2014/03/03
社会心理学

「「しがらみ」を科学する」
〜山岸俊男〜

『「しがらみ」を科学する』:山岸俊男(やまぎし としお):2011年11月10日:\7800:筑摩書房:県立M高校図書館
 高校生からの釈迦心理学入門
〜最初はジントニック。ジンとトニックウォーターの入っている二つのコップを用意して、スプーンでジンを一掬いトニックウォーターへ、同じ分量をジンの入ったトニックウォーターからジンへ。さて、ジンとトニックウォーターの移動した量は同じか否か。スキー場のクイズ。リフトが一本しかないスキー場で、休日にリフト待ちの列が長くなるので、スピードを2倍に上げて、リフトのチェア間隔も2倍にした。リフト待ちの列は長くなるか、短くなるか。最近の離婚率のピークは2002年だった。なぜ、その後は離婚率が下がったか。l心でっかちと云うのは、例えば「根岸の里のわび住まい」の代わりに、「格差社会や教育の失敗が若者や子どもたちの心を荒廃させている」というフレーズを使うようなもので、予言は自己実現をしようとすることを忘れてはいけない。銀行の取り付け騒ぎなんてのが典型例で、石油ショックの折は、中曽根通産大臣が「紙を節約しよう」と訴え、紙の特売を目論むスーパーが「紙がなくなる!」とチラシに書いたことが原因。そもそも、社会というのは、人々が自分たち自身で作り出しているインセンティブのあり方なのである。「インセンティブ」とは、「こうすれば」という・行動を人々にとらせるもので、何をすれば自分が欲しいものを手に入れられるかは、ほかの人の反応に依るのだ。それはしがらみと呼んでいい。「いじめの螺旋」もクラス内のたった一人差で悪くも良くもなる。文化の違いについても、「根岸の里の・・」と言い始めるのではないか。スウォドリングという子育ての方法が世界のあちこちにあり、子どもの姿勢を良くするためという説明をする民族もあるが、繁殖行動の一環としてみると、子どもをぐるぐる巻きにして育てると、出産間隔が短くなって子どもの数が多くなることが解った。生物学で使われるr−K戦略理論が役に立った例である。女性脳の働きが強い人はエミック(理解できる)でわかろうとするが、男性脳の働きが強い人はエティック(説明できる)でわかろうとする。「社会」という言葉には「世の中」だけでなく契約・法律に基づく組織・制度が含まれる。独立と協調のどちらを好むかというと、日本では協調性が優先され、予言が実現されていく。別に好きなわけじゃないけど! 社会というのは人間たちが互いに勝手なことができないように、お互いにしばりつけあっている状態で秩序が成り立ち、世間とか空気が個人を拘束している側面が際立つ。世間のしがらみのままに生きなくちゃならない世の中が我慢できない連中が「世間」の上に「社会」を作って、個人の自由を確保しようとした。共感能力が低いなら、理論を使うしかない。そう、社会は私たち自身が作り出している「しがらみ」なのだ。私たちは実は望んでいない行動を取るように私たちをしむけるのだ。いじめを傍観してしまう子どもたちや、猛獣に食べられやすい派手な羽を持つクジャクにように〜
 面白いなあ、やっぱり心理学は。高校生向けに上手に誘導する書き方を採っているのが流石。北大の教授で、1948年生まれ。社会心理学は大学時代、社会学的アプローチと、心理学的アプローチがあると聞いていたけど、この人は社会学的アプローチだろうなあ。いや、面白かったですよ

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最終更新日 : 2014.03.03

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