2014/6
〜6月に読んだ本〜

いとみち 三の糸 ☆☆☆☆ 路上のストライカー ☆☆☆☆ NHK間違いやすい日本語ハンドブック ☆☆☆ 書き出しは誘惑する ☆☆
アヴェ・マリアのヴァイオリン ☆☆☆ スペードの3 ☆☆☆ 岳飛伝H暁角の章 ☆☆☆ 虚ろな十字架 ☆☆☆
山桜記 ☆☆ 人を幸せにする目からウロコ!研究 ☆☆☆ 花のベッドでひるねして ☆☆☆ ちくま小説選 ☆☆☆
空想科学「生活」読本 ☆☆☆ 村上海賊の娘 下 ☆☆☆☆ 私のなかの彼女 ☆☆☆☆ 春,戻る ☆☆☆
わたしをみつけて ☆☆☆      

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

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14/06/29
『わたしをみつけて』:中脇初枝(なかわき はつえ):2013年7月13日:\1400:ポプラ社:県立M高校図書館 
★★★
 わたしは此処に居るのよ!と云いたいのか,本当の私が漸く判ったから・・・と云いたいのか
〜弥生という名を告げると三月生まれかと聞かれる。捨てられた私が拾われたのが3月で,名付け親の区長の山本という名前だったのだ。施設で暮らし,小一で養父母と暮らし始めたが,良い子でなくても面倒を見てくれるのか試すために,玄関の花瓶を階段から投げ下ろした。児童相談所に入って学校へ通えずにいたため,九九を覚える機会を失ってしまった。高校卒業後,寮に暮らし病院に勤めながら学校へ通って准看の資格を手にした。産科のない病院に勤めて施設長に保証人になってもらってアパートを借りたが,正看のくせに私より仕事ができず,男から暴力をふるわれて,抵抗できない神田さんみたいな人もいる。遅刻して来る内科医は最低だし,手術前にナースの尻を撫でる院長もまともじゃない。新しい師長が来た。小さくて白衣のサイズはSだが,笑顔を絶やさず,患者の状態もカルテで把握している。夜勤が明けて自転車でアパートに帰るが,雨の中,犬と一緒に途中のアパートを心配そうに見ているおじいちゃんが居た。それが菊地さんだった。院長が虫垂炎と診断して手術をした患者が急変して死亡した。師長はレントゲンを見て,フリーエアを見落とし,上部消化管穿孔なのを誤診したのだという。患者の両親が説明を求めに来て,私は昨日手術した患者のカルテを持ち出すことで院長に協力した。大腸ガンで入院してきたのは菊地さんだった。集団就職で八百屋に勤めたが,それが今やチェーン展開するスーパーだ。病院の行き帰りに,例のアパートを見てきて欲しいと云われて頷いたが,良い子で居るのが嫌で,わざわざ別の道を使った。菊地さんの孫が九九を練習している場に立ち合って,九九を知らないのを見破られ,ひらがなの九九表を手渡されて観念し,アパートに寄ってみると,件の部屋の住人は同僚の神田さんだった。子への暴力で男は逮捕され,子は児童相談所に居ると云い,生活を変えたいのだとも云う。又しても院長が上部消化管穿孔を虫垂炎と誤診した。このままでは死ぬと断じた師長は,院長が退勤したタイミングで知り合いの医者に電話して,大学病院の救急への搬送を行った。翌日呼び出された師長と協力者の私は院長と看護部長に詰られ,師長は院長の誤診だと断言してしまった。師長を引っ張ってきた理事長も残念だと漏らす。師長は,そもそも自分は母子家庭で,准看を取り,正看,認定に進んだのだと教えてくれた。この病院の改革はならなかったが,看護師が看護の仕事に専念できるようにすることが大事で,正看を取って市立に来ることを勧めてくれたが,菊地さんが退院するまでは,この病院に居るつもりだ。菊地さんの患部は広がっておらず,簡単な手術に思えたが,リンパ節の切除を始めたら出血が止まらない。院長は輸血を拒否し続けるが,菊地さんが死ぬのを見過ごせない私は独断で日赤に電話し,Rh+O全血を8ユニット用意して貰う〜 
 医師と看護師と師長と部長と准看と・・・話に出てこない看護助手。放射線技師や薬剤師もいて,経営を担う理事や事務方もいる。そうそう・・・患者もいる。差別社会の縮図だ。そういえば,准看育成を行っていた人は皆,制度に矛盾を感じながら仕事をしていたなぁ。准看の試験はほぼ100%合格,正看は85%位だったろうか? 弥生さんは九九ができなかったが,それでも高校は卒業できたんだね。濃度の計算なんて出来なくても,大丈夫? 乳児院・児童福祉施設で,誰も親しい人がいないと,学び直しの機会はなかったかも知れないが,施設職員やボランティアも気が付かなかったのだろうか? 30数歳になるまで,自分を捨てた親の気持ちを理解できないのは鈍すぎないか! 病室に花を持ち込ませないようになっているのを作者も編集者も知らないのは問題だ

