2012/7
〜7月に読んだ本〜

岳飛伝@三霊の章 ☆☆☆ 実験的経験 ☆☆☆ 夢に見た娑婆 ☆☆☆☆☆ ダーウィンと出会った夏 ☆☆☆☆
秋思ノ人 ☆☆☆ ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(上) ☆☆☆ 知らないと損する池上彰のお金の学校 ☆☆ 一石二鳥の敵討ち ☆☆☆
ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(下) ☆☆☆ オサキと江戸の歌姫 ☆☆ ご近所のムシがおもしろい! ☆☆☆☆ 人類の歴史を変えた8つの出来事U ☆☆
ひなこまち ☆☆☆ 適当日記 ☆☆ 田中慎弥の掌劇場 ☆☆☆ ゆきとどいた生活 ☆☆
呂后 ☆☆☆ アーモンド入りチョコレートのワルツ♪ ☆☆☆ メキメキえんぴつ ☆☆☆ ディズニー そうじの神様が教えてくれたこと ☆☆

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

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12/07/31
『ディズニー そうじの神様が教えてくれたこと』:鎌田洋(かまた ひろし):2011年10月28日:\1100:ソフトバンククリエイティブ:県立M高校図書館
★★
 開園当時に商社から転職して掃除担当となった
〜新婚旅行でアナハイムのディズニーランドに出掛け,日本にオープンすると聞いて5度目の挑戦で就職。ディズニーが信頼したチャック・ボヤージンが仮設事務所のトイレを掃除する姿に感激して,ナイトカストーディアルのトレーナー兼スーパーバイザーとして勤務する覚悟を決めた。40代の班長が家族に清掃員であることを隠して勤務していたが,娘が恋人と訪れる大晦日に勤務を命じられ,指輪を落とした客のリクエストに応えようとマーク・トウェイン号を探して見つけ,娘が清掃員として働いている事を知っていることをノートで知らされるが,落とし主は娘の恋人だった。カルーセルを磨く仕事は冬に厳しい。撒いた氷が解けるように大型扇風機を導入したり,電子レンジを控え室に入れたり。岩手の母親から新入社員の娘の配置換えを願う手紙が来て,娘は日帰りでチケットを渡す。やってきた両親は娘の働きぶりに感動。チャック氏の思い出〜
 ちょっと出来過ぎのお話になっちゃっている。ありそうなフィクションです・・・と云って貰った方がすっきりするのに。今はコンサルタント業を行っているらしいが,教育部副部長から先はなかったのだろうか?自分の商売の宣伝を流行のディズニー本でやっちゃった。まあ,確かに綺麗で感動的なのは確かだよ

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12/07/31
『メキメキえんぴつ』:大海赫(おおもり あかし)作・画:2011年12月25日:\1800:復刊ドットコム:県立M高校図書館
★★★
 1976年に太平出版から刊行されたものを底本に
〜「メキメキえんぴつ」塾の先生によく似た人から30円で買った大きな鉛筆が夜中に尖らせろ、勉強しろとノートに書くのを見て嫌になって4つに折ると自分で尖って攻撃してきたので云うことを聞いたら成績が上がった。「大きくなったら、なにになる」父さんのように医者になると云ってみてカンナの花を手折ると、カンナとなのる小父さんからチョコレートを食べさせられて大人になったが医者らしいことは出来ずに子どもには戻れなくなった。「アップルパイのつくりかた」小麦粉を耳朶の堅さにするのに動物園で虎の耳朶を触ってみると虎も耳朶を触ってくる。「トーゼンボー」旧古いビルの壁から抜け出してきたトーセンボーの秘密を知った男の子だけが道を通れるが、その秘密を話した途端にコンクリートなってしまった。「あなたのえらさはなんポッチ」ロクロー山におかしな機械がおいてあり、エラサを計ると云う〜
 おもしろい人だが、学習塾経営者だって・・・1931年生まれってことは、もう80歳を過ぎているよね。いつ頃から、塾をやっていたんだろう。小学生を主人公にした物語で、絵も本人が書いている。booklogで見かけて読んでみたいと思った

