2017/7
〜7月に読んだ本〜

ガン入院オロオロ日記 ☆☆☆ 寿命図鑑 ☆☆ 心訓小説 福沢諭吉は謎だらけ。 ☆☆ 世界はゴ冗談 ☆☆☆
ジョン・マン 5立志編 ☆☆☆ ホテルローヤル ☆☆☆ おそろし ☆☆☆☆ ユネスコ番外地 台湾世界遺産級案内 ☆☆☆
超訳 哲学者図鑑 ☆☆ ブラタモリ6松山・道後温泉・沖縄・熊本 ☆☆☆ かがやき荘アラサー探偵局 ☆☆☆ 敵討ちか主殺しか ☆☆☆☆☆
蜜蜂と遠雷 ☆☆☆☆☆ 本所おけら長屋@ ☆☆☆    

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

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17/07/31
『本所おけら長屋@』:畠山健二(はたけやま けんじ):2013年7月30日:¥619:PHP研究所:県立C高校図書館
★★★
 心から笑い、泣いたことありますか? シリーズ累計40万部突破の人情時代小説
〜米屋と酒屋の奉公人である万造と松吉は、大工の熊五郎一家の借金の取り立てのため、嫌がらせを始めたが、夜逃げし書き置きを道具箱の脇に残して川に飛び込んだらしいが、狂言と判ってほっと安心する。島田鉄斎は父が剣術指南を務める藩が取り潰され、奥州黒石藩に流れて御前試合に指南役となったが、恨みを買って人を斬り殺して江戸へ出、女郎屋へ売られた娘が瀕死の母と最後の日を過ごせるように庇っておけら長屋に住み着いた。万松が拾った浪人は敵を追って江戸へ出て来たが、島田が師範代を務める道場でも、士官話を巡って神社境内で立ちあいが始まり、つまらないことで人を斬ってはならないと止めに入ったのは敵持ちの浪人だった。たが屋の佐兵衛は偶々寄った賭場で大儲けをした次の夜におけらになったが、擦り寄ってきた不思議な老人の壺振りの癖を読めとの助言を受け負けなくなったが、面白くはない。店の金に手を付けて娘を売らなければならなくなった手代に一発逆転の指南をする。久蔵が岡惚れした後家のお染は盗賊の情婦だった。それを承知で盗賊を捕らえる罠を張ったのは島田と火盗改の同心だったが、万松コンビが余計なことをして破綻しそうになる。左官の女房のお里が女中をしている絹物問屋に本家から箱入り娘が修行に来たが、世間知らずで笑えることばかり。病気の母に朝鮮人参を飲ませたかった手代が店の金3両を使い込んで、誤魔化すのにお里は島田の力を借りる。表具職人の娘・お梅は湯の子を宿した。長屋対抗相撲大会に優勝したら、お梅と所帯を持つという久蔵が決勝前日の宴会で食中りにあった者の代わりに活躍する〜
 腰巻きの呼びかけに意味はないと思うね。クスクスとは笑えるけど、大笑いできるわけじゃない。万松の掛け合いは落語の様であるが、島田鉄斎の働きはちょっとした剣客小説のようだしね

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17/07/31
『蜜蜂と遠雷』:恩田陸(おんだ りく):2016年9月20日:¥1800:幻冬舎:県立C高校図書館
★★★★★
 本屋大賞と直木賞を受賞
〜芳ヶ江で開催される国際ピアノコンテストには、日本人の血が流れるマサル、既にコンサートピアニストであって母の死により舞台に穴を空けた栄伝亜夜、28歳という最高齢で挑戦する高島明石、フランスで養蜂する父と暮らす風間塵がいる。塵はパリのオーディションから勝ち上がってきたが、皆が先生と呼ぶホフマンが指導していた。彼の演奏を聴く審査員は感情が揺さぶられ、両極端の反応を示すのだ。死んだホフマンはギフトか災厄かと遺していた。マサルとアヤの幼馴染みは再会し、アヤは塵に触発される。二次予選で落ちた明石は奨励賞と作曲家賞を受賞し、他の三人はオーケストラとのコンチェルトである本選に進む〜
 ピアノコンテストが熱くて面白いと言う話を聞き込んだのだろうね。音楽を聴いた感想を文字にするというのはなかなか骨の折れる作業だろうね。実に親切に、最終順位まで載せていてくれる。この本は開いたときに二段構成で構えてしまうが、読み始めると納得だ。その点も親切。読み応えもあるけど斜め読みも可能な軽さ。それでも何度か泣かされたのは、人が人と触れ合いながら成長する姿に感動するからだね。うん、参った、降参

