2012/08/07
絵に描いたような〜

「限界集落株式会社」
〜黒野伸一〜

『限界集落株式会社』:黒野伸一(くろの しんいち):2011年11月30日:\1600:小学館:横芝光町図書館
 絵に描いたようなハッピーエンドが今の日本の農業に欲しい
〜多岐川優は銀行の審査部勤めからIT企業の資産運用に転じ,独立の潮時と感じて辞職したが,仕事に没頭して妻と子に去られ,暫くの休養と祖父の遺した寒村の家にやってきた。中央高速で2時間,下道で1時間,止村という限界集落だ。そこは自分を父の晴彦だと勘違いする年寄りと東京からやってきた農業研修生が3名いる。痩身長髪の男と太いオタク系の汗かき男,妙に色っぽいあかねという女を世話するのは,娘・美穂の尻に敷かれている正登という中年男だ。研修生を送り込んだのは幕悦町役場農政部のカマキリ男だが,役場は集落の集団移転を画策している。家に出入りしている年寄りと麓の町まで出かけた翌日,じいさんが一人死んだ。こんな風に人口が減って,村が潰れてしまうのかと思うと,営農組織を立ち上げるしかないと思い,村長に掛け合う気になったが,町の一部になっていて村長は存在せず,リーダー格の大内正登に提案しようと家に出向くと,娘の美穂は取り合おうともしない。思い切って村の皆を集めて,収益性の薄い稲作をやめて手間の掛からない野菜を減農薬で作る提案をすると,村の皆は雄と美穂をリーダーとすることを決定する。田を潰すことに抵抗のある農家も多いが,優と美穂が衝突しながら一年後には株式会社化する方向は見出せた。小松菜と蕪とモチトウモロコシは隣県やネット販売で好評を得ているが,それは自虐的な屑野菜のキャラクターをマンガで描くデブの千秋と,WEB制作の三樹夫,飛び込み営業を臆することなく展開するあかねの尽力がある。秋祭りが復活し,2年目には優のビジネスパートナー・佐藤が調達した資金で,本社社屋と美術館・レストラン,社宅も整え,テレビ局への売り込みで取材を受け,ベジタ坊の脱力キャラも人気を博している。正登とあかね,美穂と優は互いに惹かれ合い,順調に思われた二度目の秋祭りに事件は起こった。あかねを攫って車に乗せようとする男を阻止しようとした正登の苦境にあかねは石で男の後頭部を殴りつけ重傷を負わせたのだ。金主はスキャンダルに反応して返済を迫り,最大口は確保したものの2億4千万を返済しなくてはならない。優の所有するマンション・金資産を売却して村に残ることを決意したと聞いた村人がなけなしの資金を提供しても不足する。振り込み人不明の1000万が口座に入金され,執行猶予付きの有罪判決を受けた後で姿を消したあかねを正登は歌舞伎町で捜し出した〜
 何だか少し方向性が間違っているような気がするが,大きな金が動かないと元気にはならない。星野リゾートや二期倶楽部の高級感を出すのが良いと思うが,地元の農業は残らないかな。休耕地にユンボを持ってきて除草する手は有効だ。手間と時間を掛けるより,金を掛けた方が合理的。その手を一回しか使わせないには理由があるのだろうが,なぜだか書いて欲しかったな。2月にリクエストしたが,地元の図書館が購入してくれず,借用本が届くまでに6ヵ月掛かって吃驚,向こうにも理由があるのだろうが,こうした明るい未来を示す本は買ってくれても良いのになぁ

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最終更新日 : 2012.08.07

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