2009/8
〜8月に読んだ本〜

サイのクララの大旅行 ☆☆☆ トビー・ロルネス4最後の戦い ☆☆☆☆ 死闘 ☆☆☆ じゃがいものふるさと ☆☆☆☆
インカを歩く ☆☆☆☆☆ インカの反乱 ☆☆☆☆ 羅生門 ☆☆☆☆ 宵山万華鏡 ☆☆☆☆
奇跡のリンゴ ☆☆☆☆ ころころろ ☆☆☆ 楊令伝I坡陀の章 ☆☆☆ リンゴが教えてくれたこと ☆☆☆☆☆

冊数が多いのは真面目に仕事をしていない証拠

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09/08/30

『リンゴが教えてくれたこと』:木村秋則(きむら あきのり):日本経済新聞出版社:2009年5月8日:\850:県立M高校図書館
 中身は同じだが,本人が語ると真実みが増す

★★★★★

〜家族の農薬による健康被害が出てから14年,無収穫・無収入の時代に野菜や米の自然栽培を研究し,奇跡のリンゴが生まれた。日本中に,世界に,無施肥・無農薬で植物の本来持っている力を助ける農業のあり方を伝え,食を変えていこうとする大きな夢を持っている〜
 法人化し,学校(仮称・伝習館)設立の計画もある。食の安全の問題・都市の農村の格差・環境問題・若者の就労問題・熟年層の第二の人生づくりに多くの答えを持っている木村さんに,ノーベル平和賞をあげましょう! 年間200日は家を空けるそうだが,観察・実験・実践を重視する彼ならでは活動と言えるだろう。JASが掲げる有機栽培はインチキだね

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09/08/29

『楊令伝I坡陀の章』:北方謙三(きたかた けんぞう):集英社:2009年7月30日:\1600:東部台文化会館
 金と南宋の間に岳家軍・張家軍・梁山泊があり,西には西夏があり,混沌としている

★★

〜金に迫れた宋の皇族は北に連れ去られ,第9皇子の趙構が南京王天府から更に南下して江南に宋を再興しようとしている中,取り残された岳飛や張俊は軍閥と化している。梁山泊は支配を広げず,金と提携している様子を見せながら,日本との交易で手に入れた砂金で西域との交易で利を上げようと西夏や耶律大石に接近を図る〜
 小競り合いをしながら勢力を蓄えている状態でダイナミックな展開はない。北からモンゴルの勢力が・・・という記述が僅かに見られる静かな展開

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09/08/25

『ころころろ』:畠中恵(はたけなか めぐみ):新潮社:2009年7月30日:\1400:東部台文化会館
 しゃばけシリーズ第8作(ビジュアル本の「みーつけた」を除くと)

★★★

〜12の頃,偽目医者の企みを暴いたが,社をひっくり返して七宝が埋められていないことを確かめようがない。ある藩が献上の干物の運搬を長崎屋に持ち込むが,魚河岸に仕入れ先を紹介してやって一件落着と思っていたら,干物を運搬する時の竹籠から玉が転がり落ちてそれを拾うとしたときから若旦那の記憶は途絶え,目の光を失ってしまった。河童が持っているという噂を聞いて,兄やの仁吉が見せ物小屋を探ろうとすると鬼神になりたいという・かむろ人形に取り憑いた女児の小ざさが仁吉に助けを求め・ろくろ首や骨傘にも当てにされてしまう。佐助は箱枕に取り憑いた鬼神を怖がらず黄泉の世界に送ってやる。兄やたちが玉をそれぞれ取り戻すが若旦那の目の光は輝きが戻らず,上野の広徳寺仁神捕り罠を仕掛けると,まんまと生目神を捕らえ,物語の続きを言い当てることで,ようやく光が戻ってくる〜
 いまいち切れ味が足りない。このシリーズのタネも尽き掛けているのか・長持ちさせようとしているのか。若旦那が光を失うきっかけを作ってから,身のまわりの妖達が駆けずり回って神様に行き着いて,人と神の時の進み方の違いに気が付かせるまでの一連の発想を短編5本で一冊に

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09/08/23

『奇跡のリンゴ』:石川拓治(いしかわ たくじ):幻灯社:2007年7月25日:\1300:茂原市立図書館
 「プロフェッショナル仕事の流儀」ではなく「NHKスペシャル」で取り上げるべき内容ではないかと

