2015/12
〜12月に読んだ本〜

黄泉坂の娘たち ☆☆☆ 平蔵狩り ☆☆☆ 生物学の「ウソ」と「ホント」 ☆☆☆☆ 夢幻 ☆☆
空海と密教 新版 ☆☆☆ 彼女は一人で歩くのか? ☆☆☆ 空海秘伝 ☆☆☆ 本質を見通す100の講義 ☆☆
店仕舞い ☆☆      

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

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15/12/26
『店仕舞い』:佐伯泰英(さえき やすひで):2015年11月18日:\690:角川春樹事務所:M市立図書館
★★
 鎌倉河岸捕物控の27
〜豊島屋の隠居が倅に十代目を継がせたいと行ってきた。町廻りに出ていた政次が,加賀金沢藩御用達箔屋の岩鞍屋の店仕舞いの張り紙に不審を抱く。今日の食費にも困り果て,子供3人が奥の実家に預けられたという。赤坂に行こうとすると地回りが老夫婦が首を吊った弔いの帰りだという。懐に子供の着物の血塗られた袖が入っていたという。岩鞍屋に潜り込むと,内儀は両親が死んだことを知らず,番頭は長男の俊太郎が引っ掛かった女に唆され,加賀の澄屋を乗っ取りを仕掛けて失敗したらしい。やがて拷問の末に堀に沈められた主の骸が揚がる。亮吉は深川の箔屋の作業場を思い出し,加賀前田藩の上屋敷を訪れた帰りに宋吾郎が襲わった相手を追った政次が深川の抱え屋敷を突き止める…〜
 金箔作りの蘊蓄が煩くて…。豊島屋の話がどうでもいい話だし…

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15/12/18
『本質を見通す100の講義』:森博嗣(もり ひろし):2015年7月25日:\1300:大和書房:M市立図書館
★★
 印税で15億稼いで穴の開いた靴下を履いている男
〜印税のマークで「引」と書いて奥様に指摘されたり,4年に一度は引っ越ししてたり,習わされてもものにならなかった男の息子が独学でピアノのフルートを習得したり,奥様が面白いヒトだったり,娘と時々食事を共にしたり,連ドラで原作料が1時間で50万,2時間モノで百万,連ドラ10回で500万。しかし連ドラの効果で売れる本が30万部。印税が100円だから,3千万円!〜
 エッセイです…大和書房の住所を見て懐かしく思い,小さな建物だったのを思い出す。タイトルは2014年に考えて,2015年2月に書いたモノ