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12/07/30
『アーモンド入りチョコレートのワルツ♪』:森絵都(もり えと):2005年6月25日:\438:角川書店:県立M高校図書館
★★★
 主人公が中学生の短編3つ
〜中学3年生を頭に夏休み新潟の別荘に集う従兄弟5人。不眠症に効くというアリアを弾く女子は虚言癖がある。変なフランス男性が出入りするピアノ教室〜
 こんな刺激的な事を経験する中学生は幸せだな

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12/07/29
『呂后』:塚本史(つかもと せいし):1999年2月20日:\1800:講談社:東部台文化会館
★★★
 劉邦亡き後の漢
〜高祖・劉邦が亡くなると呂后は盈の即位を許したが,寵愛を恣にしていた戚妃の手足を切り,舌先を切り落として,目と耳を潰して肥溜めに落としたが,盈は酒に溺れて政を顧みず子作りもままならない。織女が産んだ恭が即位したが,盈の子であるかは怪しい。劉邦の孫である斉の章は長安で出世し,呂氏には珍しい美女を娶ったが,呂后が亡くなると,反呂陣営の先頭となって,劉の天下を取り戻した。しかし,兄は皇帝とならず,代王の恒が即位し,仁政を施すが経済は復興しない。章の妻・呂氏は呂一族の恨みを晴らすため,淮南王に接近し,夫を暗殺する。皇位を狙う長は北方民族討伐と見せて長安に攻め込もうとするが,計画は頓挫し,巴に流される途中で餓死する。呉は銅山を開発して豊かであるが,これを奪おうとする皇太子・啓の師傳・晁錯は,啓即位後に諸王の小さな罪を理由に郡単位で領土を削っていく。呉王・?は8カ国と連合して兵を挙げるが斉と斉北は早々に脱退し,啓は晁錯を処刑して気勢を削ぐ一方で,反乱軍の糧道を断って野望を挫く。皇后の嫉妬を理由に后と太子を廃し,王美人の子・徹を太子に立てる〜
 呉楚七国の乱を呂后・劉章・劉長・周亜夫の視点で語っていくが,どれも地味。出入り・毀誉褒貶が激しくて流石に大国を感じさせる。制度的変遷も権力闘争の挙げ句の偶然かも知れないが,それは歴史的必然となる。それが小説家の想像力を刺激するのだろう

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12/07/28
『ゆきとどいた生活』:星新一(ほし しんいち):2008年12月:\1300:理論社:県立M高校図書館
★★
 和田誠が絵を描いている
〜ゆきとどいた生活・愛用の時計・白い記憶・水音・蛍・悪をのろおう・ごうまんな客・探検隊・最高の作戦・顔のうえの軌道・椅子・善良な市民同盟・闇の目・むだな時間・流行の鞄〜
 今から40年前に読んだ作品群で,懐かしいのだが,何だか旧い知り合いに意外な過去があったような気もする。和田誠が新しい息吹を吹き込んでいるかも

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12/07/26
『田中慎弥の掌劇場』:田中慎弥(たなか しんや):2012年4月10日:\1200:毎日新聞社:東部台文化会館
★★★
 毎日新聞西部本社に連載
〜短編集〜
 どうしたって「てのひら・劇場」と読みたくなる。はいはい「しょうげきじょう」ね。とっつきにくものもあったなあ

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12/07/26
『適当日記』:高田純次(たかだ じゅんじ):2008年1月31日:\952:ダイヤモンド社:東部台文化会館
★★
 1年間の日記
〜本当に適当〜
 適当手帳が売れて,オファーが来る。高田さんは東京乾電池の出身で,個人事務所を千駄ヶ谷に構える。マネージャーはどんな仕事も断らず,社長の出番となる

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12/07/25
『ひなこまち』:畠中恵(はたけなか めぐみ):2012年6月30日:\1400:新潮社:東部台文化会館
★★★
 この人にはこれしかない!
〜巨大な炬燵と一緒に離れに舞い込んだ木切れには5月10日にはたすけて欲しいと書いてあった。暮れに小乃屋の兄弟から持ち込まれた話は,祖父の遺した船箪笥を何とか開けられないかというものだった。上方の河童がなくした甲羅を取り戻そうと画策していたのだ。悪夢が巷に溢れ,変だと思っていると,悪夢を食べた獏が噺家になって語ったことに激怒した侍がいたのだ。大名家に納める雛人形のモデルになる若い女性は側室になるかも知れないと大騒ぎだ。上野に花見に行くと長崎屋一行の部屋に入ってきた東国の河童の女頭目は不思議な薬をもたらすが,真剣に河童の秘薬を求めた侍は妻の愛を確かめるために使いたいと申し出る。黄色い丸薬を使った侍の奥方で,周りの人々や妖怪を悪夢に誘う〜
 「ひなこもち」かと思っていた。「もち」じゃなくて,「まち」しかも「こまち」。あはははは。若旦那が寝込むシーンが少なくて良かったね

