルプ出版:県立M高校図書館
★★★★
 副題は「スカウト」。作者は1972年生まれの元私立探偵
〜ジェームズは11歳,母は故買をやっていて,父親が違う妹・ローレンが一人。太った母親をネタにからかった女の子を壁に突き飛ばし,退学になったが,それを告げるべき母親は飲んではいけない酒を飲んで死亡した。母親の遺した4000ポンドを持ってネブラスカ・ハウスという施設に入ると,ルームメイトは親切にしてくれるが,不良グループに加わり,学校でも問題を起こす。ふと気が付くと,別の施設にいてオレンジのTシャツのマークはチェブラと書いてあり,特異な才能を持ったこどもをスカウトしてエージェントにする施設だと聞かされる。ジェームズは数学のセンスを持っていることが評価された。簡単な試験を受け,快適な環境を求めてスカウトに応じるが唯一の欠点は泳げないこと。15歳のエイミーが水を怖がるジェームズのコーチになり,基礎訓練を受ける刺客を得た。パートナーは女子のケリー。一度落ちた経験を基に訓練をこなしていき,マレーシアでの過酷なテストにも合格した。妹も父親が暴力を振るって拾われてきた。初ミッションは,ヒッピー村に潜入して情報を収集することだった〜
 mission1:ジェームズ1世が特許を出した入会地にヒッピーが住み込み,近所の国際会議場で仕事を貰ったが,石油関係者が集まる会議で炭疽菌を使ったテロを計画。犯人はラジコン車を使って炭疽菌を会議場に運び入れていたが,働いている人に対しては免疫となる特殊株を接種させようとしていた。善と悪の見極めが難しい時代を反映。J.K.ローリングはイギリスのどうしようもない若者を描いていたが,こちらの方は取り敢えずセックスなしで物語を綴ってくれるのでホッとする

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13/01/20
『謎解きはディナーのあとで3』:東川篤哉(ひがしがわ とくや):2012年12月17日:\1500:小学館:県立M高校図書館
★★★★
 納得できないところが多いがシチュエーション的によく出来ているから良いか
〜資産家の年寄りを青酸カリで殺したのは誰か,ラベルのないお茶用ペットボトル・黄色いタオル・切れた輪ゴムがヒント。多摩川の土手で水死させた犯人は誰か,車の上に降り積もった桜の花びらがヒント。宝生家の金の豚を盗むと予告したのに銀の豚を持ち去った怪盗の正体は,ヒントは上着。自宅の子ども用食卓椅子に小柄な老婆を座らせたのは誰か,時速40kmを30分継続させることが現役引退2年後の元競輪選手に可能か。女子大生の身につけていた装身具全てを持ち去って死体として遺棄した犯人の狙いは,カフェで下級生に会った彼女がメガネを掛けて目が見えにくくなった理由は。空き巣狙いの仕業に見せ掛けた犯人は誰か,木刀を握った手は手袋をしていた〜
 風祭警部が本庁に栄転になったが,まだ登場してくるのだろう。シリーズ推計300万部を売っているのだからこのシリーズを止める理由はなく,警視庁に栄転させた理由は,広域捜査や難事件を手掛ける警視庁が出張ってくる大きな事件を起こすつもりらしい