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17/07/27
『敵討ちか主殺しか』:佐藤雅美(さとう まさよし):2017年6月20日:\1700:講談社:茂原市立図書館
★★★★★
 居眠り紋蔵シリーズ第15巻(って書いてないけどね)
〜拝領地を交換した大名家の中屋敷の代表・山本は火事場泥棒が持ち込んだ旗本の刀を買うため、二丁町に面した町屋の二階に目隠しを付けろと難癖を付けた。大地主の廻船問屋の隠居・徳兵衛は、隠居所が火事で半焼になるのを池に入って薦を被って見ていたが、がっちりとした体格の二人が地主の旗本の蔵に入るのを見ていたのだ。八丁堀で攻めの医術を施す戸塚玄庵は評判の良い弟子・井上以伯を娘婿に迎えようと話をするが断られる。伊勢徳の隠居に呼ばれた評判の以伯は、帰り際に伊勢徳を脅しに来た鳶を追っ払うために投げ飛ばしたが、二日後に死んだと言い掛かりを付けられて入牢した。鳶は二丁町の顔役の子分でもあり、その親分が情けない連中に腹を立てて殺してしまったのだった。そもそも以伯は玄庵は飯田の水呑百姓の倅で京都にいた以伯の祖父の薬箱持ちをしていて、主を殺し、著作も盗んで、江戸に出て来て医者を開業した者で、確証が得られた今、以伯は二代にわたる敵討ちをしようとして、玄庵宅に潜り込んでいたのだ。玄庵は死罪になると周りから諫められて断念した。季節外れに火盗改を拝命した小野佐大夫は、火盗改の屋敷を賭場にして経費を捻出していた旗本が取り締まりに遭い、博打打ちが形を潜めていて、新任で張り切っているのに手柄が立てられない。旧聞に属するが御家人が観音政の子分に屋敷を貸していたのを耳に挟んで評定に挙げたが、旧悪は咎に及ばず(時効)と一蹴された。南町奉行の後ろにいた紋蔵が、文吉が身内になっている観音政に類が及ぶのを恐れて入れ知恵したと判断した小野は、観音政と文吉を呼ぶが、観音政は文吉を追い出し、15歳の子どもを身内にするわけはないと言い逃れる。紋蔵が文吉を捜し回ると、勘太の所に転がり込もうとしていた。若竹で再会した紋蔵と文吉に同席していた伊勢徳の隠居は船乗りになることを勧める。文吉を見初めた小島玉と対面した文吉は、すっぱりと話を断り、黒門の潮五郎の世話になることに決めた。伊勢徳の隠居処に居座っている浪人は、貸した金を返すまで居続けると云っている。金を貸したのは金貸しの丸徳、借りたのは大伝馬町の木綿問屋三河屋の勘当された若旦那の清次郎。清次郎は文吉の手習い所の弟分・正太の母の夫となって居着いている。三河屋の主が亡くなり、書き置きが披露されると三千両を正太と正太の母なかに遺すと書いてあった。枝珊瑚をボロ市で仕入れた平太は店を持たない骨董使い走りの徳蔵に二重売りで訴えられた。大坂の廻船問屋の舟が時化に遭って式根島に流れ着き、一人が救われたが、救った式根島の船頭が長持ちに入った高価な品を猫糞し、品川宿でこっそり売り捌こうとしたが、店番に枝珊瑚を持ち逃げされ、買い戻すための、二股を掛けていた両者が争った結果だった。以伯は、藩の道場で増長した弟子に両臑を折られて致仕した剣術家が小石川の養生所に送られたと聞いて引き取った後、札差の用心棒として雇われた。一方、師に怪我を負わせて重村丹後から暇をもらった早瀬小弥太は下谷で不良御家人を集めて、黒門の潮五郎の縄張りを荒らし始めた。鉄砲玉には文吉が選ばれた。養生所では泊まり等の役人小者小女12名惨殺される事件が起こり奉行所は大騒ぎ。小弥太の家にも賊が入り、小弥太本人が斬り殺された。犯人は剣客・小関正蔵に違いないが、名主・家主から20両を巻き上げて姿をくらましていた。野州出の金貸しの浪人が20両の結納を払ったのに嫁いでこないと訴えてきた。娘は幼馴染みと煮売り屋を始めている。小野が舟での博打を検挙しようとして密通者を発見したが、町奉行の壱岐守は紋蔵の入れ知恵で、隠売女の扱いにした。これを聞いた野州出の金貸し・江藤弥五郎は車引きの娘・たまとその夫・三次郎を密通の廉で訴えた。徳兵衛は江藤が押し込みで得た金を元手にしたのではないかと館林に人を送り、江藤ではない江戸橋の河太郎に行き着き、江藤も一味であることが露見した。お姫様になったみわのおさらい会に出るちかは、小町名主の娘であった母そでから、余所行きがないから出られないと云われ、元船頭で今木戸番をやりながら金貸しをしている父・万吉を訪ねたが、船頭をしていた20年前に猫糞した30両が元手だろうと破落戸に絡まれていて素気なく帰された。金をくすねられたと訴える幸兵衛と喧嘩になり、牢に入れられた万吉の人別は母子の住む長屋にあり、まだ夫婦のままだった。幸兵衛は口から出任せだったと判明したが、万吉の元では確かに拾ったものだったが、熨斗紙に包んで落とした店の先に置いて返したのだった。ちかを泣かした祖父と父は揃って余所行きを届けることになり、そでと万吉は縒りを戻した〜
 危うく人殺しになるところだったが、文吉の身の振り方が漸く決まったかな。このシリーズの絡繰り・種明かし・解決編は案外あっさりしてるんだよね。仕掛けは複雑だけど…ま、実際の犯罪もそうかな、云われてみればって感じで