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15/12/16
『空海秘伝』:寺林峻(てらばやし しゅん):1997年2月28日:\1648:東洋経済新報社:県立M高校図書館
★★★
 高野山開山1200年記念!ではなく,18年前で消費税は3%の時代
〜地(遍歴する心)兄二人が亡くなり多度郡司である父の跡を継ぐため15歳の真魚は叔父の阿刀大足が住む長岡京にやって来たが,遷都間もなくで大学寮もなく無為に過ごすが,政変で死んだ早良親王が怨霊となっていることを恐れる人々に道士・洪洵大根炊きを施し形代を配っているのを見た。佐伯氏本家の宿禰に紹介された奈良・大安寺の佐伯院を訪れ,氏子と知り合い,儒家でも道家でもなく,勤操と一緒に山を歩きたいという望みを抱いた。水(深い山へ)大学寮に入学が許可されても,休みの度に勤操を訪ねて帰ることも儘ならず,欠席が百日を超えて退学し,摘髪して沙弥戒を受け空海と名乗りを変えた。比蘇山寺に身を寄せた沙門空海は若い修行者である堅慧と知り合い数息観をならい,阿字観・虚空蔵求聞持法を伝授され,生涯をかける道を見出し,故郷に帰って父母に謝罪しようとするが,姉の智香を訪ね最初の弟子となる甥(智泉)と会う。水銀師定張や唐渡来の職人と出会い「三教指帰」を著し唐で密教が盛んなことを知る。火(長安の月)31で得度した空海は堅慧を伴って遣唐使の第四船に乗り込んだ。福州長渓県赤岸鎮に漂着し翌年遣唐使が引き上げる際に取り残されたのは,橘逸勢と空海と堅慧。西明寺で過ごすが恵果の弟子・義明に面会し,曼荼羅に関する解釈をした空海の話が伝わると,インド僧から習ったことを更に東方に広めようと考えて果たせなかった恵果は,鉢の水をもう一つの空の鉢に移すように灌頂を行って遍照金剛の名を授けた。唐の憲宗の要請で王羲之の文字が読めなくなった宮中の壁に五行の詩を書いたことから,両手両足と口に咥えた5本の筆で書いたとの噂が広まる。風(曼荼羅の旗)空海が都に辿り着く前に最澄の帰国によって密教は既に広まっており,高雄山寺を与えられても目立った動きはなかった。甥の智泉と大安寺で修行していた実慧が弟子となり,伝灯大阿闍梨として顕教との違いを説いた。当初,最澄は比叡山から弟子を派遣して書を借りていったが,嵯峨天皇から書を求められたのをきっかけに貴門との交流も出来,最澄も灌頂を望んで実現した。しかし,最澄側近の泰範が空海の下に留まり,秘典である「理趣釈経」の借用を断ったことから巨頭は決裂した。空(二つならず)高野山に道場を作る許可は朝廷から得ているが,天野郷の丹生都比売神に仕える大贄人である家信の協力を得られた。高野山の盆地は標高900m,南北300m東西1500mある。都では天皇を中心に空海を呼び戻そうとする動きが見られ,讃岐満濃池の修築別当の役を果たして嵯峨天皇から富寿神宝2万銭を受け,インド風の大塔建設を決意する。中納言藤原良房が届けた勅命は,東寺を長く空海に預けるというものだった。喜んで受け取った空海は,東寺を教国護国寺として教化の大道場に整える。天長元年の大干魃も雨乞いの祈祷を延長して救った。識(山に帰る)大衆学校の用地として藤原氏からの寄進を受けた空海は,綜芸種智院を作り,代わりに淳和天皇の真井御前に摂津国甲山の庵を用意し更に似姿の如意輪観世音を用意して阿闍梨位を与える灌頂を授け,密教易行道を始めた。高野山に上った空海は五穀を断ち万灯万華会を催し,すべての穀物を断って今の高野山奥の院で即身成仏を得,宮中で後七日御修法を営むように整え,弟子すべてを集めて遺言し,曼荼羅の人になった〜
 六大無碍にして常に瑜伽なり(即身成仏義):この世にある一切は人も含めて≪地,水,火,風,空,識≫の六つの要素で構成されているとして,それを六大という。密教では宇宙人格である大日如来の六大と個人の六大を合一させて自己を完成させようとする

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15/12/14
『彼女は一人で歩くのか?』:森博嗣(もり ひろし):2015年10月20日:\660:講談社:M市立図書館
★★★
 subtitle"Does She Walk Alone?"
〜人工生命体「walk-alone」と人間を識別する研究を行っているハギリ・ソーイが狙われているというウグイがやってきて,助手のアカマ君の研究室が狙われた。そちらで打合せをやる予定を失念していて助かったようなものだ。自宅が爆破されウォーカロンの妻を失ったアリチ博士と一緒に温泉旅館に一泊して,風呂で生殖に係わるパラサイトの話をして,のぼせたハギリが出た後,アリチは湯船の底に沈んでいたが,毒を盛られたらしい。翌朝,小型飛行機で北へ飛び,ドローンに攻撃されてパラシュートで脱出し,車で本州最北部にあるウグイが勤める安全保障局の情報関連施設に収容され,研究費が3倍になって研究が続けられるようになった。アリチからの伝言で首都サッポロの国会議事堂隣の日本動物園のチカサカに会うと,ロシア語の熊の研究書を渡され,動物園を駆け足で見学すると,3人の人物が襲ってきた。辛くも銃弾を避け,施設に戻って本を翻訳機で見通すと,黒い魔法・白黒い魔法・赤い魔法と童話のような内容が浮かび上がる。プロトコルとパラメータが完成し,実際に供用に付されると,子どもへの適用が不安定だとの声があがる。ミチルという子を測定すると,確かに不定という結果になった。自分の感では人間だ。しかし,自分の先を行っているプロトコルを発見した人がいて,ウォーカロンの知能が最新型にヴァージョンアップされてるのかも知れない。施設から抜け出して酒でも飲みたいと外に出て飲食店に入ると,ミチルの祖母だという女性が目の前に座った。パラサイトの意味を知りたいと思っているところで,台湾から来た生物学者のリョウ・イウンが会いたいと申し出てきた。生殖は完全なクリーンな環境は不向きで,パラサイトが必要で,そのパラサイトがあるためには別のパラサイトの存在が不可欠。人間での実験より,ウォーカロンで実用されているのではないかと打ち明けられる。自分の研究が邪魔なのは,人間サイドか,ウォーカロンサイドか。ウォーカロンの展示施設への見学に誘われて,帰りのバスが無人ヘリに襲われる。命を懸けて自分を守ろうとするいうウグイの姿勢に心が打たれるが,トンネル内で襲ってきた3人に倒された。自分を攫おうという敵に赤い魔法と囁くと…。自分が狙われたのが,開発したことさえも忘れていた暗号式が原因だとは知らなかった〜
 すでにWシリーズという名が付いていて,次作以降の予定も…曰く「魔法の色を知っているか?」「風は青海を渡るのか?」だ。WというのはWalkAloneのWだろうか?最後に登場した名前はマガタ博士!

