2009/11
〜11月に読んだ本〜

ニュートリノ ☆☆☆ 星間商事株式会社社史編纂室 ☆☆☆ お母さんという女 ☆☆ 科学の落し穴 ☆☆☆☆
炎上 ☆☆ 世界の果て ☆☆☆ 微視的お宝鑑定団 ☆☆ たどりそこねた芭蕉の足跡 ☆☆☆☆
トレジャー・キャッスル まほろ駅前番外地 ☆☆☆☆☆ 下世話の作法 ☆☆ 6TEEN ☆☆☆☆☆
蘭陵王 ☆☆ ウズベキスタン滞在記 知識ゼロからの大江戸入門 ☆☆☆ チッチと子 ☆☆
正座と日本人 ☆☆ 無理 ☆☆☆☆ 巡礼 ☆☆☆☆☆ 巡査の休日 ☆☆☆

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

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09/11/22

『巡査の休日』:佐々木謙(ささき じょう):角川春樹事務所:2009年10月18日:\1600:県立M高校図書館
 『笑う警官』はドラマ(映画?)化され,文庫本で売っている

★★★

〜道警の小島百合巡査が,ストーキングされていた風俗嬢・村瀬香里を囮とし,銃創を負わせて逮捕した強姦殺人犯・鎌田光也が病院から逃走した。サミット警戒中にも拘わらず行方は判明せず,神奈川強盗未遂犯のマスクから鎌田の唾液が採集された。鎌田の自衛隊勤務中の仲間から強盗主犯が浮かんだが,鎌田は工具類を札幌の自分宛に送り出し姿を消していた。よさこいソーランのダンスチームに力を入れる香里には鎌田と思われる人物から脅迫のメールを受けていた。鎌田を逮捕する包囲網が張られたが,小島は違和感を覚えながらダンスの一員となりつつ香里の警護に当たっている。世話焼きの年寄りの通報で,現場に125ccのバイクの番号を控えていた交番勤務の巡査の報告で,今一歩の所で逃がしていた鎌田を捕らえ,一安心している小島は包丁を振りかざすダンスチームのサポートメンバーの女性が,DVの相談を受けつつ中断したまま,亭主を殺す羽目に陥った女性の恨みを持たれていたのだ〜
 北海道警察シリーズは1:笑う警官,2:警察庁から来た男,3:警官の紋章に続く第4作。私は初めて読むのだが,一作目は映像化されているらしい。警察組織も大きくなりすぎて,組織構成員は自分がとういう役割を負っているか分からなくなり,警察・検察・税関が北朝鮮の船を抑えるために動いている不正を知ってしまった末端の警察官が悩みを抱えてしまう。結局は返却された中古車を不正輸出するディーラーの捜査資料を愛知県警の担当に渡して一段落。思い込みが思わぬ良い方向に作用して,強姦殺人犯でもある窃盗犯を逮捕でき,DVの果てに亭主を殺してしまった女性の事件も解決しちゃったが,ひったくりは如何なる関係があったのだろう?

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09/11/20

『巡礼』:橋本治(はしもと おさむ):新潮社:2009年8月25日:\1400:県立M高校図書館
 東大卒で元イラストレーター,この本の売りは初長編純文学ということ

★★★★★

〜私鉄駅の近くのゴミ屋敷は,新住民から気味悪がられている。戦後,間もなく越してきた年輩の主婦だけは,そこが元荒物屋で瓦屋に商売替えをした新店舗だったことを憶えている。終戦時,学制が変更になって義務教育が延長され,商業高校を卒業して,荒物問屋で住み込み修業を始め,実家近くの駅周辺の再開発で,父親が瓦屋への商売替えを決め,サラリーマンの娘と結婚して新店舗で同居生活を始めるが,父が死に,子が生まれて小児癌で間もなく死ぬと,妻も遺骨・位牌と共に去り,工場勤めの8歳下の弟が結婚して同居するが,転勤を口実に実家を離れると,道端に捨てられていたカタカタを拾って修理してから,捨てられているモノの中に未だ見つけられていない価値があるような気がして,早朝家を出ては,モノを貯める癖がついた。ワイドショーで取り上げられ,見物の車が増え,不届き者はゴミを捨てていく。小火騒ぎで,自分の実家であると気が付いた弟が片づけるために兄を訪ね,清掃車を業者に依頼して片づけると400万円の請求。丸亀屋は有限会社になっていたので,積立金は2000万円あった。60代の弟は70代になった兄に四国八十八箇所の巡礼を持ち掛ける。兄が人らしい言葉を喋る様になり,天麩羅が美味いといって眠った翌朝,宿坊で兄は死んでいた〜
 作家デビューは『桃尻娘』で,「とめてくれるな,おっかさん,背中の銀杏が泣いている」の方が有名。学校を卒業した者は住み込みで働き始めるのが当たり前だと考える世代と,電車で通勤するのが普通だと考える世代。ともに現役を退いたが,昭和一桁生まれの人は失われた価値をもう一度見つけだそうと藻掻く・・・ノスタルジーというモノだろうなぁ,世の中の価値観の転変に気が付かず,取り残されてしまったロスト・ジェネレーションだとも言える。その子どもたちの世代とも言える我らも取り残されていくのだろうか・・うぅむ