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13/01/19
『虚像の道化師』:東野圭吾(ひがしの けいご):2012年8月10日:\1350:文藝春秋:県立M高校図書館
★★★★
 8を先に読んでしまったが,どうということなし
〜「幻惑(まどわ)す」:念を送って心の汚れを除くという男を教祖とする教団でNo5の財務担当が強い念を送られ,5階の窓から転落死した。教祖は自首して直ぐに帰されたのには,雑誌記者が取材で一部始終を目撃しているからだった。「心聴(きこえ)る」:その会社では不倫の挙げ句に自殺した女が一人。その相手は,子も妻も出ている状態でベランダから飛び降り自殺している。もう一人は病院で幻聴がして老人の杖を振り回して,その場に居合わせた草薙に取り押さえられた。もう一人,若い女が幻聴に悩まされている。「偽装(よそお)う」:バトミントン部の仲間で若くして町長になった者の結婚式に草薙と湯川は参列するが,大雨で山道が塞がり,作詞家の別荘で作詞家と妻が殺されている。第一発見者は娘だが,妻の連れ子で養子縁組もしていなかった。妻は扼殺,夫は猟銃で胸に大きな穴が開いたまま,ロッキングチェアに座っていた。「演技(えんじ)る」:花火の日,女優が主宰の胸にナイフを差し,携帯電話を使った偽装工作を行った〜
 電磁波を使って脳に直接音声を届ける器機はまだないそうだ。引き金に足の親指を掛けて自殺するやり口として,ロッキングチェアに腰掛けた儘という確率は低いよなぁ。携帯電話を使った偽装工作,いまならもう少し巧くできるだろう。電話帳より,リダイヤルの方が簡単だろうに

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13/01/18
『空海』:曽根正人(そね まさと):2012年72月20日:\800:山川出版社:県立M高校図書館
★★★
 山川リブレット人シリーズ
〜空海と最澄〜
 最新の研究成果・新説だからね

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13/01/17
『ジャコバン派の独裁』:佐藤賢一(さという けんいち):2012年12月20日:\1600:集英社:茂原市立図書館
★★★★
 
〜エ 9/12が終了ベールは根っからのサン・キュロットで劇場のモギリから革命に投じ,パリ市の第二助役にもなった。かつてのダントンと同じ立場だが,デュシェーヌ親爺という下世話な新聞が請けている。1793年2月25日,食糧暴動が起こり,様子を見に来た激昂派に荷担するのでもなく,国民衛兵隊を使って排除するのでもない。ロランは内務相を辞任したが,夫人は国民公会をブリュージュあたりに移転すればパリ市民からの圧力を受けなくて済むと考えている。ベルギーを落としたデュムーリエ将軍はオランダに侵攻しようとして目的を果たせず,反革命の分子として浮上し,訴追しようという機運が高まるが,ベルギーに出張していたダントンにも嫌疑が懸けられてきた。反論を自重していたダントンが自ら弁明に立つとジロンド派も沈黙せざるを得ない状況だ。公安委員会と革命裁判所が設立され,大物として告発されたのはジャコバン派の代表・マラであった。人民の友は,多くのパリ市民に見守れながら,無罪を勝ち取ったが,今度は激昂派と共に逮捕されたのはエベールであった。ジロンド派は戦費調達と30万の徴兵のためフランス各地に出張しているジャコバン派が不在の時に12人委員会を立ち上げ,サンキュロットの気勢を削ぐ積もりだったが,はっきりとパリ自治委員会を敵と見なしてきた。釈放された激昂派とエベールは時が来たら暴動を起こすことを約束した。国民公会ではロベスピエールがジロンド派追放を画策し,5月31日に赤い帽子を被ったパリ市民が請願の名を借りて押しかけ,ジロンド派が席を立つ一幕を作ったが,数では勝てない。ダントンはジャコバン派であっても独裁は許されないとロベスピエールを説得する〜
 今回は新聞発行人・エベールの口を借りて語る。次回は粛正の嵐

