2012/11/10
う〜ん,なるほど〜

「夜と霧 新版」
〜ヴィクトール・E・フランクル〜

『夜と霧 新版』:ヴィクトール・E・フランクル:池田香代子(いけだ かよこ)訳:2002年11月5日:\1500:みすず書房:県立M高校図書館
 心理学者,強制収容所を体験するの初版は1947年に出て1956年霜山徳爾が訳して出版,1977年刊の新版では「モラル」ということばがほとんど消え初めて「ユダヤ」という言葉が二度出てくる
〜ウィーンに生まれフロイト・アドラーに師事し精神医として名声を掴み妻にも恵まれたフランクルがナチスのオーストリア併合,逮捕されアウシュヴィッツに送られ,凄惨な体験をする。人差し指の動きで右へ走らされたが,90%が左の入浴施設に行かされ数百メートル先で煙となった。裸で消毒され体毛すべてを剃られシャワーからは本物の水が出て三段ベッドで寝かされる。一段は縦2m幅2.5mに9人が横になる。名前と職業は消され,番号119104で扱われる。選抜で感動は消滅し発疹チフスで入院しても生還して感情は鈍麻する。監視役には本物のサディストがいて殴る・蹴る・愚弄。カポーは監視兵よりも厳しかった。水のようなスープとごく僅かのパン。医者であることで幸運はあったが被収容者であることには変わらず,階段を上るのに両手で支えないと足も揚がらない。目立たないこと,群衆に紛れ込むことが収容所で身を守る要諦だった。移動と聞いた時に,発疹チフス患者と共に移動する時は死を覚悟する。仲間の自殺を止めることは罪になり,仲間がイモを盗んで電気まで止められる。脱走を決意するが,実行しようかという時に赤十字の代表が来て,スイスで捕虜と交換されるというが自分はリストにない。絶望を味わうがスイスに行くと連れ出された被収容者はSSに郊外で銃殺されていた。前線が迫り,銃撃が止むと,門に白旗が掲げられるが,自由が現実と受け止められる者はいなかった。精神は戻らないが身体は食物を求め数時間数日に亘って食べ続ける。解放された者は大きなマイナスが大きなプラスに振れて,暴力の加害者にも変わっていく〜
 強制収容所の全体を見るのではなく,一被収容者の体験を綴る。監視者にも目が届いている。生き残るか否かは運任せ。凄い本だなあ。新版の訳者は世界が100人だったらの池田さん

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最終更新日 : 2012.11.11

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