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09/11/19

『無理』:奥田英朗(おくだ ひでお):文藝春秋:2009年9月30日:\1900:茂原市立図書館
 ありそうで・・・最後の劇的シーンはなさそう

★★★★

〜社会福祉事務所の相原は上からの指令で生活保護を打ち切る証拠を探してパチンコ店を見張る内,主婦の売春組織をみつけ,元妻もメンバーだと判るが,凍死した老婆の息子の運転するトラックに狙われている。高校生の文恵は塾からの帰りに22歳の引きこもりの男に拉致され,離れの押入で寝起きしているが,若い男は家庭内暴力を奮い,就職を勧める叔父の手が伸びそうな時,スカイラインで逃げ出す。22歳の加藤は暴走族上がりで,漏電遮断機を法外な値で売りつけるインチキ商法の手先だが,認められていないと勘違いした先輩は社長を殺害してしまう。堀部妙子は離婚してスーパーの保安員をしているが,生き甲斐は宗教なのだが,万引き犯を勧誘しようとして首になり,老人病院に入れさせられようとした母を引き取り,弁当作りの会社に鞍替えをしようとしながら,母のための車椅子を万引きしてしまった。山本は市議2回当選で産業廃棄物処理場を父の代からつきあいのある業者に落札させようとして前町議を抱き込もうとするが,処理場建設反対を唱える市民グループの突き上げを喰らい,やくざものの正体を現して主婦を拉致・監禁したあげく,射殺する現場に立ち合わされてしまった。異様な寒さで路面凍結した交差点で多重衝突が起こる〜
 地方だけではない(東京の方も似たような)現実があるだろう・・・と暗い気持ちに輪を掛けられる。子どもは夢を持つだけ虚しく,夫婦の関係は紙のように薄く,職場はぎすぎすとすきま風が吹き,親子の関係も我が身に良い風が吹く時だけ維持される。不景気は地方に行けば行くほど格差となって跳ね返り,固定収入のある者は金で性欲を充たし,居たたまれない境遇の者は空想の世界か宗教にのめり込む。権力を維持するには金が掛かり,公共事業を食い物にしようと狙うと最後は犯罪者の群れの中に身を置いている・・おお凄い悪循環。複合的な不幸の要素が各人に織り込まれているのはありそうな話だが,交差点の事故で登場人物を一堂に集めちゃう結末の持って行き方は強引だが,こうしないとこの茫漠としたシチュエーションを〆ることはできないとも思う

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09/11/17

『正座と日本人』:丁宗鐵(てい むねてつ):講談社:2009年4月21日:\1600:県立M高校図書館
 名前からすると韓国・朝鮮系・・・神奈川生まれで漢方医らしいが,ちゃんと医学博士