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13/01/16
『難民探偵』:西尾維新(にしお いしん):2009年12月17日:\1600:講談社:県立M高校図書館
★★★
 新刊本かと思ったら,既に8刷だった
〜窓居証子は大学を優秀な成績で卒業し就職浪人時代を過ぎて就職難民となりかけている。卒業後1年間は親からの仕送りに甘えていたが,アルバイトしながら就職活動すれば大丈夫だと考え,書店員・出版社とアルバイトをしたが,書店は潰れ,出版社は1ヶ月もたずに解雇された。住んでいるマンションからも退去を求められ,実家に帰ろうと相談すると親からは見合いが条件として出された。仕方なく父方の祖母に相談すると,父の年の離れた弟である京樹で手伝いという居候の口が回ってきた。叔父に代わって電話は京都府警からで根深という男の身元引受人になって引き取れと云う内容だった。ネットカフェで寝起きするネット難民らしいが,訪ねてきた刑事によると身分は警視庁の警視であり,わざわざ会いに来た人物は警視総監の真田であった。根深の寝泊まりしているネットカフェで絞殺された後に背中からナイフで一突きされている被害者は大手出版社の専務・焙煎氏で,出不精な人物が京都で殺されている理由と犯人が分からない。その謎の解明に駆り出そうとする真田は1週間で自分の無能振りを明らかにすれば,根深が警察を辞めるのを阻止しないと提案する。新幹線で東京の出版社を訪ねた根深と証子は,秘書の樫村は強引なリストラを行った焙煎に恨みを持っていることを隠さない。もう一人の注意人物はリストラのプロジェクトでは焙煎の右腕だった京都在住の山名氏だが,彼は恨んでさえいない。難民探偵は,怪しいのは山名だと云うが強力な証拠があるわけではなかった〜
 トリックは自分の考えたとおりだったので,気持良いような照れくさいような。この設定が気に入っていたらしく,随分,詳しく設定を書いている。刀語は途中で諦めたが,このシリーズが続くようなら読んでみたいような気がするが,次は設定をだらだらと書くわけにはいかないので大変だ。NISIOISINとは右から読んでも左から読んでもだったなんて気が付かなかった。初めて気が付いたのだろうか,それさえも忘れてしまった

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13/01/15
『悪の教典 上下』:貴志祐介(きし ゆうすけ):2012年8月10日:各\695:文藝春秋:県立M高校図書館
★★★
 
 上巻はだらだらしてるんだけど
 生徒指導〜中身を知りたければ本を読むか・映画を観ましょう〜を「セイシ」というのは初めて聞いたし,専任講師を「教諭」と呼ぶことはない。文庫になったんだから,もう少し調べて書き直せば良いのに

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13/01/12
『楽園のカンヴァス』:原田マハ(はらだ まは):2012年1月20日:\1600:新潮社:県立M高校図書館
★★★★
 素朴派アンリ・ルソーの絵の真贋を巡って
〜大原美術館の監視員である織絵は混血の我が娘が引率されて訪れたもののガムを噛みながら現れたのに戸惑い,同僚にも娘だとは言えない。翌日,館長に呼ばれ告げられたのはMoMAからルソーの夢を借りる交渉に相手側のキューレーター,ティム・ブラウンから指名されたことだった。1983年・・・・・MoMAのアシスタント・キューレーター,ティム・ブラウンは自分宛の封筒を見つけ,自分と一文字違いのトムにルソー作品の鑑定を依頼したものの,手違いで“o”が“i”となって自分に届いたのだとは気付いたが,ルソーを愛するティムはバーゼルの謎のコレクターの許へ行くことを決断する。一人かと思っていたらもう一人,東洋人の美術史研究者,オリエ・ハヤカワと謎の書物を毎日1章ずつ読み進めて,最終日に真贋の鑑定を競わせ,勝者に取り扱い権利を譲るという所有者,コンラート・バイラーの意図を初めて知る。MoMAにある「夢」とよく似ているが,違いがあるその「夢をみた」という作品の鑑定は,テートギャラリーのキューレーター,キーツが行っているのだが,クリスティーズのディレクター,マニングからは電話が掛かり,手に入れて売ってくれれば240万ドルが約束され,トムになりすましていることがばれていると脅される。ICPOの芸術コーディネイターのジュリアも接触してきて,あの絵の下にはブルー・ピカソが隠されており,キーツは愛人のオリエを送り込んで贋作と判定させて手に入れ,ルソーを剥がしてピカソの作品として手に入れようとしているが,何とかルソーを守りたいと告げられる。物語の章の最後には大文字のアルファベットが一文字ずつ記されているが,繋ぎ合わせるとPI*ASSOとなる。並び替えると,PASSIO*。CかNか。物語はモデルとなったヤドヴィガが書いたものらしいことははっきりした。最後の章の文字はなく,オリエが流した涙が滲んでいた。オリエはキーツの子どもを宿しており,ルソーの子を宿していたヤドヴィガと自分を重ねていたのだ〜
 恋物語や親子の諍いもちょっと絡め,ほろっとさせながら推理物に仕立てる巧さ,大したものです。ご本人様は1962年岡山生まれ,岡山といえば倉敷,倉敷といえば大原美術館,アメリカと違って日本だと子どもからも入館料を取るから友の会(あるかないか知らないけど)にでも入って安く通っていたのかも知れない。主人公を監視員にしたのも巧みだが,それが26歳の時に博士号を取っていた人物ってのは突飛だ。95歳の謎のコレクターのセカンドネーム,ジョゼフを隠しているのが嫌らしい処だが,まあ仕方ないか

