2016/9
〜9月に読んだ本〜

陽だまりの彼女 ☆☆☆ ひらいて ☆☆☆☆ あのひとは蜘蛛を潰せない ☆☆☆ 狼の時間 ☆☆
路地裏のあやかしたち2 ☆☆ 猫は剣客商売 剣客春秋親子草 襲撃者 お面屋たまよし ☆☆
珈琲店タレーランの事件簿4 ☆☆ 路地裏のあやかしたち3 ☆☆☆ 希望の海 ☆☆☆☆ くらべる東西 ☆☆☆☆
掟上今日子の婚姻届 ☆☆☆ 読みはじめたらとまらないダンテ『神曲』 ☆☆☆ 掟上今日子の家計簿 ☆☆☆ Χの悲劇 ☆☆☆☆☆
みつばち高校生 富士見高校養蜂部物語 ☆☆☆ 母子剣法 ☆☆    

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

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16/09/30
『母子剣法』:鳥羽亮(とば りょう):2014年10月10日:\580:幻冬舎:東部台文化会館
★★
 剣客春秋親子草シリーズの2なんだけど…
〜出羽島中藩の新たな門弟が帰り道に何者とも知れない者に襲われた。古手の門弟も別の場所で、右腕を斬り落とされた上で、袈裟懸けに斬り殺されて見つかった。島中藩では軟弱な若君に剣術稽古の習を付けて欲しくて一刀流の道場を色々当たり、指南役を探しているらしい。千坂道場にも声が掛かったが、里美と花の稽古姿が藩主に伝わったらしい。愛宕坂下に出掛けて稽古を付けると、若君も花が竹刀を振る姿に触発されている。島中藩士に訊くと、八相に構えた太刀を寝かし、光を跳ね返して幻惑し、返す刀で腕を落とす雷落としという技が国許に残されているという。出入りの下っ引きと岡っ引きを動かすと、三橋道場という零落した道場が浮かび上がり、食客である鬼斎流の大河内という剣客が浮かび上がってきた。出稽古の帰りを襲われ、三橋道場に逆襲し、千坂道場にも乗り込まれて撃退し、数が減った相手が出稽古帰りに襲ってきたところを返り討ちにする〜
 あれぇ…最近読んだ同シリーズ最新刊と似たような内容だなぁ…電車通勤の行き帰りのキオスクで買って読んで・捨てて・・・・忘れちゃうから、良いのかな?

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16/09/29
『みつばち高校生 富士見高校養蜂部物語』:森山あみ(もりやま):2016年1月15日:\1500:リンデン舎:県立M高校図書館
★★★
 日本一標高の高い967mに立地する長野県立富士見高校・園芸科に2008年に入学した竹前千春さんが2年の夏休み後に北原先生と作り上げた
〜進学校にも入れる実力を持ち,父親に反対されながら普通科2クラスと園芸科1クラスの小規模高校・長野県立富士見高校に入学した千春は,農家の嫁になるという夢以外の将来の進路に悩み,北原先生のフィールドワークに付き合って車で走り回ると,年寄りが脚立に上って木の枝に手を伸ばす姿に不思議に思い,何をしているか訊くと,分蜂だと教えられて驚く。2年の夏休みの就業体験で蓼科養蜂で5日間過ごし,日本ミツバチを飼おうと決意し養蜂部を2010年2月に立ち上げ,二代目部長となる小海君をスカウトする。巣箱を作っても蜂は訪れず,分けて貰った蜂も元の農家に帰ってしまい,蜂は野生であることを認識し,逃去を避けるため2km離して慣らし飼いで漸く入手する。周囲の反対をかわすため,蜂の着ぐるみを着て,子ども向けにハチさん劇場を展開し,ミツバチの気持ちになることを憶える。安全なハチミツを得るため,自然栽培の花を育て始め,百花蜜を採取できた。農業クラブで発表し,千春は信州大学農学部のAO入試で合格した。2代目部長となった小海君は,農業クラブのプロジェクト発表で全国最優秀賞を取るという目標を掲げ,県大会と北信越地区で最優秀賞を獲得,長崎での全国大会ではベスト4に入った。3代目部長・沙雪は表参道で一日限定のレストランを開いたり,地元長野で行われた全国農業クラブ発表大会で最優秀賞と文部科学大臣賞をダブル受賞した〜
 先生が転勤してしまったり,生徒達が真面目にインタビューに答えてくれなかったり,取材は大変だったらしい。この彼女はちはやふる1,2のシナリオを書いた人で,法政大出身の元・海外ツアコン