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15/12/12
『空海と密教 新版』:頼富本宏(よりとみ もとひろ):2015年3月20日:\1600:PHP研究所:県立M高校図書館
★★★
 「情報」と「癒し」の扉をひらく
〜空海の思想と行動の中に,積極的に活動して次々と種々の情報を発信し,相手に影響を与えていく時期と,逆に外界との接触よりも,むしろ大自然・大宇宙の懐に帰っていく時期の二極・二軸があったことを勘案すれば,(中略)高野山が即身成仏と癒しの寺,東寺が密厳国土と情報発信の寺と対比することも決して無理ではないだろう。<巻末年表より>1(774)讃岐国に父佐伯氏・母阿刀氏に生まれる。15(788)外舅阿刀大足に論語・孝経を学ぶ。18(791)大学明経科に入学するが,一沙門から「虚空蔵菩薩求聞持法」を受け,阿波・土佐で修行す。24(797)「三教指帰」を著す。31(804)4月出家得度,空海を名乗る。東大寺戒壇院にて受戒。5月遣唐大使藤原葛野麻呂と同船し入唐の途につく。7月肥前田浦を発し,8月福州に至る。12月長安。32(805)2月般若・牟尼室利のインド僧に梵語梵字を学ぶ。6月青龍寺・恵果和尚について三昧耶戒・胎蔵の灌頂を受ける。7月金剛戒の灌頂。8月伝法阿闍梨の灌頂。12月恵果和尚入寂。33(806)高階遠成と明州を発し,帰国。34(807)太宰府に留め置かれて2年を過ごす。36(809)和泉より平安京に入住。38(811)山城国乙訓寺の別当に補せられる。39(812)高尾山寺で金剛戒結縁灌頂を開壇。42(815)勧縁疏を著す。43(816)修禅の道場建立のため上表して高野山の下賜を請い,勅許を得る。45(818)高野山で禅院を経営。48(821)讃岐・万濃池修築別当に補せられる。49(822)東大寺に真言院を建立。50(923)東寺を給預競られ,曼荼羅等を収蔵。51(824)造東寺別当に補せられる。55(828)摂津大輪田造船所別当に補せられる。綜芸種智院を創立。62(835)3月21日高野山において入定。921(没後86年)弘法大師の諡号を賜う〜
 十住心:1異生羝羊心(本能・食欲と性欲)2愚童持斎心(倫理・儒教)3嬰童無畏心(他宗教・道教・ヒンドゥー教)4唯蘊無我心(声聞乗)6抜業因種心(縁覚乗)6他縁大乗心(法相宗)7覚心不生心(三論宗)8一道無為心(天台宗)9極無自性心(華厳宗)10秘密荘厳心(真言宗)

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15/12/09
『夢幻』:佐伯泰英(さえき やすひで):2015年4月20日:\600:光文社:M市立図書館
★★
 飛ばしてしまった吉原裏同心の22
〜木枯らしが吹き荒んだ明くる朝,筵を被せられた遺体が按摩の孫市だと判ったのは,豆腐屋の奉公人で,親方に言われて前の晩に孫市を読んだからでもあった。噂で孫市は小金を貯めて懐に忍ばせているが,それは拵え物。吉原の中の塒にも貯めたはずの金はなかった。凶器として使われた300年前の諸刃の直刀は天女池に投げ込まれていて,鳶と会所の若い衆が攫い揚げたが,五十間道裏の質屋から盗まれたもので,質屋は値打ちが解っていなかった。孫市は深川の惣録屋敷の出身で,両親は心中していて,母だけが寺に葬られ,月に一度命日に出掛けていたのだ。会所の若い衆である哲二は将来駄菓子屋をやるのが夢だと聞いていて,海辺大工町に孫市が買って母の面倒を見ていて婆さんに預けてた一文菓子屋を突き止めた。旗本宅から諸刃の剣を盗んだ者を南町の常廻り同心に尋ねると,牧造という小器用な男が浮かび上がり,惣録屋敷にもいたことが判明する。牧造は吉原の内か外か。按摩の形をしているのか,鬢付け油の臭いは何故するのか〜
 どうして傷を負ったのか謎だったが,薄墨大夫と口吻を交わしているのを見られて脅され,花魁を守るため殺す必要があったからだね