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13/01/10
『聞く力』:阿川佐和子(あがわ さわこ):2012年1月20日:\800:文藝春秋社:県立M高校図書館
★★
 インタビューのコツ
〜インタビューが苦手だった私が掴んだコツ〜
 インタビューワーとしての経験とそこから掴んだコツ

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13/01/09
『カジュアル・ベイカンシーU』:J.K.ローリング:亀井よし子(かめい よしこ)訳:2012年12月1日:\1500:講談社:県立M高校図書館
★★★
 終わったのか,続くのか
〜セキュリティーの緩いサイトに書き込まれたサイモンへの中傷は,勤務時間外に秘密受注の仕事をし,盗品のコンピュータを使っているというもので,見たサイモンは妻や息子たちに暴力を振るう。スクヴィンダーはガイアが仲良くしてくれることに戸惑いながら,ハワードの新規開店させたカフェで働くことになったが,友人だと思っていたクリスタルから曾祖母を殺したのはバーミンダーだと詰られ,学校を抜け出そうとするところをテッサに見つかり,連絡を受けた母から叱責を受けて,母の事に関する書き込みを議会の掲示板に書き込んだ。それはバーミンダーがバリーを愛していたという内容で,間もなくシャリーの手で削除されたが,次に書き込まれるのは自分だというコリンの不安は高まる。息子ファッツの部屋に入ったテッサとコリンは,煙草や麻薬を見つけ,クリスタルと交際していることに激怒してコリンはファッツを殴りつける。ファッツは親が部屋を出て行くと,父親に対する書き込みを児童性愛者として投稿した。クリスタルは曾祖母の葬儀に出席せず,テリに麻薬を渡すオッボを引き離そうとするが,母と弟が二階に行った隙にオッボに避妊なしの性交を強いられ,ファッツとの間に子どもを設けて家を貰い,キャス祖母ちゃんのようになることを願い始めた。サイモンは整理解雇され,立候補も取りやめ,レディングへの引っ越しが決まった。アンドルーは週末のアルバイトを始め,コリンは事実上の停職扱いを受ける。議会ではハワードがフィールズの切り離しと診療所の賃貸契約解除を提案するが,バーミンダーはハワードの肥満こそが医療費支出を大きくしていると怒鳴り始めた。それぞれの気持ちを抱えた投票結果は,マイルズの圧勝で終わり,翌日のハワードの誕生パーティは当然の様に当選祝いに化けた。妻のサマンサは娘と若者ロックグループのコンサートに行く目論見が崩れ,普段着で参加し,酔っぱらった挙げ句,アンドルーに抱きついてキスしていた。妹のパトリシアは父とビジネスパートナーのモーリンとの情事を子どもたちに打ち明けて帰っていった。アンドルーはサイモンに不正アクセスを教え,ハワードの新しいスキャンダルが掲示板に載る。翌朝,アルバイトに現れたのはアンドルー一人,店主のハワードは体調を崩し,スクヴィンダーはファッツとガイアがキスしている場面にショックを受け,夫の秘密を知ったシャーリーはレキシーとカフェで昼食を摂り,クリスタルはオッボがロビーにも手を出したことを嫌って早く妊娠するためにファッツを訪ねてパグフォードを訪ねた。ギャヴィンはメアリーに告白して拒絶され,皆が川の周りを彷徨いている最中,喉の渇きを訴えたロビーはうろうろした挙げ句に川に落ちた。流れていくロビーを目撃したスヴィンダーは橋から飛び込んで,捨てられたコンピュータで脚に怪我を負いロビーを救うことは出来ずに犬を連れた男に救われた。その頃,ハワードは心臓の発作を起こし,救急車で病院に運ばれる。川筋を走り回ってロビーを捜していたクリスタルは警官に捉えられ弟の死を知り,家のバスルームに籠城して致死量のヘロインを腕に打って死んだ。クリスタルとロビーの葬式がパグフォードで営まれる日,夫の見舞いに出掛けるシャリーは後2,3歩で川に嵌る男の子を見かけたとモーリーンに告白するが,倒れた夫にエピペンを打とうとしなかったことは黙っていた。ウィードン家の争議を仕切ったのはスクヴィンダーだった〜
 最初に死んだバリーは良い奴だった・・・死んだ人間はいい人間。ああ,クリスタルもロビーも環境に左右された挙げ句に死んだんだっけ。この話のドラマ化が進んでいるらしいけど,ドラマで思い出すのは「セックス&シティー」。と云っても一度も見たことはないけど。エピペンの話が出てきて,給食を食べて死んじゃった子にエピペンを打たなかったことでも学校は非難されているようだ。続きが出たら読むだろうか,読まないだろうか