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14/06/27
『春,戻る』:瀬尾まいこ(せお):2014年2月10日:\1200:集英社:県立M高校図書館 
★★★
 彼女の本を読むのは初めてだろう 
〜6月に和菓子屋の春日庵に嫁ぐため事務を十年間やってきた会社を辞めた私・さくらの前に12歳も年下の自称おにいさんが現れた。私の基本情報は間違っていない。手伝いに行く和菓子屋まで付いてきて,作業場にまで入り込む。日曜にはアパートに来て,料理教室まで開いている。田舎から大学入学と同時にやってきて,就職した24歳だというのだ。名前は名乗らない。ダブルデートだと言って一人で来て,山田さんと私と3人で遊園地に出かけたり,一人暮らしのアパートに入る機会はもうないと,山田さんを連れてきて,目玉焼きとチャーハンとレトルトのスパゲッティを食べたり,山田さんは年下の自称お兄さんにも特に違和感を感じていないようだ。小学校から引きこもりになり,高校は通信制,思い切って大学から一人暮らしを始めたけど,得意の手品だって人前で披露したことはないという。最後の日曜,彼が教えてくれたのは家伝の具だくさん金平牛蒡。大学を卒業して,やっと岡山の小学校の教諭になったが,児童と友達感覚で接している内に,収拾がとれなくなり,誕生日を3日後に控えた12月24日に当時の小森校長の家に招待されて,食べた味だ。その頃,家に引きこもっていた小学5年生のいぶき君だ!〜 
 軽い本でした。中身も重量も。瀬尾さんは1974年大阪生まれ。代表作の表題を見ても覚えがない 

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14/06/26
『私のなかの彼女』:角田光代(かつた みつよ):2013年11月30日:\1500:新潮社:県立M高校図書館 
★★★★
 調べてみたら,2006年以降は彼女の本を読んではいない 
〜和歌は母が祖母の事を醜女で髭が生えていたと貶すのを不思議な感覚で捉えていた。栃木の実家から東京の大学に進学して,一郎で同級生の仙太郎と付き合い,泊まることもある。何がしたくてわかないとき,いろいろ教えてくれたのも仙太郎だった。描いたイラストが受け入れられ,一躍に有名になって卒業も危うくなったが,私には就職しろと,編集プロダクションを紹介する。大学に残れと言う先生もいたが,初給料ではブランド品も買った。仕事にようやく慣れてきたころ,家の蔵を壊すと告げられ,片付けに帰ると,捨ててはならない祖母の思い出があるようで,こっそり東京のアパートに送る。1953年に復刊したのは,祖母の書いたフィクションだ。手紙などから,栃木の家を出て,ちょっと売れっ子になった小説家に師事したらしい。それでも栃木に戻って材木商の妻に収まった祖母を母は貶すのだろう。祖母の事を小説にしたくて,家族に理解されない官能小説家の物語にしたら,有名な文学賞の新人賞の候補になった。候補になっただけで,小説やエッセイの依頼が入り,それでも会社勤めは辞められない。バブルが崩壊し,仙太郎の仕事も落ち着くと,彼は一緒に住むためのマンションを借りようと申し入れてきた。仙太郎の妻になることを想像していたが,いざ実現が近くなると違和感も覚える。サカキバラ事件が伝えられると,仙太郎はノンフィクションの書き上げると言い,近くに仕事場も借りた。祖母が師事した小説家が赤裸々に綴る性の遍歴を,14歳の少年の力への憧れとして描き,大きな文学賞の候補になるが,妊娠した子が流れてしまい,さらに仙太郎はアイデアを和歌に盗まれたと,マンションには帰らなくなる。書きたい意欲がまして,家が汚れ,和歌は仙太郎に何を言われるかビクビクしどうす。母に甲状腺癌が見つかり,ものを書かなくなり,仙太郎は旅に出ると中国へ旅発つ。恋愛知らずの恋愛小説家と蔑まれながらも書き続けると,仕事は旅行記にまで広がり,大学の時におぼろに描いたフィールドワークも思い出す〜 
 自叙伝のようでハラハラするが,フィクションなんでしょうね。彼女は横浜の出身で早稲田の一文を出ている1967年生まれ。新潮に連載した「空に梯子」から改題して,大幅に加筆・修正

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14/06/24
『村上海賊の娘 下』:和田竜(わだ りょう):2013年10月20日:\1600:新潮社:県立M高校図書館 
★★★★
 本屋大賞で話題の本だが,上巻が手に入らず,下巻から読んで,もう良いかな,上巻を読むのは?
〜景は安芸高崎の百姓で一向宗門徒の源爺が立派に討ち死にしたが,極楽へ行った証を見せろと木津砦に迫るが,その孫・留吉に追い返され,眞鍋七五三兵衛からは馬鹿にされた。織田側に痛撃を与えた雑賀衆の首領・鈴木孫市は信長の狙撃に失敗して貝塚御坊に落ちていくのに景と景親を利用した。景は村上海賊の船で能島に戻り,戦には出ないと誓うが,父の武吉は,毛利に求められて兵糧十万石を大坂に運び入れる約束を交わしていた。しかし,連歌の会を催していて動かないのは,小早川骭iの越後の謙信が動くまでは様子を見ようという策を受け入れたものだった。謙信と一行門徒の和睦がなったと聞いて,兵糧を積んだ船が出航するが,武吉は出ず,嫡子の元吉,来島村上の吉継,因島村上の吉充,小早川の重臣・乃美宗勝,景の婚約がなった児玉就英が千艘を淡路の岩屋城に集結したが,出撃の命令は下らない。盆が近づいて,武吉は毛利勢が攻めずに戻ってくることになると,景に告げる。留吉を救いたいと心から願った景は兵を集めて淡路へ向かう。期限の前日,掛け合いに行くという景は就英と小早に乗り,こちらは千隻で向かうと七五三兵衛を脅すが,眞鍋海賊は受けて立つと断れた。淡路に帰った景は雑賀衆の鈴木孫市を頼った。景は雑賀の鉄砲衆を乗せた50隻で出撃し,眞鍋水軍だけを引きつけたが,毛利勢は淡路から西へ引き上げていた。毛利勢に紛れていた景親は,姉が戦端を切ったことを皆に告げ,村上水軍は難波海へ戻っていく。木津川河口には泉州侍でも船戦に不慣れなものが残されていた・・・〜 
 さすが本屋大賞に選ばれたことはあるが,のぼうの城よりもダイナミックだ。この本は小説として4冊目。さて上巻はどうしよう?