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15/12/08
『生物学の「ウソ」と「ホント」』:池田清彦(いけだ きよひこ):2015年3月20日:\1300:新潮社:県立M高校図書館
★★★★
 副題:最新生物学88の謎 なかなか面白い先生だが,専門は昆虫かなぁ
〜史上最大の生態系破壊者はシアノバクテリアで,光合成を始めて有毒な酸素を造り出した。花粉症の仮説@花粉と排気ガスが反応したA道が舗装され落ちた花粉が再び舞う。アレルギーの原因であるIgEと呼ばれる抗体は対寄生虫用の武器だったが,回虫がいなくなって花粉に反応している。哺乳類が長生きできないのは,テロメアという染色体の末端が細胞分裂の度にきれて,ヒトだと50回(ガラパゴスゾウガメのヘイフリック限界は100回,ウマ30回,マウス10回)分裂するとなくなるから。哺乳類は爬虫類単弓類の一種。双弓類は多様性を持っている。トンボは原始的で翅脈が複雑,アリ・ハチの膜翅目・ハエ・アブ・カの双翅目の模様は単純で飛ぶのは双翅目が上手。金魚は液体窒素に漬けて瞬時にフリーズさせ,常温の水の中へゆっくりリリースすると泳ぎ出すが,人間は瞬間冷凍できるほど小さくない。水鳥についているウイルスは滅多に発病せず,ニワトリに入ったものとヒトに入ったものが同時にブタに感染すると新種のウイルスに変貌する。ストレスで免疫力が弱くなる。雄なしで作られたコモドドラゴンの子が雄なのは,雌の性遺伝子がヘテロでZWだから。雌は遠い雄に惹かれる傾向があるため,世界の日本人妻は見た!となるのだ。牛はバクテリアや原生動物を使って草をタンパク質に変え,馬は炭水化物を摂りすぎるので運動してカロリーを消費する。人間は元々肉食であったが,炭水化物を摂るようになって休みなく働くようにならざるを得なかった。セーラー服はミューラー型擬態で,このパターンに手を出してはいけません(鳥もオジサンもバカだということ)。ダイオウグソクムシというのは海底に棲むダンゴムシの仲間だが体長45cmになる。都市部ではスズメやツバメが減少しているが餌の虫が減少しているせいか。カラスは増え,オオタカもカラスを餌にすることを覚えて増えている。オオタカは追ってくるカラスが一羽になったところで襲いかかり,水の中に突っ込んで溺死させる。生まれたての赤ん坊の脳細胞は1200億個,2歳児は200億,刺激を受けた細胞は大きくなり他は働かなくなり,成人の脳細胞は120億個。結核菌は9千年前に出現し日本には3世紀に到来。ガンは悪性なら転移しているし,良性なら転移しないので,放っておく方が良く,医者に通わない方が長生きできる。日本の百歳以上の高齢者は今や6万人〜
 DNAの話とか免疫の話はややこしく,専門的なカミキリ虫の名前は判りにくくて困ったが,エッセイだから,野暮に,細かく内容は書きたくない。おっ,と思わせるおもしろ話題がある。この先生はどうやらカミキリ屋らしい。養老孟司も出てくるがムシ仲間だ。夕刊フジに「今宵学べる生物学」で2013.4.6〜2014.12.27連載

