2013/04/25
いいぞ・エベール〜

「小説フランス革命]粛清の嵐」
〜佐藤賢一〜

『小説フランス革命]粛清の嵐』:佐藤賢一(さとう けんいち):2013年3月30日:\1600:集英社:茂原市立図書館
 表紙はエベールとロラン夫人
〜激昂派を掌握したエベールはジロンド派の十二委員会を廃止し,新聞の売り上げをサン・キュロットの日当に拠出して動員し,国民公会を包囲し,ジロンド派の追放を決議させた。この暴挙にロベスピエールの周りを固めるルバやサン・ジュストはデムーランでさえ,マキシミリアンに近づけさせない。ダントンは再婚して覇気が失われた様だ。マラがノルマンディー出身の元修道女に暗殺され,ノルマンディーが逃亡したジロンド派の根城であることから,暗殺はジロンド派の仕業と判断され,パリに拘束されていたジロンド派は裁判で有罪となり,断頭台に露と消えていった。絵ベールはマリー・アントワネットの裁判の証人に志願し,マリーも処刑される。ダントンは休暇と称して故郷のシャンパーニュに帰り,ロベスピエールはコンドリエ派に推されて公安委員会の委員となり,恐怖政治を強いられる。コンドリエ派は更に根回しを続けて,宣誓派聖職者に聖職放棄を宣言させ,キリスト教色の強いグレゴリウス暦を廃し,革命暦を制定し,キリスト教廃止を推し進める。これにはデムーランだけでなくロベスピエールも反対し,ロベスピエールがクローツの入れ知恵でやり込められる中,シャンパーニュからダントンがパリに戻る。デムーランはエベールに対抗すべき新聞『コンドリエ街の古株』を刊行する。地方では諸国の攻撃に軍の補給が間に合わず,アルザスに派遣されたサン・ジュストは不正を働く役人を排除し,ストラスブールのブルジョワを名指し課税し,ドイツ色を一掃するためにフランス語学校の設立を画策する〜
 「フートル」(糞ったれ)はエベールの口癖。いいね。興が乗ってきた感じがするよ。マラの絵を描こうとするダヴィッドが死体を浴槽に戻し,垂れ下がった醜い舌を切り落とし,脱臼した腕を別の死体で補おうとする執念に感心する。それにしてもp303の革命暦・霧月だけにブリュメールというルビが振られていないのが納得いかない。伏線かな?と注意深く読んでいったが,謎は次巻『徳の政治』に持ち越しか?

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最終更新日 : 2013.05.01

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