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13/01/08
『剣客春秋親子草恋しのぶ』:鳥羽亮(とば りょう):2012年10月26日:\1400:幻冬舎:東部台文化会館
★★
 親子草ってのが付いた
〜千坂道場の師匠に収まった彦四郎は,門弟が助太刀に入った斬り合いに介入し,これを斥けた。助けた一人は女剣士で陸奥松浦藩で木暮道場の娘・ちさと名乗り,他の二名と共に千坂道場に入門したが,早々に一人が刺客に襲われ絶命した。訳を聞いてみると,次席家老と御用商人が組んで江戸家老を倒し,行く行くは城代家老に収まろうという企みを挫くために江戸に入府したのだという。また襲われるかも知れないと師範の永倉を付けて送り返すが,再び襲われ,右肩と右腕に傷を負ったが駆けつけた彦四郎が一人の腕を木刀で折り撃退した。待っていたのでは埒が明かないと判断した目付らは彦四郎に助太刀を頼み,一人を襲って片付けたが,ちさの彦四郎に対する恋心に気が付いた彦四郎も満更ではない。しかし,次席家老と留守居役は新たな手勢を国許から呼び寄せ,彦四郎と里美の娘・はなが攫われ,手出し無用と云ってきた。手が出せない跡取りに代わり,藤兵衛が同心・坂口に断って岡っ引きを動かして探索し,アジトを突きとめてこれを成敗した。ちさは親子に割ってはいることはできないと国許へ引き上げる〜
 彦四郎と里美と花では世界が狭くて,やっぱり大御所・藤兵衛が出て来なくっちゃ話が動かない。彦四郎中心の話になったので,剣客春秋の後ろに親子草と付けたのだろうけど,今時単行本で出してくれるだけ感謝しなくちゃいけない。もう少し厚みのある話にしていかないと,文庫へ格下げになっちゃうぞ