★★

〜正座は日本人しかしない座り方であるが,歴史的に見ると江戸時代の中期から武士の間で広まり,芸人など社会的身分の低い人達もかしこまっていた。明治になって日本人的なアイデンティティーを形成するため,日本人全体を武士化するため修身を取り入れ,中国人も韓国人も行わない正座こそが日本人らしさ(他民族からの優越)が作られた。導入以来100年が経過して椅子の生活で正座しない日本人が出現したが,正座には悪い面ばかりがあるのではない。@集中力が高まり,精神が充実するA眠気が覚め認知症を防ぐB心臓・肺・横隔膜など内臓の負担が軽くなるC消化力が高まるD肥満やメタボリック症候群を防ぐE膝の周辺の靱帯や筋肉が強くかつ柔らかくなるF股関節・膝関節・足関節の三つの関節の可動域が広がる。デメリットとしては@足がしびれて辛いA関節炎や膝関節症を起こす可能性があるB運動障害を起こすことがあるCロングフライト血栓症を招くことがあるD脳血管障害を起こすことがあるE腰痛を引き起こすことがあるF肩凝りを招くG座りダコができて足が外見上美しくない。ということで,向いている人向かない人がいるが,エクササイズとして朝1・2分から長くても5分,しびれる前にやめるのが良い〜
 高血圧の人・糖尿病の人・動脈硬化のある人・関節がすでに悪い人はやめておいた方が良いと忠告されていて,どうしたものかと悩む。漢方では人の体質は「実証」「中庸」「虚証」があって「中庸」が多い日本人には正座が向くと云われても,私は「虚証」だから向いていないかもね。漢方医学の巨匠らしき様子。医者になっちゃったけど,歴史家になりたかったらしい。図を入れてくれると解りやすいんだけど,図版の使用権が高かったのか・使用料で揉めた(出せなかった)のか,絵の名だけ告げられてもねえ。残念な本だ

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09/11/17

『チッチと子』:石田衣良(いしだ いら):文藝春秋:2009年10月25日:\1500:東部台文化会館
 う〜む・・・面白くない設定

★★

〜青田耕平はデビュー10年を迎える40歳の作家だが,3年前に美術関係の編集を行っている妻を亡くしてから,カケルという小学生の息子と二人で神楽坂のマンションに住む。生活は,同世代のサラリーマンと同程度。気の利いた本を書けるかと云うとそうでもなく,新刊本は千冊減らされての出版に気落ちし,同じ会の仲間と同時に直本賞の候補に挙がってダブル受賞かと淡い期待も裏切られる。父と息子の生活を描いた「チッチと子」は力を入れていないが続けての候補となり,賞を主催する出版社から出される。二度目の候補で落ち着いたものだが,いざ受賞となると〜
 ふやけた小説だなあ。まあ作者本人がそう云っているから間違いない。最近は大人の恋愛小説も手がけているが,IWGPシリーズとの中間に位置しているか。主人公の恋愛(ホステス・書店員・不倫教師)は遅々として進まない。まあ実際にそうなんだろうけど,まどろっこしいし,妻の不審な事故死でもあっさり妻が遺したDVDにより単純過失でけりを付けている。teenシリーズの行方は不明で,18や19までは何とかなりそうだけど,20になったら終わりだろう。カケル君が立派なお子さんで,彼を軸にして,父の恋愛話に持っていくつもりだろうか。同世代の給料取りと大差ない暮らしはここまでであろうが,30代後半から40に掛けて,サラリーマンはこんなに優雅なのだろうか?これから先,税務署にも注目される生活になるよね

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09/11/16

『知識ゼロからの大江戸入門』:北嶋廣敏(きじま ひろとし):幻冬社:2009年40月10日:\1300:東部台文化会館
 娯楽としての時代小説読みの前にコレ

★★★

〜江戸は男性の町だった。町人の住まいで今は四畳半一間限り。職人ランキング1位は大工。江戸のラブホは出会茶屋。医者の仲人の例が多い。吉原では〜
 イラストは工藤ケン

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09/11/15

『ウズベキスタン滞在記』:矢嶋和江(やじま かずえ):早稲田出版:2009年10月10日:\1200:県立M高校図書館
 WEBにして丁度良い程度の内容

〜2006年群馬パース大学看護学科を60歳の定年退職時にJICAの要請で看護専門家としてウズベキスタンに2年間滞在,馴れない現地の風習に戸惑いながら,見聞きした内容を記録。ほんの僅かの休日にサマルカンドに行ってみたり,シルクロードの中継点として繁栄し,モンゴルにより破壊され,ティムールによって再建されたことで,ウズベキスタンはアイデンティティーをティムールに求めているが,旧社会主義の旧弊はまだ残っている〜
 つっこみどころの多々ある本で,早稲田出版って会社自体が怪しげで,碌な編集者がいないと見た。ひょっとしたら自費出版か。写真の使い方が下手で,云いたい所が伝わってこないのが最大の難。解ったことは綿花収穫時には全国民が動員されてノルマがあること。

