2016/06/07
〜新境地か前と同じか〜

「バベル九朔」
〜丸城目学〜

『バベル九朔』:万城目学(まぎめ まなぶ):2016年3月20日:\1600:KADOKAWA:東部台文化会館
 あっ京大法学部卒なんだ!
〜27歳の九朔満大は物書きになりたくて,祖父から母が継いだ駅前の5階建てのビルの管理人になった。水道や電気のメーターを見て回り,ゴミ捨て場の掃除もする。大きなネズミが出るという地下の70歳のスナックのママの苦情を聞き,1階のレコード店,2階の日本酒専門店,3階の画廊,4階の探偵事務所では家賃の督促をしなくてはならない。カラスは大敵だ。胸元が開けた黒い服の女性が探偵事務所に上がっていくのを見た次の日に,1階と2階と4階に空き巣が入り,4階からは20万円が盗まれた。警察によると黒い服装の女性は盗賊団の一味だという。屋上の受水槽を見に行くと,カラスが探偵事務所に入っていったと思った女性に変身し,入り口はどこだと詰問され,恐ろしさに部屋に引き籠もって,長編を対象とした文学賞への応募が間に合わなかった。漸く家から出て,探偵に付き添って貰って屋上に上がると,またしてもカラスの目を持った黒服の女性。ミッキーと呼ばれた大ネズミを蹴り殺し,逃げ帰った部屋の黒電話も屋根越しに破壊されてしまった。祖父に目を掛けられた密村が神職を継ぐために閉める画廊で祖父が残した湖の絵に触れると…絵に描かれた湖に移動し,10歳程度の少女を追いかけ,鍵を持って塔に来いと云われる。鍵を開けて御晴台というドライブインのような建物に入り,二階に行くと自分の部屋があり,電話で呼ばれて更に上階に上がっていくが果てしがない。女児に出逢った先でカラス女が追いついてきて,洒落た服屋で緑色の箱をカラス女に渡して「去れ」と云うと,爆発と共にカラス女は外へ投げ出された。自分が滑り落ちる寸前に縄橋子で救ってくれたのは,探偵の四条だったが,階段を上りながらプロの将棋指しになる夢が叶うテナントがあるという。自分にとっての夢は何だろう。書店に入っていくと案内されて自著にサインをする自分がいるが,伯母と同じ初穂と名乗る少女は戻らなければならないと云う。戻る道を選んだが,カラス女は探偵に化けているのが,バベルを作り出した九朔満男だと云う。24時間営業の流しソーメン屋で食事をしていると,カラス女の腹を竹槍で突いて窓の外に投げ出したのは探偵に化けた祖父だった。祖父を出し抜いて階段室に逃げた僕と少女は上に登って登って,保険事務所に辿り着き,画廊から元に戻る道を選択したが,今度は文学賞を受賞する自分を夢見て,少女の助言で我に還る。カラス女は太陽の使いで黒点が具現化したものだという。バベルを作り出す方法を学んだ大九朔は,小九朔が作り出す無駄を糧として塔を高くしているのだ。満大が予選にも残らなかった小説が無駄だったのか。少女にとっては鍵が掛かっていて入れなかった画廊で何も描いていない絵を前に扉は使えるのか。思い切って絵に向かって少女を突き出すと,満大は地上の世界とバベルの両方に存在して視認されない世界に入り込み,カラス女による精算の時を迎え,満大は「俺は,ここにいる」と宣言を発する。昨日の自分を追い立て,成した長編を空に放すが,無駄が少ないのか,2・3日分にしかならないらしいが,その時は次の自分が来れば良い〜
 ようやく関西圏から出たか?イメージとしては東京西部の私鉄沿線

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最終更新日 : 2016.06.07

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