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16/09/29
『Χの悲劇』:森博嗣(もり ひろし):2016年5月6日:\960:講談社:東部台文化会館
★★★★★
 Gシリーズなので,『エックス』でなくて『カイ』と読む
〜島田文子は香港でエンターテイメント関連のインターフェイスを研究し,日本から来た若手を案内しているが,通商委員だという遠田に真賀田研究所に勤めていた頃の話,飛行機事故で名前を貸した元同僚二人,四季の父・真賀田N大総長の話を訊いてきた。昼食を摂ろうとトラムに乗り込むと,遠田と同行の金も同じ車両となった。席を離れた運転手が記念切符の宣伝を始め,一瞬の停電の後,鉄道マニアらしき者が運転席に近寄り,遠田は座席から崩れ落ちた。乗り合わせていた徐という医師が救おうとするが時既に遅く,引き込み線に入れられて警察の取り調べを受けることになる。2時間後に島田が聞いたのは,毒針が刺さっていて,殺人だということ。遠田は日本の公安の工作員でkowashiyaというコードネームを持っていること,真賀田四季に通じるΧという人物を追っていることが判明してくる。保護を受けることになった島田に接触してきたフォックスという人物は,隠されたデータを取り出してくる仕事を請け負う。日本へ戻った島田は1週間ばかりの準備と3日程で目的とするデータを持ち出すことに成功し,執拗に追い掛けてくるインド人を感じる。身を隠すためにバス旅行に行った先で,フォックスが接触し,防衛省のために働くことを約束する。旅先のゴーグル内にカイが入り込み,自分が小山田と各務の息子であることを告げてきて,更に金と対面して,金が日本の民間人であることは告げるが,追っている秘密は打ち明けない。赤外線通信で,明後日の再会が申し入れられ,Xを交えた逃避行がスタートする。ヘリコプターで南に西に北に低空で進んだ後,辿り着いた隔絶された村で準備をし,鉄道で西へ進み,船で沖縄へ,飛行機でシカゴへ飛び,島田はカナダへ,Χは多分ミナス・ポリスに携わっているのだろう。カナダで気になっているトラムの運転手の事を調べ,ロボットであったこと,プログラムに"must kill the destroyer"の文字を見つける。島田は発熱し,出先で転び入院して癌であることが判明したが,夢か現実か,少女の四季が現れ,臓器移植の同意書を書いて亡くなった〜
 天才と呼ばれたプログラマも癌に勝てなかったが…。ロボットが射出したストロー状の吹き矢!…だと思ったよ!

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16/09/28
『掟上今日子の家計簿』:西尾維新(にしお いしん):2016年8月22日:\1250:講談社:県立M高校図書館
★★★
 全シリーズ中の7冊目,今日子さんと男性刑事シリーズ
〜雪のペンションで,一人旅の女性が撲殺されて発見されたが,犯人は家族連れか?若いカップルか?老夫婦か?足止めを食らって得するのは,どの組か考えれば答はでるが,急がねば連続して死体が出ることになる。島の音楽民宿で大学ミステリー・サークルのメンバーがグランド・ピアノの下敷きになって発見されたが,ダイイングメッセージは+5−12+40+20……とスマホの画面に表示されていた電子書籍のXYZの悲劇,3Dの座標が示すのは…。資産家の離れの地下に作られた部屋は2DK程度でトイレもシャワーも完備,しかし鋼鉄のドアにカードキー,そこに監禁されていた次男が串刺し姿で発見された。夕食を届けた翌朝にカードキーがなくなっているのに気が付いた父と兄が鋼鉄のドアをこじ開けて発見したのだ…。遺体の写真を見た忘却探偵は,馬鹿にしているのか怒り出す。遊園地に呼び出された忘却探偵・掟上今日子は脱出ゲームの所要時間が1時間半だと主張する容疑者のアリバイを崩すため,最速記録を作ることになるが,結局は1時間を過ぎてしまい,しかもその記録が謎解きに使う各人のスマホに残されるのを知って呆然とするが,夕方にスマホが証拠品として押収されているのを聞いて,新たな展開が開ける〜
 『家計簿』ということで,拝金主義だと仮定…追加料金とか,加算とか…次は旅行記だそうで