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09/11/14

『蘭陵王』:田中芳樹(たなか よしき):文藝春秋:2009年9月30日:\1500:茂原市立図書館
 南北朝時代の北斉

★★

〜西暦547年に生まれた高長恭は父が北魏分裂後の東側・北斉を実質的に興した高澄(文盛帝)であるが,帝位は次弟から三弟・四弟とその子に受け継がれ,美貌を持つが戦場では常に仮面を付け猛将・蘭陵王として北周から怖れられた。宮廷は乱れに乱れ,国の柱として北へ西へと奔走するが,南朝の陳が攻め寄せてきたとき頼りになる武将は残されておらず,都に引き揚げると,従弟である高緯(無愁天子)から毒杯を贈られた〜
 資治通鑑にも記載がある人物で,田中芳樹は三国志にも劣らない壮大な物語が書けると云っているが,自分では書かないのだろう。岳飛も美化しちゃって後の人(北方謙三なんか)が苦労しているが,予言じみた事をあとがきで書いて意地汚く感じられる。改めて奥付を読んで,文藝春秋だったか・と感じ入った。ヒロインとして登場させている除月琴は,唐代の安史の乱ではぐれた玄宗皇帝の皇女を救った仙姑として伝わっている前世を描いてみせたもの

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09/11/12

『6TEEN』:石田衣良(いしだ いら):新潮社:2009年9月30日:\1400:東部台文化会館
 4TEENから2年

★★★★★

〜今から2年前の月中の2年の頃は楽しかった。太っていてアル中の親父を透視させてしまったダイは魚河岸で働きつつ,定時制の高校に通いながら女房と子供(と云っても誰が父が分からない)と暮らす。早老症のナオトはカトリック系の男子校に通いながら,若者らしい恋心を抱いているが,人生の折り返し点を迎えている。皮肉屋だったちびのジュンは超進学校に通いつつ,ナオトの恋人を獲った形になり気まずかったが,別の男に乗り替える和風の美少女に恐ろしさを感じる。オレ・テツローが一番普通だが,普通の都立高校で最初の友達は両性具有だったし,仲良くなったホームレス(けちけち旅行中)のおじさんは後輩に襲撃され,区民プールの美少女に選ばれて良い線まで行き,着エロをブログで公開していた中学時代の同学年の女の子といよいよホテル入りし,中学時代に4階から飛び降りたおちゃらけからテレビ番組のために友達の役を引き受けたが,悪性リンパ腫で死んじゃった〜
 不安を抱えたままの生活でこんな事柄が起こったら楽しいだろうけど,この中から一つでも起こったら高校1年も悪くない様な気がする。中学卒業しても友達でいられる期間って精々2年と考えるが,この先続くだろうか

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09/11/12

『下世話の作法』:ビートたけし:詳伝社:2009年3月30日:\1400:東部台文化会館
 金を持つのは下品で,夢を持てと言うのはまやかしだ

★★

〜下町育ちで貧乏暮らしから漫才で売れたら,周りから気の毒だと思われる。ムラ以外の人にも顔を知られて不浄であるはずの金を掴んだからだ。士農工商の下にある芸人の世界。なりたくてなった訳じゃなくて,映画監督も芸術を極めたいと思って始めた訳じゃない。映画披露の場でもわざわざ人を喜ばせる芸を披露する。オレがビートたけしと北野武という二つの人形を操っている。粋と呼ばれるのは他人に気遣いができて,挨拶もきちんとでき,身のまわりを綺麗に片づけていること。高倉健や渡哲也,師匠の深見千三郎は粋だった。外に向かって格好を気にするから家で大変だったろう。オレは稼いだ金をかみさんに預けて小遣い貰っていたからいいけど。粋とか格好良さとは無縁だ。でも,挨拶はきちんとできるし,弟子を持って躾はしてきたはず。夢は,叶えられないものとすること。普通に生きて,年をとったら,普通に死んでいくのがいいのだ〜
 わかった・わかった

