2012/05/15
巧いなあ〜

「ナミヤ雑貨店の奇跡」
〜東野圭吾〜

『ナミヤ雑貨店の奇跡』:東野圭吾(ひがしの けいご):2012年3月30日:\1600:角川書店:県立M高校図書館
 評判の本
〜大した獲物もなく失敗に終わった空き巣狙いの逃走につかった車が止まり,夜明けまで身を隠した廃屋の看板は「ナミヤ雑貨店」と読める。暫くすると,シャッターの郵便受けから封書が入れられ,読むと妻子ある男の子を身籠もった女性からの悩み相談だ。古い雑誌記事で返事は裏口の牛乳ポストに入れるという手を知って,回答を書く。すぐに続きの手紙が舞い込み,不思議なやりとりが始まった。裏口を閉めておくと,雑貨店の時間は進まないらしいと気付く。次の相談者は魚屋ミュージシャン。やめろ,地道に魚屋を継げとアドバイスするが,手紙が半分突っ込まれたシャッターの向こうからは聞き馴染みのあるメロディーが聞こえてくる。そもそも,廃屋は子ども相手に何でも相談を受け付ける店主が営む雑貨店だったが,経営は成り立っていなかった。悪戯半分の相談が多かったが,夜逃げする親に付いていくべきかという真剣な悩みに牛乳受けを利用して真剣な回答を送る方法を考えたのだった。息子には自分の33回忌に一日だけ復活させて欲しいと遺言して亡くなる。ビートルズが好きだった男児は富士川SAでトラックの荷台に乗り込んで逃げて,警察から児童相談所に回され,素性を告げぬ儘,養護施設の丸光園に預けられ,木彫家として自立を目指すことになる。世話になった施設が火事に見舞われたと聞いて様子を見にいくと木彫の子犬を貰ったという晴美という毛皮を着た女性と言葉を交わす。晴美は両親が交通事故で死に大伯母に世話になったが生活は苦しく,OLとホステスで稼いでいるが,水商売一本で行こうかという悩みを打ち明け,不動産や株取引を学び,コンピュータを使った新しいビジネスのアイデアを貰って成功していたのだ。そのアドバイスを与えたのは30年後の空き巣三人組。そもそも空き巣は施設を買い取ってラブホにしようとしている女社長の別宅を狙ったものであり,廃屋が不思議なタイムマシンになっていることを確かめるため,白紙の便せんの入った封筒を表から投げ入れ,30年以上前の店主から丁寧な返事が返ってきたのだった〜
 物語のアイデアだけは簡単に浮かぶが,どうやって辻褄を合わせるかが問題で,東野さんの場合は本当に上手だ。巧い。すべての登場人物を細い糸で繋ぎ合わせて,編み目を作っている。流石〜

5月の記録にジャンプ

読書記録の目次に戻る

最終更新日 : 2012.05.15

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送