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16/09/27
『読みはじめたらとまらないダンテ『神曲』』:知的生活追跡班・編:2014年6月20日:\690:青春出版社:県立M高校図書館
★★★
 ダンテの壮大な詩のストーリーをやさしくまとめたもの
〜市民層のリーダーだったダンテ・アルギエーリはフィレンツェの政争の果て、謀略によって失脚し、復活祭の聖金曜日に目を覚ますと、荒れ果てた黒くすさんだ森にいた。豹と獅子が現れて道を塞ぎ、冥界の案内人・ウェルギリウスが現れる。ベアトリーチェの願いで遣わされ、冥界を案内するというのだ。地獄の門を潜り、カロンに命じてアケロン川を渡る。紀元前の善良な人々の棲家である第一の圏、ミノスの捌きが行われる肉欲と罪と罰の第二の圏、大食の罪と罰の泥土の第三の圏、金の亡者が争い続ける罪と罰の第四の圏、怒りの泡がヘドロからわき出す怒りの亡者の第五の圏、火だるまの墓場・異端者の第六の圏、血の川で茹でられ・枯れ木と化し・灼熱の砂と火の雨が降り注ぐ暴力の第七の圏、むち打たれ・糞尿の沼に浸かり・逆さまで足を焼かれ・首が後ろ前に廻され・タールに沈められ・重い鉛のマントで感じがらめにされ・人が蛇に蛇が人になり・真っ二つに割られ・身体が溶ける欺瞞と嘘つきの罪の第八の圏、神に背いた巨人達が封じられた第九の圏、氷漬けの極悪裏切り者の最下層コキュートスからルチフェルの身体を下に辿り、逆さになると地獄の反対側へ。煉獄界の番人カトーに許され天使が操る舟で山の登り口へ、石段の前で天使から額に七つのPを記され、高慢・嫉妬・怒り・怠惰・貪欲・大食・色欲の罪を浄化して、地上の楽園でベアトリーチェと再会。忘却の川レテの水を飲み、豊かな記憶を呼び起こすエウノエの水を飲んで天上へ。月星天・水星天・金星天・太陽天・火星天・木星天・土星天・恒星天・原動天を経て至高天へと辿り着き、地上に戻ったらありったけの力で書くと誓う〜
 しつこいけど、結局キリスト教が描く死後の世界は、ギリシア神話とギリシア哲学に支えられていて、地獄にいる魂と煉獄に行ける魂の差が分からないし、天国にも十段階あって、そこにいる魂はそれで満足ってのも気に入らない。ふん!!

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16/09/26
『掟上今日子の婚姻届』:西尾維新(にしお いしん):2016年5月16日:\1250:講談社:県立M高校図書館
★★★
 今日子さんの婚姻届は隠の上半身に書かれた
〜忘却探偵・掟上今日子の講演会で見掛けた黒髪の女性は、Web雑誌の記者で、冤罪体質の僕・隠厄介を取材に来て、最後に付き合っている女性はいるのかどうか尋ねられ、いないと答えて高級レストランで食事をした挙げ句、身の上話を聞かされて、求婚された。彼女は付き合った6人の男性が不運に見舞われていると主張するのだ。僕は今日子さんに女性の身辺調査を依頼するが、それが元で今日子さんから嫌われ、不運に見舞われているのではないと経緯を打ち明けると、その女性・囲井さんから納得できるプロポーズを断る理由がなければ、必ず不幸にすると宣言されてしまった。夜中、無断で今日子の調査を継続したボディガードの守から事情を告げられた今日子は、パジャマの上にコートを着て厄介のアパートを訪ね、厄介の身体に厄介を褒めちぎる言葉を書き散らして仮眠し、朝方に新しい推理を展開する。それは…二人目の小学校時代の同級生が学校の屋上から飛び降りたのは……〜
 加害者体質を自覚する女性がそこから抜け出したくても抜け出せない状況…フラットに戻った今日子が謎を解く

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16/09/26
『くらべる東西』:おかべたかし・文:山出高士・写真:2016年6月13日:\1300:東京書籍:県立M高校図書館
★★★★
 同じスタッフで七冊目って?
〜いなり寿司・おでん・カクテル・カルタ・環状線・金封・建築家・コマ・桜餅・座布団・七味唐辛子・実業家・消防紋章・縄文土器・関・線香花火・ぜんざい・扇子・銭湯・タクシー・タマゴサンド・玉子焼き器・だるま・ちらし寿司・ねぎ・ネコ・のれん・ひなあられ・ひな人形・火鉢・骨抜き・名山・屋根・落語家〜
 名山の東はつくばで西は富士…というのは、江戸から見ての話。カレーうどんは違わなかった。写真を見て違いが分かる銭湯