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09/11/11

『まほろ駅前番外地』:三浦しをん(みうら):文藝春秋:2009年10月15日:\1500:茂原市立図書館
 前編を読まないと訳が分からないが・・・良い世界を描いているよ

★★★★★

〜ハイシーとルルが遊びに来ている中の依頼人は同僚の婚約指輪を隠して欲しいと依頼する。星はヤクザだが,高校三年生と暮らす20歳だ。息子代わりに見舞いに行く婆ちゃんには終戦直後のロマンスを語る。バスの運行状況を見張らせる老人の妻は助手が近所の子供だったことを思い出し,高校の同窓会に行く行かないで揉めている。公園に遊びに行く予定だった由良はギョーテンに捕まってしまい,一緒に同窓会に行く嵌めに。漉してきたばかりで知り合いのいないサラリーマンは便利屋にインフルエンザの妻に代わって2歳の娘の面倒を見る様,依頼する〜
 ギョーテン君と多田君の過去が次-作で読めるか,楽しみ

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09/11/10

『トレジャー・キャッスル』:菊地秀行(きくち ひでゆき):講談社:2009年3月24日:\2300:横芝光町立図書館
 ミステリーランド

〜格闘技を極めようと云う中学生は売られた喧嘩を買っているだけの喧嘩の後,学校一の美少女と美少年と行き会い,本ばかり読んでいる眼鏡の少年から,この城跡に宝が眠っているという話を聞き,母親の入院費を稼ぐために,井戸へと降りていき,馬鹿若君が作った地下の大カラクリを発見するが,そこには智恵の廻る大蛇が守っていた〜
 情けない。子供相手だと思って手を抜いているとしか思えない。中学生がキャバクラ行くか?中学生がこんな馬鹿丁寧な会話をするか?竜宮城やらオロチやら・・・そういう本を大昔に本屋が貸していたことも事実だが,色っぽい少女に少年,千両箱がざっくざく・・・って何?このシリーズは終わったね.。2300円だと公立の図書館は二の足を踏む

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09/11/09

『たどりそこねた芭蕉の足跡』:佐藤雅美(さとう まさよし):文藝春秋:2009年6月15日:\1429:東部台文化会館
 八州廻り桑山十兵衛シリーズだが・・・この表紙の絵は何?

★★★★

〜桑山十兵衛の名目上の上司は代官の川崎だが,真岡の陣屋に置いている手代が年貢をピン撥ねし,1600両も貸しているのだと居直って困ると云ってきた。賄賂を取っている怪しげな振る舞いもしているが,相手は平然としている。朋輩が出羽にいると聞いて,小山で押し込みをしくじった一味を追う名目で尾花沢まで行って話を聞くと,本当に盗賊を捕まえてしまった。香具師と飴屋の争いに巻き込まれ,成田・酒々井・船橋と巡り歩く。同宿の荷物を盗んだ入れ墨者は,飴屋が窮地に追い込まれると聞いて,死罪を覚悟して出頭し,旗本の蔵屋敷の番人が爆睡していることにつけ込んだ中間が持ち馴れない金を途中で奪われ,250両を掏摸で稼いだ小者も日野で行き倒れた。その日野では宿場の金に手を付けたと二人いる名主同士の争いが起こり,神奈川で切り取られた新仏の首が船橋の押し込み先で見つかる。酒々井の香具師の子分の仕業かと当たりをつけたが,全くの別人で,子分達と手代の小川が金創を共に負ったことに鎌を掛けると,代官の川崎の吝嗇振りが明らかになっていった。小川が職を辞してから,酒々井の香具師は殺害され,川崎の家からは400両が盗まれる〜
 桑山は清廉潔白でもないが,後ろめたい部分は持たない。御家人は足を棒にして歩き回り,泊まるのは木賃宿。・・・改めて本を眺めると安い造りで,カバーがソフト。これなら更に安く作れる文庫本の方が良いかと聞かれると,読者は年輩が多いので大きな活字のこのサイズが良いと云うことになる。切なくなるねぇ

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09/11/08

『微視的お宝鑑定団』:東海林さだお(しょうじ):文藝春秋:2009年10月15日:\1095:東部台文化会館
 「オール読物」の男の分別学

★★

〜台所のお宝としては鰻のタレかけ・チロリ・舟盛りの舟,はとバスに乗り,マスターズリーグを見て,銚子電鉄に乗り,ネクタイは何のためか考え,大島でクサヤ定食を食べ,1万5千円で浅草の芸者を揚げ,名古屋の居酒屋で呑む。糖尿病と暴走老人に関する対談〜
 夢も希望もない世の中,大きな事を考えず,小さなモノに拘って生きていくしかないか?

