2016/8
〜8月に読んだ本〜

パタゴニア あるいは風とタンポポの物語り ☆☆☆ リカーシブル ☆☆☆ 面白くて眠れなくなる植物学 ☆☆ 名探偵登場! ☆☆
図書館の魔女第二巻 ☆☆ 図書館の魔女第三巻 ☆☆ 図書館の魔女第四巻 ☆☆ 路地裏のあやかしたち ☆☆
その日東京駅五時二十五分発 ☆☆☆☆      

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

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16/08/31
『その日東京駅五時二十五分発』:西川美和(にしかわ みわ):2015年1月1日:\400:新潮社:県立M高校図書館
★★★★
 1974年広島県生まれの著者の伯父の体験記を基にした小説
〜昭和二十年春に召集され東京清瀬の陸軍特種情報部の通信兵として過ごし,アメリカの短波放送でポツダム宣言の内容を聞き,上官の命令で資料を焼き,階級章を剥がして焼き,軍人手帳も燃やして,故郷に帰るために,東海道線始発列車を東京駅で待ち,切符無しで大阪から広島まで帰ってきたが,焦土となった故郷でも,生活に必要なものを集めて回る女性の逞しさに触れる〜
 上手に書きました。「そうするしかなかったから,そうした」そういう人が多かったのだろう。他に選択肢はなかった

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16/08/31
『路地裏のあやかしたち』:行田尚希(ゆきた なおき):2013年2月23日:\590:KADOKAWA:東郷福祉センター
★★
 どこの地方都市でしょうね。今時の地方都市は県庁所在地でもぱっとしなんですけど
〜地方都市に住む小幡洸之介は父が描き遺した絵の中で描かれているものが動くの気味悪く,情報通の同級生から聞いた路地裏に住む大妖に相談するべく,綾櫛横町にやって来て,妖怪達の祭りに紛れ込み,陽のある内に出掛けて加納表具店で環という女性と話が出来た。絵に籠もった思念を解放する裏の仕事をしている,500年以上生きる化け狐だという。父が遺した絵は一緒に暮らしていなかった自分の行く末を心配し,癌に冒されている最後の気力を振り絞って描いたものだったのだ。しっかり表装することで思念は閉じこめることが出来る。1枚だけを表装して残りは洸之介が環に弟子入りしてじぶんでやることになった。小学生姿の桜汰は天狗の王子だというが,小学校での肝試しで数人の友が意識を失って朝方に発見される事件が起こり,環は誰にも見向きもされない桜の絵が他の作品同様に見られたくて起こしていると見破る。化け狸の樹は結婚詐欺師だが心根が優しすぎて失敗ばかり。呉服屋の後家の相談は,店の中で鳥の鳴き声がするという内容だった。実家から衝立代わりの孔雀の屏風を持ち込んだら,こうなった。屏風は二双一組で雌の孔雀が雄の孔雀を求めて鳴いているのだった。薄汚れた実家に残された屏風の本紙を生かして表装を整えた。冷凍倉庫でアルバイトをしている雪女の蓮華は,普段は女子高生の姿をしている猫又の揚羽がアルバイトしていた先のカフェで女性客が増えた理由を突き止める。それは店主に仄かな恋心を寄せていた画家を目指しニューヨークに旅立った女性が,絵の裏に描いたミモザの思いが,額が割れて滲み出してきたのだった。美容師をやっている河童のジョージは,長野のタクシードライバーから,捜していた絵が見つかったと連絡を受けた。寺にあった絵に描かれているのは環,そのもの。それを見て環は固まってしまった。京の表具師が夭折したむすめの絵を見つめて嘆いているのを見て,娘に化けて驚かそうとしたのに,にっこり笑いかけられ,娘の振りをしている内に,情が移り,絵に対しても嫉妬心が湧いて,絵の表装にも失敗したからやり直したいのだという。バレンタインデーの後,皆それぞれ暫く用事があって店を留守にするという…いつまで待っても誰も現れず,横町であった出来事は夢だったのか,思い始める〜
 語り部である男の子も,化け狐である環も,キャラが立ってないんだよね。そして誰もいなくなってしまった……という結末から,次が書けるかどうか悩んで,シリーズ化する可能性も残したと思われる