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14/06/21
『空想科学「生活」読本』:柳田理科雄(やなぎだ りかお):2007年7月10日:\1200:扶桑社:県立M高校図書館 
★★★
 空想科学本は何冊出したのだろう?
〜傘・ひげ剃り・目覚まし時計・洗濯機・エアコン・掃除機・電池・二日酔い・虫歯治療・歯磨き・コンタクトレンズ・注射・健康診断・窓ガラス・非常識・満員電車・エレベーター・ワイパー・車椅子・移動手段〜 
 特撮物の可能・不可能,矛盾などを述べるより,生活関連の方が楽しいね

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14/06/19
『ちくま小説選』:紅野謙介(こうの けんすけ)・清水良典(しみず よしのり)編:2013年10月5日:\1000:筑摩書房:県立M高校図書館 
★★★
 高校生のための近現代文学エッセンス
〜<日常のほころび>ミケーネ(いしいしんじ)ピアノ(芥川龍之介)わかれ道(樋口一葉)最近のある日(G・ガルシア=マルケス)件(内田百閨j怒りの大気に冷たい嬰児が立ちあがって(大江健三郎)<気がかりな痕跡>指(津島佑子)普請中(森鴎外)七話集(稲垣足穂)秘密(谷崎潤一郎)さよならクリストファー・ロビン(高橋源一郎)弓浦市(川端康成)<湧きあがる想い>歌のふるさと(円地文子)絞首刑(G・オーウェル)それから(夏目漱石)ボトルシップを燃やす(堀江敏幸)歩行(尾崎翠)<飛翔する言葉>ブラックボックス(津村記久子)新釈諸国噺(太宰治)海と夕焼(三島由紀夫)どんなご縁で(耕治人)一言主の神(町田康)〜 
 編著は大学の先生で,解答編は中高の先生が書いている。この本は「高校生のための近現代文学ベーシック ちくま小説入門」の発展編だって・・・へぇ。高校の図書館にしか亡い本だろうなぁ

14/06/18
『花のベッドでひるねして』:よしもと ばなな:2013年11月30日:\1200:毎日新聞社:県立M高校図書館 
★★★
 父・隆明が死んでほとんど無意識で書いた
〜幹は拾われっ子だ。子宮癌で子が産めなくなった母が突然海岸に行き,若布にくるまれた私を拾ってきた。父は彫刻家。祖母はいなかったが,祖父はこの島のこの丘がイギリスのグランストベリーに似ていると,B&Bを開いた。祖父は引きの強い人間で,祖父と話したいがために来る客も多かった。叔父が亡くなり,祖父が亡くなり,客も少なくなったが,薄気味悪いのは裏の廃墟となったビルだった。幹の一家は白,祖父に恋心を抱いて振られたビルのおばあさん一家は黒,おじいさんが飛び降り自殺し,娘は失踪していて,おばあさんも亡くなった。その土地を買い求めて,ビルを取り壊し,住む為のドームを作ろうとしているのは,幹の1学年上の野村君だった。サンフランシスコで出版業を行い,成り行きで結婚した奥さんも亡くなり,30代後半で人生をリセットする為に生まれ故郷に戻るのだという。彼は幹の祖父に憧れていた。父母が乗った自動車が兎を轢きそうになり,ハンドル操作を誤り,母は足を骨折して入院した。兎は確かに居る。私の夢見は,怪我で入院したのに精神科の病棟に入れられることだった。野村君の夢見は,足首が切られ,それを拾って付けくれたのがぶっきらぼうは幹だというものだ。取り壊され,桜の樹の根元から足首を切断された人の白骨遺体と兎の白骨遺骸が見つかる。私と野村君の奥さんは私の夢の中で友達になり,私が捨てられた経緯を教えてくれた〜 
 吉本隆明が書いたものって読んでいないのだが,ばななと書いたものは時々読む。失意の内に書いた小説。もっとも悲しい主人公が出てくる話だと後書きで書いているが・・・そうなの?