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17/07/24
『かがやき荘アラサー探偵局』:東川篤哉(ひがしがわ とくや):2016年10月20日:\1400:新潮社:千葉市若葉図書館泉分館
★★★
 代表作は「謎解きはディナーの後で」だったが、これは本屋大賞を貰っている、第8回の
〜成瀬啓介は遠い親戚のおばさんで、中央線沿線で最も有名な企業グループを率いる法界院法子に呼ばれて荻窪の豪邸を訪ねた。門を入ってメイドと秘書に案内されて辿り着いた小屋は離れで、居候が大型テレビで何かを視ていた。リストラされた啓介に秘書をしろと言われ、手始めに西荻窪に持っているシェアハウスに住むアラサー3人女から滞納している家賃を取る命を受けて泊まった翌日、居候が首筋を銃で貫通され、大型液晶テレビに弾丸が残され、そのテレビが被害者に覆い被されていた。犯人が不明なまま、最初の命である家賃取り立てに出向いて出会った3人は、時間調整の為に立ち寄ったリサイクルショップで激レアの戦隊ものヒーローのフィギュア争奪戦を演じた相手だった。その中の一人、葵は離れで映し出されていた映像は、プロジェクターで倒されたテレビの裏から現れた壁に映されたものだったと推理し、犯人が女性秘書であると見抜き、滞納してる家賃免除を勝ち得ていた。女3人は一見女子高生の礼菜と、中国地方特有の怪しい方言で喋る短髪の武闘派・美緒でいずれもリストラに遭ってアルバイト生活で、金融機関をクビになった葵同様、苦しい生活をしている。法子会長の古い知人女性の雑用をこなして、啓介が立ち寄ったかがやき荘では、礼菜が駐車場に台車に乗せられて放置されていた全自動洗濯機を玄関先に置いておいたら、夜中の3時に回り始めた謎に大騒ぎしていた。啓介が世話を焼いたのは知人の妹で、その息子すなわち甥が財産目当てに伯母を殺害し、遺体を洗濯機に入れて駐車場まで運んだのだった。金曜の夜に2時間余り車で出掛けて帰ってくる老人の浮気調査は、別れた妻の許に置いてきた息子の子・孫娘が出演している超ローカルラジオ局の番組を聴くためだった。美緒が突き飛ばされたのは、後妻の焼き餅と勘違いだったのだ。葵は仕事終わりに声を掛けられ、西荻窪在住者にインタビューし、表紙のモデルになって欲しいと素敵なおじさまに依頼され、満更でない。洋服と靴を新調され、素敵なレストランでワインを飲んで酩酊したところを救ったのは、同居する妹分たちだった。一人だけ幸せになるのは許せない故の尾行の賜だった。葵は変装していたスキンヘッドの40男の義理の姉を殺し、捜査を混乱させるために、似ている葵を連れ回していたのだった〜
 アラサーの人々は生きにくい人生を歩んでいるんだなぁ、ああ大変