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16/08/28
『図書館の魔女第四巻』:高田大介(たかだ だいすけ):2016年5月13日:\1000:講談社:県立M高校図書館
★★
 著者は言語学者らしいのだが,言葉が溢れて漏れだしていて氾濫してくるので疲れます
〜ニザマ帝はマツリカ一行を伴い,西の離宮に赴き,アルデシュ軍幕僚を呼び出して,三国和睦会議を実現するが,冒頭,摂政の行為に責任を持つのは自分であり,正道に戻すために宦官官僚組織を処断した後,禅譲すると言い出した。宦官宰相の間者は場を抜け出して,急を知らせに走るが,マツリカは放っておけと言う。ニザマ帝が準備もなく言い放ったことでなく,和睦がなった後は,アルデシュに自分の安全を護らせること,僧院に預け死んだことになっている跡継ぎの行方を祖父である先代の魔法使いとキリヒトの父が遂に探り当てていることを知ったからだ。説得はキリンの役目。遂に揚水機の仕組みが明かされ,実演を行う段になって,部品が壊れ手動でごまかさなくてはならなくなったが,慌てた素振りは見せられない。技術協力の見返りにマツリカが要求したのは,刺客・双子座の居所だった。キリンは現都のカラブサンに向かい,マツリカとキリヒトと元衛兵は古アルデシュの山がちな雪の坂道で,ゆっくり疫神が隊列を作って正面・背面から押し寄せる。体液も血も浴びない方が良い。加えて後方から,狂水症の犬が襲ってくる。犬に噛まれたのは諧謔的な話題を振り巻く衛兵のヴァーシャであった。キリヒトは命を救うため,ヴァーシャールヘイの右腕を切り落とさざるを得なかった。犬を悉く斥け,足の遅い疫神を置き去りにして,双子座の居城に辿り着いたが,先行するのは羚羊の面と蹄型のサボを着けた北方の一種族・嗤尤二名が,自動人形の罠を悉く壊していっている。しかし,もう一つの罠である阿片の匂いに気付いたマツリカは,窓を割り火を付けて煙を外に出すことを随行者に命じた。嗤尤は麻薬と双子座の笛に魂を奪われ,狙いを双子座からマツリカ一行に切り替えて襲ってくるが,マツリカは犬笛の律動を武勇詩から導いて動きをキリヒトに教え,無理な動きをした嗤尤の動きが止まって,双子座に迫るが,双子座は右腕を大きな鉈で切り落とされて瀕死だった。双子座の仮面を剥いで,その正体を確認した一行は,火に追われつつ東の隅塔から脱出し,仲間が救われたアルデシュ騎兵の賞賛を浴びながら,キリンを残して帰国の途に就いた。暗示が解けた筈のマツリカの左腕が麻痺し,キリヒトは耳鳴りを覚え,甲板上で漸く息を吹き返したヴァーシャが笛を吹いている姿を見て,双子の片割れが後悔の念に打たれながら謝罪も出来ずにいるヴァーシャの裏切りの顛末を聞く。夜の海に身を投げたヴァーシャを追って海に飛び込んだ泳げないマツリカを更に追って,キリヒトと衛兵も夜の海に飛び込み,全員が漸く救出され,一ノ谷に戻って歓待されるが,ヴァーシャは逐電した宦官宰相ミツクビの行方を追いにアルデシュからニザマに出掛け,キリヒトも先代に請われてニザマ帝位継承者の護衛に出向く〜
 覚悟しないと読み切ることが出来ないだろう。自分で買わないと……勿体ないから読まざるを得ないという気にならないだろう。図書館で借りるのは不可ってこと。早稲田の文学部の大学院に学び,早稲田や東大でも言語学を教えていた1968年生まれの先生が,推敲に推敲を重ねて完成させた大作は……ひたすら疲れる

