2013/06/05
評価保留〜

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」
〜村上春樹〜

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』:村上春樹(むらかみ はるき):2013年4月15日:\1700:文藝春秋:県立M高校図書館
 う〜ん・・・評価保留ってことで
〜名古屋の高校で知り合った5人の高校生は,カトリック教会の持つスクールでボランティア活動をし,意気投合し,完璧なグループだった。赤は前向きながっちりしたスポーツマン,青は秀才,白は清楚なお嬢さんで,赤は陽気なおちゃらけキャラ,そして僕だけは名前に色がない。4人は地元の大学に進み,僕は駅が造りたいが為に東京の工科大学に入った。大学二年のGW後,名古屋に帰ると,誰にも連絡が取れず,言葉を交わしたメンバーは,電話も掛けて欲しくないし,言葉も交わすのも御免だと,一方的にグループから外され,呆然として僕は受け入れざるを得なかったが,それからの数ヶ月,東京で空虚さのあまり死ぬことしか考えず,ぽっちゃり型の体型もすっかり萎んでしまった。激しい嫉妬に苛まれる夢を見て,プールで泳ぎ始め,体力も付いて,新しい肉体を手に入れた。大学のプールで泳ぐ同好の士は二つ下で物理学科の灰田という青年で,父が遺してくれたマンションに来ては知的会話を楽しんだが,持ってくるのはショパン作曲のレコードやコーヒー。色々な話をする内に,彼の父が九州の温泉で得た体験は不思議な臨場感があった。その夜,金縛りにあり,性夢を見て精を灰田に吸い取られたのは夢なのか現実なのか。そして彼は突然姿を消した。大学を出て,幾人かの女性と付き合い,電鉄に入社して,駅を改修する仕事を得たが,思い出したくないことを思い出させる名古屋には必要以上に帰らないし,帰っても外出はしない。36歳になった今,二つ年上の旅行代理店に勤める木元沙羅と真剣交際を始める様になったが,彼女はつくるの影の部分に気が付き,昔の仲間を訪ねるべきだという。近況は彼女が調べ上げた。赤はレクサスのセールスマン,青は人材開発セミナーを主催している。白はこの世になく,黒はフィンランドに夫と娘と住んでいるという。ディーラーを予告なく訪問し,昼休み公園で話すと,白はコンサートを見に上京して,つくるのアパートでレイプされたと仲間に告げ,つくるを切ることになったのだという。信じ難かったが,白の精神状態は尋常ではなかったため,つくるを切るしかなく,グループも解散されたのだという。青を訪ねると,自分がやらされ,やられて嫌だった経験を纏めたら,今の商売になったのだと言い,自分は女に大きな興味を抱けないのだと告白される。1週間の休暇を取って,訪ねたヘルシンキから車で1時間半離れたサマーハウスで夫と陶芸をしている黒はクロと呼ばれること,白をシロと呼ぶことを嫌った。シロをレイプしたのがつくるでないことは承知していたが,父が堕胎医であったため性行為を嫌悪していたユズは妊娠し,流産し,女性であることを止めるために拒食症になってしまい,そんな彼女を守るため,懸命に世話したが,体調が戻ってきたユズはもう仲間を必要としなくなっていた。自分が何をしたかったのか陶芸教室で覚ったエリは,同じ大学でフィンランド人と知り合い,結婚し,妊娠中に,一人暮らしを始めたユズが謎の絞殺死体で発見されたことで自分を責めていた。シロの口からレイプしたのがつくるだという妄想は,エリがつくるに惹かれており,つくるがユズに惹かれていたことの嫉妬であり,閉塞的なグループから抜けたいという願望から来ているのかも知れないと,二人は結論に辿り着く。浜松でシロを殺したのは,つくるであるかもしれず,クロであるかもしれないのだ。胸に小さな硬い固まりがあることに気付いたつくるは,何としても沙羅を手に入れたいと思うのだが,クロへの土産を買いに行った青山通りで,50年配の男と楽しげに過ごしている姿を見て,それを聞かずには先に進めないと思うのであった〜
 あれだけテレビが騒いでいた村上さんの新作だが,タイトルを読んで,色覚異常者の話だと思っていた。なに,只仲間内で名前に纏わるジョークが繰り返されていて,真に受けていただけじゃん。巡礼の旅で,灰田君を秋田に訪ねていくかと思ったのになぁ。尻切れトンボの終わり方は,読者に結末は自分で造れってメッセージなんでしょうね。テレビで,あれだけ騒いでくれたら,儲かるだろうなぁ。熱狂的なファンに引きずられる人間も多いだろうし,ノーベル賞候補から候補が取れると,確かに朗報かもしれないけど。まあ,他言語に訳しやすい内容なんでしょうね

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最終更新日 : 2013.06.05

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