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17/07/24
『ブラタモリ6松山・道後温泉・沖縄・熊本』:NHKブラタモリ制作班:2016年12月16日:\1400:KADOKAWA:東武台文化会館
★★★
  スチルカメラをタモリも購入
〜道後は最も古い温泉・沖縄は琉球・熊本は清正がやり過ぎ位に城作りに没頭し水も支配した〜
 どれも見たよ

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17/07/20
『超訳 哲学者図鑑』:富増章成(とます あきなり):かんき出版:2016年9月12日:\1500:県立C高校図書館
★★
 河合塾の講師で、洗礼名をペンネームに
〜古代:ソクラテス、プラトン、アリストレス、エピクロス、ゼノン、キケロ、仏陀、孔孟、老荘:中世〜近代:アウグスティヌス、トマス・アクィナス、ピコ・デラ・ミランドラ、マキャベリ、デカルト、スピノザ、ライプニッツ、ベーコン、ロック、バークリ、ニューム、パスカル、ルソー、カント、ヘーゲル、ショーペンハウアー:現代@〜実存主義・減少額・社会主義:ベンサム、ミル、ジャイムズ、デューイ、マルクス、キルケゴール、ニーチェ、フッサール、ハイデッガー、ヤスパース、サルトル、メルロ・ポンティ、レヴィナス、アラン:現代A〜構造主義,ポストモダン、分析:フロイト、ユング、アドラー、アドルノ、ホルクファイマー、ハーバーマス、ソシュール、レヴィ・ストロース、フーコー、リオタール、ボードリヤール、ドゥルーズ、ガタリ、デリダ、アルチュセール、ハンナ・アーレント、バルト、バンヤミン、ネグリ、ハート、ロールズ、フランクル、ラッセル、ウィトゲンシュタイン〜
 東洋は哲学者の出ない場所らしく、お釈迦様と老荘しか紹介されていない。「欲望のままに生きるのは真の自由ではない!」カント「理性において人生は選択できる」アリストテレス「苦しいじんせいにを何度でも繰り返せ!」ニーチェ

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17/07/
『ユネスコ番外地 台湾世界遺産級案内』:平野久美子(ひらの くみこ)編著:2017年3月10日:中央公論新社:\1400:千葉市若葉図書館泉分館
★★★
 面白いと思ったんだけど
〜1台湾のセンス・オブ・ワンダー:2日台共通の歴史を内包する場所:3台湾の魂の世界をのぞく〜
 台湾は国際連合に加盟していないので、ユネスコへの申請ができない…おお、それは気の毒。本文と写真や図説が適合していないので、苛々させられる。もう一度、本文に合った写真を撮り、地図を作り直す必要があるね