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16/09/24
『希望の海』:熊谷達也(くまがい たつや):2016年3月10日:\1800:集英社:県立M高校図書館
★★★★
 副題「仙河海叙景(せんがうみ・じょけい)」と付いているのに後で気が付いたけど,ここでフリガナを付けておいて,迷った時は表紙を見させようということだろう
〜希は実業団で駅伝の選手をしていたが,怪我で引退し,生まれて出て行って小3から高校まで過ごした仙河海の南部で戻ってきたが,35才の今も朝のジョギングは欠かさない。今は膠原病で入退院を繰り返す母に代わって,スナックを切り盛りしているが,できればショットバーにしたい。客は知り合いばかりだが,高校時代にバージンを捧げた水産加工業の十歳上の元カレの遼ちゃんを見ると恋心が蘇る。明日は母が退院してくるから寿司でも食べよう。冷蔵庫と呼ばれる冷凍庫で働く悟志はスナック「リオ」の客だが,リストラされそうになって相談した相手は中古車屋の社長美樹だが,すぐに奥さんに打ち明けろと言われて,帰ってそうしたら,DVを受けてアパートを追い出され,謝りに来た女房と公園でセックスして仲直りはいつものこと。中学校の教員同士である両親に離婚を打ち明けられた優人は,中3の妹・幸子とこれからどうするか相談するため,シアトルスタイルのカフェで待ち合わせ,妹は父とも母とも暮らさず,仙台の私立高校に行って,寮生活を始めたいと言う。兄にも大学は仙台を選ぶように言うが,遼次さんをモデルにした写真で賞を偶然貰ったため写真家への希望も捨てられない。希の同級生である真哉は,市役所で苦情係だ。自然に生えているタラの芽を食べられないためにカモシカを駆除しろと言ってきた酔っぱらいのじぃさんに慇懃な口調のせいで罵られながら,陳情書を渡して引き取って貰った。残業していると母親から電話が掛かってきて日曜に見舞いだと命令された。ずっと希が好きだったのだ。外で食事をしようと誘いたいのだが,タイミングが掴めない。明日の金曜は絶対伝えよう。悟志の黒マジェの爆音に驚かされた清子は,出版社に勤め始める予定の玲奈が来ると聞いて「あざら」を作るために白菜の古漬け調達に気が向いた。知り合いの家に取りに行こうとすると,私のことを「真知子さん」と呼ぶ夫が認知症で入所しているグループホームから脱走したと連絡があった。近所を探しなら携帯番号を教えて歩き,夫と新婚生活を営んだ古い家の前に佇む夫を見つけ,「あざら」を食べないかと誘うと,夫は妻を「清子」と認識した。ヨシキモーターズの息子・昂樹は小4にしてミニ四駆改造の達人ではあるが,体格の良いいじめっ子の瑛士から嫌がらせを更に,マシンの部品を盗まれている。家に来られないように逃げ帰ったところを追いつかれ,絞め技でなく殴る蹴るの暴行を受けた。そこを同級で気になる女子・瑞希と葉月に見られてしまい,瑞希が放っておけない理由が昂樹の事を好きだと知った。放課後,みんなの前で嫌がらせをやめてくれと宣言することに決めた。幸子の中学の学年主任は幸子の父の高校時代の親友であり,公立に行かないと聞いて,理由を糺しに行くと,親の離婚だと淡々と告げられる。幸子と付き合っている瑞希の兄である翔平は震災で両親を失い,バイトで食いつなぎ,妹の面倒を見ているが,瑞希からお盆に迎え火・送り火であるラッツォクを焚こうと言われる。幸子は震災で両親の離婚話が飛び,今はNPO活動に熱中しているが,翔平からはちょっと違う気がしてならず,喧嘩してしまった。祭りが再開されると聞いても,瑞希も行きたがらず,幸子にも連絡を取りづらい。瓦礫処理のトラックの交通整理のバイトもお盆でなくなるが,元のバイト先のコンビニで仕事をさせて貰うことになり,元の家が会った場所でラッツォクを焚くと,送り火に乗って瑞希も父母と同じ場所に帰っていった。震災で母と店を失った希は仮設に移っても引き籠もったままだ。見かねた遼次がナイキでウェアとシューズを揃え,誕生日に持ってきてくれた。走り出してみると,息が切れて駄目かと諦めかけたが,元のタイムから2秒しか落ちてない。まだやれる!〜
 文壇デビューが最近だったので,まだ若い人だと思っていたのだが,1958年生まれで,気仙沼で中学校の先生をしていて,今は仙台に住んでいるのだった。勿論,学校の先生なんて辞めているが,教員の世界の話にリアリティーがあるのはそういう訳だったのね。表紙の絵は木の枝と太陽のせいでプロペラが回っている飛行機の先頭部分かと思った。初出は「小説すばる」が殆どで,震災後の「ラッツォクの灯」だけは「小説新潮」。その下に「本書は,気仙沼市をモデルとしたフィクションです。」と書いてあって,『ああ,なるほど』と,それから舞台となる仙河海を「せんがうみ」と読めるようになった…カレンダーの紙をカバーして読んでいたからね。そして…震災前日の話であること,最後の二話は1年半後であることが残り30ページで明らかになる…。昼前に着いていた筈の清子の孫娘・玲奈はどうなった??? 第8章の展開が巧い!!