★★★★

〜機械が好きであったが,故郷に帰って婿養子に出された先に持っていった持参金代わりのリンゴ畑で無農薬に取取り組み,有機肥料と害虫を手で取って,リンゴを栽培しようとしたのは,奥さんが農薬に過敏だったからだった。色々な食材を農薬代わりに使ったが,無施肥・無農薬のリンゴの木は枯れていき,極貧に喘いでいたが首を括ろうと上登った岩木山でドングリの木を見て,その土に秘密があると気付いた。鶏糞で作った堆肥よりも,大豆が地中に作った窒素の方が効果があり,土を自然の状態に近づける。土壌に窒素が不足していれば大豆を撒く。秋には一回だけ草刈りをする。病気の発生の兆候を見極めて,頻繁に酢を撒布する。害虫が増え始めたら,発酵リンゴ汁を入れたバケツを木に下げる。葉脈を見ながら,リンゴの木を剪定する・・・。売値は限りなく農薬リンゴに近づけたいと願っている〜
 歯がないのは,キャバレーの客引きをやっていて,みかじめ料を払っていないヤクザに声を掛けて殴られたのが,きっけかだった。木が枯れかけたときに声を掛けなかった木は倒れてしまった。台風が青森を襲ったとき,近所のリンゴの木が根こそぎ倒れたのに,木村の農園のリンゴは倒れず,実も落とさなかった。調和を保つことを第一に考え,リンゴは木が作るものだとわきまえて,人はその手伝いだと自覚することが大事であると云うこと。人にノアの様だと云われれば「私の舟に乗りなさい」と答える人物。陽気で頑固で愛すべき人だ

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09/08/21

『宵山万華鏡』:森見登美彦(もりみ とみひこ):集英社:2009年7月10日:\1300:茂原市立図書館
 上手くまとめました

★★★★

〜京の祇園祭には30万人の人が訪れるが,バレエ教室に通う小学校の姉妹は姉が行方不明となり,妹が路頭に迷い浴衣の少女達に付いて行きそうになる。奈良から京都の大学に通い東京で就職した男は京都の骨董屋で働く奈良の旧友の案内を乞うが,立入禁止の地域に入って宵山様の許に引き出されお灸を据えられそうになる。それは乙川が仕組んだ宵山を舞台にした大仕掛けであった。出入りの画商と画家と画家の姪が京都の祇園祭の永遠の迷宮に迷い込みそうになっていた。楽しげに駆け回る浴衣を着る少女達は祇園祭の楽しみに囚われた身の上だった〜
 おや・・・?新境地を開いたか・・・?ウン?同じ路線か?ちょっと違うか?・・・彼の作風は維持しているけど,ちょっと違った視点で,同じ日を別の人物から描いて見せて,全体を浮かび上がらせる趣向だ。一気に読める//パズル(ナンプレ・数独)本を封印したからね。金魚は大きくなって鯉となり,鯉は大きくなって龍になるってね

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09/08/20

『羅生門』:芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ):やのまん:2009年4月25日:\952:茂原市立図書館
 著作権が切れているのだろう・・・やのまんってジグソーパズルの会社?

★★★★

〜「羅生門」(下人と死体から毛を抜く婆)「或阿呆の一生」(久米正雄に託された遺作)「」青年と死」(不思議な戯曲)「蜘蛛の糸」(いうまでもない)「鼻」(茹でて足で踏んで油を絞る)「地獄変」(地獄の屏風を描いた絵師とその娘・大殿)「藪の中」(どうして夫は死んだか,妻と盗人)「芋粥」(飽くまで山芋の入った粥を食いたいと思った五位)「父」(イギリス乞食と父を揶揄した友)「蜜柑」(横須賀線のトンネル内で窓を開けた田舎娘は弟たちに蜜柑を投げる)「或級友へ送る手記」(遺書)「秋」(文芸者を志した女とその妹と従弟の葛藤)「文芸鑑賞」(どのように鑑賞するか・何を鑑賞すればよいか・鑑賞上の参考にすべき議論は)〜
 「ある青年の死」が初期の作品で,「手記」が遺稿で,その順に並んでいるが,最後に注釈と略年表が付いている。注釈は読みながら,略年表は最後に読んだが,略年表から読むべきだったか。羅生門とか蜘蛛の糸が教科書に載りやすい訳は短いからだった。地獄変が一番の好調時の作品ではなかろうか。蜜柑だの秋だのは,狂気の混じった雰囲気が出ている。第一高等学校時代(20歳)で作った「椒図志異(しょうとしい)」という妖怪談を分類したノートが彼の作品の底辺にあるのだね