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13/01/08
『カジュアル・ベイカンシーT』:J.K.ローリング:亀井よし子(かめい よしこ)訳:2012年12月1日:\1500:講談社:県立M高校図書館
★★★
 あれあれテイストが随分違うぞ
〜パグフォードの実質的町長のバリー・フェアブラザーが結婚記念日に妻とゴルフクラブで食事を摂ろうとして出かけ,クラブハウス前の路上で倒れ,死んだ。死因は動脈瘤破裂。居合わせたのは,マイルズとサマンサのモリソン夫妻。運ばれたのは隣市のヤーヴィルの総合病院で,そこに勤める看護師のルースは夫のサイモン・プライスに帰宅した朝に告げたが,噂は町中に広がった。マイルズの父親・ハワードは同じ議員であるが,バリーとは対局にいる人物だ。プライス家の長男・アンドルーは17歳の高校生だが問題を抱えており,親友のファッツは父親が通う学校の副校長のコリー“カビー”,母親は生徒指導担当のテッサ・ウォールであるが,こちらも問題児。父親のカビーが全校集会で信奉していたバリーの死を告げてむせび泣くと,大声を挙げたクリスタル・ウィードンに生徒指導室行きを命じたが,彼女が大声を挙げたのはボート部のコーチをしていたバリーの死にショックを受けたからであり騒ぎを起こしたくて騒いだではなかった。そもそもパグフォードとヤーヴィルの間にあるマナーハウスを買った人物が修繕のためにヤーヴィル市に土地を売り,そこそこの人々を入居させたが,折角道路を造ったのだからと,低所得者向けの住宅地を原野・フィールズに作った結果,公的扶助なしには生活できない多数の人々が住み着き,その子どもたちが由緒正しいパグフォードの初等学校に入学するだけでなく,麻薬依存者のクリニックもパグフォード側に設けたことで,旧住民からはフィールズ切り離しを求める声が起こったものの,バリーはフィールズを身内に留めようとしたことが対立の起こりだった。クリスタルの母親はヘロイン中毒で生活を保護を受けており,新しく来たソーシャルワーカー,ケイ・ボードゥンが担当しているが,彼女はバリーの友人でマイルズの弁護士事務所の同僚であるギャヴィン・ヒューズを追い掛けてこの地に来たのだった。ケイの娘・ガイアにアンドルーは夢中であり,ファッツは性行為の相手として,クリスタルに狙いを絞っている。印刷工場に勤めるサイモンは,議員が袖の下を取っていると聞いて議員に立候補する積もりだ。マイルズも反フィールズ派として議員になる気があるが,副校長のコリンはバリー路線を継承するために立候補の意思を固めた。フェアブラザーを敬愛していたパキスタン系の医師パーミンダー・ジャワンダはバリーの死から立ち直れずにいて,娘のスクヴィンターはファッツから死にたくなるような嫌がらせを受けている。アンドルーは父親の落選を企んでHPに不正侵入し,ファッツはクリスタルとファックした直ぐ近くにバリーの棺を埋めた盛り土があったことに驚愕する〜
 「突然の空席」とは議員の死により空いた穴を巡る争いということ。ハリーポッターとはテイストが違いすぎていて戸惑う。ありそうな話。いや,ないかな?

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13/01/06
『歴史地図本知る味わう愉しむ大江戸探訪』:歴史探訪倶楽部・編:2008年6月1日:\1500:大和書房:県立M高校図書館
★★★
 ブームが来ていたからね
〜家康は水上交通の要地である江戸を居城とした。城を中心に「の」の字を描くように拡張され,町屋は2割〜
 武家地が大半を占め,広い地域が維新後に演習地や駐屯地に利用され,戦後は私的にも利用された