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17/07/14
『おそろし』:宮部みゆき(みやべ):2008年7月31日:角川書店:\1700:千葉市若葉図書館泉分館
★★★★
 三島屋変調百物語事始
〜おちかは川崎の旅籠の娘おちかは、自分のせいで人が死んだのを悔やんで,叔父の袋物屋・三島屋に引き取られたが、叔父夫婦の不在に叔父の碁敵の相手をして、曼珠沙華に纏わる奇怪な話を聞いた。建具屋の主人には、親のように世話をしてくれた長兄が居て、ある時かっとなって見境がなくなり大工を撃ち殺してしまい、15年間の島流しから帰ってきたのに、今の暮らしを壊されたくなくて、恨んでいた兄が、世話になった親方の庭に咲いた曼珠沙華を見て、首を括ったのだった。その後、心臓の病にも拘わらず、穏やかに死んだ話し手は気が晴れたのだろうと叔父は理解し、それから、口入れ屋を通して不思議な話を聞かせる人間を探して、聞かせるのをおちかの仕事にしたのだった。最初にきた話し手は、錠前職人の父親が、不思議な木製の錠前を預かった内藤坂なかほどの屋敷に住んだ話を語る女だったが、様子が怪しい。おちかの身の上を言い当て、その屋敷に住まないかというだったが、一家の生き残りで、虚ろになった心に化け物屋敷が入り込んで動かしているのだった。妙な夢を見るようになって、おちかは黒白の間でおしま相手に、自分の許嫁の良助が松太郎に殺された経緯を述べる。松太郎は寒い中、川に流され瀕死の状態で助けられ、丸千で兄弟のように育てられ、おちかは線引きをしていたものの、心憎からず思っていた相手だったのだ。祝言の祝いを述べたのが生意気だと詰られ、殴られ蹴られ、良助が持った鉈を取り上げて逆襲し、助けられた場所で飛び降りて首を折って死んだのだった。仕立屋の娘だったお福が語るのは、姉と兄の恋。嫌な咳を繰り返すお彩は大磯に里子に出され、江戸に帰ろうとすると悪化する。その後で生まれたのはお福で、美貌の持ち主として帰ってきたお彩に魅了された市太郎は道ならぬ恋情を抱き、誰もが解っていて口にできなかったが、職人頭だけが主人に諫言し打ち殺されて病死と届けられた。お彩が首を括ると市太郎の憑き物が落ちたように冷静になり、修業先の次女を嫁として連れて帰ってきた。お彩の持ち物はすべて処分されたが、市太郎は妹のお福に手鏡を託して修行に出て、帰ってきて取り戻したのだった。お多福顔の嫁お吉がそれを覗くと、鏡の中に閉じ込められ、代わりにお彩がお吉に取り憑いたのを悟った母おかねは、嫁を手鏡で打ち殺し、市太郎も姉と同じ鴨居で首を吊って果てたのだった。おちかの兄・喜一が三島屋に来るという。何事かと聞くと、松太郎の亡霊が川崎の実家・丸千に出て、呼ばれたと云って姿を消したというので、妹の所に来ているのではないかと考えたからだ。そんな中、越後屋の清重郎が慌ててやって来た。座敷牢のおたかが松太郎が来たから、おちかもやって来るというのだ。意を決して、おちかはおたかの入れられている座敷牢に入ると、それは安藤坂の荒れ果てた屋敷で、蔵だけが新品同様でおたかと松太郎を使って、おちかを招いている。押しとどめたのは建具屋の主で死んだはずの藤兵衛だった。話を聞いて貰った皆がおたかとおちかを外に出す手助けをするが、蔵の中の化け物を退治しろという。蔵の中の長押の櫃の中は空、その空を外に出そうとおちかは振り返らずに蔵を出て行く…〜
 「家の光」に連載されて角川書店で単行本化::次々に掲載誌を換えたのだ。なーるほど、こういう経緯がおちかにあったんだねぇ。シリーズ物の最初は呼んでいないとねぇ。よっぽどのことがあったんだろうとは想像していたけど、想像を上回っていた