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09/08/17

『インカの反乱』:寺田和夫(てらだ かずお):思索社:1992年6月10日:\2000:茂原市立図書館
 1964年筑摩書房から出版され,復刊されてから,もう17年

★★★★

〜1780年にトゥパク・アマルが開始した反乱は,周到に準備され,インディオだけではなくクリオーヨも抱き込んで,チャペトーネス(スペイン渡来の人)の暴政への反抗を行い,ホセ・ガブリエルは引き裂き刑でなくなったが,旧インカ帝国の南部ペルー高原・ボリビア高原と,隣接するアルゼンチン高地・エクワドール・コロンビア・ベネズエラにも呼応する反乱を起こした〜
 その20年後,アメリカ独立・フランス革命に刺激されて,クリオーヨ達はスペインからの独立運動を展開するのだが,インディオは静観の立場をとる。トゥパク・アマルは殺害された最後の皇帝の6代後の直系子孫で,インカの末裔としての地位は現地の副王からも認められ,クスコの140km南の村長を数カ所務めていたが,スペイン王の融和策はスペインから派遣された代官達によってねじ曲げられ,インディオ達を過酷な生活に追い込んでいた。悪代官を排除するのは強制労働・強制売付からインディオ達を解放する目的であったが,権威としての「インカ」を持ち出すしかなかったのだろう。火器を扱うことを禁じられていながら,スペイン軍に立ち向かっていったマン・パワーは凄いし,計画の秘密が守られていた規律も立派だ。インカ・トゥパク・カマルは悲惨な死に方をしたが,それを聞いたスペイン王カルロス3世は顔を曇らせたという。一家の働き手が加わった反乱軍を支えたのは残された女性だったのだろう。あの荒れ地を徒歩で移動し,町を包囲し,次の町に向かったり,根拠地に戻ったり,エネルギーが1年保たなかったのも頷ける。彼らの活動方針は一貫し,それが広く伝わって,各地で同様の反乱が起き,講和書が締結されて,大赦で罪は不問にされたのに,最後には捕縛され処刑された彼の親族や仲間達の末路は悲惨だ。仲間に加わりながらも最後には離反したクリオーヨ達の独立運動に冷淡な態度をとったインディオ達の心の内が見える様だ。スペイン人→現地生まれの白人→インディオという序列は,独立運動でスペイン人が序列から除かれたが,自給自足できるインディオが武器を持ってこの序列に対抗しようとしたとき,ゲリラとかテロリストと呼ばれるのは不当な気がする。1964年に復刊されたきっかけは,働き者で工夫に富んだ日本人を見習うべく,アルベルト・フジモリが大統領に就任したのが1990年だったからで,ゲリラを一掃したという評価を得たフジモリ元大統領の裁判は続いており,その娘が大統領候補の一人である。ペルーを旅しなければ読むことのなかった一冊だが,何かの偶然で漫然と本を読んでも何も伝わってこなかっただろう。もう一度読むと,植民地時代の南米で虐げられた人々の行動がすんなり入ってくるかも知れないが,その気力を残させない難解さがこの本にはあり,だから絶版になったのだろう。復刊されても同様だ

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09/08/10

『インカを歩く』:高野潤(たかの じゅん):岩波書店:2001年6月20日:\1000:茂原市立図書館
 カラー版岩波新書って初めて見た

★★★★★

〜1973年にボリビアを訪れて以来,30年間通い続け,歩き回り,遺跡発掘の様子を見て,現地の人の農作業や宗教行事に参加し,写真を残してきた成果〜
 ペルーは広く,インカは更に広い。マチュピチュが何故,放っておかれたか,女性が大半を占める理由も神聖都市であったからに違いない。オヤンタイはマチュピチュへの食糧補給基地。マチュピチュの奥にはスペインへの反乱の拠点であったビルカバンバ(ビトコス)がある。写真がないと分かんないものね,カラー版でないといけないや。「インカの反乱」(岩波文庫)を次に読もう

