2018/9
〜9月に読んだ本〜

遺訓 ☆☆☆☆ 天空の矢はどこへ? ☆☆☆    

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

読書記録の目次に戻る

18/09/12
『天空の矢はどこへ?』:森博嗣(もり ひろし):2018年6月20日:講談社:¥720:茂原市立図書館
★★★
 Wシリーズの9冊目 Where is the Sky Arrow?
〜カイロ発ホノルル行きエア・アフリカのチャーター機が日本のウォーカロンメーカーの首脳陣を乗せて行方不明になり,九州の火山近くにある施設が何者かによって乗っ取られた。警察のロボット部隊も,HWITEのウォーカロン部隊も突入したまま帰ってこない。装甲車を有線で繋いで突入すると,人やウォーカロンの遺体が発見されるだけ,メインコンピュータは空だった。消息を絶った飛行機が宇宙空間でみつかり,生存者はないが,メインのAIが抜け出したくてデータをすべて送ったらしい。キガタが衛星に飛びチップを回収する。その内容は明らかにならないが,イシカワは企業として存立が危うくなり,他のメーカに買われる位なら,データを逃がすことを考えたのだ。イシカワはポストインストールを施していないウォーカロンを世に出していたのだ。これはもう人だ〜
 人間のように泣いたのか?は2018年10月,完結?

読書記録の目次に戻る

18/09/06
『遺訓』:佐藤賢一(さとう けんいち):2017年12月20日:新潮社:¥1900:千葉市若葉図書館泉分館
★★★
 佐藤さんはフランス絡みを得意にしているのかと思ったが、何と故郷の鶴岡絡みの日本内戦を描いている
〜新徴組の沖田芳次郎は市中見回りの庄内藩の藩士と鶴岡に赴き、松ヶ岡開墾場に入ったが、剣客の勘を活かして政府の密偵を見つけることを得意としていた。庄内藩の名を高めたのは、官軍と戦い破れなかった鬼玄蕃こと・酒井玄蕃の采配だった。芳次郎は玄蕃の護衛として薩摩に赴く。西郷が新政府に出仕し、官軍も賊軍もないという西郷に誘われて庄内藩士も出仕したが、台湾出兵を巡って江藤を排除したい大久保内務卿の策謀で西郷が鹿児島に下って庄内藩士も鶴岡に戻った。政府の挑発で佐賀県士族が反乱を起こし、これを抑え込もうという江藤新平諸共処断された。玄蕃が北海道開拓使総裁の黒田清隆から依頼されたのは清国との開戦時に採るべき戦略を探ることだった。芳次郎も護衛として天津に入り、通訳の黒谷を通して北京に行くこともできた。天津に戻り、日清の交渉決裂が明らかになり、二個大隊の出動があれば勝てるとの報告を北京に居る大久保に届けるために、馬車を走らせるが、やっと気球で迫る刺客を撃退し任務を果たした。有名人の玄蕃は政府の役人から接待を受け、体調を悪くした。江華島事件後も政府に呼ばれて、朝鮮における戦略を練るために韓国視察団に加えられるかと上京したが、その任は与えられず、接待で体調を崩し、熱海での静養も効果なく死亡した。政府による毒殺ではないか、政府による西郷暗殺計画もあるらしい。庄内から鹿児島の私学校に送られる二名に付いて芳次郎も鹿児島に赴くが、任務は南州先生の護衛だった。西郷は熊本の神風連の乱・福岡の秋月の乱・山口の萩の乱を聴き、自分が鹿児島に居ると鹿児島潰しの標的にされると大隅半島で兎猟に興じていた。護衛から帰ると城跡に姿を見せるなつという士族の娘と言葉を交わすようになっていたが、なつは通訳の黒谷と名乗った東京警視庁の少警部として奉職している中原尚雄の妹だった。中原は西郷探索を隠さない。鹿児島で私学校生徒による弾薬強奪事件が起き、妹のなつと懇ろになった翌朝、中原兄の姿は見えず、慌てて大隅に駆けつけて鹿児島へ西郷を連れ帰る最中、山から気球が現れ、襲撃された。暗殺は失敗に終わらせたが、気球は中原の実家近くで見つかり、鬼玄蕃を天津・北京館で襲撃したのも黒谷こと中原だと判明した。呼び出された中原は妹のなつを盾として使い、芳次郎を勧誘したが、暴発した銃でなつは撃たれ、三度の突きで中原の腕を使えなくした。薩軍に担がれた西郷と共に戦った芳次郎は田原坂で脇腹を撃たれ、巡査の服を着て陸軍病院に収容されて治療を受けたのは、かつて新撰組で隊長を務めた齋藤一の計らいだった。包囲された鶴ヶ城で突撃を繰り返した西郷は腹を撃たれて死亡した。東京に戻った芳次郎は、兄を殺された恨みを持つ貿易商の江藤の弟を大久保に見せつけて、参内のルートを変えさせ、大久保に恨みを持つ石川県士族を焚き付けて大久保暗殺を成功させたのだ。西郷から庄内は立つなと諭された庄内は、山形県庁に旧式化しつつある武器の買い上げを認めさせ、暴挙を止めたのだった〜
 庄内の武士は無敗のまま生き延びたが、それは西郷南州先生の言伝が効いたからだってのがテーマかな? いつものフランスものから日本の明治初年ものでは違和感が否めなかったが、書き方は「フランス革命」と変わらず、種明かしは次章でやるというスタイル。フランス革命では、ああなるほど・フランス人はこう考えてこう行動するかと納得したが、日本人を対象にすると本当かよ?と小さな疑問符が浮いてくるね。特に、中原絡みの気球使用の追跡劇とか、酒井玄蕃の砒素による毒殺とか、大久保と西郷の確執とか、大久保暗殺の手口とか、江藤の弟とか、沖田の剣の腕前や勘の良さとか…諸々。すると、フランス絡みの奴も嘘っぽくなっちゃう。まあ佐藤さんの想像力・妄想力は尋常じゃなくて、真に迫るものがあるからだろうけど。この本では、参考文献が沢山並べられていて小説を書くために本を沢山読むのだなぁと感心させられた。あの林なんとかというブスの作家よりも、こっちの方がスリリングでドラマチックで大河ドラマぽかったのではないだろうか。でも終わりが明治10年じゃだめかぁ、維新150年記念だったからねぇ、残念

読書記録の目次に戻る

18/09/
 
★★
 
〜〜
 

読書記録の目次に戻る

最終更新日 : 2018.09.12

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送