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14/06/17
『人を幸せにする目からウロコ!研究』:萩原一郎(はぎわら いちろう):2014年1月21日:\860:岩波書店:県立M高校図書館 
★★★
 大学の研究者の寄稿・・文章の巧い人も下手な人もいる
〜ネタバレ防止ブラウザの研究・柑味鮎の開発・対話型顔画像美化システムの研究・食べたつもりになるARダイエットメガネ・かわいいの系統的研究・芋エネルギーが地球を救う・建築の音づくり・やわらかボディーのEV・工学部機械系の心理学者・大学の知財を活用して起業しよう・自らの感性を生かした「人間の幹(コア)」サイエンス・折り紙工学から折り紙工法へ〜 
 一番面白くなかったのは折り紙工法で,書いたのは編著者。そのつぎがコア・サイエンス

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14/06/16
『山桜記』:葉室麟(はむろ りん):2014年1月30日:\1400:文藝春秋:県立M高校図書館 
★★
 戦国末期から江戸初期の大名家の男女 
〜汐の恋文:肥前佐嘉・竜造寺政家の家臣で朝鮮出征中の瀬川采女に書いた文が浜に流れ着き,滞陣中の秀吉の目に触れた。妻・菊子が名護屋城に呼び出されるが,成敗された梅北の妻女への残酷刑を非難すると,夫に身代わりの帰国するように文を書かされる。夫が死を覚悟して帰国すると,ちょうど淀君が男子を出産した喜びに赦された。氷雨降る:九州島原の有馬晴信に公家の中山親綱の娘ジュスタが輿入れした。関ヶ原では東側に付き,小西行長と袂を分かち,ポルトガル船を攻撃してジュスタを失望させるが,長崎奉行の配下に金品を騙し取られた不行跡を責められ,切腹を命じられたが,キリシタンとして自害はできず,斬首されるが,天に祈る声が誰にも聞こえ,ジュスタは首級を抱き親吻した(日本西教史)。関ヶ原で東側についた細川忠興の妻は明智光秀の娘・玉子であるが,大坂方に取り囲まれ屋敷と共に焼死した。妻で前田家出身の千世は命惜しみをしたと非難され,離縁を求められて同意しない息子の忠孝も廃嫡される。夫婦は京で暮らす。慶長5年,肥前の鍋島直茂の継母慶ァ尼が嫁の彦鶴にァァ如と遺言を残した。もともとは竜造寺家であったが,臣下の鍋島に降嫁したのだった。くのないように:加藤清正の娘・八十姫は家康の十男頼宣のもとに嫁すが,清正愛用の片鎌槍が嫁入り道具に加えられていた。加藤家が潰され,多くの武士が浪人となり,由井正雪や丸橋中也も紀伊屋敷に出入りしていたのだ。牡丹の咲くころ:柳川藩主立花忠茂に嫁いだ鍋姫は仙台伊達藩の出身だが,縁談をまとめ,家光まで話を持って行ったのは原田甲斐という伊達の重臣であったが,忠茂と連携して大藩の騒動を収める役割を果たしたのだった。天草の譜:黒田忠之は如水の孫であるが,自分を藩主にしてくれた功労者・栗山大膳を斥け,不穏な動きを咎められ,領地没収の憂き目を見るところであったので,島原の乱が起こると汚名返上の機会だといきり立つ。予言をなす浦姫の生まれ変わりだという万が現れ,危ういところを救われるが,祖父の弟の娘でキリシタンでも有り,天草四郎の恋人でもあって命乞いを申し入れてきたのだった〜 
 彼自身が小倉の生まれで,九州大名の大名の話を集めて書いたらしい。もっと侍らしい物語が読みたいが 

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14/06/13
『虚ろな十字架』:東野圭吾(ひがしの けいご):2014年5月25日:\1500:光文社:県立M高校図書館 
★★★
 富士宮市にある樹海が表紙の写真 
〜中原道正は娘が留守番をしている最中に殺された事件を扱った刑事から,元妻・小夜子が殺されたことを知らされた。通りすがりの犯行らしいが,犯人は間もなく自首してきた。その義理の息子が元妻の両親に謝罪の手紙を書いてきたのだ。元・妻は雑誌のフリーライターとして万引き常習犯を取材して記事にしていただけでなく,人を殺した者は死刑にしろという本を書いている最中だったのだ。万引き常習犯と自首してきた犯人の義理の息子は,富士宮出身で1年違いで中学は同じ。周辺を探ると,医師をしている義理の息子は,自分の子ではない男の子を養育しているらしい。医師の妻の周辺を探ると・・・〜 
 東野圭吾は最近泣かず飛ばずと家人が言うが・・・。早くカラクリを見せろよ!と読み進められる。この本も書き下ろしって事は,雑誌に発表してないということ。シリーズものが読みたくなるかも知れないが,設定が縛られていると書く方は大変だよね 

