2013/06/30
質屋の話〜

「五二屋傳蔵」
〜山本一力〜

『五二屋傳蔵』:山本一力(やまもと いちりき):2013年3月30日:\1800:朝日新聞出版:東部台文化会館
 五二は半,すなわち七は奇数で,しちと読むから質屋
〜深川の質屋・伊勢屋は初代から堅い商売をしており,嫁は身寄りのいない者を,子は一人だけ,跡取りがいないなら身寄りのない者を養子に迎える。親戚にとやかく言われるのを避けるためだ。傳蔵は大工の息子だが早くに父母をなくし,てきやで若者頭を務めていた。質屋とてきやの元締めはふとしたことから知り合い,懇意にしていたが,二人で河豚に中って急死した。てきやは傳蔵の兄貴分の伊与吉が継ぎ,傳蔵は質屋の主に収まったが,二人で会うと兄弟分に戻る。伊予吉は浦賀に置いた見張りから届いた伝書鳩で黒船が来たことをいち早く知り,忙しくなると踏んでいた。主が不在の質屋の留守は番頭と手代が守る。銀の簪を百本質草に入れに来た今井屋の手代・秀次郎を怪しんだ番頭は調べを始めると今井屋は献残屋に商売替えをしている。訳がありそうだ。店じまいをした後に,戸を叩いた女は母の形見の黄八丈を質草に入れようとしているが,物言いに不審を覚え,様子を見ると,土間の様子を計っているようだ。てきやの食客の林大膳は蘭学者で,黒船が大騒動を起こすと断じている。亡き夫の仕事着を質草に百文借りていくおさちが,いつもと違う二百文を息子の亀次を連れて借りに来て,貸すことはできないと番頭は断る。深川の金貸し・堀田屋が夫の知り合いを通じて金を届け,金遣いが粗くなっていることを承知していた。息子を質草として預かり,その実は丁稚奉公させ,おさちは料亭・折鶴に住み込み仲居として移ることを勧め,その場で亀次の丁稚奉公が始まった。おさちの人柄は良いが,黒船騒ぎで宴会を取りやめる得意先が増えたことに,おさちが不運の持ち主ではないかと折鶴の女将は危ぶんでいる。伊勢屋は質屋会所が集めた茗荷金を先代時代に預かっていたが,盗賊が狙っているかも知れないと踏んで,会所の手代を折鶴で接待して,今戸の質屋・近江屋が推薦した吉原の牛太郎上がりの男が茗荷金に係わる様になって金回りがよくなり,殺された事件の真相を手に入れた。盗賊は銀細工の炉を使って盗んだ小判を融かそうとしているのだ。空見を呼ぶと闇夜になる6日の晩が決行日に違いない。深川の岡っ引き・慎太郎に連絡をし待ち構えていると,船頭を加えた七人が質・伊勢屋の樫製の雨戸と格子戸を掛け矢で打ち破ろうと雨の中,押し入った〜
 商売で成功している人間は周囲にも認められているが,周囲に認められていない商売人は後ろ暗い商売をしている。そんな奴らは周囲にも不幸をまき散らすから滅ぼされて当然・・・という気持ちが作品全体に流れているねえ。それが臭って鼻を突くようだ。週刊朝日に連載されたらしいが,書き出しの「夜明けに品川沖から昇った朝日は,五つ(午前八時)過ぎには早くも江戸の地べたを焦がし始めた。」っていうのはどういうことだろう。深川から見た品川沖,幕末の頃には東に位置していたのだろうか? ずーっと引っ掛かっていて,落ち着かない

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最終更新日 : 2013.06.30

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