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16/08/18
『図書館の魔女第三巻』:高田大介(たかだ だいすけ):2016年4月15日:\700:講談社:県立M高校図書館
★★
 これを読み終えて,残り一冊だぁ
〜巨人を撃退したキリヒトの扱いについてマツリカは,今まで通りと宣言する。ニザマに食い込む手掛かりは,一ノ谷王室からニザマ帝室へ書簡から,帝が深刻な心臓病に悩まされ,典医が強心剤がなかなか手に入らないのを危惧していることが知れてきた。皮革の鞣渋古房で見つかった遺構をアルデシュの不作を救う決め手とすべく,職人を総動員させ,農学者や地質学者と協議して,アルデシュの西部辺境への侵攻を思い留まらせ,軍縮に持って行こうとするマツリカは,河岸で行っていた実験・実証の帰り,祭りに登場した傀儡師の技に魅了され,女の短剣を握る左腕を斬り落とされるシーンに魅入られ,自分の左腕が動かなくなる刺客の存在が,後に控えていた楽士であることが解った。キリンが西部から帰って来るタイミングで,呪術師や祖父の行方探索をハルカゼに命じ,乗り込んだニザマの石窟宮殿では,帝が理解を示して一ノ谷とアルデシュの和解の仲介を執り,ニザマにおける宦官宰相との対立を選択したことを知る〜
 入院中に読んだら良かった。今日この頃はオリンピックを見なければならないので,集中して読むことが出来ない

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16/08/13
『図書館の魔女第二巻』:高田大介(たかだ だいすけ):2016年4月15日:\780:講談社:県立M高校図書館
★★
 四分冊でも読み辛い
〜マツリカはキリヒトとの秘密で地下水道を辿って、皮革の鞣しのための渋造りの古い工場跡を発見するが、使われなくなって等しいのに、木製の機器は機能を保っているようだが、議会には辺境の自立を目指す勢力もあり、。キリンは兵站を意識し軍縮を謀る計画を練るが、ニザマの宦官宰相はアルデシュを動かして西方辺境伯領に侵攻し、辺境地の独立派を焚き付けて、一ノ谷の分断を図る模様だ。ハルカゼが手を廻している市域の情報網から引退した議員であるコクシネルが舟の難破を装って殺害され、文人政治家であるヒヨコの命が狙われているのを察知した。ヒヨコが執政官格総督に就任するタイミングで祝宴を開く名目で使者を四方に走らせ、黒幕がハルカゼの出身母体である議会派法務官であるウルハイだと判明し、ハルカゼは袂を分かつ決断をする。市井の話が面白いと感じたマツリカはキリヒトを連れて地下水道から町に出掛けて、見聞を広げるが、水辺に入ったら手ぶらで帰ることはないというキリヒトの言に反応して、水遊びを断行する。護衛は一分隊5名が同行し、遊び場も指定されたが、対岸から巨人が二名出現して、護衛をものともせずにマツリカを狙ってくるが、キリヒトの隠された使命である暗殺者としての技が発揮され、巨人を撃退した〜
 入院するかも知れないので備えて借りておいたが、入院はなくなった。この著者の全てをお見通しの感覚が嫌い。早く秘密を明かせよ!!!

16/08/09
『名探偵登場!』:筒井康隆(つつい やすたか)ほか :2016年4月15日:\78O:講談社:東部台文化会館
★★
 読んで判ったことは,私が推理小説が余り好きじゃないこと
〜科学探偵帆村(筒井康隆)文久二年閏八月の怪異(町田康)フェリシティの面接(津村記久子)遠眼鏡(木内昇)わたしとVと刑事C(藤野可織)音符五つの春だった(片岡義男)捕まえて,鬼平!〜鬼平「風説」犯科帳〜(青木淳悟)三毛猫は電氣鼠の夢を見るか(海猫沢めろん)銀座某重大事件(辻真先)a yellow room(谷崎由依)ふくろうたち(稲葉真弓)ぼくの大伯母さん(長野まゆみ)四人目の男(松浦寿輝)〜
 読んでいても,事件が起こっているのかどうかさえ判らない。推理小説・探偵小説好きなら楽しめるのかもしれないけど