09/11/08

『世界の果て』:中村文則(なかむら ふみのり):文藝春秋:2009年5月15日:\1571:県立M高校図書館
 悩みと云うより,こんな風にも自分を取り巻く周囲が見えるかも知れないということだろうか

★★★

〜「月の下の子供」:施設で育った僕は幽霊を見た記憶があり,学校で苛められ,思春期を迎えると性欲を充たそうと相手の喜ぶ言葉を使う様になり,不動産会社に就職した後も,幽霊の出るという部屋や一軒家に惹かれ,愛する者でなければ思念で焼くことはできないと覚った夜,増水した川に身を投げるが,水中から月を見て何とか生き延びてしまった。「ゴミ屋敷」:子宮筋腫の診断を受けた夫婦がバスに乗車中,対向車線の居眠りトラックと正面衝突して妻が即死した男は動かなくなり,家に戻ってからも作家志望のヘルパーの女性に面倒を見て貰いながら一月の動かない生活から突如,鉄と木材を家に持ち帰り組み上げていく作業に没頭する様になるが,そのオブジェが崩れ去ると復職し,72歳まで生き延び,引退後にも鉄材と木材を集めるが組み上げる気力は遺されていなかった。「戦争日和」:男が不動産屋から紹介された6千円の一軒家で脳に電気信号を送りゆっくり死ぬための装置を組み上げていく男に不動産屋は戦争でも起きてくれないと困ると訴える。「夜のざわめき」:誰かを付けている感覚から付けられている感覚に代わった作家は居酒屋に入るがその奥は果てしなく,案内されるままについて行くと突然外に出る。「世界の果て」:(1)自宅で死んでいた犬をどこかに埋めなくてはならない(2)黒い背景に犬を描きたい男は公園予定地でホームレス体験をしアパートに帰る(3)ファミレスの女に惹かれ包丁を持って拒まれると高校生は小学校隣のアパートで男を刺す(4)樹海近くの旅館の取材で最初に消えた人物が自分だと気付いた男は並んでいる靴に誘われて暗闇に身を投じる〜
 「あとがき」でやった救われる様な気がする。馬鹿明るい小説がもてはやされる昨今,陰鬱な小説もあって良いのではないかと語る。1977年愛知県生まれ,福島大学卒の初の短編集。

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09/11/07

『炎上』:佐伯泰英(さえき やすひで):光文社:2007年3月20日:\571:茂原市立図書館
 吉原裏同心(8)

★★

〜廓の用心棒・神守幹次郎が通う道場に忽然と現れた猿を連れた三人の武芸者。男達は町道場破りを繰り返し,さらに廓の遊女を殺したうえ,金を奪って逃げた。幹次郎と吉原会所の男衆が必死の捜索を続ける前に突如,女頭領が率いられた謎の白装束軍団が! 背後に田沼時代の残党が復権を企み,吉原を舞台にした江戸騒乱の陰謀が浮かび上がってきた〜
 燃やされてしまって,田沼の腹心が切腹。人殺し猿が登場したが,最後にはあっさり斬り殺されちゃった