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14/06/11
『岳飛伝H暁角の章』:北方謙三(きたかた けんぞう):2014年5月30日:\1600:集英社:県立M高校図書館 
★★★
 あと何冊の予定だったかな? 
〜小梁山の住民は1万に成り,劉剛は調練を忌避した2名を処断したが,大きく心が動くときは相談に来いと秦容に釘を刺される。金の簫R材は轟交賈に課税しようとする朝廷の意図が見えず,ものの動きが大きく変化し,特に銀の附則が気になって仕方ない。南宋の韓世忠は妻を日本に派遣し,沙門島攻撃を計画する。蒲甘が南宋に唆されたか2千で南下を始めた。異形の30〜40名が別働隊として動き,途中で曲がった刀を投げてきて,小梁山の300名が飛刀の犠牲となった。沙門島には孫二娘らが残ったが,韓世忠の水軍の手に落ちた。沙門島陥落後,金と梁山泊は交戦状態にあるはずだが,静かであったが,史進は淮水・長江を越え,臨安府に攻め入り,宮殿前で劉光世の首を刎ねて,南宋の帝は戦を直ちに停止せよと喚き始め,秦檜は宥める側に回る。秦容は岳飛との連携が必要となって,飛刀を使う山岳民族を訪ね,60名を雇い入れ半数を岳飛に送ることを決める。張朔の船隊が島伝いの航路で韓世忠のいない南宋水軍と遭遇し,焔筒を防ぎ,瓢矢で勝利した。兀朮は胡土児に梁山泊に行き,呼延凌を引っ張り出せと命を授けるが,馳せ違うだけで本格的戦闘に至らない。泉州同安で漁をしていた王清は燕青に促され米を買い付けたが,先回りして買い付けているものと出くわすが,それは子午山で共に過ごした祭豹だった。大理に進駐している辛晃率いる南宋軍と岳飛は対峙する。韓世忠は50隻の梁山泊水軍と接近戦に持ち込んで,鷗焔が優勢を呼び込んだ。金宰相の撻懶の病が篤く,簫R材は気が気でなく,魯逸に呼び出されたと思ったら,宰相の地位を狙う斡本により拘束されていた。兀朮と呼延凌の対決の時季は熟さず,撻懶は斡本に対し国父となる身は宰相などを目指してはならないと釘を刺す。兀朮は宰相府の制圧を1万騎に命じ,呼延凌を呼び込むが,史進の赤騎兵の突進を寸前でかわす。北での麦の買い占め,南での米の買い占めという宣凱の深謀遠慮が功を奏す予感だ。南宋が長江での梁山泊の通商を妨害しようとしてる。王朔を中心にこれを取り戻す作戦で,韓世忠を誘き出し,無為軍の造船所も潰す積もりだ〜 
 次は,長江の戦いと,大里における南宋と岳飛のぶつかり合いだね

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14/06/10
『スペードの3』:朝井リョウ(あさい):2014年3月13日:\1500:講談社:県立M高校図書館 
★★★
 宝塚にのめりこむ?
〜美千代は化粧品の関連会社で各営業所に商品を発送を担当する三十路直前の独身だが,舞台女優つかさのファンクラブ・ファミリアの代表をしている。規律第一で,マネージャーに連絡できるのは家と呼ばれる彼女とその取り巻き2人だけだ。飯島ちゃんが連れてきた新人を見て美千代は小学校時代,転校してきた愛季に合唱の伴奏・気になる男の子・学級委員の地位を奪われた悪夢が蘇る。アキと呼ばれる・・・。明元むつ美は中学校で小学校時代を知る同級生がいないことから,呼ばれ方から変えてみることにした。年子の弟のために描いてやったキャラクターの絵を見た後ろの席の子が声を掛けてきて,演劇部に入り,美術を担当することになった。冷静になれば,周りから大仏と呼ばれるのも無理はない。同期の演劇部員・飯島ちゃんの家で,雑誌を見て,ちょっと自分に似ているつかさから目が離せない。2年になり弟が中学に入ってきたが,ノートにキャラクターを描いたのが姉だと知られた弟は,私を責める。クルクル巻いた毛も一度ベリーショートにすると,髪質が換わるというつかさのインタビュー記事を思い出し,弟の部屋の前で髪を切り始めるのだった。つかさは新体操をしていて,舞踏学校受験を決める。舞台女優を目指す少女を追ったドキュメントの主人公となった円と同期・同室・男役と女役となり,劇団退団後の事務所も同じ。円が病気を理由に女優廃業するニュースが流れ,円はずるいと思うつかさは,特に理由はなくても,引退しないと気を強く持った〜 
 愛季と書いてアキ・・・明元だからアキ,ずるいよね。ま,それが狙いだろうけど。もう一つは,女優にも私生活はあって,悩みもあるだろうこと。ファンクラブのメンバーが減れば不安になるし,ゴミ捨てをさぼっていると悪臭に悩まされることになる。オーディションに遅れてはならないから,会場近くに早く来て,トイレで時間を潰しもする。便意はなくても,この際悪い物は出しておこうかと考える