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12/07/24
『人類の歴史を変えた8つの出来事U』:眞淳平(しん じゅんぺい):2012年5月22日:\880:岩波書店:県立M高校図書館
★★
 ジュニア新書だから,こんなものかな
〜民主主義・報道機関・産業革命・原子爆弾編〜
 前半戦の方が未だ良かったかも知れない。Tを読んでからUを読み終えるまでに一月,発行された間隔も1ヵ月だから丁度かな?

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12/07/23
『ご近所のムシがおもしろい!』:谷本雄治(たにもと ゆうじ):2012年2月21日:\880:岩波書店:県立M高校図書館
★★★★
 ジュニア新書
〜田んぼでザリガニ・タニシ・カブトエビ・カエル・トンボ,池や川でイモリ・カメ・サンショウウオ・アメンボ・ゲンゴロウ,畑でミミズ・カタツムリ・カマキリ・カメムシ・コオロギ,果樹園でセミ・ヘビ・アゲハチョウ・クモ・アブラムシ,雑木林でカブトムシ・クワガタムシ・蛾・ゴキブリ・ナナフシ・ゴミムシ,家の周りでダンゴムシ・ヤモリ・テントウムシ・ツマグロヒョウモン・カナへビ〜
 本業が新聞記者の素人ムシ研究家で1953年生まれ。流石に記事を書く仕事をしているので,飽きさせない文章は話題豊富。それぞれがよく見掛ける昆虫だったり,は虫類や両生類だったり,虫偏のつく生き物。ツマグロヒョウモンだけが専門的な名前だ。ムシよりも著者の方がおもしろい

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12/07/22
『オサキと江戸の歌姫』:高橋由太(たかはし ゆうた):2012年5月24日:\476:宝島社:東部台文化会館
★★
 もののけ本所深川事件帖の4
〜本所深川で雨止めの伝え歌「十人の子狐様」を歌う十人の歌組本所深川いろは娘の一番人気の小桃が行方不明となり,古道具屋のお琴が代役となったが,父親が心配して手代の周吉を付き合わせたが,歌の合わせるかのように,他の歌姫が次々と殺害されていく〜
 本当に次々と簡単に殺されて,種明かし・・・詰まらない!

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12/07/21
『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(下)』:マイケル・サンデル:NHK制作チーム・小林正弥(こばやし まさや)杉田晶子(すぎた あきこ)訳:2011年3月20日:\1400:早川書房:県立M高校図書館
★★★
 9版の発行日にしよう
〜7嘘をつかない教訓−8能力主義に正義はない?−9入学資格を議論する−10アリストテレスは死んでいない−11愛国心と正義 どっちが大切?−12善き生を追求する〜
 コミュニタリアニズムの代表論者で,ロールズの批判的後継者って事だろうか。尤も,ロールズなんて私は学んでいないので,よく理解できないけど。7ではカント哲学を「殺人犯が家に来たらどうする?」という問いで考え,ロールズの『無知のベール』から『妥当な契約』とは何かを考え,リベラリズムの考え方を明らかにする。8ではハーバードの学生の大半が第一子であることを手掛かりに,格差を認めつつも最も恵まれない人々にも便益があるような不平等を正義とするロールズの格差原理を示す。9ではアファーマティブ・アクションにより入学を拒否された女子学生の問題から疑問が投げかけられ,「最高のフルートは誰のものか?」という問いでアリストテレスの目的論がまだ有効であることを説く。10ではPGAの試合にカートを使用するのは目的論から見て認められたことから,近代の政治哲学者が「権利≒正義」と考えてきた影響があることを示しつつ,アリストテレスが奴隷制を擁護していた点から目的論の普遍性に疑問を投げかける。11ではコミュニタリアニズムの思想を紹介し,マッキンタイアの物語的人生観・倫理的精神的要素と共同性の要素を説明。12で同性結婚の是非について特定のコミュニティを超えた善の追求,「善ありし正義」を考察しつつ,解答を日々の生活の中で求める重要性を説く。まあ,結論は出ないって事で,考えることが大事なんです。千葉大法経学部の小林正弥教授の解説がないと袋小路に迷い込む本だった