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16/09/22
『路地裏のあやかしたち3』:行田尚希(ゆきた なおき):2014年6月25日:\570:KADOKAWA:東郷福祉センター
★★★
 人間界に紛れて暮らしている妖怪が,結構?いるって設定だけど
〜鵺の奏は高校生になりすまして高校生ロッカーとしてデビューを夢見ているが,担任は現実を見て勉強しろと言う。ライブが行われる文化祭でも鬼ごっこが始まったが,学年主任が民宿経営の爺さんの形見で貰った画帖が動くという話から環とも親密になり,学生時代に音楽で身を立てる夢を見ていた自分の話を始め,奏のギタリストが演奏できなくなった代役を学年主任が務める。天邪鬼の凪紗は弁護士だが,思い通りに仕事が進まず,お茶を習い始め,風炉屏風の修理の話を聞いた茶道教室の生徒である不動産業者が地味な掛け軸の表装直しを環に依頼すると,環の口から京都弁が流れ,廻りは環が本気で怒っている姿にたじろぐ。不動産屋は不運に見舞われ,元の表装に直すために,大きな金を使う羽目に陥る。花火の表装をした人物を捜しているという新聞の投稿で,表具屋は兵助なのだが,仲介したのが雪女の蓮華だったので,出て行ったのは洸之介だった。蓮華に会いたい20代の女性の願いを伝えても,蓮華は雲隠れ。苛められていた女性に公園で声を掛けて唯一の友だちになったのに,夏に花火を見に行く約束してそれきりになってしまったのだ。女性の娘はカレンと名付けられ,手の冷たい人は心が温かいのだという言葉に勇気づけられ,蓮華は雪女であることを告げる。進路は母子家庭だから家から通える理工系の大学と考えているものの勉強に身の入らない洸之介に,化粧品会社の開発部門の課長をしている母の部下からの依頼で,描き表具の修理に関する課題を母に突きつけられた。調べていく内に,美大の美術品修復に進みたいという希望が湧いてきて,それを告げると母は,ぐずぐずしている面は父親譲りだと言われる…〜
 母子家庭だから家から通える大学って発想は今時ないでしょう! しかも大卒後,一流会社の課長をしている人に向かってねぇ。これは時代遅れ。もう一つは進路変更をして「俺の学力でも入れそうなところ…」と条件を絞っていくのは現代的。ま,大学入試も少子化で,志願者が選ぶ時代になったからね

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16/09/20
『珈琲店タレーランの事件簿4 ブレイクは五種類のフレーバーで』:岡崎琢磨(おかざき たくま):2015年2月19日:\660:宝島社:県立M高校図書館
★★
 いつのまに出ていたのか4巻目
〜息子が指を突っ込んだシュガーポットの砂糖を買い取るという母親の目的は。生徒と外で会うことを禁じられている専門学校生の恋。アオヤマのダーツを盗んだのは誰だ。クロッキー帳に現れたボールペンで描かれた小人の絵の謎。数年前、奥さんがまだ店に居て落ち込んでいる美星に庭の樹からレモンを一つ採ってこさせたら中から時計のアラーム音が〜
 視点が、猫・45歳ので息子と同じ理学療法士養成の専門学校に通う女性・アオヤマ青年・美星の妹である美空のバンドの後輩で女子美大生・美星