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14/06/10
『アヴェ・マリアのヴァイオリン』:香川宜子(かがわ よしこ):2014年4月15日:\1600:角川書店:県立M高校図書館 
★★★
 中高生向け課題図書
〜徳島に住む14歳のあすかは父のように医師を目指すか,母が勧めてくれたヴァイオリンでプロの演奏家を目指すか迷っている。今のヴァイオリンは妥協して買ったから少し良いヴァイオリンを買って貰えるはずだが,徳島に入ってきたオールド・ヴァイオリンは1200万だ。弾いてみて是非手に入れたい。そして,この楽器の由来を知っているアメリカ人が第九の指導のために大阪に来ると聞いて出掛けると・・・・ハンナは雑貨店を営む一家に生まれたが,ユダヤ人であるが故にナチスに何もかも奪われ,足の不自由な姉は目の前で殺された。隣町に逃げるときも祖母は足手まといになるのを嫌って家に残った。隠してくれたのは有名な指揮者であるクラウス氏の奥方で,ハンナのヴァイオリンの先生でもあった。週に一度,ゲシュタポが見に来るが,それを地下でやり過ごすと,あとは1階にも上がれる。やがて弟のアンドリューも小さなヴァイオリンで習い始めるが,クラウス氏が帰ってきたときにゲシュタポに見つかった一家は,アウシュビッツに送られ,弟と祖父は左側へ,父母は労働に,ハンナは背負っていたヴァイオリンが目にとまって,音楽隊に加えられた。音楽隊は苦しい労働を免除されるが,同胞が殺される為に送られていく場に立ち合わされるだけでなく,収容者からも敵意の籠もった視線を浴びせられる。生き残って,この惨劇を後世に伝えることを目標に音だけを追求していくが,解放されても,音楽を聴くたびにパニックになる。思い切ってクラウスは,ハンナをアウシュビッツに連れて行き,アヴェ・マリアをチェロで演奏し始めると・・・〜 
 物語として海外部分はすんなり受け入れられるのだけど,現代?日本編になると違和感があって・・・第二章に辿り着くまでが大変だ。物語の主人公のように「父が医師」というと「金持ちの子かぁ」と思うし,作者のように「内科勤務医兼作家」と見ると「いや大変だぁ」と思うのだけど。ハンナが使ったカセットというのを見てみたいのだが!!! 手直しをしたときに誰か指摘しなかったのだろうか? 録音・再生機器としてレコードやオープンリールはあったろうけど・・・

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14/06/09
『書き出しは誘惑する』:中村邦生(なかむら くにお):2014年1月22日:\950:岩波書店:県立M高校図書館 
★★
 副題「小説の楽しみ」ジュニア新書
〜清岡卓行「ある眩暈」河野多惠子「小説の秘密をめぐる十二章」ディヴィッド・ロッジ「小説の技巧」井上ひさし「吉里吉里人」夏目漱石「吾輩は猫である」ロレンス・スターン「トリストラム・シャンディ」内田百閨u贋作吾輩は猫である」ウフランツ・カフカ「ある学会報告」ジェイン・オースティン「高慢と偏見」エマ・テナント「続 高慢と偏見」星新一「デラックスな金庫」ミラン・クンデラ「小説の精神」芥川龍之介「鼻」ゴーゴリ「鼻」ジェローム・K・ジェローム「ボートの三人男」川上弘美「神様」フリオ・コルタサル「続いている公園」中村邦生「転落譚」梶井基次郎「檸檬」角田光代「キドナップ・ツアー」内田百閨u件」フランツ・カフカ「変身」ウラジミール・ナボコフ「ナボコフの文学談義」フィリップ・ロス「乳房になった男」目取真俊「水滴」ジョン・コリア「緑の木かげ、みどりの思い」H・G・ウエルズ「透明人間」スティーブンスン「ジーキル博士とハイド氏」志賀直哉「城の崎にて」川端康成「伊豆の踊子」中条省平「小説家になる」吉川泰久ほか「名作はこのようにはじまるT」川端康成「雪国」島崎藤村「夜明け前」深沢七郎「楢山節考」中上健次「枯木灘」「千年の愉楽」「日輪の翼」「地の果て 至上の時」古い由吉「木犀の日」野間宏「暗い絵」サン・テグジュベリ「夜間飛行」庄野英二「星の牧場」ジュール・シュペルヴィエル「海に住む少女」高村薫「マークスの山」堀辰雄「風立ちぬ」トルストイ「アンナ・カレーニナ」ウラジミール・ナボコフ「ナボコフの文学談義」「アーダ」太宰治「桜桃」夏目漱石「草枕」宮沢賢治「どんぐりと山猫」パトリシア・ハイスミス「恋盗人」ドストエフスキー「貧しき人びと」ゲーテ「若きウェルテルの悩み」有川浩「鯨の彼」中村邦生「ドッグ・ウォーカー」太宰治「トカトントン」小島信夫「書簡文学論」リチャードソン「パミラ」ラクロ「危険な関係」フラソワーズ・サガン「危険な関係」綿矢りさ「蹴りたい背中」北杜夫「どくとるマンボウ青春期」井伏鱒二「山椒魚」フリオ・コルタサル「山椒魚」ルイジ・ビランデッロ「笑う男」太宰治「走れメロス」村上春樹「1973年のピンボール」吉本ばなな「キッチン」G・グリーン「ジュネーブのドクター・フィッシャーあるいは爆弾パーティ」山田詠美「ひよこの眼」ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」アンデルセン「絵のない絵本」スティーブン・キング「スタンド・バイ・ミー」J・D・サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」チャールズ・ディケンズ「デイヴィッド・コパフィールド」スコット・フィッツジェラルド「グレート・ギャッツビー」ダニエル・デフォー「ロビンソン・クルーソー」マーク・トウェイン「ハックルベリー・フィンの冒険」スコット・フィッツジェラルド「金持ちの御曹司」「お坊ちゃん」老舎「駱駝祥子」芥川龍之介「報恩記」三島由紀夫「文章読本」谷崎潤一郎「細雪」ネヴィル・シュート「渚にて」「日本原発小説集」林真理子「20代に読みたい名作」ヴァージニア・ウルフ「灯台へ」エーリッヒ・アウエルバッハ「ミメーシス」スティーブン・キング「小説作法」中村邦生「月の川を渡る」樋口一葉「にごりえ」「わかれ道」夏目漱石「虞美人草」モーパッサン「泥棒」チェーホフ「少年たち」恩田陸「ノスタルジア」村上春樹「海辺のカフカ」スタンダール「赤と黒」イーヴリン・ウォー「愛されたもの」ミラン・クンデラ「存在の耐えられない軽さ」ジョルジュ・ベレック「人生 使用法」ブルースト「失われた時を求めて」トーマス・マン「ベニスに死す」チャールズ・ディケンズ「荒涼館」バルザック「ゴリオ爺さん」ジェイムズ・ジョイス「ユリシーズ」田山花袋「田舎教師」小島信夫「小銃」三島由紀夫「雨の中の噴水」J・G・バラード「コンクリート・アイランド」コルスタサル「南部高速道路」小松左京「交通渋滞」色川武大「空襲のあと」デイヴィッド・マークソン「これは小説ではない」ロラン・バルト「彼自身によるロラン・バルト」大岡昇平「俘虜記」村田喜代子「名文を書かない文章講座」〜 
 1946年生まれの作家で,大東文化大の先生。芥川賞の候補になったとプロフィールに書かれているが,受賞作について言及がないから,候補止まりなのかな。それにしても書き出しを覚えているのだろうか。どこまでの本を読んでいるのだろうか。そうか!出版された本,全部目を通すことは不可能だから,冒頭だけを読んでいるとか!! まあ,そんなことはあるまい。彼の好きな作家は,内田百閨C中村邦生,カフカ,川端康成,ナボコフは同じ本が2回,太宰治,夏目漱石,コルスタサル,村上春樹,フィッツジェラルド,芥川龍之介,キング,ディケンズ,ジョイス,小島信夫,三島由紀夫(まあ,複数回登場したからだけど)。何度ウトウトしただろう,面白くないから,それとも体調? 