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16/08/06
『面白くて眠れなくなる植物学』:稲垣永洋(いながき ひでひろ) :2016年5月6日:\130O:PHP研究所:東部台文化会館
★★
 読みながら寝ちゃうこと4度
〜木はどこまで大きくなれるのか? 水戸黄門の印籠はフタバアオイ マツはなぜめでたいか? 竹は木か草か? ニンジンの上手な描き方 大根足はほめ言葉? どうしてバナナにタネはないのか?〜
 140m 三つ葉葵はない 分類不能 横に線を描く 昔の大根は細かった タネのない三倍体が現れて、それを栽培している メンデルは生物学で落第点を取っている

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16/08/02
『リカーシブル』:米澤穂信(よねざわ ほのぶ) :2015年7月1日:\75O:新潮社:県立M高校図書館へ
★★★
 病院で読む本がなくなって売店で購入。この労災よリ青葉の方が置いておく本のセンスが良かった
〜越野ハルカはママとサトルと共にママの故郷である坂牧に引っ越して来て、中学入学という節目に、何気ないふりで過したが、商店街にある古い蕎麦屋の娘であるリンカには、よそものであることを見抜かれてしまいハラハラ、幸いなことにリンカは気立てが良かった。それよリも気がかリはサトルで、小3のこの子はこの町に来てから予言めいたことを云い、まるで未来が見えるのだ。弟じゃない。パパが再婚した相手の子で、パパは会社の金を盗って失踪した。ボランティアで河川敷のゴミ拾いをしている時にリンカが教えてくれたのは、高速道路誘致の推薦報告書を書いた酒井教授が報橋から落ちて死亡していること・サトルが落ちた人がいると怖れていたこと・報告書をさがすためのゴミ拾いではないかということだった。知りもしないことを話すサトルのことを知られたくないが、この土地には身を擲って村を救ったタマナヒメの伝説によく似た話で、そのタマナヒメは何代にも亘って出現し最後は自殺し、相手も溺死しているのだ。リンカにタマナヒメについて聞くと、庚申講のために選ばれている今のタマナヒメのユウコさんに引き合わせてくれたが、帰リの下り道で出会ったサトルは、ー軒の家を指して、ここに住んでいたと云う。夜散歩していると、報橋で車が燃える事故を目撃し、翌日怪我をしたのがタマナヒメについて教えてくれた社会の三浦先生だと判明した。見舞いに行って話を聞くと、タマナヒメについて書かれた「常井民話考」は市内の図書館から消えており、その執筆に係わった人物が変死していることから、自分も消されかかったのだと説明する。パパから離婚届が送られ、ママから面倒を見るのは中学卒業までと穏やかに宣言され部屋で大泣きした翌日、サトルが帰宅しないのにママがさほど動揺していない様子から、カラクリがわかってきた。タマナヒメとして紹介されたユウコさんは影武者で、サトルは5年前まで実際に住んでいて、建て直される前の康申堂が焼かれるのを見ていたのではないか…。ハルカはサトル救出の為に動き出す〜
 ふ〜ん、こういう小説の伏線はディテールの中に隠されているから、遂時レビューを書いていくスタイルでは、ちっとも残らない。やれやれ…

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16/08/01
『パタゴニア あるいは風とタンポポの物語り』:椎名誠(しいな まこと) :1987年5月5日:\1250:情報センター出版局:千葉労災病院
★★★
 これは又ずい分古い本の割にキレイ
〜ノイローゼになリかけている奥さんを残して南米チリ側からバタゴこアへ。チリ海軍のリエンテール号に乗り込み、ドレーク海峡から来る狂風に逆いつつ、3名の兵士を4カ月で交代させるディエ・ゴ・ラミレスに赴く。海から戻リ、北西のパタゴニア内陸部で、広大な草原パンパとアンデス山脈の鋭い角のようなトーレ・デル・パイネに迫る。パタゴニアはでっかい足というよリ、でっかい空だろう。真夏のクリスマス過ぎまで飛行機便はなく、海岸に向かう斜面ー杯にタンポポが咲き、揺れていた〜
 秘境を旅するってことネ。軍の協カも得て凄い場所に行ってきましたねぇ

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16/08/
 
★★
 
〜〜
 

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最終更新日 : 2016.09.01

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