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13/01/06
『けさくしゃ』:畠中恵(はたけなか めぐみ):2012年11月20日:\1500:新潮社:県立M高校図書館
 駄作
〜後の柳亭種彦こと二百俵取りの旗本・高屋彦四郎知久は無役の小普請組。愛する奥方・勝子と暮らし,趣味は連歌で会に入っているが,新しく版元を始めたい山青堂が何処から噂を聞いたのか,戯作者になれと云ってくる。その山青堂の手代が貯めた四両を町名主屋敷の女中・お仙に貢いで団子屋を始めると云い始めて困っているという。悪女には思えないが浅草で団子屋を始めるには資金が足らないと考え,お仙の周囲を探ると上総の実家の商売が傾き奉公に出されて給金も兄が奪っていくらしく,実家から逃れる資金を蓄え,町名主の手代と田舎に引っ込んで団子屋を開く算段だと踏んだ。金を遣った貰った証拠もなく,逃げられそうになる中,種彦は山青堂に金を出させて名前を買い,戯作に仕立てれば良いと提言する。連歌会の師匠が娘が残した歌が見つかったと旗本や商人に披露した。謎解きは,歌に隠されていると云うが,連歌会の師匠は遺された孫の行く末を案じ,実の父親探しを始めたのだった。謎は解けたが真相を語らず,爺孫は上方へ旅立つ。覆面頭巾という戯作者が現れ売れっ子に躍り出た。種彦はその覆面頭巾ではないかと皆が噂するが,二千石取りの旗本・石川伊織も様子を見に来た。伊織は自分の妻・直子が書いた御江戸出世物語が評判になるとどのような反応が自分の周りに生じるか試し,自分が覆面頭巾だと名乗った上で断筆を宣言する。種彦が書いた恋不思議江戸紫が世に出ると上方の版元から重版だと難癖を付けられる。江戸と上方の版元に争いの種があると踏んだ種彦は江戸の版元が上方の類版を作ったことが大本だと突きとめ,往来物を共同制作する話は中間の善太の提案を受け入れ手打ちとなった。湯屋の二階で覆面を被った武士が御政道批判の戯作を語り,同心に犯人だと疑われたのは種彦ではなく,石川伊織であったが,種彦の病気見舞いが二人の不関与を証明した。すると疑いは版元の刷り師や番頭,そして版元に注がれた。石川伊織が深編み笠の武士に斬りつけられたのは種彦の中間・善太の道中差しで,種彦は口入れ屋を通して雇った中間の正体が分からなくなる。八丁堀界隈をほっかむりして歩く中間の手拭いを取ると近くに居た武士らが同じ道場に通った仲間として中間に挨拶をし,徒目付のお役目を邪魔して済まないと詫びさえ入れる。同心一人が腹を切り,事件は収まったが,親戚の起こした事件を戯作者や版元に押しつけようと云う同心仲間の意図が挫かれたのが判明した。種彦が書いた恋不思議江戸紫が突然売れ始めたのは,芝居小屋が女形の提案を受け入れて種彦の本を採用したからだった。招かれた芝居小屋で天井の窓を閉めた時に悲鳴が聞こえ,当たり役の女形が開けられた奈落の底に落ちて死んだ。この事故を芝居小屋は新たな本に書き換え,戯作者が女を巡って女形と争いになった挙げ句に殺したのだという芝居に変え,種彦への風当たりが強くなる。徒目付も謎解きを早々にしろと迫ってくる中,芝居小屋に検分に行き,種彦自身が奈落に突き落とされて殺され掛かる。犯人は兄貴分の女形であるが,座付き作家を庇ってのことだった。小普請組の組頭に呼び出された種彦は咄嗟に捻り出した夏野東雲という名を捨てることで,戯作者・柳亭種彦として戯作を生みだす粋な計らいに救われた〜
 柳亭種彦は実在の人物で,有名なのは偐紫田舎源氏だ。書き方が,苦しんで戯作と称して謎解きを行い,結末を書いた挙げ句,どのような推理で実際はどうであったかを述べているまだるっこしさ。史実に忠実であろうとして,描き方を工夫したのだろうけど,読むのに退屈して苦労するものとなっちゃった。駄作だ。御江戸の出版事情なんかは,もっとすっきり書いて欲しいよなあ。ああ草臥れた。筋は通っているんだから,書き直した方が良いよ。何時の時代も物書きは報われないのに衝動を抑えられないことが云いたいことらしいけど,読者はそんなこと知ったことじゃない!

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13/01/
 
★★
 
 
 

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最終更新日 : 2013.01.30

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