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14/06/04
『NHK間違いやすい日本語ハンドブック』:NHKアナウンス室・編:2013年5月25日:\1700:NHK出版:県立M高校図書館 
★★★
 昔から継がれているのだろうね
〜一段落(×ヒトダンラク):シミュレーター(×シュミレーター):大地震(×だいじしん):素読(×スドク):上意下達(×ジョウイゲダツ):大君(×タイクン):添え乳(×ソエチチ):時々刻々(×ジジコクコク):小正月(×ショーショーガツ):預貯金を切り崩す→取り崩す:汚名挽回→返上:暗雲がたちこめる→たれこめる:櫛の歯が抜けるように→欠ける:采配をふるう→振る:「おざなり」と「なおざり」=やる・やらない:アタッシュケース→アタッシェ:ジャンバー→ジャンパー:デッドロックのロックでは岩でない:頭をかしげる→首:上や下への大騒ぎ→上を下へ:口先三寸→舌先:主役のをしとめる→座を射止める:寸暇を惜しまず→寸暇を惜しみ・骨身を惜しまず:手の裏を返すよう→手のひら:燃えたぎる→燃え盛る・煮えたぎる:四つ巴→三つ限定:極めつけ→極め付き:上下両院→カ:県産品→×ピン:保合→もち:三種の神器→ジンギ:::西方→にしがた:初顔・初顔合わせ→がお・カオ:馬主→うまぬし:害める→あやめる:心神耗弱→×もう:図利→×ズリ・○トリ:下総→しもーさ:焼火→タクヒ(島根):万古焼き→ばんこやき:遊行寺→ゆぎょう:地雨→じあめ:人文科学→×ジンモン:難治→たんじ::後山→あとやま:毛製品→け:内法→うちのり:互市→たがいち:伝馬船→テンマ:手繰る→たぐる:甲板・甲板員→かんぱん・こうはんいん:堰堤→えんてい:耕耘→こううん:稲熱病→イモチ:漁期→○ギョキ×リョウキ:播種→○は×ばん:正法眼蔵→しょうぼうがんぞう::::松焚祭→ドントサイ:大審院→たいしんいん:百姓治田→ヒャクセイーチデン:乱世→ランセー:磯馴松→せなれまつ:良弁→ろうべん:活魚→いけうお・かつぎょ:塩干魚→えんかんぎょ:石蕗→ツワ。::召人→めしうど:読師→とくじ:保元物語→ほーげん:格天井→ごーてんてじょう:水石→すいせき:老耄→おいぼれ:権柄→けんぺー:女丈夫→ジョジョーフ:村夫子→そんぷーし:総角→あげまき:塗師やじるしぬし:紋日→もんび:稗史→はいし:陳者→のぶれば:井目→せいもく:四神→しじん:乳離れ→ちばなれ:扱→しごき:一家言→げん:一衣帯水→イチ・イタイスイ:株を守る→クイゼ:後生畏るべし→コーセー:好評嘖々→さくさく:進退維谷まる→きわまる:習性となる→ならい・せいとなる:天馬空を行く→テンバ・クウヲ:鼻白む→ジロ:万巻の書→マンガン:怯めず臆せず→おめず:口説の徒→クゼツ:世間の柵→しがらみ:出端を失う→デハ:切羽で働く→きりは:二世の契り→にせ:烏有→ウユー:忌諱→きき:口吻→こーふん:彩色→しき:桎梏→しっこく:炬→たいまつ:肇国→ちょう:庭訓→きん:点綴→テンテツ:馬匹→ひつ:平仄→ひょーそく:訃音→ふいん:解れ→ほつれ:満腔→まんこー:油然→ユーゼン:尤物→ゆーぶつ:量目→りょうめ〜 
 怪しいのだけでもこれだけあって,もう一回読もうとしても間違えるのだろう。意味がわからない言葉も多数ある。ゆーぶつって何?って感じ。長音連発なのはご愛敬だ