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15/12/05
『平蔵狩り』:逢坂剛(おうさか ごう):2014年8月10日:\1600:文藝春秋:東部台文化会館
★★★
 これはシリーズなんだろうか…なんて言う?
〜石川島の寄場の出入り改め方のしづという剣術道場の女房の動きが怪しいが,しづは幼馴染みの小人目付の手助けで,長崎奉行所に勤務していて,マンドロガを江戸に持ち込んで,寄せ場の門番を経由して売りさばこうとしていたのだ。大名や旗本の家から名刀を盗む白鳥郡兵衛一味は刀剣屋に持ち込むが,金にするのは難しい。通報した備前屋の正体が,白鳥だった。玄蕃という医師は貧しい者から治療費をとらず,金持ちからは遠慮せずに貰う名医だという評判だ。4人が担ぐ籠には槍持ちもいて,先触れの女もいる。しかし,往診先が押し込みに会う被害が出ているが,怪しいのは所沢時代に金がなくて助けて貰えなかった女の娘ぐらいだ。所沢での若い娘の評判は,見せ物小屋にいたという話。平蔵は籠の下の隙間に小男が潜んで,忍び込み,中から潜り戸を開けるというものだった。駕籠屋と見せ物の親方は兄弟だったのだ。18の女が,父は深川の平蔵だという母の言葉を信じて下ってきた。本所の平蔵と言ったら長谷川の火盗改めの殿様だ。対面したが,父娘だとは判明しない。娘は右の乳の下に錆色の痣があるという。長谷川の指示で平蔵という名の者が集められたが,それらしい男は数名だ。そのうちの一人は本庄の平蔵という名物商いの男で,確かに痣もあった。娘は何かを望むものでもないが,対面を終えて船宿に帰った娘に長谷川の似顔絵を描くように命じたのは盗賊の頭目だった。唐物問屋に押し込みが掛けられ,異変に気が付いた小女は赤鬼を見たという。オランダ人にはそういう者もいる。抜け荷を扱い,薩摩に出入りしているなら,船で高輪沖にやってくるのも可能だ。抜け荷はマンドロガ。信濃で仕事をしてきた盗賊が,江戸に伸してきたが,非道を働いて抜けたいという男が,平蔵に繋ぎを付けに来た。非道は卍と名乗る盗賊の娘。誰の意図が実現するか〜
 中一哉を紹介していたのは文藝春秋だったか。その後に訃報が。逢坂さんは三男で,中央大学法学部を出て博報堂に勤務していた1943年生まれの直木賞作家

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15/12/03
『黄泉坂の娘たち』:仁木英之(にき ひでゆき):2014年9月30日:\1300:角川書店:東部台文化会館
★★★
 仁木さんの僕僕先生シリーズだけが好きだって言いたくなる
速人は車デューセンバーグと一体化し,大国を追い出した彩葉は村長代理を務めていたが,やよいという村長が川向こうから送り込まれてきた。両親を失った女性は建築会社で営業をやっていて,契約先の担当者と男女の仲になったが,彼女は自分の勤め先が不正を働いているのが許せない。死んだ父が特撮物のヒーローとして応援に来てくれて,男が自分を利用しようとしていることを知り,父は川向こうに旅立った。大坂方についた木村長門守重成は,剣道で勝てない相手に運動会の騎馬戦で勝ちたいと願う小学生の願いを叶えさせるため,自分の首を探させた。重成を狙う山口伊豆守重信の相手をしてやり,運動会で応援をし,重成も川を渡った。村長になったやよいは,彩葉との間で選挙をやると言い始める。妖らはやよいの味方らしいが,効率よ川を渡す方法を考えているようで,じっくり話を聞いて川向こうに渡そうという綾葉とは路線が違う。看病に疲れた妻と共に向こうに行きたい老人は,心中を謀って死にきれずにいる妻を待っているが,妻は生きる道を選ぶ。僅差で選挙に勝利したやよいは,海津波で亡くなった人が大挙して押し寄せる前に方策を練り,彩葉はそれ以外の担当にされる。先代の玉置さんは,手伝いをさせるためにうつしよから,べとべとさんを連れてこいと言うが,実際に連れてくると,彩葉の方が離れられなくなり,こどもと一緒にいたい,餓死した女に乗っ取られてしまう。先代の鏡で,子らと一体になってあやかしになった女は嬉しそうだ。デューセンバーグには何者かが取り憑いている。東吉野で林業を営んでいた男だろうか。勝手に走り出した車は故郷のあったダムの底を見せ,年寄りが黙々と樹を植え続ける場面を見せ,山を丸裸にしたせいで,山津波が起き,妻も娘も失った男が黙々と樹を植えている処で,娘が父に声を掛けているのだった。虚ろの町に迷える魂が屯している。やよいは体育館のような建物で皆で一体となって妖になる施設を作った。速人も娘に会いに行ってこのままで良いから,定着する道を選ぼうとするが,川の向こうに行ってしまった,戻ってくると約束をした両親を入日村で待とうという少女を河原まで連れて行くと,邪魔をする鬼が現れたが,少女には両親にしか見えず,3人で向こうへ旅立った。戻ると彩葉がかぐつちで,絆の館を打ち壊していた。やよいは津波で消え去った町の出身だったのだ
 このイラストレーターが嫌いなのかも知れないけど! 死者が長い坂を登って,川に辿り着くって設定が腑に落ちないのだよね。死んだ人間は,ころころ転がり落ちていけばいいので,現世に未練がある者はしっかりしがみついて,必死?で坂を遡って行くのが良くない?

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15/12/
 
★★
 
〜〜
 

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最終更新日 : 2015.12.27

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