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16/09/18
『お面屋たまよし』:石川宏千花(いしかわ ひろちか):2015年10月15日:\620:講談社:県立M高校図書館
★★
 時代ファンタジー
〜お招山に捨てられていた赤ん坊が太良・甘楽と名付けられ,山に住む面作師の弟子となり,出来たお面をあちらこちらの祭りで売るが,裏の屋号では妖面を売る。妖面は被った人の本性が出て,悪い面が強いと外せなくなり,荒魂となり,二人の手で浄化させねばならない。売った相手は,許嫁を領主の息子に横取りされ,面を被って屋敷に乗り込んだが,女は百姓の嫁になるより,領主の寵愛を受けた方がよいと思っている。男は言えなかった言葉を吐き出し,荒魂に。不細工なお勝は二つ上の姉から可愛がられ,男の子達の冷やかしと馬鹿にした態度が気に入らず,面を被って美しい少女となったが,ちやほやされるのも楽でなく,ガキ大将の変わらぬ態度に安心する。太良が山中で熱を出し,宿を探しあぐねて戻ると,太良は消えていて,導かれて隠の屋敷に辿り着き,神域を通って師匠の許へ戻る。父が戦でしくじって打ち首になった長男の吉蔵は神社に物乞いに出るが,母は何をする訳でもない。時々小屋を空けるが,母が何を考えているか知って,小屋を出て子供たちだけで生きる道を選ぶ〜
 時代モノの小説でファンタジーの要素,となると…妖怪が出てくる。どんな妖怪を出して,どんな味を持たせるかだが,これは天狗と人で,人も神通力を発揮する

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16/09/16
『剣客春秋親子草 襲撃者』:鳥羽亮(とば りょう):2016年8月5日:\580:幻冬舎:東部台文化会館
 親子草シリーズはどこまで読んだのだろう?
〜門弟から大身旗本への出稽古の話が持ち上がったが、立ち消えとなり、それは無理矢理立ち合いを迫られて斬り死にした件と同じ相手らしい。旗本の周辺を探ると、利根崎という道場主が浮かび上がってくる。一味の塒を突き止め、反撃に出る〜
 どこかで読んだような展開だぁ。文庫書き下ろしのベテランで、これを読んで、前後の関係は特に気にならない・読み切りの味付け。でもさあ、斬って殺した相手の死体の始末はどうすんだろ?「長居は無用」って逃げちゃってさぁ…。反撃に加わった冷や飯ぐらいの門弟に飯の種を与えたのかぁ…なるほど

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16/09/15
『猫は剣客商売』:高橋由太(たかはし ゆた):2016年6月10日:\750:文藝春秋:館外
 ど・どうしてこの本が750円?
〜澤村文吾は南町奉行所で仕事らしい仕事がなく、猫に自分の弁当をくれている。不憫に思った顔役のマサムネが手柄を立てさせようと、化け猫のまるに付き纏う。文吾は深川の町廻りに出て役をしくじった幼馴染みの岸谷静馬と再開し、幕末で剣で身を立てようと出て行った百姓屋で酒を飲み交わす。静馬は浅草の顔役の鶴の伊右衛門の用心棒だった。赤猫の伊三郎は火付けで捕まり、偽金の甚兵衛も死んだ。跡を継がせる者もいなくなり、一家を畳むことを考える伊右衛門であったが、天然理心流の遣い手である手下の勘九郎は承服できない。皆を殺し、顔役に収まるつもりだが…〜
 いきあたりばったりで書いているような気がする。三毛猫が突然、化け猫の本性を顕して一件落着はないだろう!

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16/09/14
『路地裏のあやかしたち2』:行田尚希(ゆきた なおき):2013年11月22日:\570:KADOKAWA:東郷福祉センター
★★
 二匹目の泥鰌って訳でもないだろうけど、もう一冊は約束があるらしい
〜花見の桜の陰にいたのは鎌鼬の杏だった。明治の終わりに見た電灯に魅せられ、電気会社に勤め、その主人との思い出のある達磨の絵がどこかにやられるのを阻止したいらしい。骨董屋に値の張りそうなものを出した翌日、燃えるゴミを漁る。障子を回した日本家屋に住む女性の家の障子の張り替えを依頼してきたのは座敷童の双葉だ。大きな座敷にはマンションで暮らす息子一家が置いていった段ボールが山積み。その一角に、竹と筍・鶏の襖絵があるが大きく穴が空いていた。洸之介が同級女子の恋の相談に乗っていると近づいてきたのは、水茶屋の娘の絵の表装替えを依頼してきたぬらりひょんのシンだ。シンは後悔するような恋をして欲しくないというのだ。兄弟子の兵助の様子がおかしい。出入りしている美術館の異変を調査するように環に依頼してきたが、美術館のコレクションの基になった人物絡みの川の絵が兵助らの作った創作表具で飾られたがっていたのだが、兵助の異変は、その担当者である学芸員と婚約したからだった〜
 イラストを眺めても小説の登場人物とのマッチングで納得いかなくて…座敷童のジーンズにパーカーという出で立ちはあとで分かったけど、バランスが悪い!