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09/11/06

『科学の落し穴』:池内了(いけうち さとる):晶文社:2009年3月30日:\1800:県立M高校図書館
 副題−ウソではないがホントでもない

★★★★

〜1「何が起こっているか」技術革新40分の1の法則・コンピューター社会の脆弱さ・JRの大事故・IPCCの統合報告書の計画・納豆騒動:2「科学の歴史に学ぶ」ピカソと科学・江戸の科学者:3「技術とうまくつきあう」発明は必要の母としてのケータイ・食べ物をはかる:4「科学が好きになる」見せ物としての科学・科学絵本・なんで?の授業:5「科学はどこへいく」大学の企業化・医療倫理・科学者の共有地:6「科学にできること,できないこと」複雑系としての地球環境問題・地震は予知できない・日本の宇宙研究〜
 1944年生まれ,父が早く亡くなって機械音痴で過ごし,京都大学卒業後に理系に進路をとり,宇宙物理学を専攻。大学の法人化に際して名古屋大学から早稲田大学に移り,1年で総合研究大学院大学に移る。2004年から2008年に書きためたモノを一冊にしたが,あちこちに書いているから,重複する箇所もある。科学時評だけでなく,広く科学社会論を書くべきだと考えて書いたもの。途中,難しい話を展開しておいて,最後は読みやすい話題に転換する手法。朝永振一郎や湯川秀樹や,古く寺田寅彦に触れているが,小柴昌俊に触れていない点が不審。この人は自分で書いているとおり環境擁護派で,Slow, Long Time Horizen, Time Horored を信条に生きている。専門分野である天体観測の道具としての望遠鏡や人工衛星の話は興味深く,ロケットの打ち上げに失敗したときは大々的に報道されて「ああ又失敗」と落胆させられるが,ちゃんと役目を果たしている衛星の仕事ぶりは知らないモノだと考えさせられる。ウソではないがホントではない・とは数値データや不確かさだ

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09/11/04

『お母さんという女』:益田ミリ(ますだ):光文社:2009年4月30日:\1200:県立M高校図書館
 世代がずれているんだよね

★★

〜東京でイラストレーターとして過ごしているが,月に3度ほど,実家の大阪の団地に帰る〜
 共感できないのは,彼女のお母さんが13歳上で,彼女が13歳位下だからです。実家に帰るのはネタを仕入れに行くためではありませんか?

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09/11/03

『星間商事株式会社社史編纂室』:三浦しをん(みうら):筑摩書房:2009年7月10日:\1500:県立M高校図書館
 なるほど・・・カバーを外すと本体の焼け跡が出てくる仕組み

★★★

〜商社に勤める幸代は大規模開発にも関わったが,今は社史編纂室だ。オタクの本領を発揮できるのはコミケに持ち込む本を書くときだが,何の節目にもなっていない年に社史の完成の命を受けたが,課長はやる気がなさそうだし,部長などと言う者は見たこともない。会社のOBに話を聞くと,60年代のイケイケドンドンの頃の話はしたがらない。謎の原稿用紙から,東南アジアのサリメニという国が浮かび上がり,独裁大統領の許に女性を送り込んで,仕事を獲っていたらしいことが分かるが,専務から横槍が入り,調べた結果は裏社史として作らざるを得ない状況となった〜
 で・・・カバーは多少小さめに作られていて,近頃珍しいハードカバー。webで書いたものを一冊に。だらだらしている割には,展開の急な部分があって,一行程度のスペースで時間が飛ぶ。なるほど,戦後補償で東南アジアに流れた金を商社は回収していたんだね。それにしても,切れ味が悪い。本の造りは面白いけど

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09/11/02

『ニュートリノ』:田賀井篤平(たがい とくへい)編:東京大学出版会:2003年1月17日:\1500:県立M高校図書館
 小柴昌利先生ノーベル賞受賞記念

★★★

〜「ニュートリノ展を企画して」(田賀井篤平)「カミオカンデからスーパーカミオカンデへ」(戸塚洋二)「最高エネルギー」(浅井・駒宮・佐伯)「神岡鉱山からカミオカンデを見ると」田賀井篤平「ニュートリノ天文学の誕生」小柴昌利「研究者・企業家・教育者〜3つの顔を持つ小柴昌利の人とその思想」橘由里香〜
 東京大学総合研究博物館の展示会記念(お土産)。カミオカンデは陽子崩壊を見るための施設だったが,理論よりも陽子崩壊の機会は少ないので,太陽ニュートリノ観測や超新星から発せられるニュートリノ観測も観測できるように幅を持って作られていた。そして,μニュートリノの観測データが理論値よりも低いことが判明して,観測できないτニュートリノに変化していること(振動)が解って,ニュートリノが質量を持つことが解った。先を見越す力があったってことですね。しかし,このお土産本は・・・誤字はあるし,段組が怪しくなっているし,二判を作らなくてはいけないだろうけど,展示は終わっているから売れる筋合いもない。配って歩く分には困ることも少ない。小柴さんの新しい小さな研究とは何だろう。はやく世に出てくると良いな

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09/11/

 
 

★★

 
 

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最終更新日 : 2009.11.22

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