2012/06/20
流石の大賞だが〜

「弁護士探偵物語 天子の分け前」
〜法坂一広〜

『弁護士探偵物語 天使の分け前』:法坂一広(ほうさか いっこう):2012年1月24日:\1400:宝島社:県立M高校図書館
 『このミステリーがすごい!』第10回大賞受賞:保坂晃一「エンジェルズ・シェア」を加筆
〜ノキ弁の俺は医師の妻子殺しの被疑者である内尾の国選弁護人となったが,鬼瓦のような警察官が作った供述調書に同意することができない。接見しても被疑者が分からない・憶えていないを繰り返すばかりだからだ。法廷で検察官が読み上げる供述調書に内尾は同意したが,同意できない弁護人は裁判長に呼ばれて翻意を促されたが,遂に辞任を余儀なくされ,弁護士会からは1年間の業務停止処分を受けることになり,ボス弁の許を離れざるをえ得なくなった。探偵の真似事でお茶を濁し,処分が解ける直前に受けたトマト缶男の追跡は,妻・笙子の魅力に惹かれたからかも知れない。尾行が終了し,元バーの鍵の掛からない事務所に帰ってくると,扉に足を挟んだ大男・寅田が酔い潰れて眠っており,妻子をザイルで絞め殺された夫であり父であることが分かった。強制入院措置を受けた内尾を訪ねてみる気になって,大野原病院を訪ねるが,体よく追い返されてしまった。翌日,弁護士を呼んでいる同病院の土屋という患者を訪ねる振りをして,内尾を捜してみるが,総務課長は脱出したと云う。用事を足して事務所へ帰ると,今度は本物の絞殺死体に遭遇し,被害者が内尾であると分かったが通報する方法を考えている内に,トイレから飛び出してきた大男に後頭部を殴られ,おまけに警察に通報され,殺人の被疑者として緊急逮捕されてしまった。黙秘を貫き,送検された後に,警察の捜査で自分が犯人ではないことを示す証拠が次々と現れ,処分保留で釈放された。事務所へ帰り,依頼主である佐藤笙子が訪ねてきたが,どうも何かが引っ掛かる。そうだ,トマト味のパスタの名を知らなかったのだ。実家を訪ねて,依頼主が笙子を名乗っていた別人であることを知り,寅田と話し合う内に,トマト缶男こと佐藤が製薬会社勤務で,大野原病院に出入りしていること,精神病院で自殺者が絶えないのは当然の事として,その隙に医療過誤があって,看護師が自殺したことを考え合わせると,擬似薬を納品させて患者に服用させ,よく効く睡眠薬は闇に流しているだけでなく,夫婦揃っての入院患者を殺しておいて,遺された保険金を残った片割れから病院に寄付させる大野原病院のあくどい手口が知れてきた。寅田の妻も出産前まで大野原病院に勤務する看護師だった。土屋を連れ出して,病院側に揺さぶりを掛けるしかない。それにしても,偽の依頼人・ショウコは一体,何者なのか〜
 1973年福岡生まれで京大在学中に司法試験合格した現役弁護士。弁護士への相談料は単価は5,250円。憲法に書いてある人権は絵に描いた餅のようで,裁判所も検察庁もお役所,警察は法知らずの法の番人。弁護士が書いているから真実味は増すけど,22口径は良いとしても,45口径が出てくると嘘くさくなってしまう。ええ,面白かったですけど,続編はどんなもんだろう。こんな経験は一世一代の大冒険ではなかろうか。犯罪者だって,あの弁護士が出てきたら勝ち目はない・・・早めに降参しましょう・・・罪を重ねる必要はないと・・・手を挙げてしまうのではなかろうか? 現役弁護士でペンネームを作ったのか,変えたのか

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最終更新日 : 2012.06.21

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