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16/09/13
『櫻子さんの足下には死体が埋まっている 狼の時間』:太田紫織(おおた しおり):2016年1月25日:\520:KADOKAWA:県立M高校図書館
★★
 9作目
〜愛犬ウルフの解剖写真を送ってきたのはPHANTOMに違いない。携帯に掛けてきて自殺志願者サイトにアクセスしている「少女を救え」と指令を出してきた。人を殺しているのは男で、被害者は少女としか分からない。拒否すれば、櫻子に被害が及ぶというのだ。PHANTOMの指示で廃屋に連れて行き、誰も死なず殺されずに済んだが、少女と思っていたナズナが男で、何人も殺しているらしい。それを知った櫻子は怒り心頭。巡査の内海はアパートの階上の老人が風呂で溺れているのを発見し、蘇生を試みるが失敗。天井の染みが死体に見えてきて、新しい部屋を探すが、正太郎の母が紹介したのも死人が出た部屋で、朝、ノックをするのは誰なのか?〜
 短篇の方は種明かしが単純で、長い方は複雑だけど、謎が謎を呼ぶ感じ?暫く振りで読んだから世界に入り込めないし、前までを憶えていなくて…

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16/09/06
『あのひとは蜘蛛を潰せない』:綾瀬まる(あやせ):2015年9月1日:\520:新潮社:県立M高校図書館
★★★
 解説の山本文緒が書き過ぎ
〜真夜中のドラッグストアで蜘蛛を潰せない中年パート社員。柳原に呆れる女性店長は28歳の恋愛経験のない梨枝だ。夜勤を終えて実家に帰ると母が用意してくれた朝食を摂りビールを飲んで寝る。穏やかな柳原だが,休憩室で若い女性に寄り添って歩いていたという噂が流れ,やがて駆け落ちてきた女房を捨てて失踪するが,これは二度目だと奥さんは言う。代わりに夜勤のアルバイトに入ったのは三葉という大学生で,8歳も年上の梨枝の事が気に入ったというので驚く。幼い頃に家を出て行った父が残した家のローンを払い終わり,反りの合わない5才年上の兄は梨枝の幼馴染みのカマキリの雪ちゃんと結婚し,地方勤務となって家を出て行った。「ちゃんとした」「笑われない」育てられ方に反発を持つ一方で,母・紀子とは喧嘩をしたくない。その兄が最初の子どもが生まれるタイミングで本社転勤を機に家に戻ることになり,梨枝は家を出るきっかけを得る。一人暮らしを始めた梨枝の家で三葉と初めての性交を行い,若い恋人をちゃんとしたくなる自分に梨枝は驚く。雪ちゃんは禄に料理できず,兄は末期の子宮癌に侵された女性の見舞いに通っている。母は元気をなくし,家も荒れてきた。三葉はバレリーナの姉に期待を寄せすぎている両親と解り合えず,堅実な一人暮らしをしながら,バイトで貯めた金で絵を買いたいのだという。梨枝のアパートで過ごすことが多くなった三葉は目的の20万円を貯めて,就職活動も始めて梨枝との距離を空け始める。来店する度に頭痛薬を買うバッファリン女が気になり,銭湯でも一緒になり,紀子や雪ちゃんや梨枝のように可哀想な女性にできることはないかと考え始める。合い鍵で三葉のアパートに入り,バレリーナの絵を見つけ,梨枝は三葉に思ったことをぶつけてしまうが…〜
 20才の男の子が28才の足の太い女に惚れるかなぁ。惚れられたらいいなぁという女性の願望…現実としてあるシチュエーション? ま,何事も上手く回り始めたねって所でお話が終わってますね

