2016/07/14
私はユッコであなたはカオル?〜

「ままならないから私とあなた」
〜朝井リョウ〜

『ままならないから私とあなた』:朝井リョウ(あさい):2016年4月10日:\1400:文藝春秋:県立M高校図書館
 短編集かと思ったら…
〜レンタル世界:頼りに入社した大学ラグビー部の3年先輩は,結婚して2歳の娘がいるのに,風俗を奢ってくれる。彼女もいるけど,同僚の結婚式で読モをしていた新婦の友人が気になって仕方ない。脱出ゲームでチームを組み,色々聞くと,実際は知り合いでも友だちでもなく,レンタルされたのだという。会う口実としてレンタル彼女になって貰って,野上先輩の家を訪問するが,その彼女は野上の妻もレンタル品だと言う。先輩の好みの風俗嬢に聞くと,確かに別居しているが,理由は異性より同性に興味があるからだった。まま…:小5のユッコの友だちはカオルだけだ。日直を一緒にやる男子は黒板ふきも日誌書きもやってくれない。黒板の高いところは届かなくて,長い手を使ってくれたのは渡邉君だったし,休んだカオルにプリントを届ける道行きも先生に命じられ付いてきてくれた。カオルは通信教材を使う新しいタブレットに夢中だった。中学時代,数学に夢中になったカオルは無駄を省く合理精神を高めていったが,雪子はピアノの練習を重ねて,高校は音楽科のある所に入って,大好きなバンド・Overのピアノ担当である光流のように世界でたった一つの音楽を作ることを夢見る。高校時代も様々なコンクールに応募し続けたが,先に賞を得たのは薫が作った「おうちでピアニスト」というソフトだった。誰でも憧れのピアニストのように演奏できるというのだ。両親が留守にした渡邉君の家でそのニュース映像を見た晩,雪子と渡邉君は結ばれた。大学を出ても就職せずに,楽曲を様々なコンクールやコンペに提出し続けたが芽が出ず,一方の薫は大学院時代に起業したteamERAで注目を集めていると思ったら,突然結婚するから,会場で流す音楽を作ってくれと依頼してきた。結婚式後,二人で話す機会を得たが,Overを脱退した光流がプロデュースする新しいボーカルグループに歌わせる楽曲の最終候補に残った作品は,薫が作ったソフトが作った楽曲と瓜二つ。体調が悪いが作り直さねばならなくなったが,手つかずだったドーナッツに手を伸ばすと,吐き気が湧いてきた〜
 短編が3つか4つで,同じテーマの連作集かと思ったが,表題作だけではページが足りずに,短編を一つ付けたのかな。この時期で,留学しても原級留置にならずに,進級できる制度があったろうに,1989年生まれの彼の時代でも先進的な高校は採り入れていた筈なのになぁ…。あらあら,雪子の妊娠発覚でお話はオシマイ??

7月の記録にジャンプ

読書記録の目次に戻る

最終更新日 : 2016.07.15

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送