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12/07/18
『一石二鳥の敵討ち』:佐藤雅美(さとう まさよし):2012年2月20日:\1700:講談社:茂原市立図書館
★★★
 半次シリーズの何冊目?
〜煙管屋の奉公をしくじって半次の小者になった伝吉は三法忍の伝という浄土真宗の怪しい宗教に大店の主人を引き込む六部を突きとめ,鰻善から養子の口が来ても乗り気になれない。冷夏で縮商売をしくじった越後屋の幸太郎は僅かに残った金で小金貸しを開始し,金貸しで成功するように王子稲荷に願を掛け,結願を間もなく迎える。蟋蟀小三郎が越前丸岡五万石から千両の融資話が持ち込まれ,京都の公家に繋がる金主を紹介することになって,王子に出掛けると,狐の女房から捕らえられた亭主狐を救ってくれと云われ,百姓に捕まった簀巻きの狐を3両で買い取ったが,中身は赤犬で手を噛まれて頭を撲って気を失い,約束をすっ飛ばしてしまった。小三郎は武田新之介から金を借り面目を保ったが,幸太郎が紹介しようとしていた金主は礼金詐欺だったので救われたことになる。青山で40両を拾った者は正直に届けたが,落とし主は現れず,岡っ引き仲間から17年前に不忍池を泳いで逃げたお数寄屋坊主崩れの和田山龍円を見掛けたと聞き,話題の芝居・お染久松の中で池を泳いで逃げるシーンを見て,作者に誰から聞いた話か詰め寄ると,矢田鵜石が赤坂の小料理屋にいるという。捕らえてみるとまさに稀代の悪党・和田山龍円で三法忍の伝の黒幕で40両の落とし主でもあった。六部が捕まって晴れて祝言を挙げる伝吉が花嫁に買った銀の簪を半次が調べると鍍金で小間物屋に売ったのが備中木下家の御広敷番の長身白皙の武家だという。長身白皙というと絵具染草問屋の娘が嫁入りする予州浪人が思い出される。身が立つ迄の1年間待って欲しいという云うものの,釣り竿と値札の付いたままの魚籠をもって毎日出掛けて怪しい。築地の西の木挽町の鍼灸師の家に入るのをみて銀類偽造の親玉と踏んだ半次は土地の岡っ引きに聞きに行くと,内定を進めていると云うが,偽南部二朱銀をつくているので,勘が外れ,医師の修行の一環としている浪人は腹を立てていた。半次が預かっている大久保恒次郎は預けられていた納所坊主の姿を見たと怯えているが,屋台で天麩羅を揚げている幼い子を三人抱えている庄助が貰った女房はものぐさで,子どもの面倒は見ず,僅か7ヵ月で赤ん坊を産み,挙げ句に捨ててきたと思ったら,庭から小判を掘り出して扱いに困った武家の用人に収まっている洞海が天麩羅屋の女房になっていたきわの男であり,預けられて扱いに困り捨てたものだった。対馬宗家の内幕をぶちまけようとした矢先に牢で毒を盛られた。人気の講釈師が丸亀塩商人の恨みを講談にまとめているが,通塩町で呉服を商っている商家は気が気でない。講釈師は恨みを持つ塩商人に娘を嫁がせていたのだった。恒次郎は朝鮮島流しが終わった父に引き取られ下野へと旅立つ。備中浪人・日笠源之進は破れかぶれで蟋蟀小三郎の道場に入り,ぶちのめされても立ち上がる根性を認められて居着くが,国許では三人の腕利きを倒して逃げ出したのだった。池田家の剣術指南が立会を求めても源之進はこれを打ち倒し,本家を含めて15人で道場にやってきた池田家家中の者も8本の刀を小三郎に奪われ,面目をなくした。半次は先の藩主の腹違いの弟であり,相談に行くと,嫌がらせにも飽きたと小三郎は半次を通して刀を返してきた。恥を掻かされた池田家は源之進の兄・母を呼んで源之進に言い含め,敵討ちを池田山で行わせるが,引き据えられた母や兄の姿に逆上した源之進は助太刀5人が刀を持つ腕を切り落として立ち去る。お家の剣術指南として迎える以外に解決策はないといの半次の提案に池田家は乗るしかなかった〜
 人間関係が複雑で縁のない人が半次の許に集まってくる。これは何作目なのだろうか?