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17/07/13
『ホテルローヤル』:桜木紫乃(さくらぎ しの):2013年1月10日:\1400:集英社:千葉市若葉図書館泉分館
★★★
 最初に収録されている「シャッターチャンス」が賞を貰った「ホテルローヤル」だったのか…後ろの方から粗筋を書いてみる
〜ペンキ職人の大吉は同い年の女房に子どもも居るが仕事先の団子屋で若いるり子と出会い理無い仲となり妊娠もした。ラブホテルを経営してみないかという誘いに乗ったものの女房子どもは女房の実家に帰り、つわりで苦しむるり子に6000円の箱入り蜜柑を買ってホテルの女将にならないかと誘った。農場のパートの仕事がなくなってホテルローヤルの掃除のパートに入った60歳のミコは毎晩、十歳下の夫に求められる。三人居る子どもの中で連絡を寄越すのは次男の次郎だけ。その次男が3万円を送ってきたが、町に出て自転車を買いたいと思っている矢先、暴力団同士の抗争で逮捕されたと知らされる。校長に紹介された里沙と結婚した数学教師の野島は札幌から道南に転勤をした。出張仕事が早く終わり帰宅したマンションで、妻と校長が在校中から二十年間付き合っていることを知ったが、表面上は何の変化もない。連休で家に突然帰るとどうなるか予測しながら列車に乗ると、教え子の佐倉まりあが乗ってきた。叔父が借金を作り父が肩代わりをしたが、母はその叔父と逃げ、父も自分を捨てたという。マンションに入る妻と間男を見て、自宅に帰れない野島弘之は教え子と、釧路行きの切符を手にする。姑が死に墓地をローンで買って本間一家の生活は苦しい。お盆に僧侶に渡すお布施もお寺の都合で不要になった。家電量販店に勤める真一は借金を返すために小さな家電店と土地も手放し、舅も一緒に暮らしているため夫婦の寝室さえない。帰り道、余った5千円をホテル代にすることを思いつく。やがて舅が倒れ三日後に死亡する。釧路の寺院はどこも経営難で、20歳上の寺の跡取りに嫁いできた幹子は、檀家の一人から檀家への奉仕でお布施を受け取ることを提案される。夫は不能で自分は不細工。檀家の一人が死んで、息子に引き継がれるが、三日目からは接待に使わせて欲しいと云われる。ラブホテルの経営者が死ぬ間際の言葉が「本日開店」と聞いて、自分に残されている道もこれ一本しかないと思い定めるのだった。ホテルローヤルは母が切り盛りしていたがその母がコーヒー業者と駆け落ちをし、父の死後は高校教師と女子高生の心中事件で客が寄りつかず、雅代はホテルを閉める決意をして、エッチ屋の宮川を呼んで、最後に自分の身体を使って遊ぼうとしたが、男は割れ目に指を置いたまま固まってしまった。美雪は33歳で、怪我でアイスホッケーに挫折した貴史から、廃業したラブホで写真を撮って投稿しようと持ち掛けられ、実行するが、その後で両親に挨拶しなければと云われるのに違和感を感じる〜
 有名な話で、15歳の時お父さんがラブホテルを開いて手伝いをさせられていた。1965年北海道生まれ。実際の本の進行は逆です。発表はいずれも小説すばるで、「シャッターチャンス」「えっち屋」「星を見ていた」「バブルバス」「せんせぇ」「ギフト」の順、本日開店は書き下ろし

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17/07/12
『ジョン・マン 5立志編』:山本一力(やまもと いちりき):2015年6月17日:\1500:講談社:千葉市若葉図書館泉分館
★★★
 数字が付けた。分かりやすくなったが、1年半に一冊のペースね。最近6巻目が出たのさ
〜船長宅がフェアヘブンからスコンチカットネックに移り、農場の仕事も加わったが、間もなく二等航海士養成のバートレット・アカデミーに入学し、ジェイコブという級友を得た。実習船でスキッパーを務めるトム・リングが捕鯨船に乗っていたことを自慢するなと突っかかってきた。しかし放課後に図入りで捕鯨船での様子や南氷洋の恐ろしさ、赤道の話をすると皆が引き込まれていった。初めての実習では鱈を釣り上げて芋も海水で洗い、フィッシュアンドチップを皆に提供して信頼を集めた。ジョン・ハウランド号が大補修を行っている今、ホイットフィールド船長がモーガン氏の新造船に乗ることに問題はない。船長は新妻が産む子の名をウィリアム・ヘンリーとして旅立った。万次郎は樽職人の許で住み込んで技術を身に付けつつ、アカデミーに通うことになったが、制作過程には加えて貰えず、ブラジルから来たカルロス少年と偏屈なハーシー親方の言いつけに従っている〜
 出てくる皆さんが立派で疲れるのよ、山本さんのお話にはね。特に主人公。うーん、アクセントのために入れている高知の話は要らないかなぁ

