2012/05/25
第1回野性時代フロンティア文学賞〜

「鳩とクラウジウスの原理」
〜松尾佑一〜

『鳩とクラウジウスの原理』:松尾佑一(まつお ゆういち):2010年4月30日:\1300:角川書店:県立M高校図書館
 野性時代フロンティア文学賞
〜磯野は瀬戸内の町から競馬で大穴を当て入学した大学を5年掛かけて卒業し小さな小さな広告会社に入って大阪のアパートで暮らす。生命保険の広告を「鳩に餌をやる祖父と孫」ででっちあげ,公園で妙な老人に声を掛けられる。アパートに帰るとドイツ軍のアマガエル色の服を着た大学時代の友人・ロンメルが派遣切りにあって転がり込んできたと思ったら,大学の後輩・犬さんもOL仕事に向かないと云って拾った柴犬を連れてやってきた。収入をあてにしてアフロヘアの老人・柳田に誘われ,難波の吉本のビルの屋上にある伝書鳩の管制室に連れて行って貰い,間宮という管制官の雑用を任される。薬剤や恋文も運ぶ今風の伝書鳩通信だ。女性に縁のない男達が作ったクラウジウス団が無線通信を傍受し鳩を捕らえて恋文をすり替える悪戯を仕掛けている。磯野は当然,団の中心メンバーがロンメルであることを打ち明けられない。一部屋で生活する内にロンメルは犬さんに恋をし,間宮はハトコイを断念しなければならなくなっている時,犬さんは自分の恋心を鳩に託すと云う。間宮の恋鳩トシヤをメインに30羽の白鳩を飛ばすことになり,ロンメルは複雑な気持ちで鳩を追うが〜
 主人公の恋の話が薄のは仕方ないか。クラウジウスの原理とは「熱を低温の物体から高温の物体へ移動させ,それ以外に何の変化も起こさないような過程は実現不可能である」という事。解りにくいが,流石に工学の博士号を持つ研究者で,女性に縁のない男が多いのだろうとは思う。可愛い装丁にして貰って次も本を売って貰えるように頑張らなくてはならないね

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最終更新日 : 2012.05.26

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