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12/07/12
『知らないと損する池上彰のお金の学校』:池上彰(いけがみ あきら):2011年10月30日:\760:朝日新聞出版:県立M高校図書館
★★
 美術・芸術系の大学生向けに行った経済特別講座の講義録
〜1)お金の歴史2)銀行3)投資4)保険5)税金6)ニュースの中のお金7)身近なお金〜
 投資について詳しく説明している。サラリーマンにとっての高度成長期のインフレはベアまでにタイムラグがあったらか実質的な賃下げであって,デフレは賃上げであり金持ちにとっては資産の利上げである。長引く不況で賃金体系が変化しボーナスは本来の形に戻りつつある

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12/07/09
『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(上)』:マイケル・サンデル:NHK制作チーム・小林正弥(こばやし まさや)杉田晶子(すぎた あきこ)訳:2010年10月25日:\1400:早川書房:県立M高校図書館
★★★
 政治哲学って大学時代に学んだなあ
〜例1)時速100kmの猛スピードで走る路面電車の運転手で行く手に5人の労働者が入るのに気が付くがブレーキは利かず,待避線にハンドルを切れば一人は殺してしまうかも知れないが5人は助かる。例2)それを橋の上から見ている傍観者が隣の太った男を突き落とすと5人が助かる。例3)6人の患者が運び込まれたERの医師が一人の重傷者を救うか5人の軽傷者を救うか。例4)19世紀南大西洋で起きた遭難事故で4人の乗組員の内,海水を呑んで衰弱した給仕の少年を殺して血と肉で飢えを凌いで救出された。例5)臓器移植が必要な患者が5人にて,健康な一人から5つの臓器を取り出して5人を救う。例6)南北戦争当時の徴兵制とイラク戦争時の志願制で公平なのは?例7)契約で代理母となった女性が出産後,子どもを手放したくなくなった。例8)入試の点数は不足するが親が5000万ドル寄付できる子どもを東大に入学させるか。功利主義者のベンサム,帰結主義的な道徳的論法,JSミル,リバタリアニズム,ロック,カントを説明する〜
 電車にハンドルが付いていることってないし,そもそも時速百キロの路面電車もない。工夫して身近な例を挙げようとしているけど,所詮お子様向け。東大生に意地悪な問いかけをしているのは面白いけど

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12/07/06
『秋思ノ人』:佐伯泰英(さえき やすひで):2012年6月17日:\648:双葉社:駅前学習プラザ
★★★
 居眠り磐音江戸双紙の39
〜田沼父子と反りが合わずに御側御用取次から甲府勤番支配に転出していた速水左近が3年振りに任を解かれ,江戸に帰って奏者番を務めるべく指令が届いたものの,予定が一月繰り下げられ,更に3日繰り上げとなった。磐音と左近は文を取り交わしていたが,元黒鍬組の弥助が訝しく思うのも無理はない。奏者番への昇進は御三家や譜代組の意志であって,田沼派は歓迎せず左近の命を狙うのは必至であり,帰路の警備を磐音も考慮しているのを見越しての画策だ。江戸からは刺客が向かい,山流しと云われる甲府勤番衆にも気を配らねばならない。果たして,笹子峠で田沼に取り入れば江戸に帰れると踏んだ不良御家人が騎馬で襲ってきたが,速水家の番士・小三郎は浪人衆と云われる武田家の旧家臣が駆けつけて蹴散らした。老中間が足を挫いて脇道を行く一行が小菅村で養生している内に,磐音と左近の息子二人は大月に辿り着くが,多摩川を下ろうとする一行の前には田沼の手によって臨時の川関所が作られていた。霧子と合流したものの強行突破しかないと判断した左近を救ったのは,上流から筏に乗って下ってきた磐音と左近の息子達だった。小梅村は平穏無事だったが,磐音の留守に訪ねてきた佐野は系図を奪った田沼と手を組んだ気配がしてきた。左近が登城すると京都所司代になるための段階であることが徐々に判ってきたが,それは田沼との全面対決を決意しなければならない事態だった〜
 40冊目で終わりそうもないが,40巻の節目に向けての助走と判断した