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16/09/03
『ひらいて』:綿矢りさ(わたや):2015年2月1日:\430:新潮社:県立M高校図書館
★★★★
 光浦靖子が感想文を書いているが,素直な読者である光浦さん率直な反応が,綿矢さんの巧さをよく示している
〜自信満々で怒りの感情を持て余す高3の<愛>が気になっているのは<たとえ>だ。階段の隅で白い便箋を読み,読み終えた手紙は封筒に突っ込んで机の引き出しにしまっている。塾帰りのマクドナルドで隣の馬鹿高校の連中が自分の学校に忍び込むという話に乗って,門をよじ登りアクロバット張りに窓から自分のクラスのある棟に入って,<たとえ>のひきだしから手紙を1通抜き出した。差出人は<美雪>。<美雪>というと,高一の時,糖尿病対策の細い注射を弁当に時間に腹に刺して,皆に引かれたあの美雪しか思いつかない。<美雪>の後を付けると人気のない理科室に入って行って注射を取り出した。何気ない振りを装って声を掛け,友だちのいない<美雪>の家に行くまでに接近し,付き合っている男はいるだろうと問い詰めると,<たとえ>の名前が出てきた。やっぱり,そうか…でも,手を握る先へは行っていないようで,無性にからかいたくなり,吐き気を堪えてディープキスに及んでやった。実行委員になって臨んだ文化祭準備で,モザイク絵を作っていて<たとえ>と二人きりになり,<美雪>から付き合っていることを聞いていること,自分では駄目なのかと告白すると,嘘を吐いているからだめだとすげない答だ。二度目に盗んだ手紙から,二人揃って東京に出て行く積もりらしい。<美雪>に家に呼ばれて,遂に着物を脱いで<美雪>と寝てしまった。勉強に身が入らず,成績はがた落ちになり,発作的に<美雪>を抱きたくなって,終わって水を汲みに行った<美雪>の携帯のメールで,<たとえ>を学校に呼び出して,制服も下着もすべて脱いで<たとえ>の机に座って待ち,やってきた<たとえ>に裸で抱きつき<美雪>と寝たことを伝え,キスをせがんだが,気持ちを表せと言われ,その表情さえ本物でないと突っぱねられた。<たとえ>は東京の難関大学に合格し,<美雪>は付いていくらしい。<美雪>に近づいたのは<たとえ>との仲を裂くためだったと告白したが,暫くすると<美雪>から手紙が届けられた。卒業式の説明をしているホームルームの最中に<たとえ>と<美雪>に決別を告げ,ポケットに入った小銭で電車に乗り込み,くしゃくしゃになった折り鶴を広げ始め,それを覗き込んできた野球帽の男の子に「ひらいて」と告げた〜
 最後の科白,僕なら「ひろげて」だ! 京都出身の1984年生まれ。早稲田在学中の04年に「蹴りたい背中」で芥川賞。巧いね,受賞は嘘でなく,流石だ。どういう意味だろうと頭が4度ほど傾くが,考えるのを已めちゃうんだけど,そうやって綿矢さんの魔法に掛かっていくのかも知れない…光浦靖子のように

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16/09/01
『陽だまりの彼女』:越谷オサム(こしがや):2011年6月1日:\550:新潮社:県立M高校図書館
★★★
 「いちみち」に先行する作品か!
〜幼馴染みと十年振りに再会した僕は,中学時代のおばか振りやいじめられっ子振りが消えていて,仕事のできる素敵な女性になっているのに驚愕し,やがてつきあい始めたが,彼女の里親で養父となった警察官の父が反対するので,駆け落ちした。とは言っても音信不通になるわけでもなく,西武池袋線から時々東武野田線の鎌ケ谷まで行く。彼女の養父は,全生活史健忘・いわゆる記憶喪失で保護されたのだという。僕は,松戸に引っ越して疎遠になってしまったが,彼女は有名な私立女子大に入り,中堅処の下着メーカーに勤め,交通広告を行う僕の会社に話を持ち込んでくれたのだ。数ヶ月が経ち,幸せ一杯に暮らしていたが,彼女はことある毎に「疲れた」と口から弱音を吐く。ある日,隣の三才の男の子がベランダから落ちそうになり,仕切り板を破って僕は力を貸したが,彼女は3階に行き,そのベランダから跳んで手が滑って落ちていく男の子を胸に抱いて,無傷で生還した。異常なしと診断された病院の帰りに僕らが出会った公園に寄ろうという。翌朝,集合ポストに朝刊を取りに行ったまま彼女は姿を消し,彼女が生きていた痕跡も消されていた〜
 人と猫の恋かぁ…非生産的だな

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16/09/
 
★★
 
〜〜
 

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最終更新日 : 2016.09.30

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