2016/01/21
これがルーツ?〜

「神坐す山の物語」
〜浅田次郎〜

『神坐す山の物語』:浅田次郎(あさだ じろう):2014年10月25日:\1500:双葉社:県立M高校図書館
 彼の実体験なのだろうか?
〜「神上りましし伯父」小学校の頃,武蔵御嶽山の神官である伯父が死の間際に私に会いに来た。前年の夏,白黒二頭のお狗様(大口眞神)が伯父に纏わり付いていたのだ。見たものを喋れば怖いことがおこると言う伯父と私には,誰にも見えるものが美絵,言葉にならない会話もできる。伯父は麓の青梅で荼毘に付されお骨にされた。祭主が吠え屋敷を踏みならして駆け回る中,玄関の式台に佇む伯父に只管謝り続け,奥沖城に葬られたが,大勢の祖先や八百万の神々を感じた。「兵隊宿」伯父の話,伯父が生まれるずっと前,祖父が婿入りする前に祖母イツに聞いた話。日露戦争の頃,演習で兵隊宿になった宿坊に,近衛師団の砲兵隊の少尉が夜半訪問した。古市上等兵の姿が見えないと。逃げたのか,遭難したのか。翌年戦後に祖父母は結婚して祝言に現れた古市上等兵を髯のじいさんは穢れていると言い,取り合わない。二○三高地で古市上等兵一人を残し,全員戦死していたのだった。「天狗の嫁」1959年伊勢湾台風の夜,母の姉カムロ伯母は,天狗のいたずらで大団扇で煽られているのだという。泣きながら嫁になるから勘弁してくれと懇願する。伯母が天狗に攫われた話は,巫女が不足して近視の伯母の手を引いて神社に上がる最中に直接聞いたのだった。祖父の験力で天狗を斥けていたが,それも敵わなくなったらしい。闇市から身を起こし写真機材屋を成功させた父親の事業が傾いて,夫婦は離別し一家は離散。大風の中を生き残った父は天狗ではないのか。伯母は四十を過ぎてから嫁入りしたが間もなく他界した。「聖」伯母チトセが語る髯の爺さんの話。幼いチトセが庭で畏まっている修験を見つけた。山伏は鈴木の髯の御師の下で修行がしたいという。翌朝根負けした曾祖父は条件を付けて百ヵ日の満万行を許した。チトセの原因不明の熱を下げたキゼンは行を終え,天狗岩から飛び降りた。「見知らぬ少年」肝試しに付いて行ってくれたのはカシコという少年。幼くして死んだ千登世と康の間の伯父だった。「宵宮の客」ちとせ伯母の話。宵宮に現れた彫り物を入れた男には伏し目がちな女が寄り添う。男には見えず,曾祖父とチトセには見えた。膳は二つ用意され,曾祖父と祖父は,戦争で両親を失った男が床屋に世話になり,好きな女が出来て子も宿ったが,親方から兵役逃れのため墨を入れろ,娘の婿になれと言われて,女を殺したことを告白する。祭の最中,巡査に声を掛けた男が下っていく。「天井裏の春子」狐払いで有名な鈴木の御師・一宮を頼って来た母子は貧しい。百貨店の受付嬢をしていたが,同僚と豊川稲荷の枝垂れ桜下で待ち合わせして,狐に憑かれたのだった。狐は溜池が埋め立てられ,豊川の軒下にいたが,餓死寸前で,綺麗な女に取り憑いたのだ。祖父は人の言葉で狐を諭し,娘が女中部屋の押し入れの隣から上がる昔のお蚕部屋に閉じ込められた。チトセが覗くと,干からびた狐が娘の傍らで事切れていた〜
 参考文献はないのだろうか???彼のルーツはこの武蔵御嶽山にあり,普通の人が見えないものが見れちゃうのだとしたら,彼の書くものに納得できるね。狐払いの話が良い!!

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最終更新日 : 2016.01.21

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