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12/07/05
『ダーウィンと出会った夏』:ジャックリーン・ケリー:斎藤倫子(さいとう のりこ)訳:2011年7月25日:\1500:ほるぷ出版:県立M高校図書館
★★★★
 1899年,テキサスで暮らす10歳の女の子
〜キャルパーニャ・テイトはテキサスの農場に暮らす10歳の女の子で,兄3人・弟3人に囲まれている。祖父の代から始めた綿花栽培と綿花工場で裕福だが,大人しくはない。バッタを捕まえて不思議に思い,兄弟達が避けている祖父に尋ねると自分で調べるように指示される。祖父は書斎にいるか,裏の小屋で実験をしている以外は,捕虫網を持って川に標本を獲りに行く。コリーは夏の間,祖父の助手のようになって,観察・実験に付き合い,著者から貰った種の起源さえ貸してくれるのだ。母は女らしく裁縫や料理やピアノを習わせたいのだが,コリーは自分に向いていないと嫌っている。川から戻る途中のアナグマの巣の近くで見つけたベッチを祖父は新種ではないかと写真を撮り,ワシントンのスミソニアン博物館に送った。兄の恋愛騒ぎがあり,コリーの親友に自分の兄弟が同時に恋をし,品評会に出した刺繍は出品者3名だったため,3位となり,感謝祭の七面鳥騒ぎやクリスマスのお祝いが過ぎて,祖父の許に電報が届いた。大晦日,コリーが書いた来年の願いの中に,見たいものを挙げていくと,1月1日のテキサスの朝は雪に覆われていた〜
 頑固そうで,家族から恐れられているおじいちゃんが実は理解のある人で,前々世紀末の少女の未来は拓かれていきそうな予感がする

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12/07/03
『夢に見た娑婆』:佐藤雅美(さとう まさよし):2012年4月25日:\1550:文藝春秋社:東部台文化会館
★★★★★
 縮尻シリーズの何冊目だろう?
〜大番屋は旗本隠居で堂島の勝負師・武部九郎右衛門の多額の寄進で立て替え中である。鏡三郎は寄合茶屋・矢車屋で相談を受けている。3年3ヶ月振りに娑婆に出てきた,飼鳥屋新三郎が挨拶に来た。ももんじ屋で祝いの宴が催される。岡鳥問屋・東国屋伊之助のため,鳥捕獲のいさしの中で横流ししている者をやめさせに歩いている最中に,いさしの吉兵衛と揉めて相手の利き腕を折って寄せ場送りになっていたのだ。東国屋で飼鳥屋を再開しようとすると,伊之助は吉兵衛が引き継いでいると言われ,ももんじ屋で板前修業をするしかないが,女房のみきは付いてこない。東国屋で月10両2分の給金を受け続けているが,新三郎は世話になる気が起こらない。板前修業の合間に昔の仲間が東国屋や吉兵衛の横暴を訴えてくるが新三郎になすすべはない。女房は突然息子を新三郎に預け姿を消してしまう。鏡三郎は道具屋で買った車長持が元大名家の宝・香木が埋め込まれたものであることを知り,得た45両は女房きみの探索に充てても良いと考えていた。讃州の政所役の小坂が,拾って育てて武家の養子となった喜四郎に斬り殺され,小坂の遺児が敵討ちに江戸に出てきた。鶴を買った御金改役・後藤家の並役となっていたのだ。敵を討たせたい面々が見守る中,窮地に立った少年を救ったのは新三郎が放った手裏剣であったが,その技も知れ渡ってしまった。日本橋両替商に白昼押し込みが入り,お宝がなく店の人間を人質にとった浪人と破落戸は,剣客・羽鳥誠十郎と新三郎のコンビに討ち取られたが,人質の中には女房みきもいて,東国屋伊之助に世話されたという。強盗の手引きではないかと疑いが掛かり,逃げた船頭が捕まるまで小伝馬町に押し込められる。一味は伊豆で御用船を襲おうとして獲物がなく,江戸に逃れて両替商を狙ったが,盗んだ新造船と船頭は上方へ逃れていた。船の持ち主は偶々江戸にいて剣客・羽鳥の腕を見込んで,賊が船を処分する前に捕らえたいと同行を願い,鏡三郎も見物がてらに上京する。船はあっさり大阪で発見され,逃げた船頭は手下によって縛られて船に残されていた。死の前に女の手引きが両替商にいたと証言したのを受け,鏡三郎は梶川にしらせ,もう一人の女の使用人を見晴らせると案の定,稲荷社のお神籤を使って外部と連絡を取り合っており,水鳥問屋の鯉屋の名前が浮上した。仲間に勧められた新三郎が休業中の岡鳥問屋である伊勢屋の番頭になって奮戦する中,東国屋伊之助が蔵で首を吊ったと知らされる。放免された新三郎の女房みきは恩ある伊之助に逆らった挙げ句に死に至らしめたと新三郎を詰り,自分を付け狙っていた徳兵衛がら守って貰っていたのだと明かす。調べると伊之助の不義密通を嗅ぎつけた徳兵衛や鯉屋が東国屋の商売に介入して荒らしていたのだった。押し込みの手引きの自白から,未遂ではあったが徳兵衛や鯉屋の悪事が暴露され,新三郎とみきは再出発することになった〜
 非常に感心する緻密さで,全部の事件が繋がっているのだ。鏡三郎の身内の話は殆どなく,まあ・・すべてが鳥絡みになる不自然さはあるが,よく調べて,まとめたものです。佐藤先輩は1941年兵庫県生まれで早大法科卒,雑誌記者を経て作家となる