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09/08/07

『じゃがいものふるさと』:山本紀夫(やまもと のりお):福音館書店:2008年2月1日:\700:茂原市立図書館
 月刊・たくさんのふしぎ通巻275号

★★

〜寒さに強いジャガイモのふるさとはアンデスの高地で,アルパカやリャマの糞を肥料に作られる。もともと毒をもっていたが,冬に向かう6月に高地の夜の寒さに凍って昼の温かさで解け,2・3回繰り返して最後に葦で踏まれて,残った汁と一緒に毒素を絞り出して,チューニョという干しジャガイモとなり,幾年も保存することができるので,多くの人口を支えることが出来た〜
 なるほど,日本人にとってのご飯と同じ感覚か

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09/08/06

『死闘』:佐伯康英(さえき やすひで):徳間書店:2000年7月15日:\590:茂原市立図書館
 古着屋総兵衛影始末の1

★★★

〜日本橋富沢町の古着屋を取り仕切る大黒屋は家康の命で武士から鞍替えしたが,それは巷の裏情報を集め,隠密となって働くためであった。身延山にも一族を持ち,連携しながら何度か使命を果たしたが,幕府側にありながら,これを潰そうとする勢力がある。富沢町の名主の江戸屋と香具師の閻魔一家,同心と岡っ引きもいるが,奉行よりも上の御用取り次ぎ方・柳沢保明が狙っていたのだ〜
 馬上刀を毎日数時間振り回していたら,筋骨隆々でとても商人には見えないだろう。ツッコミ所はソコ。綱吉によって改名した後が吉保で,赤穂浪士とも絡んでくるか?

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09/08/05

『トビー・ロルネス4最後の戦い』:テュモテ・ド・フォンベル作:フラノソワ・プラス絵:伏見操(ふしみ みさお)訳:岩崎書店:2009年3月30日:\900:東部台文化会館
 悪いのは醜悪な・・・

★★★★

〜トビーは樵のニルスに頼んで,レオに取り込みエリーシャに勇気を与える影を見せる様,頼んだが,疑り深いレオがそれを察知し,樵仲間からも裏切り者扱いされる。ジョー・ミッチーのクレーターで働かされるトビーノ父シムは収容所の仲間と逃げるトンネルが完成間近い。草原の民として捕らえられた男の子は,トビーで,ビビの仲間を逃がす算段をして,父の脱走計画と時期を合わせた。レオは結婚を承知しないエリーシャを監禁し続け,ニルスの手紙を騙らって,承知させたが,レオに娘を売り込みたい男の企みも加わって脱出に成功する。ビビ達の脱走は成功するが,シムら年輩の者のトンネルはミッチーを穴に誘い込み失敗に終わる。トビーが生きていることとエリーシャと愛しあっていることを知ったレオはブーメランを手に下枝までトビーを追い,湖上での決闘に至るが,自分がレオの妹であり,レオの父を殺したのがミッチーであることを知ったエリーシャが決死の覚悟で決闘を止めさせ,レオは総ての役目から手を引き,気配を察したミッチーはロビーの両親を人質に頂上に逃れるが,草原のビビが悪い者ではないことを知った人々が追及に加わる。ミッチーとレオ,トビーとタイガーが対決〜
 結果は歴然・・・クレーターは樹の生命力で塞がり,平和な日々がやってきました。トビーの出生の秘密が明らかになる。なぜ絵を描くことで永らえたのか?

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09/08/02

『サイのクララの大旅行』:グリニス・リドリー:矢野真千子(やの まちこ)訳:東洋書林:2009年2月29日:\1800:県立東部図書館
 妖獣,18世紀ヨーロッパを行く

★★★

〜オランダの商船長ヴァン・デル・メールがベンガルで購入したメスのサイは,人間に育てられ,馴れていた。6ヶ月かけてオランダ来ると,丈夫な馬車が作られ,ドイツ・スイスを巡業して歩き,デューラーが伝聞で書いたサイのイメージを一掃する。精密にスケッチされたポスターが先触れの様に貼られ,様々な噂が流され,コインやブロンズ像が造られ,角がイタリアで落ちたことにもめげず,興行収入を揚げ,20歳あまりでロンドンで死去し,解剖学者の手に掛かる〜
 記録を辿って物語を紡ごうとしているので,ノンフィクションのようで納まりが悪い。サイは英語でライノセロス,お金を意味するスラング「ライノー」はクララが残したのだ。タバコとオレンジの臭いが好きなサイは各国の君主がわざわざ観に行く存在だった

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09/08/

 
 

★★

 
 

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最終更新日 : 2009.08.30

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