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17/07/12
『世界はゴ冗談』:筒井康隆(つつい やすたか):2015年4月25日:\1500:新潮社:千葉市若葉図書館泉分館
★★★
 短編小説集
〜「ペニスに命中」:認知症の男性が…。「不在」:大災害後の人びとの不在の中、歳を取らない男性が目覚めた「教授の戦利品」(蛇の権威の先生の役得)「アニメ的リアリズム」(確かに)「小説に関する夢十一屋」(夢に逃げるのは狡い)「三字熟語の奇」(2352語の2078語目の無造作までは普通で、2079語目の怪岸線から態と誤変換:いやはや草臥れる)「世界はゴ冗談」(更に短い話を三つで:あれあれ)「奔馬菌」(昔は自由奔放なことを書いていたが今や自己規制が働いて4時半退治の話が進まない…気を取り直して!)「メタパラの七・五人」(娘二人をモデルにした絵本を描いて当たった挿絵画家が死んだ49日の思い出話に故人も加わる)「附・ウクライナ幻想」(イリヤ・ムローメツを書いた舞台が原発事故とロシアの横槍で壊れていく…)〜
 メタ・フィクションからパラ・フィクションへの提案。齢八十、頑張る

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17/07/11
『心訓小説 福沢諭吉は謎だらけ。』:清水義範(しみず よしのり):2006年10月10日:\1600:小学館:千葉市若葉図書館泉分館
★★
 文体模倣の初期作品が面白かったなぁ…懐かし
〜文学探偵の姪の夫が、福沢諭吉の心訓を心の糧として生きてきた父親にボケが入り込んできたという話を持ち込み、姪の子が慶應義塾に通っていて偽作だと云われてショックを受けている話を聞かせた。そもそもオート三輪を作っている会社に勤め、農機具を手掛けているが、九州の田舎では売れなかった経験を持つ坂本は、うらびれた寿司屋で心訓に触れ、生きるための芯を得た。作家が調べると著作集にも全集にも心訓はなく、偽作だと云っている文が載っている。だれが、いつ、作ったのか、作家の推理は、戦後の昭和25年、福翁の50回忌に合わせて、大分付近の小学校の社会を専門とする先生が作ったのだ。文隆は父が引き取った遠縁の小学校の先生を思い出し、彼が自分が作ったと云っていたのが唐突に蘇る〜
 最初の段階で坂本って書いているのに、途中からプライバシー保護のためにSと呼んでいるのは??? 文隆の結婚式でスピーチをしているのに、その父親と面識がないなんてありえない!!

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17/07/10
『寿命図鑑』:いろは出版編著:いろは出版:2016年8月1日:¥2700:県立C高校図書館
★★
 副題「生き物から宇宙まで万物の寿命をあつめた図鑑」
〜動物は1年と少しのハツカネズミから100年のガラパゴスゾウガメまで/天体は数分の虹から10の65乗年のブラックホールまで〜
 まあ絵本ですから、あちらこちらに目くじらたてるのはよくないけど、何をどう選ぶかは難しいよね。イラストは、やまぐちかおりさん

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17/07/09
『ガン入院オロオロ日記』:東海林さだお(しょうじ):文藝春秋:2017年3月10日:\1350:茂原市立図書館
★★★
 肝細胞がんで40日入院
〜初体験入院日記Tがんと過ごした40日をふりかえるU病院は不本意でいっぱいVヨレヨレパジャマ族、威厳ヲ欲ス・官能で「もう一度ニッポン」・大冒険 水陸両用バス・粉もん大好き・対談×新井平伊:認知症時代の”明るい老人哲学”・〆切り5分前・ミリメシはおいしい・両交互大研究・座談会×南伸坊×伊藤理佐:雑誌って面白い!・初詣はおねだりである・「肉フェスティバル」は肉爛漫・そうだ、そば食いに行こう・分類学入門・ガングロを揚げる・対談×岸本佐知子:オリンピック撲滅派宣言「スポーツって、醜いよね?」〜
 男の分別学・「オール讀物」のネーミングは菊池寛らしい

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17/07/
 
★★
 
〜〜
 

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最終更新日 : 2017.08.01

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