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12/07/02
『実験的経験』:森博嗣(もり ひろし):2012年5月25日:\1600:講談社:県立M高校図書館
★★★
 EXPERIMENTAL EXPERIENCE 実験的著述の数々
〜会話文が「」の中でなく地文が「」の中に入っていたり,「」の順でなく」「だったらどんな感じ。オチのある文章。駄洒落,著述トリック〜
 10章に分かれていて,それぞれにタイトルはなし。小説家と編集者の会話の間に,短い物語。大学を辞めてイギリスに渡った後,ブラッドスクーパで時代物にチャレンジし,相田家の相続で自伝的小説を書いたり,新境地を拓いているが,こいつはもっと野心的?投げやり? 自棄になっているようで,ちゃんと10回分書いてまとまりもある。「内容がない」「中弛み」「エッセイなのか,小説なのか?」「引退したはずじゃ」というような反応を見越して書いている。食えない人だ。私が文句を言う筋合いがないのは本を買っていないからだ。でも振り返って思い出そうとはしているから,読書感想文を書く資格はあるかな? このカバーの銀に見える縞模様はスキャナー泣かせだなぁ

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12/07/01
『』:北方謙三(きたかた けんぞう):2012年5月30日:\1600:集英社:東部台文化館
★★★
 公約していた岳飛を遂に描くかと思いきや水滸伝・楊令伝の続き
〜岳飛の右腕を奪って馬上で絶命した頭領の楊令を失った梁山泊は引き上げ,突然敵対し始めた金の中に取り込まれ,水没した組織は次の頭領を決められずに,日本との交易を担う李俊,金への復讐の炎を静かに燃やす軍を預かる呼延陵や秦英,西の交易路を差配する王貴,黄河の流れを取り戻そうとする呉用,とばらばらに行動を継続する。南宋の秦檜は国力の充実に努め,岳飛は南宋正規軍の中の岳家軍として,張俊は大軍を擁して金の南下を阻み,金は国内の締め付けに窮している。金が南下を開始すると長江の北西で岳飛が,北東で張俊が阻止のための布陣を敷く。背後を狙うのは梁山泊の動きに,金軍は直中を割って撤退した。梁山泊の頭領は呉用と決まったが,補給は滞りないものの,命令は届かない。王貴は黄河流域から長江へ踏破調査を行い,日本の砂金や昆布を長江遡上でもたらし,西域の物資を流す方法を考える〜
 まったくの新しい話だと思って期待したら,楊令伝の中に登場させたキャラクターそのもので登場し,話そのものは梁山泊と金と南宋のこと。ちょっとがっかり,ほんのちょびっと安心

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12/07/
 
★★
 
 
 

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最終更新日 : 2012.07.31

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