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14/06/04
『路上のストライカー』:マイケル・ウィリアムズ:さくま ゆみこ・訳:2013年12月20日:\1700:岩波書店:県立M高校図書館 
★★★★
 中高生向け読書感想文課題図書
〜デオは14歳,ジンバブエのマシンゴ州で祖父・母・10歳離れた兄のイノセントと暮らしている。楽しみはサッカーだ。ある試合の日,兵隊が乗ったトラックが広場に入り,食料を出せと命じた。僅かな食料を出したが無論満足しない。イノセントは兵士に掴みかかって拘束され,袋を被されて杭に縛り付けられている。目を離した僕が悪かったと考えたデオは母がアメリカの教会に頼んで届いた食料を奪うことに夢中な兵士の裏を搔いて,イノセントを救い出したが,住民の虐殺が行われて,村に居ることは不可能になった。母と親しいワシントン警部に救いを求めたが,大統領支持派の若者に乱暴を働かれ,早々に国境の町,ベイトブリッジ行きのトラックに乗せられた。マイ・マリアを探しだし,ポーチ代わりのサッカーボールからなけなしの十億ドルを渡して,国境の川を越える道案内を依頼することができた。漸く川を渡り,南アフリカ側に来たが,自然保護区は駆け続けなければならない危険地域だ。一番の危険はライオン。フェンスまで皆で行き着き,電流をかいくぐって,ぐったりしていると,拾いに来たトラックはトマト農場へ連れて行った。寝る場所と無料の食事が出て,日曜には村までサッカーに行けるが,そのサッカーで弟がゴールを決めて,はしゃぐイノセントに村人が切れ始めた。難民を拾って安い賃金で働かせる農場主によって,村人は職を失ったのだった。農場に居られないと感じた兄弟はジョハネスバーグに移り,橋の内部に住まいを見つけたが,アレクサンドラ・タウンシップで起きたゼノフォビア(外国人憎悪運動)で,イノセントは焼き殺されてしまった。自棄になってケープタウンでかっぱらいの生活を続け,シンナーに溺れるデオが腰を落ち着かせた橋の下に,サッカーボールが降ってきた。高速道路を走るトラックの荷台から,南アフリカのストリートサッカーのコーチがネット入りのボールを落としたのだった。テクニックを認められ,難民ながらも代表チームに入ったデオは,ブラジルとの決勝に臨む〜 
 ホームレス・サッカー・ワールドカップの話はニュースで見知っていたが,南アの成功で毎年開催されるようになったとは知らなかった。日本でホームレスと言えば,中高年!とイメージしてしまうが,子どもの路上生活者が世界にはたくさん居るんだよね。日本代表は野武士ジャパンと銘打ったが,落ち武者のイメージだよね・・・そう・・・若者に希望を与える催しであって欲しいね。中高年にも夢や希望があって良いけど。ま,そこらへんを読み解かせようという意図がありありの課題図書でした。このシリーズは10代からの海外文学というキャッチコピーで岩波書店が考えたもので,目印は切手(stamp)。ティーンの喜びや悩みを綴った作品のシリーズだというが,今の若者が手を伸ばすだろうか。まあ・・・図書館の職員は岩波”神話”を見知っているだろうから,セールスに引っ掛かるだろうけど

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14/06/02
『いとみち 三の糸』:越谷オサム(こしがや):2014年4月20日:\1400:新潮社:県立M高校図書館
★★★★
 三の糸で終わりだろうか・・・・思わず泣いちゃったんですが
〜相馬いとは高校三年になり,衰退する青森市を何とかしようと都市工学を学ぼうと決心し,元エースメイドで現漫画家のアパートを訪問するが流石に東京は敷居が高く,仙台の国立大が身の丈にあっていそうだが学力が見合わない。2年後輩で智美の妹・チハルは生意気で手抜きのアルバイトで,遂にキレてしまった。秋,後輩の鯉太郎に数学を教えていて,間違って持ってきてしまった答案に気が付いて,大鰐で泊まることになってしまった夜,いとは鯉太郎に,思わず好きだと云ってしまった。冬始めのセンター試験はまずまずの出来だったが,私立大入試に失敗し,背水の陣の国立大に合格した。弘前のメイドカフェも上手く行きそうな気がする。ライブを披露する三味線奏者の後継も見つかった〜
 いとちゃんが可愛くって,仙台に行きたくなっちゃった。いちみち三部作はこれでお終い。残念だね。ずいぶん,泣かされてしまった。可愛くて・・・。締めが蛇足だったのが残念

14/06/
 
★★
 
 
 

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最終更新日 : 2014.06.30

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